生活に不可欠なものとはいえ、毎月かかる水道光熱費はできるだけ抑えたいものです。水道代が固定費に占める割合は大きく、どうやって節水しようか考えている人も多いでしょう。水道代の仕組みを踏まえ、節水方法を探ることで、効果的な節約に役立ちます。

最近水道代が高い?その理由は
「最近水道代が高くなったな」と思っている人もいるでしょう。生活スタイルに大きな変化はないのに水道代がかさむと感じることがあります。その原因のひとつは水道料金そのものにあるかもしれません。
水道料金は徐々に上昇傾向に
水道事業の多くは都道府県や市区町村など、自治体によって運営されています。水道料金は各戸に水を供給する自治体によって決められていますが、近年は上昇傾向にあるのです。
その理由は大きく2つあります。ひとつは安全な水を届けるための財源を確保するためです。
水道事業を維持するためには、浄水場や水道施設、配水管などを新設したりメンテナンスしたり、ときには大規模改修をする必要もあります。その費用を賄(まかな)うために、水道料金を上げて財源とするのです。
もうひとつの理由が人口減少です。水を供給するためのインフラの規模は、かつてとさほど変わっていません。しかし出生率が下がり人口は減少傾向にあります。
すると水道の使用量も減っていくことになりますが、その分、水道事業からの収入は減ってしまいます。それではインフラの維持が厳しくなることから、水道料金の値上げにつながっているのです。
今後さらに厳しい状況になる?
2020年1月以降に国内でも感染が広がった新型コロナウイルスは、経済に大きな打撃を与えています。その流れを受けて、人々の生活を支えるひとつの手段として、多くの自治体が低所得世帯への水道料金の減免(値下げや免除)に踏み切りました。
本来ならば水道事業は「企業会計」といって、徴収する水道代で全ての諸費用を賄うことが基本です。しかし減免により「一般会計」からの繰り入れ(補てん)を受けるケースが増えてきました。
水道事業の性質から見れば一般会計からの繰り入れは望ましいことではありません。できるだけ水道事業の経営を健全化することが求められています。
そうなると低所得者に対する減免で収入が減少した部分は、それ以外の人たちの水道料金によって埋めざるを得ません。新型コロナの影響はこのような部分にも現れ始めています。
これにより生活にまつわる固定費の上昇がさらに想定されるため、より一層の節約意識が大切になるといえるでしょう。
水道代の平均はどれくらい?
「我が家の水道料金はどうしてこんなに高いんだろう?」と感じている人もいるようです。一方で他の家庭の料金水準を知らない人も数多くいるでしょう。
自宅の水道代について正しく把握するためには、世帯人数ごとの平均値を知ることも大切です。
1人暮らし世帯の平均
1人暮らしの場合は使用する量の月平均は約8.2立法mと考えられます。料金に換算すると平均額は月々2,120円程度といえるでしょう。
単身世帯であれば使用量が少ないのは当然です。シャワーやトイレを利用する回数も少なく、料理や洗濯に使用する水量も少なくて済むでしょう。
2人・3人世帯の平均
2人世帯となると平均使用量は月15.9立方mと想定されます。そこから計算される料金は月3,981円ほどになるでしょう。
1人世帯の月平均と比較すると、やや割安になっていることが分かります。
3人世帯になるとどうでしょうか。平均的に使用する量は20.4立方mで、水道料金に置き換えると5,045円程度と考えられます。
これも1人暮らしと比べると、1人あたりの水道料金がだいぶ低くなっています。やはりお風呂や洗濯、料理などで使用する量が効率化されることが、大きな要因といってよいでしょう。
4人・5人世帯の平均
4人世帯を見てみると使用量は平均で24.3立方mとされます。水道料金にすると月5,894円となります。
