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土地を相続したらかかる税金│算出方法と軽減できる制度

最終更新日: 2024年05月08日

土地を相続することになったときや相続する予定があるとき、次のような疑問を抱くのではないでしょうか。

「相続税や関連費用はいくらになるのかな?」

「節税できる方法はないのかな?どのように払えばいいのだろう?」

この記事では以下の項目について解説し、上記のような疑問を解決します。

  • 土地を相続したら課される税金
  • 相続税の算出方法
  • 土地の評価額の確認方法
  • 土地の相続税を軽減できる控除・特例と適用要件
  • 土地の相続税を支払うまでの流れ
  • 土地を相続するときの注意点

土地を相続する際の税金について知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

手っ取り早く土地相続にかかる税金額を知りたい、相続税支払いまでをスムーズに進めたい方には、税理士さんに相談することをおすすめします。「ミツモア」を使うと、費用・対応内容など最も自分に合う税理士さんを見つけられますので、ぜひご活用ください。

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土地を相続したら課される税金

お金と計算機

土地を相続すると、以下の2つの税金が課されます。

  • 相続税
  • 登録免許税

ただし相続税には基礎控除があり、必ずしも課税されるわけではありません。それぞれの税金はいくらかかるのか解説します。

相続税:必ずしも課税されるわけではない

相続税は、おおまかに説明すると、下記の式で求められる基礎控除額を超えた分に課税されます。

基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、相続人が配偶者1人と子2人の場合、基礎控除額は、3,000万円+600万円×3人で4,800万円となり、相続する財産が4,800万円までであれば相続税はかかりません。

登録免許税:固定資産税評価額×0.4%

登録免許税とは、不動産を登記するときに課される国税です。登録免許税の金額は、固定資産税評価額に税率をかけて決まります。固定資産税評価額は、市役所や税事務所で閲覧できる固定資産課税台帳に記載されています。

相続における登録免許税の税率は、以下のとおりです。

相続の登録免許税=固定資産税評価額×0.4%

なお、贈与など場合によって税率が異なるので注意してください。

相続税の算出方法

相続税と計算機

土地の相続税がいくらになるのかは、次の流れで算出します。

  1. 課税遺産総額を算出する:課税価格-基礎控除額
  2. 相続税の総額を算出する:「課税遺産総額の法定相続分×相続税率」の総額
  3. 各人の相続税額を算出する:相続税の総額×各人の課税価格/課税価格の合計額

それぞれの計算方法を丁寧にご説明します。

1.課税遺産総額を算出する:課税価格-基礎控除額

全ての財産から、非課税財産や負債を引いて課税価格を求めます。さらに課税価格から、下記の式で求められる基礎控除額を引いて課税遺産総額を算出します。

基礎控除額:3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、課税価格が2億円で、相続人が配偶者1人と子2人の場合、課税遺産総額は以下のとおりとなります。

基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

課税遺産総額:2億円-4,800万円=1億5,200万円

2.相続税の総額を算出する:「課税遺産総額の法定相続分×相続税率」の総額

まず、手順1で求めた課税遺産総額を法定相続分で分割し、それぞれに相続税率をかけて各人の相続税額を算出しましょう。相続税率は財産の金額によって、10%〜55%までの税率と0円〜7,200万円までの控除額が定められています。次に各人の相続税額を足して、相続税の総額を求めます。

先ほどの例だと、相続税の総額は以下のとおりとなります。

配偶者の法定相続分:1億5,200万円×1/2=7,600万円

子①の法定相続分:1億5,200万円×1/4=3,800万円

子②の法定相続分:1億5,200万円×1/4=3,800万円

 

配偶者の相続税:7,600万円×30%-700万円=1,580円

子①の相続税:3,800万円×20%-200万円=560万円

子②の相続税:3,800万円×20%-200万円=560万円

 

相続税の総額:1,580円+560万円+560万円=2,700万円

3.各人の相続税額を算出する:相続税の総額×各人の課税価格/課税価格の合計額

手順2で算出した相続税の総額を、各人が実際に取得した財産の割合で按分します。

これまでの例で、各人が実際に取得した財産を配偶者が1億2000万円、子①600万    円、子②が200万円であったとすると、各人の相続税額は以下のとおりとなります。

  

 配偶者の相続税額:2,700万円×1億2,000万円/2億円=1,620万円

   子①の相続税額:2,700万円×600万円/2億円=810万円

   子①の相続税額:2,700万円×200万円/2億円=270万円

以上が相続税の算出方法ですが、初めての方には理解に時間がかかると思います。自分で計算するのは難しいと感じた方は、税理士に相談すると良いでしょう。「ミツモア」であれば、相続に強い税理士を探すことができるのでおすすめです。

