家族葬は親戚や、故人と特に親しかった人のみで行われる小規模なお葬式の形式です。
「家族葬」という名前ですが、参列できる方は家族に限られません。故人と関係の深い方のみでゆっくりと最期の時間を過ごすお葬式の形式という意味で使われることが多いです。
本記事では、家族葬にかかる費用や家族葬の流れ、家族葬を行う場合の注意点などを解説します。
この記事を監修した専門家
日本葬祭アカデミー教務研究室 代表
二村祐輔
家族葬とは?
親族や限られた友人とともに、少人数でお見送りするお葬式が家族葬です。
明確な定義はありませんが、公正取引委員会では「参列者50名未満の親族や親しい友人など親しい関係者のみが出席して執り行う葬儀。通夜・告別式、火葬などは一般葬と同様に執り行われる。」(引用)と、参列者50名未満を家族葬としています。
引用:公正取引委員会「葬儀の取引に関する実態報告書」 |
お葬式には一般葬・家族葬・一日葬・火葬式(直葬)などの種類があります。
通夜(火葬の前日に行う式)・翌日の葬儀や告別式(火葬前に行う式)を両日行う場合、参列者の人数によって、一般葬と家族葬に分けられます。
- 一般葬(参列者が多い場合には一般葬と呼ばれる)
- 家族葬(参列者が少ない場合には家族葬と呼ばれる)
通夜を行わない場合は、「葬儀と告別式だけを一日で行う一日葬」と「火葬のみを行う火葬式(直葬)」に分けられます。
- 一日葬(通夜は行わず、葬儀と告別式のみ行う葬儀)
- 火葬式(火葬のみで、炉前で読経をすることもある)
費用面は、一般葬>家族葬>=一日葬>火葬式の順に高額になるのが一般的です。
お葬式の種類ごとの詳細は下記ページにて解説しています。
関連記事:葬儀の種類について|ミツモア |
コロナ禍や核家族化により、お葬式も小規模な家族葬が増えてきています。
ミツモアで実施したアンケートでも、家族葬を実施された方が46%と、一般葬の38%よりも多い結果でした。
基本的な流れは一般葬と変わらない
先ほど紹介したように、家族葬と一般葬の違いは参列する人数にあります。葬儀の内容や流れについては、家族葬と一般葬は変わりません。「家族葬といっても、特別な準備が必要なわけではない」ということを頭に入れておきましょう。
友人が参列しても問題ない
「家族葬だと友人や知人を葬儀に呼ぶことは難しいのでは・・・」と考えている方はいませんか。実は、故人の友人や知人に家族葬に参加してもらうことは、なんら問題ありません。
家族葬とは「家族だけで行う葬儀ではなく、故人と縁の深い人たちだけで行う葬儀」と考えておくと良いでしょう。家族葬は参列者数が少ないため、1人の参列者が遺族と共に故人を偲ぶ時間を長く取れます。
家族葬の費用相場と内訳(喪主経験者508人のアンケートより)
ミツモアで行ったアンケート調査によると、家族葬を挙げる際に実際に支払った費用は平均88.5万円でした。
この金額は、葬儀社に支払った金額、飲食・返礼品の代金、斎場・火葬場使用料の合計費用です。なお、同アンケートで調査したお布施を除く一般葬の平均費用は147.9万円でした。家族葬の方が費用を約60万円抑えられる傾向です。
※ミツモア調べ『葬儀・斎場に関するアンケート(2022年9月)』(n=508名)
こちらに加え、僧侶などの宗教者を手配する場合にはお布施が必要です。家族葬でのお布施の金額は一般的に10~20万円であることが多いので、宗教者に来ていただく場合の家族葬の総費用は100万円前後を目安にするとよいでしょう。
斎場や祭壇が家族葬に合わせた規模になり、また返礼品や飲食費を抑えられるため、家族葬の方が費用を抑えられます。ただし参列者が少ないため香典は少ないです。そのためトータルでの出費で考えると、一般葬よりも支出割合が増える可能性はあります。
葬儀本体にかかる費用について
葬儀本体にかかる費用は、家族葬では40~60万円が相場です。
一般葬と比較して参列者が少ないため、小さな斎場となり、祭壇も斎場に合わせた大きさになることから、一般葬よりも費用を抑えられます。
家族葬に限りませんが、葬儀では祭壇や花、棺などのオプションにより費用が変わるため、葬儀屋に見積もりを取ることで、正確な金額を把握することが可能です。
葬儀本体費用には、斎場・葬儀用具・棺・納棺用品・祭壇・遺影・寝台車・霊柩車などが含まれます。
関連記事:葬儀の用語について|ミツモア |
