ミツモア

家族葬でも香典は必要?香典の相場や香典の代わりになるものも解説

ぴったりの葬儀屋・葬儀社をさがす
最終更新日: 2023年03月15日

身内だけで執り行う家族葬に呼ばれた場合、香典は必要なのでしょうか。結論から述べますと、身内だけの家族葬であっても香典は必要です。

事前に香典辞退の連絡がない限りは、基本的に香典を用意して参列しましょう

家族葬の香典の金額相場、香典が不要なケースや代わりになるものを紹介します。

この記事を監修した専門家

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事
岩田昌幸

家族葬でも香典は必要

香典

家族葬は遺族や親族・親戚を中心に行われる、小規模な葬儀です。参列者を制限しない一般的な葬儀とは異なり、家族葬では遺族が呼ぶ人を限定して執り行います。10名以下の規模から40~50名まで、呼ぶ人数は自由です。中には100名以上であっても「家族葬」と称する場合もあります。

身内のみの家族葬であっても、基本的には香典を用意する必要があります。家族葬への参列をお願いされた場合は、一般的な葬儀と同様に香典を包みましょう。

故人との関係が近いほど包むべき金額が高くなるのも、一般的な葬儀の香典と同じです。「新札は包まない」「4や9の忌み数を避ける」といったマナーにも気を使いましょう。

家族葬における香典の相場

数珠と香典袋と計算機

家族葬の香典の相場は、一般的な葬儀と比べて大きく違いはありません。一般的な金額の目安を、ケースごとに紹介します。

親族・親戚が亡くなった場合

親族・親戚が亡くなった場合の香典費用の相場は、3万~5万円です。費用相場は、一般葬でも家族葬でも変わりありません。

また故人との関係が近いほど、香典の金額を高くする傾向があります。故人との関係による、金額相場は以下です。

  • 親:5万~10万円
  • 祖父母:1万~5万円
  • 兄弟:3万~5万円
  • 従兄弟:1万~3万円
  • 親族・親戚:1万~3万円
  • 義理の親族・親戚:5,000~3万円

たとえば兄弟の配偶者の親(義理の親族)が亡くなった場合は、5,000~3万円が相場の目安といえます。具体的な金額は故人との関係性や経済的な理由、自分の年齢などを考慮して決めましょう。事前に他の親族・親戚と相談するのもおすすめです。

友人や知人の家族葬に参列する場合

故人と血縁関係がない人でも、家族葬への参列を依頼される場合があります。生前にかなり親しく接していたり、故人がお世話になっていたりした人は、親族・親戚でなくとも声がかかりやすいでしょう。

親族・親戚以外の家族葬に参列する場合は、5,000~1万円が香典の相場です。

親族の家族葬と同様に、具体的な金額は故人との生前の関係性や、自分の収入・年齢を考えて決めましょう。

家族葬で香典が不要なケース

香典に迷う男性

基本的には香典を用意すべきですが、故人と同居していた場合や、遺族から辞退された際は香典は不要です。

どのようなときに香典が不要になるのか、押さえておきましょう。

故人と同居していた場合

同居していた親が亡くなって家族葬を執り行う際には、香典は必要ありません。一方、亡くなったときに同居していなかった場合、故人が親でも香典を包む必要があります。

自分が喪主のケースでは、故人と同居していたかどうかにかかわらず、香典は不要です。一般的には故人の配偶者や、長男・長女が喪主を務めます。

また故人の孫が故人と同居していた場合も、基本的に香典は不要です。ただし、その孫が結婚している場合には、夫名義で香典を出す必要があります。

香典を辞退された場合

家族葬では、遺族側が香典の受け取りを辞退するケースも多いです。香典辞退の連絡を受けた場合は、香典の準備は必要ありません。

無理に渡すと、遺族が返礼品や香典返しを用意しなければならず、負担がかかってしまいます。

故人と最後の時間をゆっくり過ごすために、手間や負担を減らせる家族葬を選んでいる可能性が高いです。遺族の意向を最優先に考え、香典を辞退された場合は従いましょう。

香典を渡すタイミング

香典を渡す女性

香典の渡し方や渡すタイミングは、一般的な葬儀と変わりありません。ただし家族葬は呼ばれないケースも多いため、参列しない場合の渡し方やタイミングについても、知っておきましょう。

