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確定申告が必要な人と不要な人について解説 会社員でも確定申告が必要な人とは?

最終更新日: 2024年02月13日

個人事業主やフリーランスになったばかりの人は、初めての確定申告で迷うことが多いと思います。そもそも、確定申告が必要なのかよくわからない人もいるでしょう。会社で年末調整をしてもらうサラリーマンでも、確定申告が必要な場合もあります。

この記事では、確定申告が必要な人と不要な人について詳しく解説。必要ないけれど申告すればお得になる場合、申告しなかった場合のペナルティについても紹介します。

この記事の監修税理士

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

仙台市宮城野区岩切に事務所を構える税理士の菅野歩と申します。日々の経理業務、会計・税務業務など経営者の皆様のニーズに合わせた適切なサポートを全力で行い、わかりやすくご説明させていただきます。

確定申告とは

確定申告とは
確定申告とは

確定申告が必要な人について説明する前提として、確定申告とはどのようなものなのか確認しておきましょう。個人事業主になる前はずっと会社勤めで年末調整ですべて済ませてきた人などは、確定申告自体よくわからないかもしれません。

ここでは、確定申告について概要を確認し、年末調整とどう違うのかについて説明します。

確定申告とは

確定申告とは申告が必要な人がその年の1月1日から12月31日までの1年間で得た売上から経費を引いた所得にかかる税金を計算し、税務署に申告・納付する手続きです。所得は給与所得や事業所得など10種類あり、確定申告ではこのすべてについて所得税額を計算します。

確定申告の申告期間は翌年の2月16日から3月15日までの1か月間と決められており、3月15日が土日祝日にあたる場合は翌日若しくは翌々日の月曜日が期限日です。税金の納付もこの期間に行ないます。

払いすぎた税金の還付を受ける確定申告の場合は、1月1日から申告が可能です。期限も長く、申告できる日から数えて5年以内であればいつでも申告ができます。

確定申告と年末調整の違い

個人事業主が自分で確定申告を行うのに対し、サラリーマンは会社が年末調整で所得税を精算します。年末調整とは、毎月の給与や賞与から源泉徴収として天引きしている所得税を年末に調整する手続きです。

所得税は1年間の所得に応じて税率が異なる累進課税制度が適用されているため、その年度が終わらなければ正確な税率や税額は定まりません。毎月の天引きはあくまで概算で、正確な年収がわかる12月末に本来徴収すべき所得税を再計算し、源泉徴収した合計額と比較して過不足を調整します。

確定申告と年末調整はどちらも1年間の所得を計算して所得税を納める手続きという点で同じです。しかし、確定申告は必要な人が自分で所得税の申告・納税を行う手続きであるのに対し、年末調整は会社が従業員に代わって行う手続きという点で異なります。

確定申告が必要な人

確定申告が必要な人
確定申告が必要な人

確定申告は課税の対象になる所得にかかる税金を申告する手続きです。そのため、所得を得ている人はすべて確定申告が必要ということになります。しかし、会社員は給与所得につき年末調整の手続きを行っているため、基本的には確定申告を行う必要がありません。

それ以外に確定申告が必要な人について、詳しく見ていきましょう。

年間で48万円を超える所得がある個人事業主やフリーランス

年間の所得が基礎控除額の48万円を超える個人事業主やフリーランスは、確定申告が必要な人になります。

所得とは、事業の売上などの収入から必要経費を引いたあとの金額です。必要経費とは事業のために支出した費用のこと。必要経費を正しく把握して計上することで節税につながります。

給料の場合、所得は総支給額から「給与所得控除額」を差し引いた額です。給与所得控除額とは給与収入金額に応じて定められている控除額で、個人事業主の必要経費に当たります。

医療費控除や雑損控除、寄附金控除などの所得控除を受けることで所得が48万円以下になる場合も、その適用を受けるために確定申告しなければなりません。

一定額以上の公的年金を受給している人

公的年金を受給していて源泉徴収が行われている場合、確定申告の必要はありません。しかし、例外として次のどちらかに該当する場合は確定申告が必要な人です。

  • 源泉徴収していても公的年金などの収入が400万円を超える場合
  • 400万円以下であっても、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超える場合

