和式トイレから洋式へリフォームすると、数多くのメリットがあります。具体的なメリットや洋式便座に切り替える方法、リフォーム費用の相場について解説します。
条件をクリアすれば受け取れる、バリアフリー補助金についても知っておきましょう。
和式から洋式トイレに変えるメリット
洋式トイレには和式にないメリットが大きく3つあります。どれも快適性や経済性に直結する有用な特長です。それぞれを解説していきましょう。
姿勢が楽になる
洋式トイレはイスに腰かけるように使うため、和式トイレに比べてかなり楽な姿勢になります。膝・足首を痛めている人、妊婦、高齢者にとっては、姿勢の楽さは大きなメリットです。
和式トイレ特有のしゃがむ姿勢は、いきみやすいものの足腰に負担がかかります。姿勢の維持が辛いだけでなく、ときにはバランスを崩して転倒する危険もあるでしょう。お手洗いは毎日のことだけに、姿勢が楽であることは大切です。
便利な機能を付けられる
洋式トイレにはさまざまな機能がついたものがあります。たとえば冬でも便座がヒヤッとしない暖房便座も、そのひとつです。
温かい便座は冬場のヒートショックリスクを防ぐのに役立ちます。高齢者のいる家庭は、安全面から洋式トイレへ変更するケースが多いようです。
また排泄後のお尻を洗ってくれる温水洗浄機能も見逃せません。トイレットペーパーで拭くよりも皮膚を清潔に保てるため、トイレタイムが快適になります。多機能便座は数多くの商品があるため、自分のニーズにあったものを選ぶことが重要です。
節水になる
トイレは毎回水で流すため、水道の使用量が大きくなりがちです。ひと昔前のトイレ1回当たりの水の使用量は、約20Lといわれていました。こんな量を1日何回も使っていたら、水道料金はかなりの金額になってしまいます。
洋式トイレは和式よりも使う水量が少なく、節水できるのが大きなメリットです。商品によって幅はありますが、平均で6L程度だといわれています。最近のモデルでは、小も大も4L以下で済むものもあります。
方法①業者に依頼して洋式トイレにリフォームする:10万~30万円
洋式トイレへのリフォームは専門的な技術が必要なため、DIYは現実的ではなく業者に依頼するのが一般的です。実際のリフォーム工事の手順や、気になる費用の相場に迫ります。条件を満たせば受け取れる、補助金についても解説しましょう。
リフォームの流れ
和式から洋式へのリフォームは、単純に便器だけ交換というわけにはいかず、工事はやや複雑な部類です。流れはまず既存の便座や床、段差部分などを解体します。その後配管部分の工事に入りますが、既存の配管はそのまま使えないケースが大半なため、洋式便座の位置にあわせて配管を移設する工事が必要です。
次に床や壁の下地工事、フロアの張り替えなどを行います。最後に洋式便座を設置し、リフォームの要望にあわせて床や壁の内装を仕上げれば工事は完了です。
リフォームの費用相場
和式から洋式にリフォームする際の費用ですが、10~30万円程度が一般的な相場になります。便座のグレードにもよりますが、温水洗浄機能付きにする場合、新たに配管や配線が必要になるため、同じ洋式からのリフォームに比べて料金が高くなるのが特長です。
さらに和式からのリフォームだと床や壁も張り替えるのが一般的になります。和式トイレでよくあるタイル張りから、クッションフロアやフローリングに変更の場合、工事費用として10万円程度はかかってくるため、総額は30万円ほどになるでしょう。
バリアフリー目的なら補助金が使える
実はトイレリフォームは、バリアフリー目的なら介護保険や地方自治体の補助金を受けられる可能性があります。もし申請が通った場合、介護保険なら最大18万円まで補助金を受け取れるため、家族に要支援や要介護の人がいるなら利用したい制度です。
ただしいずれの補助金も細かな条件があり、介護保険による補助金ならケアマネージャーに相談し、施工業者との契約も、ケアマネージャーが同席する必要があります。市区町村に行う申請も、工事の前に行わなければなりません。自治体の補助金の場合、申請条件・期間・手順などが異なるため、連絡して詳細を確認しましょう。
方法②和式トイレに簡易洋式便座を置く:5,000~2万円
排泄時に和式特有のしゃがむ姿勢をする必要がないため、足腰への負担を大きく軽減できます。置くだけなので工事がいらず、費用がかからないのもメリットです。
商品のバリエーションが多いのも簡易洋式便座の特徴。便座がやわらかい素材で座り心地のよい商品や、洋式便座のような温水洗浄機能を持つタイプなど多種多様です。
多くの製品がプラスチック製ですが、なかには陶器を使用した本格的な簡易洋式便座もあります。
簡易洋式便座を利用する際の注意点
構造上仕方のない部分ですが、簡易洋式トイレは掃除しにくいというデメリットがあります。とくに内側は汚れがたまりやすいため、便座を持ち上げてからトイレブラシでこする必要があるでしょう。
利用時は便座のズレに注意が必要です。基本的に置いているだけの状態のため、座るときや立つときの動作は慎重に行いましょう。価格は少し上がりますが、ネジで固定できるタイプの商品もあります。
購入時の確認部分ですが、プラスチック製の商品では、体重制限の数値もしっかり把握しておきましょう。設置した際にサイズが大き過ぎないか、ドアの開閉時に本体に当たらないか、なども重要な確認事項です。
リフォーム業者の選び方
洋式トイレへのリフォームを業者に頼む際、注意する点を解説しています。業者の評判を調べるときも、見積もりを集めるときも、インターネットを駆使して効率的にプロセスを進めましょう。
実績や口コミを確認
リフォーム業者を選ぶとき、まずは実績や口コミを吟味し、信頼できる業者かどうかの見極めが重要です。広告の謳い文句やキャンペーンなどにつられて契約してしまうのは、もっとも避けるべき方法と考えてください。実績の多い業者は商品を安く仕入れられるケースが多いため、結果的に費用もおさえられる可能性が高くなります。
ネットで業者を調べるなら、実際に行った施工案件をブログなどで積極的に発信しているところがよいでしょう。口コミもサクラに気を付ける必要はありますが、業者の対応力や誠実さを知る手がかりとしては有効です。
面倒がらず相見積もりをする
トイレリフォームは家電のように商品を購入して終わり、というわけにはいきません。業者選びから工事の打ち合わせ、見積もり確認、工事の立ち会いなど、さまざまな手続きや期間を要します。ただし、面倒だからと業者を安易に決めてしまった場合、リフォーム工事の成功は遠ざかるでしょう。
特に価格に直結する見積もりはとても重要です。1社だけしか見積もりを取らないケースだと、他社価格を引き合わせた交渉もできませんし、悪徳な業者なら相場より大幅に高い金額を出してくる可能性もあります。手間はかかりますが、できれば複数の業者(2~4社)から相見積もりを集め、しっかりと比較を行ってください。
自宅・費用に合った方法をチョイスしよう
和式から洋式トイレへのリフォームは、姿勢が楽になる・便利な機能をつけられるなどのメリットがあります。水洗に使う水も減り、節水効果が期待できるでしょう。
業者に依頼した場合は、安くても10万円以上の費用がかかります。ただしバリアフリー工事の補助金対象であれば、費用を大幅に節約できます。
現在のトイレの状況や家族構成・予算などを考慮したうえで、目的にあった方法を選ぶことが、トイレリフォームを成功させる秘訣です。