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死亡後の手続きは何から始めればいい?効率的に行うポイントは?

最終更新日: 2022年11月14日

大切な家族が亡くなったとき、公的なものから私的なものまでさまざまな手続きを行う必要があります。そのようなときに慌てず行動できるように、死亡後に必要な手続きをまとめました。

この記事を監修した専門家

ファイナンシャルプランナーCFP®認定者/相続診断士
宮﨑真紀子

死亡後の手続きを一覧でチェック

鉛筆とカレンダーとチェックリストと数珠

死亡後に必要な手続きを一覧にまとめました。

故人の立場によっては必要ない手続きもありますが、死亡後すぐの葬儀会社の選定・打ち合わせ、7日以内の死亡届の提出と埋火葬許可証の受け取りは誰であっても必要です。

期限 手続き内容
死亡後すぐ 葬儀会社の選定・打ち合わせ
7日以内 死亡届の提出
埋火葬許可証の受け取り
5日~14日以内 健康保険の資格喪失届
遺族の健康保険への加入
国民年金・厚生年金の停止
介護保険資格喪失届の提出
世帯主の変更手続き
3カ月以内 相続放棄・限定承認の手続き
4カ月以内 故人の所得税に関する申告
10カ月以内 相続税の申告・納税
2年以内 葬祭費・埋葬料の申請
高額療養費の申請
死亡一時金を請求
3年以内 死亡保険金を請求
5年以内 未支給年金の受給
遺族基礎年金・遺族厚生年金の受給
その他 パスポート・クレジットカードの解約

死亡後すぐに行うべき手続き

死亡届と万年筆

死亡後にまず行わなくてはならないのが、葬儀社の選定と、死亡届の提出です。

葬儀会社の選定・打ち合わせ

病院で亡くなった場合は、遺体の搬送のため、すぐに葬儀会社を決める必要があります。葬儀会社は基本的に24時間対応なので、電話で連絡すれば迎えに来てくれます。病院が提携している葬儀会社に遺体搬送だけしてもらい、その後葬儀を行う葬儀社を決めてもよいでしょう。

なるべく相見積もりをして、以下のポイントを確認するのがおすすめです。

  • 見積もりプランがわかりやすく明確か
  • 信頼できる担当者か・葬祭についての知識度
  • 口コミや評価がよいか
  • 契約を急かさないか
  • 請負契約書などの適正さ

時間がない際は、一括見積ができるミツモアの見積もりサービスも利用してみてください。

葬儀会社を決めたら葬儀の日取りや会場、規模などの打ち合わせを進めます。菩提寺への連絡も、この段階で行いましょう。

関連記事:失敗しない葬儀社の選び方を解説。トラブルを避けるポイントは

死亡診断書(死体検案書)を受け取る

「死亡診断書」は医師が作成する、「人間の死亡を医学的・法律的に証明する書類」です。持病で治療を受けていたり入院していたりした場合には、その場で発行されます。記載されるのは故人の氏名・性別・生年月日のほか、死亡日時や場所、死因などです。

自宅で亡くなった場合や、事故死や突然死などの場合には、警察医や監察医による検視で事件性の有無、検案で死因が特定できれば「死亡検案書」が発行されます。記載内容は、死亡診断書と基本的に同じです。

死亡診断書(死体検案書)は配偶者や家族など、故人に近しい人が受け取ります。さまざまな手続きに必要になる書類なので、コピーを多めに取っておくようにしましょう。

関連記事:死亡診断書とは?必要になる場面や役割、再発行についても解説

死亡届の提出と埋火葬許可証の受け取り

死亡診断書を受け取ったら、故人の本籍地か死亡地、または提出する人の居住地の、いずれかの役所の戸籍係に「死亡届」を提出します。

死亡届と死亡診断書は用紙が一体になっているので、必要事項を記入して提出しましょう。もし書式が異なり死亡届の用紙がない場合は戸籍係の窓口でもらうか、提出する自治体のウェブサイトからダウンロードして用意します。

死亡届は死亡した日または、死亡の事実を知った日から7日以内が提出期限ですが、火葬するのに必要な「埋火葬許可証(自治体によっては火葬許可証)」は、死亡届を出さないと受け取れません。そのため死亡届は死亡した当日や、翌日の提出というケースがほとんどです。