また葬儀本体費用に加え、火葬場の使用料金が地域によっては必要です。
火葬を行う地域や、公営火葬場か民営火葬場かによって金額が変わるため、地域の火葬手配に慣れている葬儀屋に相談するとよいでしょう。
公営火葬場であれば無料~4万円、民営火葬場であれば3~7万円以上が火葬料金の相場です。
なお東京の民営火葬場は火葬料金が高い傾向があります。公営でも、たとえば東京都営の火葬場である瑞江葬儀所では、7歳以上の火葬の都民料金が59,600円です。
さいたま市の公営斎場の浦和斎場では、市民であれば12歳以上の火葬が7,000円で実施できます。このように、同じ公営斎場でも金額に大きな差があります。
飲食接待にかかる費用の相場について
通夜で参列者のために用意する「通夜振る舞い」や、葬儀式後の「お斎」、「精進落とし」、また会葬のお礼として渡す「会葬返礼品」や、香典を受け取った際に渡す「香典返し」にも費用がかかります。
家族葬の飲食費や返礼品費は、10~20万円が目安です。遠方から参列する人がいる際は、場合によって交通費や宿泊費が必要になります。
飲食接待費は参列者の人数によって大きく変わることから、葬儀社のプランに含まれていない場合が多いです。そのため、予想よりも全体費用が高額になったと感じる理由の1つに挙げられます。
お布施にかかる費用の相場について
読経や戒名授与を宗教者にお願いする場合は、お布施をお包みするのが一般的です。相場の目安は宗旨宗派や寺院の格式などによって千差万別です。心づもりとしては10~20万円、またはそれ以上を考えておきましょう。
お布施は喪主から宗教者に直接渡すものであり、葬儀社の見積もりには含まれていません。いくら渡せばよいのか不安な場合は、地元の相場を聞いたり、僧侶に直接相談したりしましょう。
家族葬の流れ
家族葬では、通夜、葬儀・告別式を行うため2日間に渡って式を行います。
参列者の多い一般葬と比較すると、家族葬は参列者対応の時間が少ないため、故人を見送る時間を増やすことができます。
家族葬の流れの概要
ご逝去後から火葬までに行うことの流れ | |
危篤・臨終 | 医師が死亡診断します。火葬許可証の取得のため、死亡診断書の受け取りが必要です。 |
葬儀屋への連絡 | 事前に葬儀社に依頼している場合にはその葬儀社に連絡しましょう。その際、病院から葬儀社を勧められることもありますが、はっきりと断ることも大切です。 |
安置場へ搬送・安置 | 自宅や斎場にご遺体を搬送し、ご遺体の保全のためにドライアイスで処置して安置保管します。 |
葬儀の打ち合わせ | 式の種類、規模などを決めます。家族葬にされたい場合にはここでお話ししましょう。 |
湯灌・納棺 | ご遺体を棺に納める前に、清拭や湯灌(ゆかん)をすることもあります。その後、納棺します。 |
通夜 | 式の前日に故人と最後の夜を過ごします。 |
葬儀・告別式 | 葬儀では導師による読経や会葬者のお焼香がなされます。告別式は、故人との最後のお別れの場です。 |
出棺 | 式場から火葬場へ霊柩車で搬送します。 |
火葬・納骨 | 火葬場で、荼毘に付しその後拾骨、骨壺に納めます。 |
家族葬の流れの詳細
ご逝去後、安置場所に搬送し、ご遺体を安置
病院では医師から死亡診断書を受け取ります。あらかじめ決めておいた葬儀社に連絡しましょう。葬儀社から寝台車が迎えに来ます。寝台車には遺族が1~2名同乗することが可能です。
病院では専用の霊安室などがないと長くは院内におけないことが多いため、早めに搬送して、ご自宅や斎場などでご遺体を安置します。
かつては自宅に安置するのが主流でしたが、住環境の変化や近隣への影響などにより、近年は葬儀社や火葬場の安置室を利用するケースも増えています。
葬儀社によっては安置室に到着する前に、自宅の前を通ったり、思い出の場所に立ち寄ったりしてもらえますので、最期に故人に見せたい場所があれば葬儀社に伝えましょう。
お葬式の打ち合わせ
ご遺体の安置が済んだら、葬儀社と式の流れについて打ち合わせを行います。斎場やお葬式の形式、日程やプランなどの全体の施行方法を決めましょう。
菩提寺(先祖代々のお墓のあるお寺)がある場合には、まず僧侶に連絡し、宗教者の予定を確認した上で日程を決めるのがおすすめです。
ご逝去後に初めてお葬式の具体的な打ち合わせを行う場合は、慌てないで時間の余裕を見ておくことが必要です。