1人暮らしの2,120円と比べると、1人あたりの費用が大幅に減っていることが分かるでしょう。3人世帯の5,045円と総額ではそれほど大きく変わらないという点も、浮かび上がってきます。
5人世帯においては月々28.5立方mほど使用していると想定されます。その料金は月6,729円です。
水道料金の仕組みを知っておこう
水道料金は所管する自治体によって決められていて、地域ごとに金額も異なります。ただし料金を定める考え方はほぼ同じといってよいでしょう。
では水道料金はどのように設定されているのでしょうか。その仕組みについて解説します。
水道代に含まれるもの
水道代の内訳を見てみると、たいていの地域で「水道料金」と「下水道使用量」の2つの項目が記載されています。
そのうち水道料金は「基本料金」と「従量料金」という、2段階の料金によって構成されているのです。
つまり「水道代」として請求されるのは、基本料金・従量料金・下水道使用料の3つですが、これらのうち前者2つの合計がいわゆる水道料金になります。
基本料金の算出方法
基本料金は使用量に関係なく、契約している以上は必ず請求されるものです。一定の量までは基本料金内で利用可能、超過した分については別途請求される仕組みとなっています。
金額は各戸に引き込まれている水道管の「口径」、つまり太さによって違いが生じます。東京23区を例に基本料金を見てみましょう。
口径 | 13mm | 15mm | 25mm | 30mm | 40mm |
基本料金 | 860円 | 1,170円 | 1,460円 | 3,435円 | 6,865円 |
つまり「管が太いほど水を多く担保できるため、基本使用料が高くなる」ということです。
従量料金の算出方法
契約していれば必ず請求される基本料金に加え、使った水の量に応じて加算されるものが「従量料金」です。毎月の水道料金が変動するのは、従量料金の部分が異なることによります。
従量料金は大まかにいえば、使う量が多いほど高く設定されています。その理由は「水は生活に欠かせないもののため、必要最低限の分については費用を低く抑える」という考えに基づいているためです。
以下に、東京23区における、引き込み管の口径が25mmまでの場合について記載します。
使用量(単位/立方m) | 1~5 | 6~10 | 11~20 | 21~30 | 31~50 | 51~100 | 101~200 | 201~1000 | 1000~ |
1 立方mごとの単価 | 0円 | 22円 | 128円 | 163円 | 202円 | 213円 | 298円 | 372円 | 404円 |
例えばある月の使用量が10立方mだとすると、「基本料金+5(立方m)×0(円)+5(立方m)×22(円)」と計算されます。
翌月15立方m使えば「基本料金+5(立方m)×0(円)+5(立方m)×22(円)+5(立方m)×128(円)」というように加算されていくのです。
下水道料金の算出方法
参考に下水道料金の算出方法についても知っておきましょう。
「下水道使用料金基本料金+超過料金」で計算され、一定の量までは定額、それを超えた分に応じて加算される方式です。
東京都23区では、次のように設定されています。
排水量(単位/立方m) | 0~8 | 9~20 | 21~30 | 31~50 | 51~100 | 101~200 | 201~500 | 501~1000 | 1000~ |
1立方mごとの単価 | 560円(固定) | 110円 | 140円 | 170円 | 200円 | 230円 | 270円 | 310円 | 404円 |
0~8立方mまでは排水量に関係なく一律560円が発生します。9立方m以上排水すると、各区分に応じた単価が請求されることになるのです。
なお水道料金と同様に下水道料金も、地域によって違いがあります。
地域が変われば水道代も変わる
