転職をした際、転職先の企業に様々な書類の提出が必要となります。その書類の中でも、源泉徴収票は大切な書類の1つです。源泉徴収票は転職先の年末調整で必要になるので、大切に保管しておかなければなりません。
本稿では源泉徴収票の見方や転職先に提出するメリット、さらにはトラブルの対処法ついて詳しく解説します。
そもそも源泉徴収票とは何か
源泉徴収票は転職時には必要になるので、その見方や役割についてあらためて確認しておきましょう。
源泉徴収票とは
源泉徴収票とは簡単に言えば「会社が従業員個人に支払ったお金の合計額」や、そこから引かれた所得税額などが載っている書類です。会社があなたに支払ったお金は「総支給額」として称され、そこから所得税や控除額を引いた分が実際の手取り額になります。
源泉徴収票から読み取れること
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本来、所得税の支払い義務は個人が負うため、自分自身で納税を行わなければなりません。しかし会社員の場合、会社があらかじめ所得税分を「源泉徴収税」として差し引き、「年末調整」として納税を代行してくれます。その数値を一目で確認できるのが源泉徴収票です。
源泉徴収票には3種類ある
源泉徴収票の種類は3つです。会社からの支払い金額がどの所得に当てはまるかによって、受け取る票の種類が変わります。
給与所得の源泉徴収票 | 給与・ボーナス・各種手当などの給与所得にかかわる源泉徴収税額や控除額が記載されている。
会社員が一般的に交付される源泉徴収票。 |
退職所得の源泉徴収票 | 退職に関する一時金等、退職所得にかかわる源泉徴収税額や控除額が記載されている。
会社を辞めるときに退職金が出る場合に交付。 |
公的年金の源泉徴収票 | 国民年金や厚生年金などの公的年金にかかわる源泉徴収額や控除額が記載。
会社では発行されず日本年金機構から発送される。 |
記載内容は、1月1日~12月31日の丸1年分の金額が基本です。ただし年の途中で退職した場合、給与所得の源泉徴収票は1月1日~退職日までに支払われた金額が記載されます。
本記事では転職に関係する「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」について詳しく解説していきます。
2種類の源泉徴収票
サラリーマンが会社から受け取る源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」と「退職所得の源泉徴収票」の2種類があります。
各々の源泉徴収票は書かれている内容が違い、さらに給与所得の源泉徴収票は、年末調整時と退職時では記載されていない項目があります。それぞれの源泉徴収票の見方を確認しましょう。
給与所得の源泉徴収票の見方
給与所得の源泉徴収票には自分の氏名や住所、働いていた会社の名前や住所以外に「給与の総支給額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」「所得控除」の5つの内容が書かれています。
実際に給与所得の源泉徴収票を見てみましょう。
項目 | 内容 |
1 支払いを受ける者 | 給料を受け取った人の住所や氏名が書かれています。 |
2 支払金額 | 1年間の給与の総支給額がわかります。年の途中で退職した場合には、働いていた期間の給与の総支給額が書かれています。転職先で年末調整をする場合、前職と転職先の給与を合算した総支給額です。 |
3 給与所得控除後の金額 | 支払金額から給与所得控除額を引いた金額で、給与に対する所得です。年末調整をしていなかったり、退職したりした場合は空白になっています。 |
4 所得控除の額の合計額 | 社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除、基礎控除などの所得控除の合計額です。「3 給与所得控除後の金額」と同様に、年末調整をしていない場合、退職した場合は空白になっています。 |
5 源泉徴収税額 | 年間の所得税の金額です。退職した場合には、働いていた期間に給料や賞与から徴収された所得税の金額になります。 |
6 所得控除等の詳細 | 「4 所得控除の額の合計額」の基となる各所得控除の金額などが書かれています。年末調整の時に会社に提出をする「給与所得者の扶養控除等申告書」「給与所得者の配偶者控除等申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」に基づいた情報が記載されています。前職分の給料の金額などは(摘要)を見るとわかります。 |
7 支払者 | 給料を支払った者の氏名・名称や住所などが書かれています。 |
退職所得の源泉徴収票の見方
退職所得の源泉徴収票には「退職金の金額」「源泉徴収税額」「住民税の金額」「退職所得控除額」などが書かれています。
退職所得の控除は退職所得控除のみなので、給与所得の源泉徴収票に比べてシンプルになっているのでみてみましょう。
項目 | 内容 |
1 支払いを受ける者 | 退職金を受け取った人の住所や氏名が書かれています。 |
2 支払金額 | 退職金の金額がわかります。 |
3 源泉徴収税額 | 退職金に対する所得税の金額です。 |
4 特別徴収税額 | 退職金に対する住民税の金額です。 |
5 退職所得控除額 | 退職金に対する退職所得控除額の金額です。 |
6 勤続年数など | 退職所得控除額を計算するために、必要になる勤続年数などが記載されています。 |
7 支払者 | 退職金を支払った者の氏名・名称や住所などが書かれています。 |
【転職後】源泉徴収について
転職後には「給与所得の源泉徴収票」が転職先で必要になります。源泉徴収票の有無で、その後の手間ひまが増える、転職先があなたに対して疑う等のデメリットが挙げられます。
源泉徴収票の役割や転職先に提出をするメリットなどを確認しましょう。
源泉徴収票はいつもらえる?