不動産収入による所得がある人

不動産収入による所得がある人は確定申告が必要な人です。不動産収入とは、土地や建物などの不動産の貸付けで得るもので、総収入から必要経費を引いたものが所得になります。

必要経費は不動産収入を得るために直接必要な費用のうち、家事上の経費を除いたものです。

「所得=総収入-必要経費」

総収入になるもの

  • 賃貸料
  • 承諾料、更新料
  • 敷金や保証金などのうち、返還する必要のないもの
  • 共益費などの名目で受け取る電気代、水道代や掃除代など

必要経費になる主なもの

  • 固定資産税
  • 損害保険料
  • 減価償却費
  • 修繕費

株取引による所得がある人

株取引による所得がある人も確定申告が必要な人です。ただし、株取引の所得は株式譲渡益課税制度により分離課税になり、多くの利益を出しても所得に応じて税率が高くなる累進課税は適用されません。

また、少額投資非課税制度のNISAで口座を作った場合、投資額が120万円以下であれば非課税です。

確定申告の必要があるかは、利用している口座によっても異なるもの。上場銘柄の取引を行う証券会社の口座には「特定口座」と「一般口座」の2種類があり、特定口座はさらに、証券会社が源泉徴収する口座と源泉徴収をしない簡易申告口座に分かれています。源泉徴収する特定口座を利用している場合は確定申告が不要です。

そのため、株取引による所得がある場合、次に該当する人は確定申告をしなければなりません。

  •  一般口座を利用
  •  特定口座の簡易申告口座を利用

また、非上場株の取引きで利益を得ている場合も確定申告をする必要があります。

一時所得がある人

一時所得を得た場合も確定申告をしなければなりません。一時所得とは営利を目的とした継続的な行為から生じた所得以外のもので、労働や譲渡の対価ではない所得です。具体的には次のような所得を得た場合、確定申告が必要な人になります。

  • 懸賞や福引の賞金
  • 競馬や競輪の払戻金
  • 遺失物の拾得による謝礼金
  • 生命保険の一時金や満期の払戻金

一時所得の金額を求める計算式は、次の通りです。

「(総収入金額-収入を得るために要した費用)-50万円」

一時所得の総収入から収入を得るために要した費用を差し引き、さらに一時所得の特別控除額である50万円を引いて所得金額を求めます。そのため、一時所得の金額が50万円を超える場合には確定申告が必要です。その2分の1が課税所得金額になるため、他の所得金額と合計して納める税額を計算しましょう。

「災害減免法による所得税の軽減免除」を受けた人

地震や水害などで住宅や家財などに損害を受けた場合、「災害減免法」により所得税の軽減または免除を受けることができます。この場合も、確定申告が必要な人です。災害における所得税の軽減措置は雑損控除の適用もありますが、どちらか有利な方法を選べます。

適用を受ける条件は次の通りです。

  • 保険金などにより補てんされる金額を除いた損害金額が時価の2分の1以上
  • 災害にあった年の所得金額の合計額が1,000万円以下

この2点に該当する場合、その年の所得税が次の表のように軽減または免除されます。

所得金額の合計額 軽減または免除される所得税の額
500万円以下 所得税の額の全額
500万円を超え750万円以下 所得税の額の2分の1
750万円を超え1,000万円以下 所得税の額の4分の1

参考:国税庁:災害減免法による所得税の軽減免除

会社員などの給与所得者でも確定申告が必要な人

会社員などの給与所得者でも確定申告が必要な人
会社員などの給与所得者でも確定申告が必要な人

会社員は会社が年末調整を行うため、原則として確定申告をする必要がありません。しかし、収入が一定以上ある場合や給与を2か所以上からもらっているなど、条件にあてはまる場合は確定申告が必要になります。

