給湯器の凍結を防ぐために行う「水抜き」。そこまで寒い地域じゃないから水抜きまでしなくてもよい、と考えていませんか?実は、凍結は寒冷地よりも比較的暖かい地域で起こりやすいトラブルなのです。
とはいえ真冬だからといって毎日水抜きをする必要はありません。給湯器の水抜きをしたほうがよいのはこんな状況のときです。
- 寒い時期に家を長期間不在にする
- 大寒波の到来が前もって予想されている
- 風雨にさらされやすい位置に給湯器がある
いざというときに水抜きができるよう、手順を解説します。万が一凍結してしまった場合の対処も紹介しているので参考にしてください。
給湯器の水抜きの方法
水抜きの手順
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給水配管(水道管)の水抜き栓を閉めて、水道本管から流れる水を止めます。水の流れを止めた段階では配管内に水が溜まったままなので、蛇口を開けて残った水を排出しましょう。
手順③の後に追い焚きを2回繰り返すことで、追い焚き配管の水を排出することも可能です。追い焚きをしたら、給湯器本体の水抜き栓を開ける前に給湯器のスイッチを切ってあるか確認してください。
戸建ての方もマンションの方も同じ方法で行うことができます。
水抜き栓が固くて開けられないときは、ホームセンターにも売っている工具「プライヤー」などではさんで回します。
直前までお湯を沸かしていた場合、給湯器内のお湯がかなり熱い可能性もあるので、十分に冷ましてから作業してください。
水抜き栓の位置を確認
多くの配管がありますが、基本的に水抜き栓は給湯器の下にあります。
水抜き栓の形状は異なっていることもあるため、どこにあるかわからない方は取扱説明書を見ましょう。
マンションの水抜き栓は一般的には「パイプスペース」内にあることが多いです。共用部にある場合、立ち入りは大家さんや管理会社に許可を得なければならない場合もあります。トラブルを回避するためにも事前に確認しておきましょう。
水抜き後に給湯器を使う方法
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凍結の心配がなくなったら、給湯器を使用できる状態に戻します。
その際も機種によって細かい違いはありますが、大方の手順は似ているので標準的な作業の流れを確認しましょう。
取扱説明書がある方は、見ながら、進めていくと安心です。
給湯器の水抜きをしないとどうなる?
凍結の危険があるときに水抜きをしたほうがよいということをお伝えしてきました。水抜きをしなかった場合に給湯器がどうなってしまうのかを解説します。
配管内の水が凍結し、復旧に数時間~数日かかることも
配管内に残った水が凍り、お湯が出ない状態になります。お風呂を沸かすことも、寒い冬に水仕事をするのにお湯を使うこともできません。
凍結した場合は自然解凍が推奨されていますが、気温が上がる日中まで待つ必要があります。外気温が上がらない場合、復旧に数日かかるなんてことも。
凍結によって配管が破裂し、水漏れにつながることも
水は凍ると体積が大きくなる性質を持っています。缶入りの飲み物を凍らせているうちに、破裂してしまったという経験がある人もいるでしょう。
同じように配管内の水も、凍結すると体積が膨らみます。配管が内側から膨張して、管に亀裂が生じたり、大きく割けたりする可能性も。
凍った水が溶けても、今度は亀裂から水が漏れ出します。給湯器の電気系統が濡れて漏電事故にも発展しかねません。
大きなトラブルを招かないためにも、凍結の心配がある場合には事前に水抜きをしておくことをおすすめします。
給湯器の水漏れが疑われるときの確認方法や応急処置については以下の記事で詳しく解説しています。
給湯器の凍結しやすい箇所
最も凍結が多い箇所は給水配管(水道管)です。配管内を水が通るため、外気温の影響を受けやすいのです。
また、給湯器を北側に設置していたり、風がよく当たる場所に設置していたりすると、凍結しやすくなります。
一方、給湯器の本体内の配管やバスタブにつながった部分は、比較的温度の急激な変化がなく、対処しやすい箇所といえます。
以下の記事では給湯器が凍結しやすい箇所と対処法を詳しく解説しています。
水抜きをおこなうタイミングは?
