「あれ?なぜか今月の水道料金が高い……」「寒さで給湯器の配管が凍り、亀裂が入ってしまった……」そんなキッカケから、給湯器の水漏れに気づいた方が多いのではないでしょうか。
給湯器の水漏れを解消するために何をすべきか、順を追って解説します。
まずは給湯器が水漏れする原因を特定しよう
まずは給湯器が水漏れしているのかひと目で確認できる方法をお伝えし、その後に給湯器が水漏れを起こす原因を紹介していきます。
こちらの内容を参考に、自分の給湯器は何が原因で水漏れしているのか確認してください。
水漏れしているか確認する方法
「本当に水漏れかな?」
それを確かめるには、水道メーターを見ましょう。手順は以下です。
- 家の水道をすべて止める
- 敷地内にある水道メーターを見る
- コマが動いていないか確認
水道から水を出しているとき、メーターについているコマが回転します。
水漏れしている場合には、ゆっくりと回転しているので、確認してみましょう。
パッキンなどの部品が劣化している
給湯器の配管には、接続部分に「パッキン」というゴムの部品がはめ込まれています。
パッキンは、継ぎ目の隙間から液体が漏れ出るのを防ぐ部品です。
ゴム製の部品なので、10年ほど使用すると硬くなって弾力がなくなり、そこに生じた隙間から水が漏れ出します。自力で交換すると水漏れを起こす可能性が高いので控えましょう。
部品を交換して修理できますが、発売から10年以上経っている旧型だと、部品の製造を終了している可能性も考えられます。
また給湯器のどこか1部品が劣化しているのであれば、他の場所でも劣化が進んでいるかもしれません。
そのため、部品の劣化が見られる場合は本体ごと給湯器を交換・買い替えする場合がほとんどです。
配管が凍結・破裂したことによる水漏れ
冬になると、配管の凍結が原因で給湯器から水漏れする事例が増えます。
配管内の水が凍るときに膨張し、管が裂けたり破裂したりすることで水漏れするのです。実は凍結による水漏れは、寒冷地よりも比較的暖かい地域でこそ多発します。
というのも、寒冷地では厳しい冬に備えて給湯器の凍結防止対策がされています。
しかし温暖な地域では凍結対策がされていないことが多く、まれに訪れる極端な寒さに耐えられず、配管が損傷してしまうことがあるのです。
配管の損傷の程度によりますが、修理では済まず本体の交換になる可能性が高いでしょう。
施工不良による水漏れ
給湯器を設置した際の人為的なミスによって、水漏れするケースがあります。
給湯器の設置は、水道、ガス、電気など多くの工事が必要な難しい作業です。そのため経験の浅い作業者が設置した場合などは特に、給湯器の設置不良が原因で水漏れしてしまいます。
例えば「接続部分のボルトの締めつけが甘い」など、小さなことでも水漏れの原因になります。
使い始めてから短期間で発生する水漏れなら、施工不良かもしれません。業者による施工ミスは、保証によって無償で修理できるので連絡してみましょう。
長い期間給湯器を使用していなかった
給湯器は長期間使わずにいると本体内部の圧力が上がり、水抜き栓から水が漏れ出すケースがあります。
旅行や出張で何日も家を空けた場合、帰宅時に給湯器から水漏れがないか確認した方がいいでしょう。
もし水抜き栓から水が出ていたら、一度普通に電源を入れてお湯を出してみます。
水抜き栓からの水が少量で止まったらOKですが、水が出続ける場合は要注意です。特に冬期は凍結による配管の破損の可能性があります。
長期の外出が分かっているときは、あらかじめ給湯器の水を抜いておきましょう。取扱説明書に手順が記載してあるはずです。
水抜きの方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考ください。
水抜き栓からの水漏れであれば故障でないことが多い
給湯器の水漏れで唯一、修理しなくて済むケースが多いのは、「水抜き栓」に起きる水漏れです。
水抜き栓には以下のような役割があり、全ての給湯器についています。
- 給湯器内部の減圧
- 点検の際の配管内の水抜き
- 寒冷地における水の凍結防止
上記のような水抜き栓の機能上、一時的に水が出ることはあります。
そのため、ポタポタ水漏れしているのが水抜き栓からであれば、さほど問題はありません。
ただし水抜き栓からの水漏れであってもあまりに大量である、長時間水が出続けているという場合は、水抜き栓以外が原因の水漏れが疑われます。
