ミツモアメディア

ワンストップ特例でふるさと納税の確定申告が不要に?どちらがお得?

最終更新日: 2024年06月28日

この記事ではふるさと納税の「ワンストップ特例」と「確定申告」について、分かりやすく解説します。ワンストップ特例と確定申告はどう違うのか、どちらがお得なのか。それぞれの利用条件からメリット・デメリットまで、徹底比較します。

ワンストップ特例とは?

ワンストップ特例制度を使えば確定申告不要で税金控除を受けられます
ワンストップ特例制度を使えば確定申告不要で税金控除を受けられます

ふるさと納税の寄附金控除を受けるには、2つの方法があります。

  1. ワンストップ特例制度を利用する
  2. 確定申告を行う

この段落では、ワンストップ特例について見ていきましょう。

ふるさと納税の控除を確定申告なしで受けられる!

ワンストップ特例とは、自分で確定申告をしなくてもふるさと納税の寄附金控除を受けられる仕組みです。誰でも利用できるわけではなく、一定の利用条件があります。(詳しくは下記「ワンストップ特例を利用できる条件」で解説します。)

注意:ワンストップ特例×確定申告→無効

ワンストップ特例をする時の注意点としては、ワンストップ特例制度を申請した後に確定申告をしてしまうと、ワンストップ特例制度の申請が無効になってしまうという点。

もし後から確定申告が必要になったら、確定申告の際に再度ふるさと納税の寄附金控除申請が必要です。

申告漏れがあった場合、ふるさと納税による税額控除のメリットを享受できません。

参考:年末調整だけではふるさと納税の控除は利用できない

会社で年末調整をしてもらっている場合であっても、ふるさと納税の控除申請は必要です。

これは、年末調整で受けられる控除の種類と、年末調整後に受けられる控除の種類が異なるためです。

基礎控除や配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除などは年末調整で受けられます。年末調整は会社が行いますので、自分で手続きは不要です。

しかし、ふるさと納税などの寄附金控除や医療費控除などは、年末調整を終えた後に自分で確定申告しなければ納めすぎた税金を取り戻すことができません。

  • 基礎控除や配偶者控除、扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除など→会社が年末調整してくれる(自分は何もしなくて良い)
  • ふるさと納税などの寄附金控除や医療費控除など→確定申告しなければ控除されない

ワンストップ特例と確定申告どちらがお得?

全体的な控除額に違いはありません
全体的な控除額に違いはありません

ワンストップ特例と確定申告のどちらが自分にとってお得かを知るために、両者の違いやそれぞれのメリット・デメリットを比較しましょう。

確定申告とワンストップ特例の違い

確定申告もワンストップ特例も税金の還付・控除を受けるための仕組みですが、対象となる税金の種類が異なります

  • 確定申告→「所得税」と「住民税」から控除を受けられる
  • ワンストップ特例→「住民税」の申告特例控除が受けられる

このように還付・控除される税金の種類は異なりますが、全体的な還付・控除の金額に差が出ることはありません。

また、両者の違いという面では、手続きにかかる時間や手間が異なります。

確定申告は自分で申告書類を作成し期間内に提出するといった手間がかかりますが、ワンストップ特例はふるさと納税を行った自治体に「申告特例申請書」を送付するだけで還付・控除が受けられます。

ワンストップ特例のメリット・デメリット

ワンストップ特例のメリットは確定申告の手間が省け、気軽にふるさと納税できること。

また控除を受けられる税金の種類が住民税のみなので、後から控除されてるかどうかをチェックする時に住民税のみをチェックすれば良い点などです。

一方デメリットは、住民税からの控除だけになるので、控除額の上限を超えると、損をする可能性も出てくるという点です。

したがって、控除上限額を超えてしまう場合は、ワンストップ特例ではなく確定申告を利用したほうがお得ということになります。

確定申告のメリット・デメリット

確定申告のメリットは、ワンストップ特例と違って所得税と住民税からの控除なので、控除の上限にいくことがあまりなく損しづらいという点です。

一方デメリットは申告書類作成の手間がかかることや、住宅ローン控除を利用している場合だと損する可能性があるという点です。

住宅ローン控除は所得税控除の対象であるため、ふるさと納税と金額を合わせることで所得控除上限額を超えてしまうことがあります。この場合、確定申告の節税効果を十分に享受することができません。

