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家族葬でも喪主の挨拶は必要?挨拶のタイミングや例文、ポイントを紹介

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最終更新日: 2024年06月28日

家族葬でも基本的には喪主の挨拶が必要です。家族葬は遺族が参列者を選んで執り行う葬儀のため、葬儀の流れやすることは一般的な葬儀と変わりありません。

家族葬で喪主を務めることになった場合は、挨拶のタイミングや話すべき内容を押さえておけば、スムーズに準備を進められるでしょう。家族葬における喪主の挨拶に関して、シーンごとの例文やポイントを解説します。

この記事を監修した専門家

ヒロコマナーグループアドバイザー/徳島文理大学短期大学部講師
川道 映里(かわみち えり)

家族葬でも喪主の挨拶は必要

喪服姿の人たち

家族葬は基本的に近親者のみで執り行われる葬儀です。家族や親族しかいない状況でも、参列者へのマナーとして、喪主は挨拶をする必要があります

遺族の代表として、参列者に対し、参列してくださったことへの御礼や、故人との思い出などを述べましょう。

葬儀中に喪主が挨拶をするタイミングは以下の4回です。

  • 通夜の閉式時
  • 通夜振る舞いの開式時
  • 告別式の出棺時
  • 火葬後の精進落とし

ただし参列者との関係性によっては、簡単に済ませることも可能です。例えば数人で行う家族葬なら、改まった挨拶は省いてもよいでしょう。

家族葬における喪主の挨拶の例文

葬儀社の男性スタッフ

それぞれのタイミングで使える、喪主の挨拶の例文を紹介します。実際に挨拶の内容を考える際は、例文をアレンジして仕上げましょう。

お通夜の閉式時の挨拶

お通夜では一般的に、僧侶の読経や焼香が終わり、僧侶が退場した後に喪主が挨拶をします。しかし会場に応じて進行の順番が異なる場合もあるので、事前の打ち合わせで確認しておくと安心です。

挨拶には、故人とのお付き合いと参列のお礼(感謝)を盛り込みます通夜振る舞いがある場合は、食事を用意していることを案内しておきましょう。

<例文>

本日はご多用の中、亡き母の通夜へお越しいただき誠にありがとうございます。長男の○○でございます。生前に母が皆様より頂戴いたしましたご厚誼(こうぎ)につきましても、厚く御礼申し上げます。

 

母は○○年○月○日に85歳で生涯を閉じました。晩年は趣味の旅行を毎月のように楽しんでいたようです。ロビーに飾っている母の写真も、後ほどぜひご覧ください。

 

残された私たち家族にも、故人の生前同様変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。別室にてお茶やお食事を用意しておりますので、この後も故人を偲びながらお付き合いいただけますと幸いです。

通夜振る舞いの挨拶

通夜振る舞いの挨拶では、参列者に対してお礼を伝え、食事の案内を簡単に行いましょう挨拶の最後に、葬儀・告別式の案内を行っておくとより親切です。立食スタイルの通夜振る舞いでは、挨拶を省略できます。

<例文>

本日は突然のことにもかかわらず、母のためにお集まりいただき、ありがとうございました。私は長女の○○でございます。母も旅立つ前に皆様のお顔を見られて、さぞかし喜んでいることと存じます。

 

ささやかではございますが、お食事をご用意いたしました。どうぞお時間の許す限り、ごゆっくりおくつろぎいただければ故人も喜びます

 

なお明日の葬儀・告別式もこちらの会場で10時より行います。ご都合がよろしければご参集ください。

通夜振る舞いの解散時には、参列のお礼と葬儀・告別式の案内を、閉会の挨拶として改めて述べても良いでしょう。

告別式の出棺時の挨拶

出棺時の挨拶は一般葬では最も長くなりがちですが、家族葬で全員が火葬場に行く場合は、省略されるケースもあります。ただし親族以外の人が参列しているなら、挨拶した方がよいでしょう。

また通夜と告別式の挨拶が重複しても気にする必要はありません。参列者全員が通夜と告別式の両方に顔を出すとは限らないためです。故人との思い出や人柄がわかるエピソードを交えながら、参列者に対して感謝の意を伝えましょう。

<例文>

私は、○○の長男の○○でございます。遺族を代表いたしまして、ひと言ご挨拶を申し上げます。本日はご多用のところ葬儀並びに告別式に参列くださり、さらにご丁重なるご厚志まで頂戴いたしましたこと、故人に代わりまして 厚く御礼申し上げます。

 