大切な人を亡くした直後は考えがまとまらない可能性もあるため、葬儀社にはなるべく事前相談しておくことをおすすめします。
湯灌(ゆかん)の儀・納棺
故人を棺に納める前に行う儀式として、湯灌(ゆかん)の儀があります。湯灌はこの世からあの世へ移す意味がある、とても大切な儀礼です。できるだけ故人と縁の深い人が立ち会って、棺に納めると良いでしょう。
水の中にお湯を入れ、ふだんとは違う手順で故人の身体を清拭します。その後、死に装束や死に化粧をすることもあります。
死に装束は、「経帷子(きょうかたびら)」ともいわれる、昔の旅支度です。故人が生前に馴染んだ服装をさせることもあります。そのような洋服や着物があれば準備しておきましょう。
また故人の愛用品などを副葬品として一緒に納めることもありますが、中には火葬の禁止品もありますので、葬儀社の指示に従います。
お通夜
家族葬でのお通夜の流れは、弔問者の受付・開式の挨拶・読経・焼香・閉式の挨拶の順です。通夜の閉式後は通夜振る舞いに移ります。
家族葬では参列者が少ないため、焼香時間が短く通夜自体も1時間以内で終わるでしょう。通夜振る舞いの時間を含めても、全ての所要時間は2~3時間程度です。
参列者からの香典を辞退する場合は、通夜の前に受付に伝えておく必要があります。通夜と葬儀に同じ宗教者が来る場合、お布施は翌日に渡しても問題ありません。
葬儀・告別式・お別れの儀式
葬儀と告別式は通夜の翌日に行う儀式です。読経・焼香・お別れの時間の流れで進行します。
家族葬の場合でも基本的には喪主からの挨拶を行うので、喪主を務める方は準備しておきましょう。
焼香は喪主・遺族・参列者の順に行います。家族葬なら焼香は30分程度で終わるでしょう。友人からの弔電がある場合は、告別式中に読み上げられます。
告別式のあとに行うのがお別れの儀式です。棺にあらためて愛用品や花を入れます。宗派によっては、棺封印の儀礼として「釘打ちの儀」(身近な人が順次、三回、釘の頭を石で打つなど)を行います。その後、喪主が出棺の挨拶をすれば告別式は終了です。
家族葬では、親族のご意向や地域の風習に沿ってさまざまな形で葬儀や告別式が行われるケースが多いでしょう。
また宗教色を排除したスタイルなら、読経や焼香は行われません。無宗教で葬儀を行う場合には、葬儀屋と相談して、故人並びにご遺族が満足できる式の流れを決めましょう。
出棺・火葬・精進落とし
葬儀・告別式が終わったら、棺を霊柩車に載せて、火葬場に向かいます。助手席に喪主が位牌をもって乗車するのが一般的です。
霊柩車は車種によって同乗の制限があるので、乗れる人数を確かめておきましょう。
僧侶や一部会葬者も火葬場に行く場合は、自家用車や用意されたマイクロバスで移動します。
僧侶が同行する場合には炉前で読経が行われ、喪主から順にあらためて焼香します。
火葬の時間は火葬場にもよりますが、1時間~2時間程度です。火葬中の控室では、茶菓子等で参列者をもてなします。
火葬が終わったら拾骨(お骨上げ)です。お骨上げは地域の慣習があるため、係員の説明に従い、骨壺に納めましょう。
火葬が終わると「お斎」や「精進落とし」の会食を、葬儀社の施設や地域のレストラン・宴会場で行います。家族葬の場合はそれらの会食を省略して、拾骨後、火葬場で解散となるケースもあるでしょう。
家族葬のメリット
家族葬は一般葬と比べ、故人との最期の時間をゆっくりと過ごせることや、故人の想いをお葬式に反映しやすいことがメリットです。
お別れのときをゆっくりと過ごせる
一般葬の場合は多数の会葬者で気ぜわしくなることも多く、想いを整理できないまま終了してしまうこともあります。
しかし参列者が少ない家族葬なら、しみじみとした時間の余裕が持てるでしょう。
一般葬に比べ遺族がすべきことも少ないため、落ち着いた雰囲気で、故人をゆっくりと見送れます。
故人や遺族の想いを反映できる
形式にとらわれないお葬式を実現できるのも、家族葬のメリットです。親しい人だけが集まるため、世間体を気にする必要がなく、故人の遺志や遺族の想いを葬儀に反映できます。
たとえば祭壇の種類の1つである「花祭壇」であれば、宗教や宗派にとらわれることなく、故人や遺族の好きな色とりどりの花で祭壇を飾れるでしょう。
音楽を流して故人をしのぶ「音楽葬」も人気です。故人が愛聴していた音楽を斎場内に流しながら、最期のお別れを行えます。
