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飲食店でゴキブリを駆除するには何が必要?侵入対策を含めて解説

最終更新日: 2024年06月28日

厨房やテーブル席などを掃除したり、粘着シートを置いたりするだけではゴキブリを完全に駆除できません。有効成分が含まれた駆除剤を使いつつ、ゴキブリが侵入しやすい場所を封鎖するなど、生息できない環境を作ることが大切です。

今回は飲食店ができるゴキブリの駆除と侵入防止対策について、プロのゴキブリ駆除業者との違いを含めて解説します。

飲食店に出るゴキブリの特徴とは?

飲食店に発生しやすい主なゴキブリは、成虫の体長が10~15mm程度と小ぶりな『チャバネゴキブリ』です暖かくて湿気がある暗い場所を好むため、窓や排水管、店舗の出入口などから侵入します。

飲食店の厨房やホテルの調理場などは、チャバネゴキブリにとって理想的な環境が整っており、繫殖力が強いため、わずかな餌と水だけで増殖する可能性があります。

近年は特定の薬剤が効きにくく、ベイト剤を食べない「抵抗性」があるチャバネゴキブリの増加で駆除も難しくなるため、早めに駆除や予防策を取らないと顧客が離れてしまうので、注意が必要です。

さらにゴキブリは、人に不快感を与えるものではありません。大腸菌やサルモネラ菌、ピロリ菌といった細菌が付着しており、店内を徘徊すると、食材に菌が付着する可能性があります。

早めに対処をしないと、保健所から厳しい衛生管理基準を守らなかったとみなされ、食品衛生法の違反で罰金、または営業停止処分などを受けてしまいます。ゴキブリが侵入しないように衛生管理を徹底することが大切です。

飲食店のゴキブリ対策のポイント

厨房やテーブル席などでゴキブリを見つけた場合、下記のような対策を行って完全に駆除しましょう。ただし状況によっては、ゴキブリ駆除業者への依頼も検討する必要があります。

市販のベイト剤(毒エサ)でゴキブリを駆除する

ブラックキャップやホウ酸団子といった「ベイト」と呼ばれる市販の待ち伏せタイプの毒エサを置いて、ゴキブリをおびき寄せましょう。ベイト剤はゴキブリのエサに殺虫成分を混ぜた遅効性の駆除剤で、食べた後すぐに効くものではありません。巣に帰った後、毒が効果を発揮して巣の中で死に絶えます。そして毒の残るゴキブリの死がいや糞を他のゴキブリが食べると、毒が連鎖して広がり、巣ごと駆除できます。

具体的には下記のようなゴキブリが潜伏しやすい場所に置くと効果的です。

  • シンクの下
  • 食器棚と壁とのすき間
  • 冷蔵庫の裏と下
  • ガスコンロの奥や下
  • ウォッシャーや製氷機、茹で麺機のすき間
  • 棚や引き出しの中
  • レジの中
  • ゴミ箱付近 など

チャバネゴキブリの行動範囲は比較的狭く、特に寒い時期になるとさらに狭くなるので、40〜60cmごとに設置するといいでしょう。ベイト剤には使用期限が明記されているため、定期的に交換することも大切です。

すき間にエアゾールスプレー(殺虫剤)をかける

冷蔵庫や食器棚などのすき間に隠れたら、エアゾールスプレー(殺虫剤)を吹きかけましょう。エアゾールスプレーには、ゴキブリが嫌がる成分「ピレスロイド」や「イミプロトリン」が含まれています。すき間に吹きかけると隠れていたゴキブリが飛び出すので、再度噴射して弱らせ、駆除しましょう。

コーキング剤によるすき間の封鎖でゴキブリの繁殖を抑える

レジ台や冷蔵ケースのすき間にシリコン系のコーキング剤を使って埋めるのも、ゴキブリ駆除業者が実施する作業のひとつです。ゴキブリの隠れ場所をなくすことで繁殖を防げます。コーキング剤の経年劣化による亀裂やひび割れなどで生まれた小さなすき間も埋めるようにしましょう。

飲食店ができるゴキブリの侵入防止対策

飲食店でゴキブリにとって快適な住処を作らず、侵入させないようにするには、以下の対策が必要です。

ゴキブリの侵入防止策 効果の有無 簡単さ
清掃と整理整頓をする 有効 とても簡単
排水口やごみ箱にフタをする 有効 とても簡単
店舗の出入り口付近に忌避剤を置いておく 大いに有効 とても簡単
換気扇に侵入防止用のカバーをかける 有効 簡単
エアコンのドレンホースにドレンキャップを取り付ける 有効 簡単
こまめにグリストラップを清掃する 大いに有効 大変
冷蔵庫や保管庫に食材を保管する 有効 とても簡単
ダンボールや食材の梱包ケースを長期間放置しない 有効 とても簡単
エアコンや除湿機を使う 多少ある とても簡単
パテやテープで排水管のすき間を埋める 有効 少し大変
定期的な調査でゴキブリの発生を防ぐ 大いに有効 少し大変