なお火葬後に押印された埋火葬許可証は、5年間保管しましょう。

関連記事:死亡届の書き方や提出先は?詳しく知り手続きをスムーズにしよう

葬儀費用の精算・支払い

葬儀費用の精算・請求は、葬儀の翌日以降に行われるのが一般的です。請求書が届いたら期限内に支払いましょう。1週間から10日以内を支払い期限としている葬儀会社が多いようです。

支払方法は現金や銀行振込、クレジットカードなど、葬儀会社が指定する方法で行います。葬儀ローンに対応している会社もあるので、支払いの負担が大き過ぎるという場合には、相談してみるとよいでしょう。

領収書は市区町村に葬祭費の支給を申請したり、健保組合に埋葬料を請求したりする際に必要です。基本的に再発行は不可なので、必ず保管しておくようにしましょう

死亡後5日~14日以内に行うこと

棺と葬儀社のスタッフ

手続きの中には死亡後すぐに行う必要はなくても、期限が設定されているものもあります。うっかり期限を過ぎてしまうことのないように、葬儀が終わったら、なるべく早く済ませておきたい手続きについて、知っておきましょう。

健康保険に関する手続き

故人が健康保険の被保険者であった場合は、市区町村(国民健康保険)や勤務先(協会けんぽなど健保組合)に、死亡した旨を連絡します。国民健康保険は死後14日以内、健保組合では5日以内が期限です。

ただし国民健康保険の場合には、死亡届の提出と同時に、資格喪失の手続きが行われるケースがほとんどです。そのため別途手続きの必要はありませんが、市区町村に保険証、もしくは「後期高齢医療被保険者証」を返還しなくてはなりません。

協会けんぽなど健保組合では故人の勤務先の担当者が、手続きを進めてくれるケースが一般的です。例えば協会けんぽでは「埋葬料(費)支給申請書」を提出することで、資格喪失手続きになります。

遺族の健康保険への加入・変更

家族が故人の健康保険の扶養に入っていた場合は、新たに被保険者として加入したり、子どもを扶養に入れたりする必要があります。期限は死後14日以内です。

ただし国民健康保険、後期高齢者医療保険、健保組合など種類にかかわらず、死亡の翌日には資格喪失となるため、早急に手続きをしなくてはなりません。

例えば父親が会社員で協会けんぽに加入しており、母親と子どもがその扶養に入っていた場合、父親が死亡すると、残された家族全員の資格が喪失します。

母親が働いていない場合には、子どもも含めて国民健康保険への加入が必要です。居住地の市区町村の役所に、全員分の加入届を提出することで、新たに国民健康保険の被保険者証が交付されます。

国民年金・厚生年金に関する手続き

国民年金や厚生年金の受給者が死亡すると、受給資格が喪失します。国民年金は死後14日以内、厚生年金は10日以内に、年金事務所または年金相談センターに「受給権者死亡届(報告書)」を、提出しなくてはなりません

その際には戸籍抄本や死亡診断書のコピーなど、受給者が死亡したことを、証明する書類も必要です。

また年金受給者が亡くなった時点で、まだ受け取っていない年金や、亡くなった後に支給される年金のうち、亡くなった月までの分は、家族が受け取れます。

介護保険に関する手続き

故人が第1号被保険者(65歳以上)または、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)で、要支援・要介護認定を受けていた場合は、死後14日以内に居住地の市区町村の介護保険担当窓口で、手続きを行います

「介護保険資格喪失届出」と併せて「介護保険被保険者証」を返還しましょう。第2号被保険者でも要支援・要介護認定を受けていなければ、手続きの必要はありません。

介護保険料を納めていた場合は、資格喪失日の前月分までを、月割りで再計算されます。その結果納め過ぎとなれば、その分が家族に返還されます。

「還付通知書」が届くので、必要事項を記入して返送しましょう。ただし不足分や未納分を、家族が負担しなくてはならない場合もあります。

世帯主の変更手続き

同じ住所に住んでおり、生計を同一にする家族を「世帯」といい、世帯主はその代表者です。故人が世帯主だった場合は、家族の誰かが新たに世帯主にならなければなりません

故人の死後14日以内に変更手続きが必要です。「世帯主変更届(住民異動届)」に本人確認書類を添えて、居住地の市区町村の役所に届け出ましょう。

ただし世帯主の死亡によって、残った世帯員(家族)が一人になる場合は、変更手続きは不要です。また委任状があれば、代理人でも手続きが可能なので、忙しくてなかなか行けない場合には、親族などに頼んでもよいでしょう。