関連記事:【税理士監修】住宅ローン控除を利用して所得税を減らす?適用条件から注意点まで | ミツモア

ワンストップ特例を利用できる条件

ワンストップ特例の利用条件を確認しましょう
ワンストップ特例の利用条件を確認しましょう

ワンストップ特例を利用できる人の条件は、次のとおりです。

  1. もともと確定申告の必要が無い給与所得者
  2. ふるさと納税の申し込み先が5団体以内
  3. 申し込んだ団体にワンストップ特例の申請書を出していた
  4. ワンストップ特例の申請期間内に間に合った

該当しない場合はふるさと納税の控除を受けることができませんので、必ず事前に確認するようにしましょう。

利用条件1.もともと確定申告の必要が無い給与所得者

会社員などでもともと確定申告の必要がない人は、確定申告をしなくてもワンストップ特例を利用することで税金控除を受けられます。

具体的には以下の条件に当てはまらない人は、確定申告は不要です。

逆に言えば以下の条件に当てはまる場合は確定申告が必要なので、ワンストップ特例は利用できない(もし特例申告したとしても、確定申告することで無効になる)ということです。

  • 年収が2,000万円以上ある
  • 2つの会社から給料をもらっている
  • 給与は1か所からだが、副業で20万円以上稼いでいる
  • 個人事業主または不動産所有者、不動産の売買で利益を得た
  • 住民税の申告が必要
  • 医療費控除や住宅ローン控除などを受けようと思っている

利用条件2.ふるさと納税の申し込み先が5団体以内

利用条件の2つ目は、ふるさと納税の寄附先自治体が5つまでの人ということです。

ポイントは寄附回数が5回を超えていても、寄附先の自治体が5つ以内であれば、ワンストップ特例を受けられるということ。カウントするのは「寄附回数」ではなく、あくまで「寄附先」の数です。

利用条件3.申し込み先の団体にワンストップ特例の申請書を出していた

ふるさと納税を申し込む際に、寄附先の自治体にワンストップ特例の申請用紙を提出していることが条件になります。書類の正式名称は「寄附金税額控除に係る申告特例申請書」です。

過去に寄附したことがある自治体であっても、ふるさと納税を申し込む都度、申請書を提出することが必要です。

ふるさと納税サイトによっては、注文画面に「申請書の要望」などチェックを入れる欄があります。ここへチェックを入れて注文すれば後日、自治体から申請書が送られるというものです。

チェックを入れ忘れたり、そもそも注文画面にチェック欄がなかったりする場合は、自分で申請用紙を印刷して自治体へ郵送する必要があります。

利用条件4.ワンストップ特例の申請期間内に間に合った

2019年1月1日~2019年12月31日の1年間に寄附したものについて、郵送でワンストップ特例を申請するには「2020年1月10日必着」です。

万が一この期間内に間に合わなければ、確定申告をする必要があります。

なお確定申告にも申告期間があり、次回の申告期間は「2020年2月17日から3月16日」です。

ワンストップ特例の流れ

寄附した後に申請が必要です
寄附した後に申請が必要です

この段落では、ふるさと納税でワンストップ特例を行い、住民税が控除されるまでの流れを見ていきましょう。

  1. 自治体を選ぶ
  2. 寄附金を送る
  3. 証明書・返礼品をもらう
  4. ワンストップ特例の「特例申請書」と必要書類を送付
  5. 住民税の控除

各項目について1つずつ概要を確認していきましょう。

1.自治体を選ぶ

ふるさと納税サイトなどから、寄附する自治体・団体を選びます。

自分が住んでいる自治体に限らず、活動を応援したい自治体や返礼品が魅力的な自治体を選んでOKです。

2.寄附金を送る

自治体を決めたら寄附金を送ります。寄附金を送ると言っても、イメージとしてはネットショップなどのショッピングサイトで買い物する場合と同様です。

下記はふるさと納税サイトで返礼品をカートに入れ、金額を確認する画面です。金額や発送時期を確認したら、このまま寄附手続きへ進みます。

引用:認知度・利用意向No.1ふるさと納税サイト

3.証明書・返礼品をもらう

寄附先から寄附金の領収書「寄附金受領証明書」と返礼品が届きます。

証明書と返礼品は同封されてくる場合もありますが、返礼品とは別に送られてきたり(寄附手続きから1〜2ヶ月後)、1年分の寄附の総額を記載したものがまとめて送付されてきたりすることもありますので確認をしてください。

