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【知っておきたい】源泉徴収の計算方法を解説!

最終更新日: 2024年06月28日

源泉徴収という言葉は聞き慣れていても、その詳細を理解していない方が多いと思います。本稿は、給与所得の源泉徴収だけでなく、退職金に関する源泉徴収まで基本の計算方法を網羅しています。

この記事を監修した税理士

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

源泉徴収の解説(所得税との比較)

計算 電卓
源泉徴収の解説

源泉徴収を計算する前に、そもそも源泉徴収とは何かを知りましょう。所得税であれば所得にかかる税金だと予測がつきますが、源泉から徴収するとはあまりピンとこないのではないでしょうか。そこで、源泉とは何を指しており、源泉徴収とは何なのかをご紹介します。

源泉徴収と所得税の違い

源泉徴収の源泉は、給与等を支払う人(源泉)が税金を徴収する行為です。所得税以外を含めた給与から月々天引きされているお金は、会社が徴収して皆さんに変わって納税しています。そして、源泉徴収によって集められたお金を源泉徴収税と言います。

つまり、会社が毎月給与から所得税を天引きし、それを税務署に納めているのです。

【イラスト解説】源泉徴収の仕組みとは?

現前徴収は企業が社員の税金を一括して納税することだとご紹介しました。次は、図を使用しながら源泉徴収の仕組みをご紹介します。

これが、以下の図のような構図です。

納税の流れ

しかし、これでは税務所がサラリーマンで溢れかえってしまいます。そこで、サラリーマンに代わり企業が一括して税金を集め、税務署に納税を行なっているのです。もちろん、サラリーマンの方々に支払われる賃金は税金を引いたものが支給され、そのまま企業は引いた分の税金を税務署に納めています。

源泉徴収の仕組み
源泉徴収の仕組み

このように、無駄のない方法が源泉徴収のシステムなのです。

源泉徴収を計算するための手段

源泉徴収を計算するための2つの手段
源泉徴収を計算するための2つの手段(画像提供:PIXTA)

ここからは、源泉徴収を計算方法を説明します。

復興特別所得税として源泉徴収所得税の2.1%が加算され、源泉徴収所得税を10%だとすると10.21%が源泉徴収所得税として徴収される流れになります。

源泉徴収税額を求めるためには、国税局が発表する源泉徴収税額表を参考に求めることが可能です。復興特別所得税は2013年1月1日より徴収が開始され、2037年12月31日までに支払った所得に対して課税されるのです。複雑のように感じますが、1つずつ確認することで源泉徴収税を計算できるようになります。

国税庁による源泉徴収税の早見表

まずは自分の源泉徴収税がいくらかかるか確認しましょう。

国税庁が発表する、源泉徴収税早見表を使用します。税率は毎年更新されるものなので、最新のものを見るようにしてください。さらに、月給なのか日給なのか、賞与なのかによっても表は異なりますので間違えないように確認します。

そこで、自分の総支給額を確認し、そこから社会保険料などを引いてください。その金額が早見表を使用する上で必要な金額です。

以下で、その表の見方について詳しく説明いたします。

会社員などの源泉徴収の計算方法[3選]

源泉徴収の計算方法[3選]
源泉徴収の計算方法 3選(画像提供:PIXTA)

会社員の源泉徴収には給与、報酬・賞与、退職金は3つあることをご存じでしょうか。計算方法はそれぞれ異なり、これらの計算を正確にできるようになることで、源泉徴収が正確に徴収されていることが理解できます。

自分の源泉調整額がいくらなのかを計算できるようになれば、具体的に給与から何を天引きされているかがわかります!

源泉徴収の計算方法①(給与)

給与に関する源泉徴収額の計算方法は、源泉徴収税額表を使用します。

まずは月額表なのか日額表なのかを選択し、月に1度給与が振り込まれるのであれば月額表、日払いや週払いなどの日割り計算の場合は日額表を使用します。

次に、自分の給与明細のうち、課税合計から社会保険料等の控除を引いた金額を算出します。その数字を左側の列から探し出し、最後に扶養家族人数を当てはめれば算出できるということです。

月額で300,000円もらっており、扶養家族1人の場合は299,000〜302,000の間に当てはまりますので、左側を見ながら列を探し出します。そこから扶養家族1人なので6,740円を源泉徴収されることになります。

源泉徴収の月額表

源泉徴収の計算方法②(報酬・賞与)