一般葬でも上記のような自由葬を取り入れることは可能です。しかしさまざまな人が参列するため、参列者が戸惑ったり、後から批判を受けたりする可能性もあることを考えると、内々の家族葬の方が実施に適しています。
一般葬にくらべ葬儀費用をおさえやすい
また一般葬にくらべて葬儀費用を抑えられる、というのも家族葬のメリットです。家族葬は参列者が一般葬に比べて少数です。そのため飲食接待や返礼品、参列者の交通費に掛かる費用が少ない傾向にあります。
斎場の規模も小さくて良いので、式場の予約費も少なくて済むでしょう。
家族葬のデメリット
家族葬のデメリットは、訃報連絡をしなかった方々への対応が後日発生して、場合によってはトラブルにつながりかねないことです。
事前に周囲の方々や遠方の親戚など、理解と合意を得ておくことで、トラブルを減らせます。
式後の弔問者への対応の負担が増える
家族葬では訃報の範囲を制限することもあります。また訃報連絡の際に、ご参列のご辞退をお願いするケースもあります。
故人が亡くなったことを後から知った人の中には、後日自宅へ弔問に訪れる人もいるでしょう。弔問者は不特定なことも多く、家を空けられないなど、遺族の負担が増す点がデメリットです。
また弔問者が香典や供物を持ってきた際には、お返しについても考えなければなりません。故人の生前の交友関係が広い場合は、一度に対応できる「一般葬」の方が遺族の負担を抑えられるでしょう。
親族や近隣住民とのトラブルを生む可能性も
人数を極力減らして家族葬を行いたい場合は、大半の親族を呼ばないことになるでしょう。家族葬が行われた事実を後から知った親族から「なぜ呼んでくれなかったのか」と批判されるリスクがあります。
家族葬自体に理解を得られないケースがある点にも、注意が必要です。比較的新しいスタイルである家族葬は、特に高齢者からは理解されない傾向があるため、執り行うことに対して親族から反対が出かねません。
地域のしきたりがある場合は、近隣の住民から批判される可能性もあります。近隣の人たちが葬儀や告別式に参列する風習があるなら、トラブルを防ぐために、地域の世話役といった方や葬儀社に事前に相談しておくのがおすすめです。
一般葬にくらべお香典金額が低くなりやすい
さらに家族葬は、一般葬に比べて参列者が少ないため、香典の金額が少なくなります。「香典があるから大丈夫だろう」と、葬儀にお金をたくさん使ってしまうと、お金たりなくなってしまうということもあるので注意しましょう。
家族葬がおすすめなケース
「家族葬についてある程度は理解できたけど、どうすべきか迷っている」という方にむけて、家族葬がおすすめなケースについて紹介します。
<家族葬がおすすめな場合>
- 家族や親戚、故人と親しい人だけでお見送りしたい
- 故人が生前から家族葬を希望していた
- 弔問客への対応を減らし、ゆっくり故人と時間を過ごしたい
- 親しい友人や家族だけで、故人の思い出を語り合いたい
- 参列者1人1人に、時間を掛けて丁寧なおもてなしをしたい
- 家族、親族に高齢者が多く、長時間葬儀に参列してもらうのが難しい
- 家族葬は、上記のような考えをお持ちのご遺族に適した葬儀です
ご逝去後、時間のない中で葬儀の形を決めることは、とても難しいことかもしれません。故人の生前の遺志も踏まえつつ、家族葬にするか決めると良いでしょう。
家族葬の参列マナーとは
ここでは家族葬に参列する「参列者側のマナー」について紹介していきます。
弔問を控えるべきケース
「葬儀は家族葬にて執り行います」という記述があり、葬儀の日時が記載されていない場合は、近親者のみでのお見送りとなるため、弔問は控えましょう。
ご遺族から家族葬への参列の招待があった際に、友人と共に参列したいと考える方もいるでしょう。このような場合は、事前にご遺族に同伴者と共に葬儀に参列してよいか聞いておきましょう。
服装
弔問に訪れる際の服装は一般葬と同様に、男性はブラックスーツ、女性はブラックフォーマルが良いでしょう。ご遺族や故人の遺志により服装を指定された場合は、この限りではありません。
香典マナー
家族葬の場合、ご遺族が香典を辞退するケースがあります。その場合は、香典は持参しないようにしましょう。香典に関する連絡がないのであれば、香典を持参するようにしましょう。香典の金額は、一般葬と同額で問題ありません。
香典の相場や包み方は、地域によって異なるので、葬儀の前に確認しておきましょう。