大勢の方々にお見送りをいただき、母もさぞかし喜んでいることと存じます。生前に皆様から寄せられたご厚情に対し、心より深く感謝御礼申し上げます。

○○は写真を撮ることが趣味で 、定年後は国内だけではなく海外の観光地にもよく足を運んでおりました。○○がこのような晩年をおくれたのも 、ひとえに皆様方のおかげさまでございます。誠にありがとうございました。

 

残された家族一同 、今後とも故人の生前同様のお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます。以上簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

精進落としでの挨拶

火葬後の精進落としでも喪主の挨拶が行われます。精進落としでは開始時だけでなく、締めの挨拶を行う場合もあるでしょう。

締めの挨拶では葬儀を全て終えられたことに対する、感謝を述べます。それぞれの内容は簡単で構いません。

<開式の挨拶例文>

本日は皆様に大変お世話になり、誠にありがとうございました。皆様のおかげで、無事葬儀と告別式を済ませることができました。

 

ささやかではございますが、感謝の思いを込めてお料理をご用意いたしております。短い時間ではございますが、ゆっくりとお過ごしくださいませ。

<閉式の挨拶例文>

本日はご多用の中、最後までお付き合いくださり誠にありがとうございました。至らぬ点も多々あったかと存じますが、皆様のご厚意に心より感謝申し上げます。

 

なお、四十九日の法要は○月○日を予定しております。本日はありがとうございました。

僧侶への挨拶例文

僧侶へのご挨拶

家族葬に僧侶を呼ぶ場合は、僧侶が葬儀場に到着した後、遺族を代表して喪主が個別に挨拶を行います。葬儀社が僧侶の待機所まで案内してくれるのが一般的です。

「本日はお忙しいところ、ご足労くださりありがとうございます。よろしくお願いいたします」と丁寧に挨拶し、お布施をこのタイミングで渡しましょう。2日続けて僧侶にお世話になる場合は、両日とも挨拶が必要です。

参列者への個別の挨拶も喪主が行います。参列者が受付に来たタイミングで声をかけるのが基本です。葬儀中にも参列者に向けて挨拶を行うため、個別の挨拶は簡単に済ませましょう。

喪主の挨拶で気を付けたいポイント

葬儀で挨拶する喪主

喪主として参列者全員の前で挨拶をする際は、以下のポイントに気を付けましょう。喪主による挨拶で注意したい項目を紹介します。

挨拶の内容と所要時間

喪主の挨拶でもっとも大切なことは、参列者に対して、故人に代わり御礼を伝えるという意識で臨むことです。この意識を持ったうえで、喪主の挨拶には盛り込まれるべき基本的な内容があります。

以下の内容を含むとよいでしょう。

  • 喪主の名前と故人との関係
  • 参列してもらったことへの感謝の気持ち
  • 故人と生前親しくしてくれたことへの感謝の気持ち
  • 故人の人柄や生前の思い出
  • 遺族と今後も付き合ってもらうためのお願い

全ての挨拶で、上記の内容を漏れなく話す必要はありませんが、感謝の気持ちは必ず盛り込みましょう。葬儀の流れや雰囲気を見ながら、何を話すのか決められればベストです。

挨拶の時間は2~3分程度に収めましょう。基本の内容を盛り込みつつ、簡潔で分かりやすい内容にするのがポイントです。特に会食前の長話は食事が冷めてしまうため、できるだけ簡単に済ませる必要があります。

聞き取りやすい大きな声で話す

家族葬の参列者には、高齢者も多数含まれるケースが想定されます。小さな声でぼそぼそと話すと、耳が遠い人は話の内容をしっかりと聞き取れません。

喪主の挨拶は大きな声で、聞き取りやすいように話しましょうまた状況に応じてマスクをしたまま挨拶をしたり、少人数で行われる場合はマイクがなかったりする可能性もあるため、口を大きく開けてはっきりと話すように意識する必要があります。

マイクがあっても早口で話すと、何をしゃべっているのか聞き取れません。ゆっくりと丁寧に、一語ずつ話すつもりで挨拶を進めていきましょう。

原稿を見ながらでもOK

事前に決めた挨拶の内容を覚えられない人や、人前では緊張してうまく話せないタイプの人は、用意した原稿を見ながら、喪主の挨拶を行っても構いません

喪主の挨拶で最も重要なのは、上手に話すことではなく、参列者にきちんと感謝の気持ちを伝えることです。原稿を用意すれば、喪主の挨拶で使うべきでない言葉(忌み言葉)も事前にチェックできます。