賞与に関しては、給与とは異なる方法で源泉徴収額を求られます。その税額の求め方は、賞与から社会保険料等を差し引いた金額×税率です。

例として賞与から社会保険料等を差し引いた金額が25万円・扶養人数0人とします。税額表に25万円・扶養人数0人を照らし合わせると、税率が4.084%になります。

よって、税額は25×4.084%=10,210円です。

賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表

しかし、以下の場合は計算方法が異なります

(1)前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う場合

  1. イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6
  2. ロ イ+(前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)
  3. ハ ロの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。
  4. ニ ハ-(前月の給与に対する源泉徴収税額)
  5. ホ ニ×6

この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。

(2)前月に給与の支払がない場合

  1. イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6
  2. ロ イの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。
  3. ハ ロ×6

この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。

参考:No.2511 税額表の種類と使い方|国税庁

源泉徴収の計算方法③(退職金)

退職金の源泉徴収額を計算する場合、まずは課税対象となる金額を計算します。

計算方法は(収入金額-退職所得控除額)×1/2で算出されますが、勤続年数20年を境にして計算方法がわかれ、勤続年数20年以下の場合は退職所得控除額は40万円×勤続年数で求められますが、80万円未満となった場合は80万円として計算します。

次に、20年を超えた場合の退職所得控除額は800万円+70万円×(勤続年数-20年)です。例えば、勤続年数30年の場合は8,000,000円+700,000円×(30年-20年)=15,000,000円となります。

ここから、課税対象となる金額を算出すると、累進課税制度によって源泉徴収が確定します。内訳は下記の通りです。

課税退職所得金額 所得税率 計算式
〜195万円 5% (課税所得×5%)×102.1%
195万円〜330万円 10% (課税所得×10%-97,500円)×102.1%
330万円〜695万円 20% (課税所得×20%-427,500円)×102.1%
695万円〜900万円 23% (課税所得×23%-636,600円)×102.1%
900万円〜1,800万円 33% (課税所得×33%-1,536,000円)×102.1%
1,800万円〜4,000万円 40% (課税所得×40%-2,796,000円)×102.1%
4,000万円〜 45% (課税所得×45%-4,796,000円)×102.1%

非住居者の源泉徴収について

法律において居住者とは、日本国内に住所を有しており、さらに現在まで引き続き1年以上居住している人のこと指します。そして、これに該当しない方は非居住者として定義されます。

海外に在住しており、そちらで源泉徴収を行う場合は良いのですが、国内に住所もしくは居所を有し、または国内に事務所、事業所その他これらに準ずるものを有するときは、国内源泉所得を国内において支払ったものとみなして源泉徴収が必要になるのです。

この税率は下記の通りになります。

事業から生じる利益でその契約に基づいて配分を受けるもの・・・・・・・20.42%
土地等の譲渡対価・・・・・・・10.21%
(土地等の譲渡対価が1億円以下で、その土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要)
人的役務の提供事業の対価・・・・20.42%
不動産の賃貸料等・・・・・・・・20.42%
(不動産等の賃貸料で、自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要)
利子等・・・・・・・・・・・15.315%
上場株式等の配当等・・・・15.315%
私募公社債等運用投資信託等の収益の分配・・・・・・15.315%
上記以外の配当等・・・・・・20.42%
貸付金の利子・・・・・・・・・20.42%
工業所有権、著作権等の使用料等・・・・・・・・・・・・20.42%
給与その他人的役務の提供に対する報酬、退職手当等・・・・・20.42%
公的年金等・・・・・20.42%
(支払われる年金の額から6万円(年齢65歳以上の場合は10万円)に年金の額に係る月数を乗じた金額を控除した金額に税率を乗じます。)
事業の広告宣伝のための賞金・・・・・20.42%
(支払う金額から50万円を控除した金額に税率を乗じます。)
生命保険契約に基づく年金等・・・・・20.42%
定期積金の給付補てん金等・・・・・・15.315%
匿名組合契約等に基づく利益の分配・・20.42%

監修税理士のコメント

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

会社員の場合、源泉徴収金額は会社が計算してくれるため自ら計算する必要は通常ありません。ただし、自身がいくら源泉徴収されており、どういった計算に基づいて算定されているかを理解することで、源泉徴収金額が正確に計算されていることを自身でチェックすることが可能となります。チェックしたうえで、自身の計算と合わない場合は、会社に確認することも可能となります。

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この記事を監修した税理士

多田紘大税理士事務所 – 兵庫県

大手監査法人で多様な業種、規模の上場企業、非上場企業の監査業務に従事。併せて、同じ監査法人でコンサルティング業務(決算早期化支援、内部統制構築支援、システム導入支援等)を実施してきました。その後、大手監査法人を退所、独立開業。独立開業後は中小企業、個人事業主を中心に税務に関して全般的にサービスを提供しています。