死亡後3カ月以内~5年以内に行うこと

クリップで留めてある書類

故人との関係によって行わなくてはならない手続きや、人によっては必要な手続きもあります。

比較的期限に余裕のある手続きもありますが、該当する場合には忘れないよう、早めに済ませておきましょう。手続きの種類と期限、提出先は以下です。

手続き 期限 提出先
相続放棄・限定承認の手続き 3か月以内 家庭裁判所
故人の所得税の確定申告 4か月以内 税務署
相続税の申告と納付 10か月以内 税務署
葬祭費の請求(国民健康保険の被保険者) 2年以内 市区町村役場
埋葬料の請求 2年以内 社会保険組合
高額療養費の申請 2年以内 市区町村役場
死亡一時金の請求 2年以内 市区町村役場
死亡保険金の請求 3年以内 保険会社
未支給年金の受給 5年以内 年金事務所
遺族基礎年金の受給 5年以内 市区町村役場
遺族厚生年金の受給 5年以内 年金事務所

その他必要な手続き

喪服姿の女性が預金通帳を見ている

故人の運転免許証やパスポートの手続き

運転免許証は有効期間内であったとしても、基本的に返納手続きは不要です。故人の形見として手元に置いておけます。

ただし「運転免許証更新通知書等」が届くので、停止したい場合には運転免許試験場や運転免許センター、最寄りの警察署の交通課などで返納しましょう。

故人の運転免許証と併せて、死亡診断書のコピーなど、故人が死亡したことを証明する書類と、申請者の身分証明書を持参すれば、即日で手続きが可能です。

パスポートは名義人が死亡した時点で、効力を失います。そのため特別な手続きは必要ないと思われがちです。しかし盗難に遭って偽造されたり、悪用されたりした場合のリスクを考えれば、失効手続きをしておくべきでしょう。

手続きは旅券事務所に故人のパスポートと、死亡したことを証明する書類、申請者の身分証明書を持参し、返納届を提出するだけです。パスポートを手元に残したい場合には、窓口で相談してみましょう。

クレジットカード類の解約手続き

名義人が死亡した場合、ほとんどのクレジットカード会社では、解約または退会と規定されています。そのため家族が解約手続きをしなければなりません。

「使わないから」とそのままにしておくと、年会費を自動的に引き落とされる場合があるためです。盗難や不正アクセスによる不正利用のリスクも、ゼロではありません。

またクレジットカードそのものは相続の対象にはならないので、注意が必要です。たとえ家族であっても、故人のクレジットカードを使うのは、規約違反とされています。

解約手続きはカード会社によって異なるので、まず故人が使っていたクレジットカードを特定し、問い合わせてみるとよいでしょう。

故人の預貯金口座はどうする?

金融機関は口座名義人の死亡を知ったら口座を凍結します。

故人の預貯金は相続財産なので、たとえ家族でも凍結前に口座から勝手に引き出すと、単純相続したと見なされます。そのため故人に負債があることが判明し、相続放棄したいと考えたとしても、できない事態に陥るでしょう。

また別の家族や親族が無断で引き出してしまう可能性も、ゼロではありません。金融機関に連絡して、故人名義の口座は使えない状態にしておく方が、無難でしょう

相続の手続きが完了すると口座の凍結が解除され、預金の払い戻しなどが行われます。手続きには数日から数週間かかる場合もありますので、注意したいところです。

死亡後の手続きを効率化するポイント

緑の中にチェック印のブロックが積んである様子

死亡後の手続きは多岐にわたるため、市区町村の役所や年金事務所など、あちこちに足を運ばなくてはなりません。

少しでもスムーズに進めるために、効率化のポイントを紹介します。

やるべきことを全て書き出す

抜けや不備を防ぐために、死亡後の手続きに関する項目を全て書き出しておきましょう。手続きだけでなく必要な書類や、行かなくてはならない場所などもリスト化すると、見やすいだけでなく関係者間で共有もできます。