メーカーや業者に依頼して、状況を確認すると安心です。
給湯器から水漏れした場合の応急処置
給湯器からの水漏れに気づいた時に大切なのは、スピーディーな初期対応と応急措置です。
特にアパートやマンションのような集合住宅の場合は、水漏れを放置すると階下や隣居まで水浸しになることもあり、補償問題にも発展しかねません。
また電気系統に水が流れ込んだことでショートし、火災を引き起こす恐れもあります。
このような二次被害を避けるために、水漏れを発見したらまずは応急処置をしましょう。
Step1:給湯器の運転を停止し、水漏れ箇所を確認する
給湯器からの水漏れに気づいたら、まずは運転を止めましょう。
リモコンパネルや本体のボタンを操作して電源をオフにします。万全を期すならコンセントも抜きましょう。
エラーコードが表示されている場合には、書き控えておくと、後で業者に修理を依頼する際にスムーズです。
水漏れを放置したまま給湯すると、漏電や火災などの事故につながる可能性があります。とくに内部の水漏れは不完全燃焼による一酸化炭素中毒の危険があるので、必ず電源を落としましょう。
給湯器を止めたら水滴をたどり、水漏れ箇所を特定します。
本体カバーの下部や、配管のつなぎ目などは、水漏れが起きやすいため入念に確認しましょう。
Step2:給湯器の元栓を閉める
水漏れが給湯器本体から起きている場合は、内部で何らかの故障や劣化、破損が起きている可能性が高く、そのままで改善は期待できません。
本体から水漏れが発覚したら「給水元栓」や「ガス栓」を閉めましょう。開けたままだと水が止まらず、余計な水道代がかかるため要注意です。
またアパートやマンションといった集合住宅に住んでいる場合は、階下に水漏れ被害が拡大する可能性もあるため、早めに元栓を閉めましょう。
もし元栓が固くて閉まらない場合は、水道メーターの場所にある家全体の水道元栓を閉めて応急処置できます。
Step3:メーカー・設置業者、賃貸の管理会社などへ連絡
給水元栓やガス栓を閉めて、一時的に水漏れが止まったことを確認したら、しかるべき場所に連絡しましょう。
戸建て住宅の場合は、メーカーまたは設置業者に直接連絡し、修理を依頼します。
マンションなど賃貸住宅に住んでいる場合は、まず大家さんや管理会社に連絡して状況を説明し、対応を相談しましょう。
ほとんどの場合は管理会社からが修理依頼をおこない、居住者は到着を待つだけです。
分譲マンションのように持ち家かつ集合住宅の場合は、管理会社や管理組合にまず連絡し、対応を相談します。
給湯器の水漏れを放置すると起こる危険
ここまで給湯器が水漏れしたときの応急処置について紹介してきました。
給湯器から「ポタポタ」落ちる程度だからといって、水漏れを放置するのは危険です。ここからは給湯器の基本構造をおさらいしたあと、水漏れを放置すると起きてしまう危険なケースを紹介します。
給湯器の構造
まずは給湯器の仕組みを紹介します。お湯が出るまでの工程は、大まかに次の通りです。
- 蛇口をひねる
- 給湯器の中に水が流れ込み、水流スイッチが入る
- 給湯器のファンが回って空気を取り込む
- 給湯器内で点火スイッチが入る
- 給湯器内にガスが流れ込み着火する
- 蛇口からお湯が出る
不完全燃焼が起こり、一酸化炭素中毒になる恐れがある
水漏れを放置し、内部のバーナー部分に水がかかった状態だと、ガスが不完全燃焼を起こし、一酸化炭素が発生しやすくなります。
無味無臭の気体ですが、毒性がとても強いので、一酸化炭素中毒を引き起こすと最悪の場合には命を落としてしまう可能性も。
給湯器の安全装置が正常に働けばガスは止まりますが、故障や老朽化などの原因により作動しない場合もあるので注意しましょう。
※以下の記事では、電気温水器の場合の水漏れ対処法を紹介しています。もしご自宅が電気温水器なら、こちらを参考にしてください。
電気系統に水が入るとショートを起こす
給湯器は電気を用いて稼働しており、水漏れによって内部に流れた水が電気系統に侵入してしまった場合、ショートを起こす可能性があります。
また給湯器以外にも電化製品があるご家庭もあります。その場合は漏れ出た水が電化製品にかかってしまうので、とても危険です。水漏れが起きている場合はすぐに対処してください。
給湯器が水漏れしたときの水道代はどうなる?
給湯器から水漏れしていると、そのぶんだけ使用メーターが上がり、請求額が高くなります。しかし、具体的にはどれくらい高額になるのでしょうか?