確定申告をする必要があるのに申告しなかった場合、ペナルティが課せられるため注意しましょう。

ここでは会社員などの給与所得者で確定申告が必要な人を紹介します。

年間の給与収入が2,000万円を超える人

1年間の給与収入が2,000万円以上の人は年末調整が行われないため、確定申告が必要な人になります。所得が給与所得だけの場合は、確定申告によって納め過ぎた税金が還付されるケースがほとんどです。

2か所以上から給与を受け取っている人

2か所以上から給与を受け取っている場合、年末調整は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している会社で行われますが、それ以外の給与は年末調整が行われません。そのため、給与を得ているすべての会社から源泉徴収票をもらい、自分で計算して確定申告をする必要があります。

これには例外があり、年末調整を行う会社以外の給与が年20万円を超えない場合は確定申告が必要な人ではありません。

副業で20万円を超える所得がある人

サラリーマンの給与以外に副業をして20万円を超える所得がある人も、確定申告が必要な人です。

20万円を超える所得は副業で得た収入そのものではなく、経費を差し引いた額になります。経費を引いて20万円を超えない場合は、確定申告の必要はありません。たとえば副収入が商品売買の売上の場合は、仕入れや送料などが経費になります。

一方、副業がパートやアルバイトの場合は経費がなく、そこで得られる給与が20万円を超える場合は申告しなければなりません。

退職所得があるが「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていない人

退職所得の支払の際「退職所得の受給に関する申告書」が提出されていない人は、確定申告が必要な人です。

申告書を提出している場合は、退職金の支払者が所得税を計算し、退職所得の金額に応じた所得税が源泉徴収されます。そのため、原則として確定申告は必要ありません。

しかし、申告書の提出がない場合、退職金の20.42%の所得税額が源泉徴収されるため税金を払い過ぎている可能性があります。そのため、確定申告による税額の精算が必要です。

確定申告が不要な人

確定申告が不要な人
確定申告が不要な人

確定申告が必要な人がいる一方、不要な人もいます。会社が年末調整をしているサラリーマンが代表的です。それ以外にも年金の収入や年間の所得が一定額以下、副業はしていても少額など、確定申告をする必要がないケースはいくつかあります。

確定申告の必要がないのはどのような場合なのか、確認しておきましょう。

会社で年末調整を受けている給与所得者

会社で年末調整を受けている給与所得者は、確定申告が必要な人ではありません。

サラリーマンは毎月の給与から所得税が源泉徴収され、年度末で年収が確定してから再計算を行います。この年度末調整で給与所得者の納税が完了するため、確定申告をする必要はありません。

公的年金による収入が一定額以下の人

公的年金による収入が一定額以下の人も、確定申告が必要な人ではありません。

公的年金も所得の一種であり、所得税の課税対象になるのが原則です。しかし高齢者に負担をかけないよう、収入が400万円以下で、公的年金等にかかる雑所得以外の収入が20万円以下の場合は確定申告が不要とされています。

副業による所得が年間20万円以下の人

副業による年間所得が20万円以下の場合は、確定申告が必要な人ではありません。副業が給与所得であれば収入が20万円以下、個人事業主やフリーランスであれば経費を差し引いた所得が20万円以下の場合です。

本業の年末調整で所得税の清算が終了していれば、副業での少額所得に関しては申告義務が免除されることになります。

ただし20万円以下でも原稿料などで所得税が源泉徴収されているケースでは、確定申告することで納め過ぎた所得税が還付される場合もあるでしょう。

年間の所得が48万円以下の個人事業主やフリーランス

収入から経費を引いた所得が基礎控除額の48万円以下であれば、確定申告が必要な人ではありません。基礎控除をすることで所得がなくなるからです。

基礎控除額は確定申告しなくていい金額の基準になるもので、2019年分の所得税の申告までは38万円でしたが、2020年分からは48万円に改正されています。

ここで、青色申告をしている人は注意が必要です。青色申告は複式簿記の帳簿をつけることで最大65万円の青色申告特別控除を受けられますが、特別控除を受けるためには、期限内に確定申告をしなければなりません。

所得から差し引いて確定申告不要と思い込み、申告しない場合は控除が最大10万円になってしまいます。控除が10万円になることで所得税が発生する可能性があるだけでなく、期限内の申告をしないためペナルティが課せられる場合もあるでしょう。