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土地の評価額の確認方法

ノート

相続税の金額を算出するには、土地の評価額を知らなければなりません。土地の評価額は、次の2つの方式のいずれかで決まります。

  • 路線価方式:基本的には路線価方式となる
  • 倍率方式:路線価がない場合は倍率方式で評価

路線価方式:基本的には路線価方式となる

土地の評価額は、基本的には路線価方式で決まりますが、路線価がない地域は倍率方式で決まります。

路線価方式は、土地が面する道路ごとに定められた土地の価格である路線価を基に、不動産の評価を行う方法です。路線価は、国税庁の路線価図・評価倍率表で確認できます。

倍率方式:路線価がない場合は倍率方式で評価

倍率方式は、固定資産税評価額に、その土地で定められた倍率をかけて評価額を算出する方法です。土地の面積や形状、立地条件などによって倍率が異なり、市場動向や需要供給の状況によって変動します。

土地の相続税を軽減できる控除・特例と適用要件

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土地を相続するときには相続税が課税されますが、相続税を軽減できる控除や特例がいくつかあります。

  • 小規模宅地等の特例
  • 配偶者控除
  • 未成年者控除
  • 障がい者控除
  • 贈与税額控除
  • 相次相続控除

それぞれどのような場合にどのくらい税金を抑えられるのか解説します。ご自身が当てはまるか確認してみてください。

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例とは、相続税における土地の評価額を80%か50%減額できる制度です。相続税の対象となる金額が小さくなるので、節税につながります。

小規模宅地等の特例が適用できる土地は以下の3種類で、それぞれで上限面積と減額割合が異なります。

  • 特定居住用宅地等:自宅の敷地
  • 特定事業用宅地等(特定同族会社事業用宅地を含む):店舗等
  • 貸付事業用宅地等:貸付事業に使用されていた土地

特定居住用宅地等は、自宅の敷地を配偶者や親族が相続したものです。面積の上限は330㎡、減額割合は80%と決められています。

特定事業用宅地等(特定同族会社事業用宅地を含む)とは、店舗等を一定の親族が相続したものです。面積の上限は400㎡、減額割合は80%です。

貸付事業用宅地等は、被相続人の貸付事業に使われていた土地です。貸付事業とは、駐車場業や不動産貸付業のことを指します。面積の上限は200㎡、減額割合は50%です。

小規模宅地等の特例は相続税を抑えられる便利な制度ですが、適用には上記以外にも細かい規定があるので、活用したい方は税理士に相談してみてください。

配偶者控除

配偶者控除とは、配偶者から贈与や相続を受けた場合に、一定の金額までであれば財産を非課税にできる制度です。

相続のときは、最大で1億6,000万円以下であれば非課税となります。

未成年者控除

未成年者控除とは、相続人が未成年である場合、以下の式で求められる金額を相続税額から控除できる制度です。

(18歳-相続開始時の年齢)×10万円

相続開始時の年齢については、1年未満の期間は切り上げて1年と見なします。例えば、相続人が14歳3ヶ月のときは15歳とし、(18歳-15歳)×10万円=30万円が相続税額から差し引かれます。

なお、相続税額より控除額が大きくなり控除しきれない際は、扶養義務者の相続税額から控除することが可能です。

障がい者控除

障がい者控除とは、相続人が障がい者である場合、一定の金額を相続税額から控除できる制度です。控除できる金額は、一般障がい者と特別障がい者で異なります。

一般障がい者:(85歳-相続開始時の年齢)×10万円

特別障がい者:(85歳-相続開始時の年齢)×20万円

未成年者控除と同様に、相続開始時の年齢については1年未満の期間は切り上げとなり、控除しきれない分は扶養義務者の相続税額から控除されます。

贈与税額控除

贈与税控除とは、相続開始前の3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合、贈与したときに払った贈与税額を相続税額から差し引ける制度です。

ただし生前贈与加算という制度により、相続開始前の3年以内に贈与を受けた財産は相続税の対象となる財産に加算されます。生前贈与加算によって二重で税金がかからないように贈与税が控除されるのです。

なお、贈与税において累計で2,500万円までの財産を非課税にできる相続時精算課税の適用を受けた贈与税も同じ扱いとなります。

相次相続控除

相次相続控除とは、今回の相続開始前10年以内に相続税を払っていた場合、一定の金額を相続税額から控除できる制度です。

相次相続で控除できる金額の算出方法は複雑なので、詳しく知りたい方は税理士に相談してみてください。

土地の相続税を支払うまでの流れ

手続き

土地の相続税を支払うには、主に以下の手続きを行います。

  • 遺言書を確認する
  • 相続人を確定する
  • 相続財産を確認して財産目録を作成する
  • 遺産分割協議を行う
  • 相続財産の名義を変更する相続登記を行う
  • 相続税を申告・納付する

聞きなれない言葉が多くイメージしにくいかもしれませんが、一つひとつ丁寧に解説するのでご安心ください。

遺言書を確認する

まず初めに、遺言書の有無を確認しましょう。遺言書があれば、その内容に基づいて相続の手続きを進めなければなりません。遺言書にて、相続人や財産分割の方法が指定されている場合があります。