また水漏れの際の水道代は減額・免除してもらえるケースがあります。
水漏れが長引いた場合、水道代が高額になる恐れあり
東京都水道局のホームページによれば「水漏れを1ヶ月放置した場合の料金の目安」は、1ミリメートル程度の糸状なら1ヶ月に約2,000円の料金に相当します。
ポタポタ程度の水漏れならば、1ヶ月あたりでも数百円程度。それほど高額にはならない可能性はあります。
ただ、気づかずに支払い続けてしまうと積み重なって高額になるので、請求金額に違和感があれば水漏れを疑いましょう。
給湯器の修理後、水道代の減免申請ができる場合も
自治体によっては、給湯器の水漏れに伴う水道料金の支払いを一部減免できるケースがあります。
例えば愛知県名古屋市上下水道の場合、以下のような条件に当てはまれば減免申請が可能です。
水漏れの箇所や状況による(トイレの水漏れ、ビルやマンションの受水槽以降での水漏れは対象外)
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水漏れの修理が完了した後に、規定の証明書を提出すること | |
申請書の提出期間は、水漏れ等の修繕工事が完了した月の翌月から起算して2年以内 | |
水道の使用量から、漏れたと思われる水量の一部を差し引いて料金を算出 |
申請条件は厳しく、対象となるのは水漏れした水道料金の一部のみ。給湯器の修理代は減免の対象外です。
減免制度を設けている市町村はいくつかありますが、詳細は各市町村に問い合わせる必要があります。
減免制度についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご参考ください。
賃貸で水漏れしたときの注意点
給湯器の水漏れの対応方法は戸建ての住宅の場合と、マンションやアパートといった集合住宅や賃貸住宅の場合で異なります。
特に集合住宅では十分注意が必要です。なぜなら、隣家や階下を巻き込んだ騒ぎに発展する恐れがあるからです。
ここでは、マンションのような集合住宅と賃貸住宅で注意すべき点をみていきます。
水漏れを放置すると階下浸水する恐れがある
マンションのような集合住宅や賃貸住宅に住んでいる場合、給湯器の水漏れは自分自身の問題だけでは済まされません。
隣の部屋や、階下の部屋まで水浸しになって、近隣トラブルに発展する恐れがあります。
たとえ今はポタポタ落ちる程度の水漏れであっても、長期にわたって水漏れすれば壁・床などが弱っていくことに。
また他の部品も劣化していき、ふとしたタイミングで一気に水漏れが始まったりすれば、あっという間に階下まで水浸しの大惨事に発展します。
大きな事故になる前に、水漏れに気づいたらすぐに、メーカーや業者に修理を依頼することが大切です。
業者に依頼する前に、大家さんや管理会社に連絡を
賃貸住宅に住んでいるなら、給湯器の水漏れで修理を依頼する際、まずは大家さんや管理会社に一報を入れましょう。
基本的に給湯器は貸主の所有であり、借主は住宅と一緒に給湯器設備も借りている、という契約になっているはずです。
所有者である大家さんや、大家さんから委託されている管理会社を介さずに勝手に修理すると、思わぬトラブルの原因になりかねません。
自力で給湯器を修理・交換できるの?修理費用相場も解説
自力で水漏れした給湯器を修理することはできるのか気になる方もいらっしゃいますよね。基本的には、給湯器の修理を自分で行うのはハイリスクなため、おすすめできません。
業者の費用相場や給湯器の交換時期なども解説するので、以下を参考に業者依頼も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
自分で修理・交換するのはリスクが大きいので業者依頼がおすすめ
ホースやパッキンの交換程度なら、状況によってはDIYでも可能な場合もあります。
しかし給湯器の水漏れがあるとき、ほとんどの場合には修理ではなく交換をすることになります。
給湯器は水道、ガス、電気が関わる複雑な構造の機器です。設置作業には危険が伴うので、熟練した技術や専門の知識が欠かせません。
自分でDIY修理を始めたものの、途中で対処方法がわからなくなり断念し、業者に助けを求めるとなれば、メーカーの保証を受けることもできません。
これでは節約どころか、かえって費用がかさむ結果になります。
給湯器の修理・交換は、プロの領域と考えて、水漏れに気づいた場合は業者を手配するのが賢明です。
給湯器を修理するときの費用相場
給湯器の主な故障部位と修理費用の相場について、以下の表にまとめました。
故障部位 | 修理費用の相場 |
燃焼系装置 | 17,000~33,000円 |
電気系統 | 6,000~46,000円 |
安全装置 | 7,500~58,000円 |
水制御装置 | 10,000~35,000円 |
リモコン | 16,000~38,000円 |
給湯器の水漏れを修理した場合は、およそ20,000円〜40,000円が費用相場です。
ちなみに交換・買い替えの場合には、6~14万円ほどかかります。
ただし故障状況や給湯器のメーカー、給湯器の型式など、条件によって変動します。
また修理代以外にも、出張点検費などが加算されることもあります。
給湯器を交換する時期の目安は?
故障した給湯器を修理するか交換(買い替え)するかの判断は、「法定耐用年数」と「設計上の標準使用期間」を基準に考えるとよいでしょう。
法定耐用年数とは、資産の減価償却金額を計算する際に用いる用語。給湯器の耐用年数は6年間です。6年を過ぎた給湯器は経費として計上できず、税金面の利点は消滅します。
設計上の標準使用期間は経済産業省により10年と定められており、それ以降は経年劣化による重大事故の可能性が高まります。
厳密には家庭用の給湯器は対象ではないですが、各メーカーが決めている標準使用期間は同じく10年です。
10年を超えると修理部品の供給も終了するため、故障したら交換が基本的な対応と考えましょう。
また10年以内であったとしても、「お湯の温度が一定でない」「温度が十分上がらない」などの場合は、水漏れの可能性を疑いましょう。
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この記事では、給湯器から水漏れしていた時の原因・対処法、また注意点や修理費用などを解説してきました。
経年劣化や施工不良など、さまざまな原因は考えられますが、水漏れしている大体のケースでは交換・買い替えになります。
自分で判断するのは難しいので、まずは応急処置で水を止め、業者に依頼しましょう。