本格的に冬が始まる前に、水抜きをおこなって入れば、寒い時期に給湯器が使えなくなる心配はありません。水抜きをするタイミングは以下の3つです。
- 気温が低いとき
- 長期間、家を空けるとき
- 引っ越しをするとき
気温が低いとき
外の気温が‐4℃以下になる際は、給湯器の水抜きが必要です。
-4℃以下でなくても外の気温が0℃以下の日が連続して続く場合には給湯器の水抜きが必要です。
給湯器の水抜きをしないと配管が凍結して、給湯機能が使えなくなってしまいます。
長期間、家を開けるとき
長期間、家を開けるときは給湯器の水抜きを行う必要があります。
夏の暑い日は凍結する可能性が少ないですが、冬場であれば、急に気温が下がったりすることも少なくありません。
長期間、給湯器を使わないと徐々に凍結が進んで、給湯器が使えなくなることも考えられます。
家を長期間開けておく場合には給湯器の水抜きを行っておくと安心でしょう。
引っ越しするとき
引っ越し時のガス閉栓立会の際に、ガス供給会社が給湯器の水抜きを行ってくれているか確認する必要があります。
給湯器の水抜きを行ってくれている場合には、水抜きを行う必要はありません。
水抜きが行われていない場合には、大家さんや管理会社に相談するようにしましょう。放っておくと、後からトラブルになることがあります。
水抜き以外にもある!給湯器の凍結を防ぐ方法
一旦凍結してしまうと、使用できるようになるまで一定の時間を要してしまいます。
凍結を防止する方法は、水抜き以外にもあるので、事前に給湯器の凍結を防ぐ方法を知っておきましょう。
電源をつけたままにする
近年の機種では、凍結を防止する機能である「凍結予防ヒーター」と「自動ポンプ運転」という機能が備わっています。
これらの機能は給湯器の電源プラグを抜いてしまうと作動しません。電源を抜いたままにしないよう注意しましょう。
凍結予防ヒーター
凍結予防ヒーターは、内部の配管に熱を与えて凍結を防ぎます。水の流れが止まっている時間帯に水温の低下を防止するため、凍りにくくなるのです。
ただし本体以外の配管に対しては効果がありません。そのため、「自動ポンプ運転」により、「凍結予防ヒーター」では補えない配管の凍結を防ぐのです。
以下で「自動ポンプ運転」の機能について紹介します。
自動ポンプ運転
「自動ポンプ運転」も便利な機能です。残り湯をそのまま溜めておけば、追い焚き機能付きのバスタブの配管に自動で残り湯を循環させ、凍結を防ぐ働きをします。
気温が設定した温度以下になり、バスタブの循環口の高さより上までお湯が残っていれば、自動で稼働する仕組みです。
ただし給湯器と浴槽をつなぐ配管を対象とした機能なので、水道配管全体に効果があるわけではない点には留意しておきましょう。
水を出し続ける
配管内の凍結は、水が管内に停滞することで起こりやすくなります。
蛇口を少しだけ開けておき、わずかに水を出し続けておくことで、凍結の防止につながります。
お湯を出す給湯栓であれば、洗面台やお風呂、台所以外の場所でも可能です。ただし、どこか1か所は必ず水を出しておくようにしてください。
1分間に約400ccあたりが目安で、4㎜程度の水を流し続けるのがおすすめです。
その際に給湯器は作動させないようにしておきましょう。電源を切った状態でお湯側の蛇口を開け、水を少しだけ出し続けておきます。
配管の周りに保温材を巻く
保温材を給水配管に巻いておくことも、凍結防止のひとつの方法です。寒気から保護し、管内の温度の低下を防ぐことで、凍結を阻止します。
保温材はホームセンターで購入可能な、一般的なもので十分です。配管を端から覆うように巻き進め、その上からビニールテープで固定します。
「ヒーター」と呼ばれる凍結防止帯を使うと、より効果的です。
保温材と同じ要領で給水配管に巻きます。ヒーターの上からさらに保温材を巻くと、凍結防止効果が大きく向上するでしょう。
凍結してしまった時の対処
寒さが厳しい地域では、気を付けていても凍結してしまうことがあります。急激に気温が下がるなど、予期せぬ事態はつきものでしょう。
凍結が起こってしまったら、どう対処すべきでしょうか?効果的な方法を紹介します。
リモコンの運転をオフにする
給湯器が凍結したにもかかわらず、使用を続けていると、漏電を引き起こす可能性があります。
ただし、給湯器のコンセントは抜いてはいけません。
給湯器のコンセントをぬいてしまうと、「凍結予防ヒーター」や「自動ポンプ運転」が機能しなくなり、凍結をさらに進めてしますう可能性があります。
