「止水栓」は、トイレのタンク・便器内に流す水をコントロールしていしています。
トイレの水漏れ修理のときや、メンテナンスのときなどは、止水栓を閉めて、いったん給水をとめます。
メンテナンス中に水があふれ出して、ビチャビチャになってしまう水濡れ事故を防ぐためです。
この記事では、トイレの止水栓の閉め方を解説。また意外と知らない「開け直すときの調節方法」も紹介します。
トイレの止水栓の閉め方を解説!
止水栓を閉めるときに必要な道具
まずは止水栓を閉めるのに必要な道具を用意しましょう。
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止水栓がハンドルタイプではない場合、マイナスドライバーで開閉します。くぼみに入るなら、500円硬貨などでも代替可能ですが、もちろんドライバーのほうが回しやすいです。
トイレの止水栓は、普段から頻繫に開閉する場所ではないので、固まっているかもしれません。誤ってドライバーで手を負傷したり、止水栓で手を切ってしまったりしないよう、ゴム手袋を着用しましょう。
また雑巾やビニールシート、バケツなどは状況に合わせて用意しましょう。止水栓を閉めたり調節したりするときは、水漏れ修理やメンテナンスをするときがほとんどですよね。床に水はねしないよう、雑巾やバケツを床に敷いておきましょう。
【止水栓が固いときには水栓ドライバー】
止水栓が固くて回らないときは、水栓専用のドライバーを使いましょう。
ふつうのマイナスドライバーよりも先端が広く、力が伝わり易い構造になっています。
固い止水栓を開けるにはかなりの力が必要ですが、ムリに力を込めるとドライバーが滑ったはずみで怪我をしたり、給水パイプが損傷したりすることも。
また家全体の元栓を閉めることでも解決できます。
止水栓を閉める手順
止水栓を閉めるときのコツは、ハンドルまたはドライバーを回した回数を覚えておくことです。手順をまとめると、以下のようになります。
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このような方法で、トイレの止水栓を閉めましょう。
ちなみに止水栓を閉める必要があるのは、どこか水漏れ箇所を修理するときではないでしょうか。以下の記事でトイレの水漏れ修理について解説しているので、
1.(温水便座の場合)電源プラグを抜く
ウォシュレットなどが付いている温水便座の場合には、まず電源プラグを抜きましょう。
プラグを差したまま水場で作業すると、漏電や感電のおそれがあり、危険です。また温水便座の故障にもつながってしまいます。
2.(水漏れしているとき)元栓を閉める
もしトイレの止水栓を閉める理由が「水漏れ修理」なら、家全体に給水している「元栓」も閉めておきましょう。
止水栓を閉めることで「止水栓→トイレタンク」の給水は止まります。
しかし、もし止水栓自体が故障して水漏れしているなら、「壁内の給水パイプ→止水栓」の部分に問題があるため、水をせき止められない可能性があります。
3.雑巾やバケツ、ビニールシートを敷いておく
止水栓を止める準備をしましょう。
ケガを防ぐためにゴム手袋を着用。また雑巾やビニールシート、バケツなどを設置して、床への水はねを防止します。
4.止水栓をマイナスドライバーで回す(時計回り)
準備が完了したら、止水栓を閉めていきましょう。もしハンドルタイプであれば、ふつうの水道蛇口と同じように右回転で閉めます。
マイナスドライバーで開閉するタイプであれば、くぼみにドライバーを差し込み、こちらも時計回り(右向き)に回転。動かなくなるまで回すだけです。
温水便座の場合には、トイレタンクの止水栓のほかに「ウォシュレット用の止水栓」があるので、間違えないようにあらかじめ位置・種類を把握しておきましょう。
5.回した回数を覚えておく
止水栓を閉める時には、何回転で閉めきったか数えて、回転数を覚えておきましょう。
水漏れ修理やメンテナンスが終わった後、ふたたび止水栓を開けるときには、閉めたのと同じ回数を反時計回り(左向き)に回す必要があるからです。
止水栓は水量を調整する役割があるので、もし全開にすると水量が多すぎる場合もあります。
6.排水して、水が止まっているか確認
止水栓を閉めおわったら、きちんと水流がせき止められているかを確認しましょう。
トイレの水栓レバーを回して、水を流します。通常であれば、足りなくなった水量を満たすために、手洗い管から水が出てきます。
止水栓が機能していれば、手洗い管から水が補充されなくなるので、そうなっているか確認しましょう。
止水栓の開け方・調節方法
トイレの水漏れトラブルなどを解決したら、止水栓を開けて水を流しましょう。
このとき、止水栓を全開にすれば良いわけではありません。止水栓の適切な開け方と水位の調整方法を知らないと、トイレタンクから水があふれてしまいます。
止水栓を開ける手順
止水栓をふたたび開けるときには、閉めたときと同じ回数だけ回転させるようにしましょう。以下、手順をまとめます。