参列する場合は受付で渡す

家族葬に呼ばれた場合、基本的に受付で香典を渡します。「このたびはご愁傷様です」とひと言添え、受付の方に渡しましょう

香典を渡したら芳名帳に記帳を行います。後ほど遺族が整理しやすいように、住所・氏名をわかりやすい字で正確に書きましょう。近年は個別の芳名カードが用意されるケースも増えています。

ふくさをお盆にみたてて、その上に香典を出し、受付側から名前が読めるように向きを変えます。香典を受付盆にのせるか、なければ両手で差し出しましょう。ここで返礼品や香典返しの引換券を渡されることもあります。引換券の場合、帰りに引き換え所に出して品物を受け取る流れです。

なお受付がない場合は、喪主や遺族に直接渡しましょう。

ふくさ
ふくさと香典

葬儀に参列しない場合は香典不要

家族葬に呼ばれず後から連絡をもらった場合、基本的に香典は必要ありませんしかし実際は親しい間柄の場合、「生前お世話になったので」と後日送るケースも多いようです。

「後日送ると遺族の負担になるので、渡しても問題ないか確認すべき」という人もいますが、なかなか確認しづらいのが本音でしょう。気になる場合は、お悔やみの言葉をかける際に「迷惑でなければ」と香典の受付可否について確認しても良いです。

葬儀後の香典を受け付けている場合、弔問での手渡しか、現金書留による郵送で香典を出せます。遺族によっては弔問に来てほしくないと考えているケースもあるため、弔問が可能かどうかもきちんと確認しましょう。

香典を包む際に気を付けること

香典を用意する際には、いくつか気を付けるべきマナーがあります。基本的なマナーを理解し、失礼のないようにしましょう。

新札は包まない

香典で新札(新券・ピン札)を包むのはNGです。新札しか用意できない場合は、折り目を付けてから包むべきと言われています。

故人が亡くなった事実は、参列者にとって突然の不幸として考えるべきことです。香典に入れるお金は、「訃報を聞きつけ慌てて用意したもの」でなければなりません。

新札を包んでしまうと、「亡くなったときのために準備していた」「亡くなることを望んでいた」と捉えられ、失礼にあたる恐れがあります。逆にシワが多く見た目が汚いお札も失礼なため気をつけましょう。

忌み数を避ける

日本では数字の4と9が忌み数として避けられる傾向があります。忌み数とは古くから不吉なものとして、忌避されている数字のことです。4は「死」を9は「苦」を連想させることが、忌み数として扱われる理由と考えられています。

香典でも4と9が付く金額を包むのはNGです。たとえば4万円程度の金額を包みたい場合は、3万円または5万円にしましょう。4,000円や14,000円といった金額も避ける必要があります。

偶数の金額を避ける

忌み数と同様に避けるべき数字とされているのが偶数です。偶数は割り切れる数字であり、割り切れる数字は「故人との縁が切れる」として、避ける傾向があります

日本では昔から先祖とのつながりを大切にしており、故人を忘れたり先祖との縁が切れたりすることを避けるため、偶数を縁起が悪い数字として扱っているのです。結婚式のご祝儀でも夫婦の縁が切れないように、偶数を避けるのが一般的です。

香典に包む金額は偶数を避け、1万円や3万円といった金額にしましょう。厳密にはこれらも偶数ですが、頭の数字を奇数にすれば問題ありません。ただし10万円は例外的にOKとされています。

香典の代わりにお悔やみを伝える方法

棺に手を合わせる人たち

香典を辞退された場合でも、どうしても何らかの形でお悔やみの気持ちを示したい人もいるでしょう。香典以外にお悔やみを伝えられる、おすすめの方法を紹介します。

お菓子・果物などの食べ物を贈る

香典の代わりになるものとして、供物が挙げられます。供物とは故人への感謝や遺族へのお悔やみを示せる、現金以外の品物のことです。

お菓子・果物・缶詰・コーヒーなどの食べ物が、供物としてよく選ばれています。すぐに食べてもらえない可能性を考慮し、日持ちするものや個包装されているものを選ぶと良いでしょう。生鮮食品は日持ちしないため避けた方が無難です。