地域ごとに異なる水道代ですが、どれくらいの開きがあるのでしょうか。またなぜ地域によって差異が生まれるのかについても考察します。
自治体によって最大8倍もの格差
自治体間で金額に開きがある水道料金ですが、具体的にどれくらい異なるのか、高い自治体・安い自治体それぞれ上位5つを見てみましょう。
シミュレーションにあたっては2016年の公営企業の各データに基づき、3人世帯の規模で、引き込み管の口径20mm、月の使用量を20立方mという想定で算出されています。
水道料金が高い自治体上位5位は次の通りです。
順位 | 自治体名 | 料金 |
1位 | 寄居町 | 7,695円 |
2位 | 江差町 | 6,965円 |
3位 | 夕張市 | 6,852円 |
4位 | 大郷町 | 6,804円 |
5位 | 湧谷町 | 6,660円 |
次に安い自治体上位5位です。
順位 | 自治体名 | 料金 |
1位 | 赤穂市 | 961円 |
2位 | 白浜町 | 1,070円 |
3位 | 富士河口湖町 | 1,195円 |
4位 | 小山町 | 1,250円 |
5位 | 草津町 | 1,418円 |
最も高い寄居町と最も安い赤穂市を比較すると、8倍近い格差があることが分かります。
なぜ地域ごとに差が出るのか
地域ごとに料金の格差が生じる背景には、地形や水質などの地理的要因、水道整備の経緯や水利権などの歴史的要因、人口分布や需要の高低といった社会的要因などが絡み合っています。
豊富な水源を持ち整備しやすい環境が整っていれば、水道施設や配管工事に大きな手間はかかりません。一方で水の確保が難しく、かつインフラ工事が困難なエリアでは、どうしても環境整備に大きなコストが必要です。
また工業地帯で大きな工場がたくさんの水を使うエリアでは、企業には水道代をやや高めに負担してもらい、一般家庭には低料金で供給するというケースも見られます。
このような条件の違いがひいては水道料金の差異につながるのです。
水道代節約のための豆知識
毎月かかる水道光熱費はできるだけ抑えたいものです。月々の負担を軽くするためのポイントについて知り、それぞれ気を配るだけで効果は出てきます。水の使用量を上手に節約できる豆知識について紹介しましょう。
4人家族ならシャワーよりお風呂がお得
「シャワーで体を流した方が、お風呂を沸かすよりも節水できる」と考えている人は少なくないでしょう。世帯人数が少なければそうかもしれませんが、4人家族ならばお風呂の方がお得といえます。
シャワーを1分間使用したときの水の量は、およそ12L(リットル)とされています。一般的な浴槽に溜めた場合には約200Lが必要です。この数字を単純に割ると、浴槽1杯分の水はシャワー16分程度に該当します。
これを4人家族に当てはめてみましょう。すると1人あたり4分以上シャワーを使用すると、それだけで浴槽1杯以上の水を使用することになるのです。
冬場にシャワーだけで体を温めることを考えると、4分では短すぎると感じる人は多いでしょう。シャワーが節水につながるという考えを見直すことは、節水に有効です。
トイレの節水にペットボトルはNG
ペットボトルをトイレタンクに入れ、1回あたりの洗浄水の量を少なくしている方法を見かけます。確かに使用量は減りますが落とし穴もあるため、おすすめできません。
悪影響のひとつが「水洗力が落ちる」ことです。規定の量よりも洗浄水が減ることで、排せつ物を押し流す力が弱まってしまいます。
流れきらない汚物が見えない所でとどまってしまいかねず、場合によってはトイレの詰まりを生じさせてしまうのです。
またトイレタンクの故障につながる場合もあります。
タンク内には「浮玉」と呼ばれる給水調節のボールタップ・漏水防止のためのオーバーフロー管・タンクの水を便器に送るフロートバルブなどの部品がありますが、ペットボトルがこれらに触れて、不具合を起こす可能性があるのです。
食洗機の節水効果はどれくらい?