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止水栓を開けるときは基本的に、閉めるときの逆順で行えば問題ありません。電源プラグを入れ直し、家全体の元栓を開けたあとで止水栓を開栓します。
ハンドルタイプでもドライバータイプでも、開けるときにひねる回数だけは注意しておきましょう。
元の状態よりも開きすぎたら、そのぶんだけ流れる水量が多くなってしまい、タンクから水が溢れ出てしまいます。
もし回転数を忘れたり、止水栓を開きすぎてしまったときは、以下で紹介する調整方法を試してみてください。
止水栓の開きを調整して、水量を調節する方法
止水栓の開き具合を後から調整するとき、手順をまとめると以下のようになります。
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もしトイレタンクから水があふれてしまったり、逆に便器内に流れる水量が不十分だったりするときには試してみましょう。
トイレの構造と各部で水漏れトラブルの初期対応として重要なのは、止水栓とオーバーフロー管の2つです。最低限、この2つの位置を覚えるようにしましょう。
また、トイレタンクの内部に問題が無いか、以下の記事を参考にして確かめてみてください。
1.一度、止水栓を閉める
「止水栓の開き具合を調整する」というときには、「トイレタンク内の水位を調節する」ということと同義です。
現状では、水量をうまく調節できていないので、一度リセットするために止水栓を閉めきります。
2.トイレタンクのフタを開ける
止水栓を調整するときには、タンク内の水位が変化します。
目視で水位を調節できるように、トイレタンクのフタを開けておきましょう。
持ち上げるだけで外れるフタもありますが、内部の部品とつながっている場合には接続を解除しないとフタが外せません。
その場合には、フタに裏側にある「じゃばら管」とフタとの接続部分にあるナットを外しましょう。
3.タンク内の浮き玉を手で押し下げておく
トイレタンクのなかは、上の画像のようになっており、水の上には浮いている玉があります。
この浮き玉の高さを検知して、水位が低くなったら手洗い管からタンク内に水が流れる仕組みです。
そのため手で浮き玉を押し下げておくことで、「まだ水位が足りていない」と認識され、水を流し続けることができます。
4.水位を見ながら、止水栓を開ける
浮き玉を押さえたままで、止水栓を徐々に開いていきましょう。回す向きは反時計回り(左向き)です。すると、タンク内に水が溜まってきます。
水が流れ続けたままの状態で、水位が「オーバーフロー管の先端から1cm以内くらいの高さ」に安定するよう、止水栓の開き具合を調整します。
5.水位の調節が完了したら、タンクのフタを閉める
水が流れているときの水位が調節できたら、浮き玉を上げましょう。すると給水が止まり、平常時の水位を確認することができます。
平常時のタンク内の水位は、オーバーフロー管についている「WL(ウォーターレベル)」の目印で確認します。
おおよそオーバーフロー管の先端から2~3cmほど下に水面があれば、問題ないことが多いです。
ただしメーカーや製品によっては、「WL」の目印が無かったり、水位調整の必要がない商品だったりする可能性も。詳しくは取扱説明書を確認しましょう。
止水栓がない?どこにあるか把握しよう
止水栓はどこ?便器の横にないときは……
トイレの止水栓は、基本的に床や壁など、便器の近くに位置しています。ただ最近では、便器の中に収納されているタイプもあるのです。
タンクレストイレの場合も同じく、便器の後ろにあるパネルに収納されていて、探しにくいことがあります。
また温水便座のトイレには、もうひとつウォシュレット用の止水栓が分かれています。こちらと間違えないように、事前に止水栓の位置や役割を確認しておきましょう。
もしどうしても止水栓の位置が分からないときは、取扱説明書を確認したり、メーカーに問い合わせてみましょう。
TOTOやINAXなどの大手メーカーの公式サイトでは、トイレのタイプに合わせて止水栓のタイプと設置場所がイラスト入りで紹介されています。
止水栓の種類・見分け方
止水栓は次の3つの種類に分かれます。それぞれで形が全く異なるので、初めて見る方でもひと目で見分けることができます。
1.マイナス溝タイプ
一番よく見られるタイプで、小さな突起が出ていて、そこにマイナスの切込みがあるものです。ドライバーで右に回して閉めると水量が減り、左に回すと開き水量が増します。
2.ハンドルタイプ
通常の蛇口と同じタイプで、手でつかんでそのまま回すことができます。誰でも見たことがある形で操作もしやすいですが、幅を取る点がデメリットです。
3.突起の無いタイプ
くぼみの底にマイナスの切込みがあるタイプです。操作はマイナス溝タイプと同じで、ドライバーを使用します。
止水栓から水漏れが起こっている場合の対処法
トイレの止水栓や、その周辺の配管パイプから水漏れしている場合は、どのように対処すべきでしょうか?