故人が好きだったお菓子や食べ物を贈れば、遺族にも喜んでもらえます。供物にかける金額は2,000~2万円を目安にしましょう。

線香を贈る

お悔やみの贈り物として定番なのが線香です。線香は仏壇やお墓で、毎日のように使える消耗品であり、遺族にとっても受け取ったことを、負担に感じにくいでしょう。

遺族が一人暮らしなら、食べ物を贈っても食べ切れない可能性があるため、線香を贈るのがおすすめです。遺族が好きな線香の香りを調べて贈るのも良いでしょう。

そもそも線香は「香食(こうじき)」とも呼ばれ、線香の香りは仏の食事になるとされています。仏式の家庭に贈るものとして、線香はふさわしいといえます。

供花を贈る

香典の代わりにお悔やみを伝える方法として、供花を贈るのもおすすめです。仏教や神道では白の花が選ばれる傾向があります。菊・百合・胡蝶蘭を贈るのが一般的です。

故人が生前好きだった花が分かるのであれば、その花を選んで贈れば喜ばれるでしょう。「傷をつける」イメージから棘のある花は避けられる傾向がありますが、ご本人がバラが好きだったという理由で贈るのは可能です。ただし棘は取って持参しましょう

生花店や葬儀社に相談し、どのような花が適しているのか、アドバイスをもらうのもおすすめです。

供花の金額の相場は5,000~1万円が目安と考えましょう。相場以上の供花を贈ると、遺族に気を使わせてしまう結果になるため注意が必要です。

弔電を打つ

通夜や葬儀に参列できなかった人が、お悔やみの気持ちを遺族に伝える電報が弔電です。遅くとも葬儀までに届くように打てば、告別式の最後に読み上げてもらえます。

弔電は電話・郵便局・インターネットでの注文が可能です。宛名を喪主にして葬儀会場へ送りましょう。弔電を打つためにかかる金額の相場は、3,000~5,000円程度です。

弔電はもともと「取り急ぎの知らせ」という意味で使われていました。しかし近年は電話、FAX、メール、SNS等急用のお知らせツールは他にありますので、「改まったお知らせ」という形にその性格が変わっています。

弔電は送付先の住所を知らなくては送れないので、遺族に事前に送付先を確認しておく必要があります

家族葬の香典に関するよくある質問

家族葬と連絡されたとき、香典は用意しなくてもよい?

家族葬に参列する場合は、香典を持参しましょう。香典辞退の連絡があったときは、必要ありません。なお家族葬に参列していない場合も、香典は不要です。

家族葬に参列して香典を渡す場合、いくら包むべき?

友人や知人の家族葬に参列する場合は、5,000~1万円を包みましょう。近しい親族であれば3万~5万円が目安です。

家族葬の香典は遺族の意志を尊重しよう

お墓に手を合わせる人たち

家族葬でも基本的に香典は必要です。しかし故人と同居していた場合や遺族が受け取りを辞退しているケースでは、香典は必要ありません。

香典の金額の相場は、一般的な葬儀と変わりません。ただし経済的な理由を考慮して、親族は多めに包んでも良いでしょう。

香典辞退を受けた場合、供物・供花・弔電でもお悔やみを伝えられます。ただし何を贈るにしても、事前に送り先をご遺族に確認することは必要です。そのとき受け取り可否も合わせて確認します。

ご遺族の意向に沿った形で、香典や贈り物を用意すると良いでしょう。

ミツモアで葬儀・お葬式を依頼する

監修者:岩田昌幸

葬送儀礼マナー普及協会 代表理事

葬送儀礼(臨終から葬儀、お墓、先祖供養等)が多様化している中で、「なぜそのようにふるまうのか」といった本来の意味を理解し、そうした考え方や習慣を身につけられるよう「葬送儀礼マナー検定」を実施しています。メディア監修多数、終活・葬儀・お墓関連セミナーも実施しています。

コメント
家族葬でも、参列する場合は香典を用意しましょう。香典費用は一般的な規模の葬儀と変わりありません。参列しない場合でも、お世話になった方に後日香典を送る人は多いようです。「迷惑でなければ」と確認の上、送り先を聞いたうえで送りましょう。

参考:一般社団法人葬送儀礼マナー普及協会