寄附金受領証明書は、確定申告で添付必須の書類です。紛失した場合、各自治体へ再発行してもらえるかどうか直接確認しましょう。

4.ワンストップ特例の「特例申請書」と必要書類を送付

ワンストップ特例の申請書の必要事項を記入したら、その他の必要書類とともに郵送します。

必要書類は、個人番号カードを持っているかそうでないかで異なります。下記の表を参考にしてください。

5.住民税の控除

次年度の住民税が控除されます。

控除額は「寄附金額−2,000円」です。

たとえば2019年1月〜12月の間に合計50,000円を寄附した場合、

50,000−2,000=48,000

と計算でき、48,000円が控除された住民税決定通知書が2020年6月頃に届きます。

ワンストップ特例の申請書が届かない?

自治体へ直接問い合わせて確認しましょう
自治体へ直接問い合わせて確認しましょう

自治体によってはワンストップ特例の申請書を郵送していないところもあります。この場合は、寄附先へ直接連絡して申請書をもらうか、下記の関連サイトからフォーマットをダウンロードします。自宅やコンビニのプリンターで印刷して使いましょう。

関連サイト(申請書DL):寄附金税額控除に係る申告特例申請書フォーマット | 総務省

ワンストップ特例の確認のしかたは?

受付書もしくは住民税決定通知書で確認できます
受付書もしくは住民税決定通知書で確認できます

「ふるさと納税をしたけれど、ワンストップ特例の申請がちゃんと受け付けられたかどうか不安」という人もいると思います。

この場合の確認方法は、2通りあります。

確認方法1.特例申請受付書で確認!

1つ目は、ワンストップ特例制度の申請を受け付けた旨を伝える書類「特例申請受付書」で確認するという方法です。

この書類が寄附先の自治体から送られてきたら、ワンストップ特例申請は受け付けられていると考えて大丈夫です。

ただし、すべての自治体が特例申請受付書を送付してくれるわけではありません。その場合は、寄附した自治体へ直接問い合わせてみる必要があります。

確認方法2.住民税決定通知書で確認!

2つ目は「住民税決定通知書」で確認する方法です。

住民税決定通知書は毎年6月に勤務先の会社から渡されます。

フリーランスや個人事業主であれば、やはり6月に「住民税の税額決定兼納税通知書」という書類が郵送されてきますのでそちらを確認します。

確認したいのは「税額計算」欄の「税額控除額」です。市町村の税額控除額と、都道府県の税額控除額の表示金額を合計し「ふるさと納税総額−2,000円」と同額かもしくは少し多くなっていれば住民税控除を受けることができています。

ワンストップ特例の注意点

ワンストップ特例も申請しなければ適用されません
ワンストップ特例も申請しなければ適用されません

ここまでワンストップ特例の流れを見てきましたが、注意点も確認しましょう。

注意点1.サイトにチェックしただけでは適用にならない

ふるさと納税サイトでは申込時に「申請書の要望」「申請書の送付を要望する」といったチェック欄がありますが、この欄にチェックしただけで適用されるわけではありません。郵送されてきた申請書に必要事項を記載し、必要書類とともに送付する必要があります。

引用:認知度・利用意向No.1ふるさと納税サイト

注意点2.寄附金を送るたびに申請は必要

ふるさと納税で寄附金を送るたびに自治体申請が必要です。たとえ同じ自治体であっても、2回寄附をしたら2通の申請書を送付する必要があります。申告漏れは税金控除の対象外になってしまいますので、忘れないよう注意しましょう。

注意点3.申請内容に変更がある場合

ワンストップ特例制度の申請を行った後に申請内容に変更があったら、1月10日までに送付先の自治体に「申請事項変更届出書」を提出しましょう。届出書のフォーマットは、下記URLからダウンロードできます。

フォーマットDL: 寄附金税額控除に係る申告特例申請事項変更届出書 | 総務省

ワンストップ特例が無効になってしまったら?