この場合、考えられるのは「接続部分のパッキンが劣化している」、もしくは「止水栓自体が故障している」という2つのケースです。
ほとんどの場合には、パッキンが劣化しています。パッキンは給水管などの接続部をカバーするゴム製の部品で、寿命は10年程度です。
止水栓やパッキンを交換するのに必要な道具
止水栓を交換するときもパッキンを交換するときに、以下のような道具が必要です。
- 新しい止水栓、パッキン
- シールテープ(止水栓ごと交換のとき)
- マイナスドライバーや水栓ドライバー
- モンキーレンチ
- ピンセット
- ゴム手袋
- 雑巾やビニールシート
- バケツ
まずは工具をそろえましょう。新しく交換する止水栓・パッキンはもちろん、ナットを外すためのモンキーレンチなども必要です。
ちなみに止水栓は「水栓」、つまり蛇口の一種です。交換する部品などは普通の水道蛇口と一緒なので、一度覚えておくと蛇口が故障したときに対応しやすくなります。ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
止水栓のパッキン交換
止水栓のパッキンの交換方法は、ハンドルタイプもマイナスドライバーで開けるタイプも一緒です。
ハンドルやナットの下にある「三角パッキン」と、水をせき止めている「水栓コマのパッキン」の2つを交換しましょう。
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まずは元栓を閉めておき、止水栓を外しても水が飛び散らないようにします。
止水栓のハンドルまたはマイナス部分にある、ナットを取り外します。するとその下に三角パッキンがあるので、取り出しましょう。
さらに止水栓から出っ張っている部品を引っ張ると、さらに奥に「独楽(こま)」の形をした水栓コパ(ケレップ)が出てきます。ピンセットなどを使って取り出しましょう。
それぞれのパッキンを交換し、コマパッキン、スピンドル、三角パッキンの順に戻していって、最後にナットを閉めれば修理完了です。
余裕があれば、止水栓のなかを歯ブラシなどで磨いておきましょう。
止水栓自体の交換
止水栓自体を交換するときには、以下の手順で作業を進めます。
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まずは元栓を閉めましょう。これを忘れると、止水栓を取り外した瞬間に水が勢いよく噴出します。
つぎに、止水栓からトイレタンクにのびている給水管を取り外しましょう。接続部分のナットを、モンキーレンチなどで緩めると取れます。
そして壁から延びている給水管から、止水栓だけを外しましょう。
このとき、給水管には古いシールテープが巻かれているので、ブラシなどを使ってキレイにしましょう。そのうえで、新しいシールテープを巻きなおします。均等になるように、少し引っ張りながら巻くのがコツです。
最後に新しい止水栓を取り付けましょう。トイレタンクに給水管を接続して、問題なく水が流れれば修理完了です。
【まとめ】止水栓の閉め方、開け方のポイント
この記事では、止水栓の閉め方・開け方、そして水位の調節方法について解説してきました。
止水栓を閉める時には、何回ドライバー(またはハンドル)を回したか覚えておくのがイチバン大切です。開け直すときには、ちょうどいい水量を配水できるくらいに、開き加減を調節しなくてはいけないからです。
また止水栓も経年劣化することがあります。もし水漏れしているなら、ナット下にある三角パッキンや、内部の奥につまっているコマパッキンを交換しましょう。
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