自然解凍で溶けるのを待つ
給湯器が凍結した際に最もおすすめの解凍方法が、自然に解凍するのを待つ方法です。
時間は要しますが、気温の上昇とともに自然解凍されるので、各パーツに負担をかける心配がありません。
自然に溶けるのを待つ間は、給湯器の電源は切っておきます。コンセントだけは抜かずに、挿したままにしておきましょう。
その後は、気温が上昇して管内の凍った水を溶かしてくれるのを待つだけです。最も手間のかからない方法といえます。
溶けた頃合いを見計らって、本体の電源を入れ、お湯が出るかチェックします。その際に配管の破裂や破損による水漏れがないかも確認しましょう。
【緊急】すぐに使いたいときはぬるま湯を使う
「すぐに給湯器を作動させたい」という場合のために、ぬるま湯を使ったやり方を紹介します。ここではタオルも必要です。
手順 |
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本体の電源は切りますが、コンセントは挿したままにします。ガス栓は、しっかりと閉めた状態です。
キッチンや洗面所のお湯の蛇口を開け、お湯は出なくても出るはずの状態にしておきます。
ガス栓を閉めたら、給水元栓を回しましょう。給水元栓が回らない場合には飛ばしても大丈夫です。
そして給水バルブ(元栓)をタオルで包み、30~40℃のぬるま湯をタオルにかけます。この際、給湯器本体のコンセントにはかからないように、注意しましょう。特に電源のコードやプラグ、コンセントには絶対にかからないように注意が必要です。
給水元栓が回ると、家中の蛇口から水が流れます。流れたことが確認出来たら蛇口を閉めます。
最後に配管にかかってしまった水があれば、しっかりとふき取っておきましょう。拭き忘れがあると、残った水分が凍結して、事故につながることもあります。
給水バルブの周辺が凍結していた場合は、内部の溶けた水が蛇口から出てくる可能性があります。
配管に直接お湯をかけるのはNG
タオルで巻いた配管にぬるま湯をかける際は、絶対にぬるま湯で行いましょう。
暑すぎるお湯をかけると、凍結していた配管内部が、破裂することがあります。。30~40度のぬるま湯が目安です。
また作業後は水滴をしっかり拭き取りましょう。残っていると外側の水が凍り、再び凍結する可能性があります。
業者に依頼する
費用相場 | |
配管の破裂 | 10,000円~20,000円 |
電気回路の故障 | 30,000円~50,000円 |
熱回路の故障 | 30,000円~50,000円 |
最も安全な対策は、給湯器の交換や修理を担当している業者に相談することです。
凍結の原因は気温の低下ですが、それによってどこが凍結したかは素人では簡単に判別できません。しかし、プロであれば、的確な場所の把握と対処が可能です。
無理に手段を講じると、そのほかの部分を傷つけてしまい被害が広がる危険性もあります。甘い判断で処置してしまい、被害を拡大させることは避けたいものです。
不安があれば専門の業者への相談が妥当でしょう。
凍結で故障してしまったら
給湯器の凍結で故障したといっても、軽度な故障から重度の故障など様々です。ここでは、給湯器が故障した場合の費用面から見た対処法を紹介します。
修理より交換の方がよいことも
給湯器にはたいてい、保証が設定されています。しかし凍結による配管の破損は使用上の不具合とは違い、保証の対象外である場合がほとんどです。
修理するには実費での支払いが必要となります。故障や損傷の具合によっては、相当の金額が発生する場合もあるでしょう。
給湯器の寿命は10年が目安です。劣化が見られるような状態であれば、修理にお金をかけるよりも交換した方が、かえって経済的にも効率のよいケースがあります。
給湯器を取り扱っている業者やメーカーに見てもらうと安心です。
サイズや機能ごとの交換費用の相場は以下の記事を参考にしてください。
水抜きで給湯器の凍結を防ごう
「急にお湯が使えなくなった」という事態が発生すると、生活に大きな支障が生まれます。解決するにも時間がかかるため、不便な時間が続いてしまうでしょう。
水抜きはトラブルを未然に防ぐためにとても有効な手立てです。適切なメンテナンスで、快適な生活を維持しましょう。
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