家族葬の香典について
故人に供えられる金銭や物品が香典です。香典は一般的に、ご遺族の費用負担を支援するための相互扶助の意味があります。
香典をいただいた場合は、香典の金額に応じて返礼しましょう。いただいた香典の1/3から半額程度が相場です。
家族葬の場合、香典返しの手間や負担を無くすため、香典を辞退することも多くなっています。香典を辞退したい場合には、訃報や連絡の際に前もって会葬者に伝えておきましょう。
家族葬を行う上でのマナーについて
家族葬は一般葬とは異なり参列者を限定するため、対外的な配慮が必要です。家族葬を執り行う際に、以下のポイントに気を付けておきましょう。
訃報の範囲をあらかじめ明確にしておく
家族葬は故人の遺族・親族を中心に執り行う、内々のお葬式です。そのため訃報連絡の範囲をはっきりさせておく必要があります。
会葬のお声がけをしなかった人には、後日、事後通知や季節によっては「喪中はがき」などで、家族葬で見送ったことを伝えましょう。
事前に故人の要望などがある場合は、その遺志に従って連絡の範囲を決めましょう。
会社への連絡
故人や遺族が会社員の場合は、会社にも連絡を入れる必要があります。会社に家族葬の意向を伝え、身内のみでの式とすることを伝えましょう。
香典や弔問を受け取らない場合も、その旨を伝える必要があります。
家族葬を依頼する際に確認すべきポイント
葬儀は、故人と共に過ごせる最後の特別な時間です。
やり直しができないため「値段が安かったから」「前もお願いしたから」といった理由だけで葬儀社を選んでしまうと、思っていた葬儀ができず、後悔に繋がる可能性もあります。
後悔しないためにも、ここでは家族葬を依頼する前に、確認しておくべきポイントを紹介します。
<葬儀社を選ぶ際に確認しておくべきポイント>
- 家族葬を執り行った実績が豊富か
- 見積もりを詳細まで明確に出してくれるか
- 担当者が丁寧に説明してくれるか
- 希望を聞いたうえで、複数のプランを提案してくれるか
- 契約を急かしてこないか
- 式場は参列者の数にあった大きさであるか
- 会社紹介、パンフレットが分かりやすい
- 写真付きで詳しくプランを紹介している
- 見積もり金額の内訳が明確
⇒祭壇や料理、お布施の金額など、金額の内訳が明確になっていると良い - プランとオプションを丁寧に説明してくれる
家族葬の際は、まず複数の葬儀社で相見積もりをして、費用の内訳を確認することが重要です。1社ではなく、複数の業者を比較・検討することで「相場よりもかなり高い金額になってしまった」といった事態を予防できます。
家族葬を多く扱う葬儀社を選ぶ
故人を家族葬で見送る場合は、家族葬に強い葬儀社を選ぶのがおすすめです。実績が多ければノウハウも豊富に蓄積されているため、安心してお葬式を任せられます。
最近では「家族葬専門ホール」という家族葬の参列者数に合わせた式場を保有している葬儀社もいるので、アクセスの良さや費用、担当者への印象などを考慮して葬儀社を選びましょう。
葬儀を行う業者に依頼する際、曖昧な見積もりを出す業者や、費用の内訳を提示しない業者には注意しましょう。複数の業者で相見積もりをして、詳細な金額を比較することが大切です。
ミツモアでは簡単な情報入力だけで、最大5社からの見積もりを集められます。お近くのエリアで家族葬の実績が豊富な葬儀社を見つけられるでしょう。
監修者:二村祐輔
日本葬祭アカデミー教務研究室 代表
『葬祭カウンセラー』認定・認証団体 主宰
東洋大学 国際観光学科 非常勤講師(葬祭ビジネス論)
著書・監修
- 『60歳からのエンディングノート入門 私の葬儀・法要・相続』(東京堂出版) 2012/10/25発行
- 『気持ちが伝わるマイ・エンディングノート』 (池田書店) 2017/9/16発行
- 『最新版 親の葬儀・法要・相続の安心ガイドブック』(ナツメ社) 2018/8/9発行
- 『葬祭のはなし』(東京新聞) 2022年現在連載
など多数
コメント
「家族葬」というお葬式の営み方はたいへん広く普及しています。内々で行う小規模なお葬式のイメージがあるかもしれませんが、家族葬という言葉と式施行の縮小は本来関係がありません。考えてみれば故人のお見送りは「家族」以外に誰が営むのでしょう。質素簡潔という思いが、ともすれば粗雑で簡略になってしまわないよう注意することが大切です