清掃と整理整頓をする

毎日掃除と整理整頓を徹底的に行いましょう清掃の仕方を変えるだけで頻繁にゴキブリが出なくなることがあります。頻繁に発生している場合は、掃除のやり方を見直すのもおすすめです。

具体的には厨房機器の下にあるゴミをかき出したり、排水溝を掃除するとき、ペーパータオルの上から液剤を噴霧して汚れを落とすこと、引き出しや棚の中を整理整頓することなどです。食べカスや髪の毛など、ゴキブリのエサや水分をできるだけなくすことで、ゴキブリの繁殖を抑えられます。

排水口やごみ箱にフタをする

ゴキブリは排水口から店舗に侵入してくる場合があります。閉店後は排水口にしっかりフタをして、外からゴキブリが侵入しないようにしましょう。あわせてゴミ箱のフタも閉めることも大切です。

ゴキブリは水気のある環境を好むほか、ゴミ箱の中はエサになるものが豊富に入っていて、湿気も多く暗いため、快適な住処となります。ごみ箱周辺に防虫剤を置いておくのも有効な対策のひとつです。

店舗の出入り口付近に忌避剤を置いておく

多くの人が出入りをする店舗の出入り口はゴキブリの侵入リスクが高いところです。ゴキブリが侵入しないようにラベンダーやローズマリーといったハーブ由来の薬剤を使った忌避剤を設置しましょう。

ハーブには「エッセンシャルオイル(精油)」と呼ばれる天然の物質が含まれています。オイルを分泌する際、強い臭いを発し、この強烈な臭いにゴキブリは嫌悪感を示すといわれているからです。

換気扇に侵入防止用のカバーをかける

換気扇も中に油や食べ物のカスが付着していることが多く、匂いにつられて換気扇から侵入してきます。侵入されないように害虫・害獣侵入防止用のカバーを建物の外側に取り付けましょう。あわせて換気扇をできるだけ付けっぱなしにしておくのも有効な対策です。

エアコンのドレンホースにドレンキャップを取り付ける

業務用エアコン内で発生した水を外に排水する「ドレンホース」からもゴキブリがエアコン内部に侵入して繫殖する場合があります。ゴキブリが侵入しないように「ドレンキャップ」と呼ばれるカバーをドレンホースの先端に取り付けましょう。ホームセンターやネットショップなどで購入できます。

こまめにグリストラップを清掃する

飲食店の厨房の排水溝には「グリストラップ」と呼ばれる装置があります。生ごみや油脂分が直接下水に流れないようにため込むもので、清掃しないと、油脂分が固まり、ゴキブリが卵を産み付けやすくなります。

溜まった油の沈殿物をきれいにするときは1~2か月に1回のペースで、食品などのゴミや油脂を除去するときは、少なくても週に1回のペースで「グリストラップ」を清掃しましょう。清掃しないとゴキブリが発生するだけでなく、油や食材カスによる腐敗臭が発生し、営業に支障をきたす可能性があります。

冷蔵庫や保管庫に食材を保管する

店の外や店内の床に食材を出しっぱなしにしておくと、匂いにつられてゴキブリが侵入することがあります。たとえ常温で保存できる食材であっても、食害に遭わないように冷蔵庫や保管庫の中に保管しておきましょう。

特に玉ねぎやニンニク、長ネギといった野菜はゴキブリの好物なので、匂いにつられて侵入されやすくなります。

ダンボールや食材の梱包ケースを長期間放置しない

ダンボールや食材の梱包ケースは、店舗の倉庫や調理場に放置せず、すぐに処分しましょう。特にダンボールの断面のすき間は、ゴキブリが好む環境で卵を産みつけられる可能性があります。そのまま放置しておくと大量に繁殖してしまい、食害などの被害を与える場合があるので、注意しましょう。

エアコンや除湿機を使う

ゴキブリは湿度75%〜100%の多湿の環境を好みます。ゴキブリの侵入を防ぐためにも、エアコンや除湿機を使って湿度を下げましょう。湿度60%未満だと活発化しづらいといわれており、湿度が低い場所は侵入されにくい傾向があります。