遺言書がなければ相続人全員で遺産分割協議を行いますが、もし遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合は遺言書に従います。

遺言書には「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があり、遺言の種類や保管場所によって、家庭裁判所で遺言書の状態や内容を確認する「検認」の手続きが必要となる場合があります。

相続人を確定する

法定相続人を確定することも必要です。誰が法定相続人となるかは、被相続人が生まれてから死亡するまでの戸籍謄本で確認することができます。

遺産分割協議を行ったあとに新たな法定相続人がいることが判明した場合、遺産分割を再度行わなければならないため、法定相続人の確定は慎重に実施しましょう。

相続財産を確認して財産目録を作成する

次に相続財産を確認します。相続手続きをスムーズに行うため、相続財産を一覧でまとめる「財産目録」も作成した方が良いです。

財産目録には、不動産以外の預貯金や自動車などのプラスの財産と、住宅ローン、家賃などのマイナスの財産も記載します。

相続財産に不動産が含まれるかどうかは、市区町村から届く固定資産税の「課税明細書」か、市区町村の役所(東京23区は都税事務所)にて取得できる「名寄帳」の写しで確認することができます。

遺産分割協議を行う

遺言書がない場合は、遺産分割協議を行います。遺産分割協議では、相続人全員で遺産の分割について話し合い、合意を形成します。

遺産分割協議により分割内容を決定できたら、遺産分割協議書を作成しましょう。遺産分割協議書には、不動産を含む財産を誰がどのように相続するか記載し、相続人全員の記名捺印が必要となります。

相続財産の名義を変更する相続登記を行う

遺言書や遺産分割協議により不動産の相続人が決まったら、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する手続きが必要です。この手続きを「相続登記」といいます。

相続登記を行う際には、登録免許税を払わなければなりません。相続の登録免許税の金額は、「固定資産税評価額×0.4%」です。その他に、戸籍謄本、住民票などの必要書類を取り寄せる費用も発生します。

相続税を申告・納付する

相続税の申告書の提出と納付は、原則として相続人が相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。期限内に申告と納付ができなければ、無申告加算税や延滞税がかかったり、相続税に関する特例が適用できなかったりするので注意しましょう。

ただし、相続税額が10万円を超えていること、申告期限までに延納申請書を提出することなど、いくつかの要件を満たせば延納が認められます。

ここまでの流れが不動産相続の主な手続きですが、「大変そうだ」と感じた方が多いのではないでしょうか。自分で進めるのが不安な方は、相続に強い税理士を探せる「ミツモア」を利用することがおすすめです。

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土地を相続するときの注意点

注意点

土地を相続するときに、主に注意したいポイントを2点挙げます。

  • 相続登記を期限内に行わないと過料の可能性がある
  • 土地の時価が違うとトラブルになることも

「注意点を知らなかったせいでのちのち損をした…」、「トラブルになってしまった…」ということがないように、それぞれの内容を認識しておきましょう。

相続登記を期限内に行わないと過料の可能性がある

令和6年4月1日から相続登記、すなわち相続財産の名義変更が義務化されました。家を相続したときは、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。

正当な理由なく期限内に登記しなかった場合、10万円以下の過料が科せられる対象となってしまいます。正当な理由として認められるのは、相続人が非常に多く、戸籍謄本などの必要書類の収集や他の相続人を把握するのに時間がかかってしまうケースなどです。

過料の対象とならないように、相続登記は早めに済ませましょう。

土地の時価が違うとトラブルになることも

土地の相続税を算出する際の土地の評価額は、路線価方式か倍率方式で決まります。しかし、土地を売却するときの時価はこの評価額とは異なります。相続税における評価額だけで土地を相続する人を決めると、後から売却するときに財産の価値の違いで揉め事が起きるかもしれません。

そのため、土地の価値を正しく知っておくことが重要です。「ミツモア」を使えば、いくつかの簡単な質問に答えるだけで、不動産会社に無料で一括査定を依頼することができます。土地にどれくらいの価値があるか知りたい方は、ぜひ利用してみてください。

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相続は税理士に相談しよう

握手

土地を相続するときには、相続税と登録免許税が課されます。相続税の金額を知るためには「課税遺産総額を算出する→相続税の総額を算出する→各人の相続税額を算出する」という手順を踏まなければならず、計算が難しいです。

相続税を軽減できる制度には、小規模宅地等の特例、配偶者控除、未成年者控除、障がい者控除、贈与税控除、相次相続控除がありますが、これらの控除額などの計算もそれぞれ異なるので、初めての方は困惑するかもしれません。

そのため、土地を相続するときの税金について、確実にかつスムーズに手続きを進めたい方は税理士に相談することがおすすめです。プロに相談したい方は、相続に詳しい税理士を探せる「ミツモア」をぜひ利用してみてください。

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