確定申告をした方がお得な人

確定申告をした方がお得な人

確定申告が必要な人ではなくても、確定申告をすることでお得になる場合があります。サラリーマンの場合、医療費控除、寄附金控除、雑損控除については年末調整で計算されないため、確定申告をしないと控除を受けられません。それ以外でも確定申告によって控除が適用され、還付金が戻るケースがあります。

ここでは、確定申告した方がお得な人について紹介しましょう。

年間の医療費が10万円を超える人

確定申告が必要な人でなくても、病気やケガなどの医療費が年間で10万円を超える場合は、確定申告により医療費控除が受けられます。

サラリーマンの年末調整では医療費控除は行われないため、還付を受けたい場合は確定申告が必要です。医療費控除の最高額は200万円で、計算方法は次のようになります。

  • 総所得が200万円以上の場合:医療費の額から保険金などで補てんされる金額を引き、さらに10万円を差し引く
  • 総所得が200万円未満の場合:10万円ではなく、合計所得金額の5%を差し引く

医療費控除の特例として、特定の医薬品を購入したときに控除が受けられるセルフメディケーション税制もあります。適用の要件は次の通りです。

金額の上限 適用の要件
88,000円 1.定期健康診断や人間ドック、インフルエンザの予防接種など健康のための取り組みをしている

2.支払い金額が12,000円を超える場合

→ 1、2のいずれにも該当する場合

セルフメディケーション税制の適用を選択した場合、通常の医療費控除を受けることはできません。

医療費控除は自分の医療費だけでなく、同居の親族の分も対象になります。確定申告すれば払い過ぎていた税金が還付される可能性があるでしょう。

被災したり盗難の被害にあったりした人

確定申告が必要な人でない場合でも、地震や台風などで被災したり、盗難の被害にあったりした人は雑損控除により所得税の軽減を図ることができます。

先述した「災害減免法」による所得税の軽減免除の要件に当てはまる場合でも、雑損控除が有利であればこちらを選択することも可能です。

雑損控除はすべての被害に適用されるわけではなく、次の5種類の場合に限定されています。

  • 自然災害(震災、風水害、冷害、雪害、落雷など)
  • 火災、火薬類などの爆発などの災害
  • 害虫などの災害
  • 盗難
  • 横領

対象になるのは「通常の生活に必要な財産」であり、具体的には住宅や家財などです。財産の所有者は納税者本人だけでなく、生計を同一にする家族(その年の総所得金額等が48万円以下の者)も対象となります。

ふるさと納税や寄付をした人

ふるさと納税や法律で定められた特定の団体や組織に寄付をした場合、確定申告が必要な人でなくても、寄附金控除を受けて所得税の軽減や還付金を受けられる可能性があります。

控除額は、次のいずれか低い金額から2,000円を差し引いた金額です。

  • その年に支出した寄付金額の合計
  • その年の総所得額の40%相当

ただし、「ワンストップ特例制度」を利用している場合は確定申告が不要です。ワンストップ特例制度は確定申告を行わなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みで、ふるさと納税先の自治体が1年間で5自治体以内の場合に活用できます。

住宅ローン控除を受ける人

住宅ローンを組んでいる場合、住宅ローン控除を受けることができます。毎年末の住宅ローン残高または住宅の取得対価のうち、いずれか少ない額の1%が10〜13年間に渡って所得税の額から控除される制度です。住宅ローン控除を受けるためには、制度上入居した翌年に確定申告をしなければなりません。確定申告が必要な人でなくても同様です。

すべての住宅ローンが対象となるわけではなく、次の要件に当てはまる必要があります。

  • 住宅ローンの返済期間が10年以上
  • 建物を購入するために金融機関から借り入れた借入金であること
  • 登記簿に記載されている新築・取得の日付から6か月以内に入居していること
  • 住宅ローン控除の適用を受ける各年の12月31日まで居住していること
  • 登記簿に記載されている床面積が50平方メートル以上