例えば身の回りのことだけでもガスや電気、水道など、故人の名義になっている契約は名義変更が必要です。生命保険に入っている場合は、死亡保険金の請求もしなくてはなりません。故人の名義のローンがあれば所定の手続きが必須です。

まずは思い付く項目を書き出していき、整理しながら優先順位の高い順に、対処していくとよいでしょう。

手続きのスケジュールを立てる

公的な手続きは期限のあるものがほとんどです。とたえば死亡届は故人が死亡した日または死亡を知った日から7日以内に、提出しなければなりません。死亡届を出さないと火葬ができないだけでなく、戸籍法第137条1項に基づき5万円以下の過料が科されます。

また故人が世帯主だった場合は、死後14日以内に世帯主の変更手続きが必要です。期限内に新しい世帯主を立てないと、住民基本台帳法に基づき同じく、5万円以下の過料が科されます。

このような事態にならないよう、手続きの期限を書き出すなどして把握し、余裕のあるスケジュールを立てましょう。何カ所か行かなければならない場合は、できるだけ効率的に回れるルートを考えるのが、おすすめです。

証明書や領収書などはきちんと保管しておく

公私を問わず手続きのほとんどで、証明書や領収書などが必要になります。死亡届を出すには死亡診断書が必要で、火葬するためには埋火葬許可証が不可欠です。

また運転免許証やパスポートの返納には、死亡診断書のコピー、葬祭費の支給申請には葬儀費用の領収書などの提出が、求められます。

証明書や領収書を受け取ったら、紛失しないようにきちんと保管しておきましょう。再発行は基本的に不可か、可能でも時間がかかるケースが多いので、手続きができなくなったり、期限に間に合わなくなったりする可能性があります。

専用の箱やファイルなどを1つ用意して、まとめておくのがおすすめです。

代行が可能な手続きもある

死亡後の手続きには代行が可能なものもあります

たとえば死亡届の届出人になれるのは、故人の親族・同居人など近しい関係の人だけです。しかし窓口に持参するのは、代理人でも構わないとされています。近年では葬儀会社が死亡届の提出と、埋火葬許可証の受け取りを代行してくれる場合がほとんどです。

手続きに必要になるケースが多い戸籍謄本も、委任状があれば代理人が取得できます。遺族が市町村役場に赴かなくても済むので、何かと忙しい葬儀の前後には代行を依頼するとよいでしょう。

専門家に相談するのもおすすめ

死亡後の手続きに慣れているという人は、あまりいないでしょう。突然の出来事に戸惑ってしまうのは当然といえます。忙しい中あれこれと悩むよりも、分からないことがあったら、まず葬儀社に相談してみるのがおすすめです。

ミツモアなら多くの専門家に、チャットを通じて相談できます。簡単な質問に答えると、最大5つの事業者から見積もりが届くので、じっくり比較検討することが可能です。「葬儀や死亡後の手続きを執り行うのが初めてで、何も分からない」という人も、活用するとよいでしょう。

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優先順位を確認しておくことが大切

喪服姿で縁側の椅子に座っている男性

死亡後の手続きは決して簡単とはいえません。家族が亡くなったという混乱の中、手探りで進めなくてはならないことも、あるでしょう。

そんなときは手続きに、優先順位を付けるのがおすすめです。すぐにやるべき項目、期限のある項目、葬儀の後でもいい項目などに分類して、順番に進めていけば、抜け漏れを防げるでしょう。

家族だけでは手が回らない場合は、親類や親しい友人、専門家などの協力を仰ぐのも1つの方法です。必要な手続きを忘れていた、期限までにできなかったという事態にならないよう、確実に進めていきましょう。

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監修者:宮﨑真紀子

ファイナンシャルプランナーCFP®認定者/相続診断士

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身内の方が亡くなられた際、休む間もなく多くの手続きが発生します。特に相続に関する手続きは、期限を過ぎると延滞税を支払うことになるため注意しましょう。遺産のやりとりが発生する際には、税理士など専門家に相談するのもおすすめです。