確定申告をするとワンストップ特例は無効になってしまいます
確定申告をするとワンストップ特例は無効になってしまいます

すでにお伝えしましたが、確定申告とワンストップ特例は併用できません。

このことを知らなかったり忘れてしまったりして、医療費控除申請などで確定申告を行うとワンストップ特例は無効になります。

もしこの時に確定申告でふるさと納税の寄付金控除を申請してなかった場合、本来受けられたはずの控除が受けられなくなってしまうのでしょうか?

こういった場合は「更正の請求」という手続きを行えば、 寄付金控除を受けられる場合があります。

更正の請求をしよう!

更正の請求とは、確定申告の期限後に納める税金が多すぎた場合に、申告内容を訂正するための手続きです。

この手続きは、更正の請求書を税務署長に提出して行います。

更正の請求書が提出されると、税務署ではその内容の検討をして、納め過ぎの税金がある等(繰越損失の金額が増える場合を含む。)と認めた場合には、減額更正(更正の請求をした人にその内容が通知されます。)をして税金を還付することになります。

引用元:確定申告を間違えたとき | 国税庁

 

注意:5年以内に申請

更正の請求ができる期間は原則として「確定申告の申告期限から5年以内」です。

この期間を超えると申告内容を修正することはできなくなり、ふるさと納税の寄付金控除を受ける手段はなくなってしまいます。

ふるさと納税の確定申告のやり方

確定申告すると所得税と住民税の控除が受けられます
確定申告すると所得税と住民税の控除が受けられます

ここまでふるさと納税のワンストップ特例申告制度について説明しましたが、確定申告のやり方も簡単に確認しておきましょう。

1.自治体を選ぶ

ふるさと納税サイトなどで応援したい自治体を選びます。

2.ふるさと納税する

ふるさと納税サイトなどから自治体に寄附します。自治体から確定申告に必要な受領書が送られてきますので、紛失しないよう大切に保管しましょう。

3.確定申告を行う

ふるさと納税を行った翌年の3月15日までに確定申告を行います。確定申告のやり方や必要書類などの詳細は、下記の関連記事で詳しく説明しています。

関連記事: 【必見!初めての確定申告】提出先は?必要書類や書き方を全解説! | ミツモア

4.所得税からの控除

確定申告を行うと、ふるさと納税を行った年の所得税から控除されます。

5.翌年の住民税からの控除

ふるさと納税を行った翌年の住民税が控除されます。

通常6月に会社から「住民税決定通知書」が手渡されますので、通知書の記載内容から控除額を確認します。

ワンストップ特例でスムーズに控除を受けよう!

住民税の控除限度額の範囲内であれば、実質2,000円の自己負担で全国各地の自治体から様々な返礼品を受け取れます。

ただし寄付した先が5団体を超えると、ワンストップ特例が使えなくなってしまうので注意しましょう。なお、控除限度額はインターネット上にある、ふるさと納税のポータルサイトでシミュレーションできます。会社の源泉徴収票をお手元に用意し、是非一度試算してみましょう!

ミツモアで確定申告の税理士を探そう!

ミツモアでプロを探してみよう!
ミツモアで税理士を探そう!

税理士とのお付き合いは、そのときだけのものではなく、長期間に渡るものです。だからこそ、費用だけでなく、相性や対応の誠実さも、事前に十分に確認しておきたいですね。

そんな税理士選びにおすすめなのが、全国の税理士が登録しているマッチングサイト「ミツモア」です。地域と依頼したい内容に応じて、まずは見積もりが確認できます。その後、メッセージでのやりとりで担当業務の範囲やオプションなどを確認できるので、面談するのと同じように、税理士の人柄が見えてきます。

簡単!2分で税理士を探せる!

ミツモアなら簡単な質問に答えていただくだけで2分で見積もり依頼が完了です。

パソコンやスマートフォンからお手軽に行うことが出来ます。

最大5件の見積りが届く

見積もり依頼をすると、税理士より最大5件の見積もりが届きます。その見積もりから、条件にあった税理士を探してみましょう。税理士によって料金や条件など異なるので、比較できるのもメリットです。

チャットで相談ができる

依頼内容に合う税理士がみつかったら、依頼の詳細や見積もり内容などチャットで相談ができます。チャットだからやり取りも簡単で、自分の要望もより伝えやすいでしょう。

税理士に依頼するならミツモアで見積もり依頼をしてみてはいかがでしょうか?

ミツモアで見積もってみる