中古住宅の場合はこれに加え、築年数や耐震基準などの要件もあります。

配当控除を受ける人

株の配当金や投資信託の分配金などを受け取った場合、配当所得の10%(住民税では2.8%)を税額控除する配当控除を受けることができます。

国内株式の配当金は、法人税が課税されたあと株主に分配されるもの。確定申告が必要な人でなくても、確定申告することで課税分が還付される可能性があります

対象となる配当は次の通りです。

  • 剰余金の配当
  • 利益の配当
  • 剰余金の分配
  • 証券投資信託または特定投資信託の収益の分配金

年末調整で所得控除の適用漏れがあった人

年末調整では15種類ある所得控除のうち、雑損控除・医療費控除・寄附金控除を除いた12種類の所得控除の適用ができます。

しかし、書類の提出が間に合わなかったなど年末調整での適用漏れが起こる可能性もあるでしょう。そのような場合、確定申告が必要な人でなくても申告することによって控除を受けることができます。

年の途中で退職してその後就職していない人

年の途中で退職した場合、最後の年は年末調整が行われません。会社員として転職した場合は、次の会社でまとめて年末調整をしてもらうことも可能です。

しかし、個人事業主やフリーランスになった場合、源泉徴収された税金は自分で確定申告しなければ戻ってきません。その年は収入が少なくて確定申告が必要な人でない場合でも、申告することで払い過ぎた税金が戻る可能性があります。

不動産投資や株取引で赤字が出た人

不動産投資で赤字が出た場合、本年分で異なる区分に所得がある場合は、確定申告により赤字分と損益通算で相殺ができます。

また特定口座(源泉徴収あり)で株取引をしている人は確定申告の義務はありませんが、複数の口座で取引をして、利益が出た口座と損失が出た口座の損益を通算する場合、確定申告が必要です。利益が出た口座から多く源泉徴収された分の税金の還付を受けられます。

そして損益通算をしても赤字分がある場合は損失を繰り越すことが可能です。繰り越せる期間は翌年以降3年間で、損失を控除して節税できることになります。

そのため、赤字が出て確定申告の必要がない人でも、損失となった年度での確定申告をしたほうがお得です。

事業で赤字が出た人

事業が赤字の場合、確定申告が必要な人ではありません。しかし、仕事の種類によっては原稿料や講演料など所得税の源泉徴収をされている場合があります。これらは確定申告をすることで還付を受けられるため、申告した方がお得です。

事業以外に所得がある場合には、確定申告によって事業の赤字分とその他の所得を損益通算して相殺することもできます。

また、青色申告の場合は確定申告することで事業の赤字を翌年以降、最大3年間繰り越すことが可能。翌年以降が黒字の場合に繰越した赤字を課税所得から控除できるため、所得税を抑えられるのがメリットです。

融資を受けることを考えている個人事業主やフリーランス

融資を受けることを考えている個人事業主やフリーランスの場合、確定申告が必要な人でなくても確定申告することがおすすめです。

各種ローンを組むなど融資を受ける場合、「所得証明書」が必要になります。しかし、個人事業主の場合は確定申告を行っていないと税務署で納税証明書の発行を受けられないため、融資を受けるのが難しくなるでしょう。資金調達を考えている個人事業主やフリーランスは、必ず確定申告を行う必要があります。

確定申告は社会的信用を得るためにも必要です。特にフリーランスの場合、確定申告を行って納税をしていることが社会信用性を高める方法のひとつといえるでしょう。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしないとどうなる?