源泉徴収票がもらえるタイミングは、受取者の状況によって変わるケースがあります。大きく分けると、私たちが普段受け取る「一般的なタイミング」と転職・退職時に受け取る「年途中で退職するタイミング」の2つです。
【給与所得】一般的なタイミング
会社員が受け取る源泉徴収票は、年末調整が完了する12月や1月に交付されます。12月には1~12月の給与・賞与額が確定するためです。そのタイミングでの交付は、「年末調整した内容の最終チェックができる」という意味合いも持ちます。
【給与・退職所得】年途中で退職するタイミング
転職・退職によって年途中で会社を離れる場合、本来は退職日から1ヶ月以内に交付されます。「事業主は退職日から一ヶ月以内に交付する」と、所得税法第226条に源泉徴収の交付義務として定められているためです。
しかし残念ながら、実際は1ヶ月以上経っても交付しない企業が存在します。「前職から源泉徴収票をもらえない場合」の項では、発行してもらえない場合の対処法をご紹介しています。
源泉徴収票が必要な場面
転職後に源泉徴収票が必要な場面は年末調整の時で、必要になる源泉徴収票は「給与所得の源泉徴収票」です。
転職先で年末調整をする場合、前職分の給与と転職先の給与を合算して年末調整をするので、前職分の源泉徴収票がなければ転職先で年末調整ができません。
年末調整ができないと給料に対する所得税が精算されていない状態になります。
転職先に前職の源泉徴収票を出すメリット
転職先に前職の源泉徴収票を出すメリットは「自分で確定申告をしなくてよくなる」ことです。
源泉徴収票を提出しないと年末調整ができません。つまり、自分で確定申告をする必要があります。転職先に源泉徴収票を提出すると会社が前職分の給与を合算して年末調整をしてくれます。
給与所得の源泉徴収票の提出は義務ではない
一般的には転職先に給与所得の源泉徴収票を提出しますが、前職があっても転職先に源泉徴収票を提出する義務はありません。
しかし、ほとんどの方が提出をしています。
提出をしないと「副業を疑われる」「人事ウケがよくない」などのデメリットがあるので、転職先に源泉徴収票を提出することをオススメします。
【ケース別】源泉徴収票に関するトラブルの対処法
源泉徴収票は重要な書類ですが、「もらえない」「もらったけどなくしてしまった」などのトラブルが発生することがあります。
さらに副業をしている場合、「確定申告をするので源泉徴収票の提出が不要なのでは?」と思いませんか?このような、源泉徴収票に関するトラブルの対処法をご紹介します。
前職から源泉徴収票をもらえない場合
源泉徴収票を会社が従業員に渡すのは義務であり、退職後は1ヶ月以内に発行する必要があります。前職から源泉徴収票がもらえないのは「頼んでも源泉徴収票を発行してくれない」「前職先が倒産してしまった」といった2つのケースが考えられます。
前職の会社に何度頼んでも源泉徴収票を発行してもらえない場合は、「税務署や労働基準監督署に相談する」ことを伝えましょう。税務署や労働基準監督署からの指導は、会社にとって嬉しいことではないので、対応をしてくれることがあります。
前職先が倒産してしまっても、破産管財人に請求すると源泉徴収票を発行してもらえます。破産管財人がいない、連絡が取れない場合は「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。
源泉徴収票不交付の届出書は以下のサイトでダウンロードできます。
前職の源泉徴収票をなくした場合
源泉徴収票は1度限りの発行ではなく、再発行ができます。前職の源泉徴収票をなくしてしまった場合には、すぐに連絡し再発行をお願いしましょう。
年末調整が近くなると、同じように再発行を依頼する人が増えてくるので、なるべく早めにお願いすることをオススメします。
前職との間にアルバイトをしていた場合
前職を退職した後に、転職先が決まるまでアルバイトをしていた場合は、アルバイトをしていた期間の「給与所得の源泉徴収票」を前職分と一緒に転職先に提出をしましょう。アルバイトでも給与所得の源泉徴収票は発行されます。
「アルバイト期間の源泉徴収票は提出しなくてもバレない」と思わない方が良いです。履歴書にアルバイト経験を記入していればバレますし、社会保険に加入してアルバイトをしていた場合は年金記録などで会社にバレることになります。
前職に加え副業を行なっていた場合
副業を行なっていた場合は「副業をOKしている会社」「副業禁止の会社」の2つケースによって違います。副業をOKしている会社であれば、副業をしていることを転職先に伝えるか、自分で確定申告することを伝えるだけで大丈夫です。
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