挨拶の原稿は紙に書いたものや、印刷したものを使いましょう。スマートフォンを見ながらの挨拶には、抵抗を感じる参列者もいる恐れがあるため、避けた方が無難です。

喪主の挨拶で避けるべき言葉

葬儀社の女性スタッフ

喪主の挨拶を考える際には、使用を避けるべき言葉に注意が必要です。使ってはならない言葉にはどのようなものがあるのか確認しましょう。

忌み言葉

忌み言葉とは不幸を連想させる、縁起の悪い言葉です。冠婚葬祭の挨拶やスピーチでは、忌み言葉を使うべきではないとされています。

「迷う・忙しい・壊れる・終わる・悲しむ・消す」といった言葉は、不幸を連想させる忌み言葉です。「お忙しい中」は「ご多用の中」とします。

故人の宗教・宗派によって避けるべき言葉も覚えておきましょう。仏式では「迷う」「浮かばれない」は成仏できないことを指すため、使用しません。「天国」も仏教の言葉ではないため注意が必要です。

神式やキリスト教式の葬儀では、仏教用語の「成仏・仏・弔う・供養・冥福・往生・合掌」は、使わないようにしましょう。

繰り返しや続きを連想させる言葉

重ね言葉や続きを連想させる言葉も、不幸が繰り返し起こることを連想させる、縁起の悪い言葉として、敬遠されます

重ね言葉には「たびたび・さまざま・わざわざ・ますます・しばしば・だんだん」などがあります。日常的に使っている言葉も多く、無意識に出やすいため注意しましょう。

続きを連想させる言葉としては、「今一度・再び・引き続き・繰り返し・追って・重ねて」などがあります。うっかり使ってしまわないように、適切な言葉に言い換えましょう

不吉・直接的な言葉

不吉な言葉の代表例が、数字の4と9を使った言葉です。日本では、4は「死」を9は「苦」を連想させるものとして、避けられる傾向があります。

数字に関しては偶数も嫌われる点を覚えておきましょう。偶数は割り切れることから「故人との縁が切れる」という意味を連想させ、不吉なものとして扱われます。

「死ぬ・急死・病死・自殺」といった直接的な言葉も、参列者に不快な思いをさせかねないため使用しないようにしましょう。「生きていた頃・存命中」といった言葉もNGです。

挨拶のポイントを確認しておこう

葬儀の受付の様子

家族葬でも喪主の挨拶は必要です。一般的には通夜・通夜振る舞い・出棺・精進落としの際に、喪主が参列者全員の前で挨拶します

喪主の挨拶は簡潔で分かりやすい内容にするのがポイントです。避けるべき言葉を使わないように注意しながら挨拶を考え、喪主としての務めをしっかりと果たしましょう。

家族葬は一般葬と異なる部分が多くあります。親族の感情や、地域のしきたりを考慮する必要もあるため、家族葬に詳しい葬儀社に依頼しましょう。信頼できる葬儀社に依頼するには、相見積もりをとって比較するのがおすすめです。

ミツモアなら一括で相見積もりを取れるので、お急ぎの場合にぜひ活用してみてください。

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監修者:川道 映里(かわみち えり)

ヒロコマナーグループアドバイザー
徳島文理大学短期大学部講師

四国地方を中心にマナー講師として活動する中、ヒロコマナーグループ代表 マナーコンサルタント西出ひろ子に師事。全国の企業や自治体、学校でマナー研修・コンサルティングを行ったのち、現在は徳島文理大学短期大学部の講師を勤める。「コミュニケーション論」「ホスピタリティ入門」「秘書実務」などの授業を担当。

コメント
家族葬であっても故人との最期の場であり、参列者に礼を尽くす配慮は大切です。喪主の挨拶では、故人のご冥福をお祈りし、これまでのお付き合いや参列してくださったことへの感謝の意を伝えます。①挨拶をするタイミング②話の内容③話し方④忌み言葉を抑えておけば、スムーズに話せるでしょう。この型を鑑みつつ、故人が生前によく話していた事柄やリクエストを尊重し、それを伝えて差し上げるのが本来のマナーと言えるでしょう。

監修統括
ヒロコマナーグループ・一般社団法人マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会 代表 西出ひろ子

西出ひろ子 著書・監修
国内外でマナー本100冊以上。著者累計100万部以上のマナーの専門家。

  • 『お悔やみのマナー』 (アドレナライズ) 2013/9/24発行
  • 『知らないと恥をかく 50歳からのマナー』(ワニブックス) 2020/8/25発行
  • 『気くばりにいいこと超大全』(宝島社)2022/6/15発行

など多数