確定申告が必要な人が申告をしない場合、加算税や延滞税が課せられるなどペナルティがあります。重い税が課せられる場合もあるため、注意しなければなりません。故意に申告しないと見なされた場合、刑事罰が科せられる恐れもあります。

確定申告をしないとどうなるのか、見ていきましょう。

加算税や延滞税が課される

確定申告の納期限を過ぎてしまった場合は「期限後申告」になり、納めるべき税額のほかに加算税が課される可能性があります。さらに、納期限の翌日から納付の日までの延滞税も課されるため注意が必要です。

加算税は、申告期限後1か月以内に自主的に申告していれば課されません。1か月を過ぎても、期限内申告をする意思があったと認められる場合も同じです。

自主的納付が1か月を超えた場合や税務署から指摘されてから申告した場合は、次のような税率で加算税が追徴されます。

原則の税率 納める所得税が50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%
1か月を過ぎて自主的に申告した場合 納める所得税の金額にかかわらず5%
税務署から指摘された後に自主的に申告した場合 納める所得税が50万円までの部分は10%、50万円を超える部分は15%

悪質な隠ぺいまたは偽装があったと認められたときは上記の表の加算税に代えて重加算税が課せられます。税率は申告していた場合で35%、無申告の場合は40%と高額です。

刑事罰を受ける可能性もある

悪質な行為は「ほ脱」と呼ばれる犯罪行為になり、追徴課税に加えて刑事罰を受ける可能性もあります。「故意の申告書不提出によるほ脱犯」として、最大で5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、もしくは両方が課される場合があるため、虚偽のない正確な申告しなければなりません。

確定申告のやり方

確定申告のやり方

事業を始めたばかりの個人事業主やフリーランス、副業をしている会社員で確定申告が必要な人にとって、初めての申告は大変です。申告書の用意から記入方法、提出先などわからないことも多いでしょう。自分で行うのが大変な場合、税理士に依頼する方法もあります。

ここでは確定申告のやり方について、自分でやる場合と税理士に依頼する方法について紹介します。

 自分でやる場合

確定申告が必要な人が申告を自分でやる場合、次の手順で行います。

1.確定申告に必要な書類を揃える

提出書類
  • 確定申告書
  • 収支内訳書(白色申告)
  • 青色申告決算書(青色申告)
作成に必要なもの
  • 印鑑
  • 通帳など口座情報
  • 1年の帳簿、領収書など
添付書類
  • 源泉徴収票
  • 控除の証明書
提出の際に必要なもの
  • マイナンバーカード
  • マイナンバーカードがない場合、マイナンバー通知カード+身分証明書

確定申告書は国税庁のサイトからダウンロードするか、税務署や市区町村の担当窓口、確定申告の会場などで入手できます国税庁の確定申告等作成コーナーでは、直接入力して作成できるため便利です。

2.税額を計算する

帳簿や領収書、口座情報をもとに税額を計算します。算出した数字を申告書に記入していきましょう。

3.提出する

管轄の税務署に提出します。提出方法は次の3つです。

  • 税務署に直接提出する
  • 税務署に郵便で送る
  • e-Taxを利用する

作成した申告書に不安がある場合は、税務署に直接提出しましょう。チェックしてもらえるため安心です。

税理士に依頼する場合

確定申告が必要な人で申告が初めての場合、何から始めてよいのかわからないこともあるでしょう。そんな人は税理士に依頼するのもおすすめです。税理士への依頼は正確な申告書が作れるだけでなく、節税などのアドバイスがもらえるなどのメリットがあります。

費用がかかるというデメリットはありますが、日々の記帳や申告書作成にかける手間を省いて本業に集中でき、売上を伸ばすこともできるでしょう。税理士に依頼すれば税務調査が入るリスクを減らすのも可能です。

税理士に依頼する際は、次のものを準備しておきましょう。

  • 領収書
  • 請求書
  • 通帳やネットバンキングなどのコピー
  • 控除に関する書類

どの税理士に頼むかは迷うところですが、税理士事務所の多くは最初の相談に無料で対応しているため、そちらを利用して何件かあたってみるのがおすすめです。

監修税理士のコメント

菅野歩税理士事務所 - 宮城県仙台市宮城野区

2020年(令和2年)分の確定申告から税金に関する大きな改正があります。 所得税の「基礎控除」が38万円から48万円に引き上げられ、「給与所得控除」が一律に10万円引き下げられました。高額所得者は各種控除が減らされることになったため、実質的な増税となります。 事業所得については、青色申告特別控除が65万円から55万円になり、e-Taxによる申告か電子帳簿保存のいずれかを行うことで65万円の控除が認められるようになります。

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