食洗機を導入することも節水対策として効果があります。循環水を利用するため、手洗いに比べて食器洗いに必要な水を大幅に減少できるのです。
節水量は家族の人数や食器の数でも異なりますが、3~4人の一般的な家庭を例に、手洗いと食洗機の水の量を比較してみましょう。
手洗いでは全てを洗いきるまでに約82.6Lの水を使うと予想できます。これに対して標準的な食洗機だと、11L程度の水で済むのです。エコモードなどを使えば、さらに節水効果は高まるでしょう。
つまり食洗機を使えば手洗いと比べて、1/7~1/10の水で済む計算になります。
洗濯時は入れる分量に注意
洗濯時に特に気にすることなくスタートボタンを押して、あとは洗濯機に任せてしまっている人は多いのではないでしょうか。これでは必要以上の水を使っているケースが多くあります。水量調節機能などを使って、上手に節水したいものです。
細かく何度も洗濯機を回す人もいますが、これも水のムダが生まれる原因となります。
洗濯機は最大容量の80%くらいで使用するのが、最も効率よく洗える目安とされています。できるだけまとめ洗いを心がけることで、節水につながるでしょう。
手軽で効果が高いおすすめ節水アイテム
節水に効果を発揮するアイテムもあります。手軽に使えるお役立ち商品を紹介しましょう。
ミツギロン「バスポンプ ポットベリー 25T TP-14」
お風呂に入った後の残り湯をそのまま捨ててしまうのは、もったいない気がします。洗濯に利用して節水につなげたいと考える人は多いでしょう。
この商品は本体で浴槽の残り湯を汲み上げ、ホースを通して洗濯機へと送ります。バケツですくい上げて運ぶような手間は一切かかりません。
40Lの水を約3分間で吸水します。タイマーが付いているので希望の水位で停止でき、あふれ出る心配はありません。
田川化工「節水パワーヘッド 助太刀 3Aタイプ 2R-a」
現状のものと交換するだけで、大幅な節水を実現してくれるシャワーヘッドです。水量が減っても水圧が変わらない点でも高い評価を得ています。
加えてシャワー水の殺菌・減菌効果も備えているため、衛生面も万全です。薬品を使わず残留塩素を取り除くので、体への影響もありません。
さらに独自の設計で、従来のシャワーヘッドでは得られなかったマッサージ効果も備わっています。
アイデックス「mizupita クリスタルホワイト MP-320WS」
工事をせずに今までの蛇口をタッチレス水栓にグレードアップできます。非接触型の水栓ならば衛生的なため、ウイルスの接触感染のリスクも大幅に軽減可能です。
吸水口の手をかざすだけで自動で水が流れます。必要な量だけしか使わないので、節水効果もバッチリです。
キッチンにも利用できます。油で汚れた手で蛇口に触れる必要がないため、清潔な環境をキープできるでしょう。
水道代が急に上がったら漏水の可能性も
「特に水を大量に使ったつもりはないのに、なぜか水道代が高かった」という場合には、漏水が起こっている可能性があります。漏水の原因や対処方法について解説しましょう。
よくある漏水の原因
トイレタンクは漏水が起こりがちな箇所です。常に便器に水が流れ続けている場合もあるので、確認してみましょう。
栓を閉めているのにバスルームのシャワーヘッドからポタポタと水がしたたり落ちていることもあります。ノズルの締め直しなどが必要です。
キッチンや洗面台の水栓は、経年劣化により水漏れが起きやすい場所です。内部パッキンの損傷などで水漏れが起こります。
庭などに設置されている屋外水栓も、水漏れが考えられる場所です。強い日射しを浴び、寒暖差にもさらされるため、蛇口が劣化しやすく水漏れにつながります。
メーターで漏水の有無を確認しよう
水漏れの可能性を感じたらまず家の中の蛇口を全て閉め、水道メーターを確認しましょう。それでも円形のパイロット盤が動いていたり、デジタル方式なら液晶画面右下が点滅していたりすれば、どこかで水漏れが発生しているということです。
水道メーターのある場所は、建物の種類によって異なります。
一戸建ての場合は玄関付近や駐車場といった、屋外の地面に埋設されているケースが多いです。ステンレスなどの蓋で閉じられています。
マンションなど集合住宅であれば、玄関そばのパイプシャフトに、電気やガスのメーターとともに設置されているでしょう。
漏水していることが分かったら
漏水している場所が分かったら、ケースによっては自分で対処できます。劣化しやすいパッキンの交換やナットの調整であれば、それほどの困難もなく対応可能です。
それでも解決しなければ、早めに専門業者に修理を依頼することをおすすめします。業者が来てくれるまでは、水漏れ部分をテープなどで塞いでおきましょう。
漏水で高額な水道料金の請求が来た場合、住んでいる自治体によっては料金を減額してくれる可能性があります。ただし次のような条件がそろっている必要がある場合が多いようです。
- 利用者に過失がない
- 床下や屋外など発見しにくい場所である
- 修理は自治体の指定事業者が行う
全ての自治体で導入されている制度ではないため、詳しくは行政担当窓口に問い合わせてみましょう。
正しい知識でさらに節水意識を高めよう
月々の水道代は家計にとって大きな負担となります。少しでも節約してムダな出費を抑えたいものです。
ただし間違った節水対策は、トラブルにつながりかねません。正しい知識を持って効果的に節水しましょう。
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