あわせて、換気扇を回したままにして空気がこもらないようにするのも有効な対策のひとつです。

パテやテープで排水管のすき間を埋める

ゴキブリは、排水管と床のわずかなすき間から侵入する場合があります。侵入できそうなすき間があるときは「すきまパテ」またはビニールテープを使ってすき間を塞ぎましょう

パテは簡単に剝がせるもので、しっかり固めないと取り付けた後にひびが割れてしまう場合があります。パテで埋める作業に慣れていない人やきれいにすき間を埋めたい人は、専門業者に依頼しましょう。

定期的な調査でゴキブリの発生を防ぐ

飲食店にゴキブリが発生すると、人や環境への影響を考慮する必要があるため、燻煙剤による駆除はできません。食器や食器に燻煙剤の成分が付着する可能性があるからです。ゴキブリの侵入や発生を防止する対策として、厚生労働省が提示している『IPM(総合的有害生物管理)』を実施しましょう。具体的には下記のとおりです。

  • ゴキブリの場合、目視・トラップ・聞き取りで生息調査を行う
  • 清掃状況や整理・整頓状況・食物管理状況・厨芥類(ちゅうかいるい)の処理状況などの環境調査を行う
  • 壁や天井などの施設・設備の状況調査を行う
  • 上記の調査から許容水準・警戒水準・措置水準が導き出される
  • 半年に1回調査を行い、適切な防除措置ができているかチェックする

自分で駆除するときとゴキブリ駆除業者に依頼するときの違い

飲食店でのゴキブリ対策として侵入経路を塞いだり、毒エサを置いたりしてもゴキブリが現れたり、減らない場合はゴキブリの駆除業者に駆除を依頼しましょう

駆除する方法はベイト剤を置いたり、薬剤を噴霧したりするなど、自分でゴキブリを駆除するケースと変わりませんが、以下の点において違いがあります。

使用するベイト剤の種類

自分たちで駆除するときに使用するベイト剤は、主に「ホウ酸団子」や「ブラックキャップ」といった市販品を使います。ただし長期間使用すると耐性がつき、効かなくなる場合があります。

一方で駆除業者は置き型ではなく、直接塗布するタイプの「業務用ベイト剤」を使用します。成分は市販のものと大きく変わりませんが、共食いをするゴキブリの習性を利用して、プロの目線でゴキブリの巣や巣になりそうな場所に仕掛けてもらえます。ゴキブリが食べてから効果を発揮するので時間はかかるものの、連鎖的に駆除できるほか、薬剤抵抗性ゴキブリも発生させないことも可能です。

殺虫剤の噴霧方法

厨房でゴキブリを見つけた場合、殺虫剤や燻煙剤を使って駆除しますが、噴霧が不十分だと生き残ったゴキブリが客席に逃げ出してしまい、繫殖してしまう可能性があります。

ゴキブリ駆除業者に依頼すると、飲食店の被害状況に合わせて業務用の殺虫剤で噴霧します。特殊な機材を用いて駆除にあたってもらえるため、薬剤抵抗性のあるゴキブリも駆除できる可能性があります。駆除業者による殺虫剤を噴霧する方法は、主に下記の3つです。

噴霧の方法 効果の特徴
残留噴霧 床面やすき間に薬剤を噴霧する。ゴキブリが大量に発生している場合に適している
深層ミスト 特殊なノズルで閉鎖的な空間に薬剤を噴霧する。効き目が長い傾向にある
空間噴霧 薬剤を空間に噴霧する。ゴキブリやハエなどが大量に発生している場合に適している

残留噴霧はスピーディーにゴキブリを駆除できますが、床を水で洗うと薬剤が流れてしまうため、実行するタイミングに注意しましょう。深層ミストは水に流れる可能性が低いため、長期的な効果を見込めます。

一方で空間噴霧のように広範囲に薬剤を使用する場合は、食器や調理器具などに薬剤がかからないように配慮する必要があります。

HACCP(ハサップ)の義務化に対応できる

HACCP(ハサップ)とは、飲食店をはじめとした食品などを取り扱う事業者に対して、衛生管理を徹底する国際基準のことです。日本では2021年6月から導入が義務化され、衛生管理計画や清掃、消毒などの方法を定めた手順書の作成などが求められます。

これに伴い、ゴキブリも病原菌の媒介で食中毒を引き起こす原因になるため、ゴキブリ駆除業者に依頼することでリスクを排除できます。

飲食店のゴキブリ駆除にかかる費用相場

店舗の広さやゴキブリの発生状況によってゴキブリ駆除にかかる費用相場は変わります。自分たちで駆除する場合の費用相場は1坪あたり数千円程度、ゴキブリ駆除業者に依頼する場合は1坪あたり約3,300円かかります

作業内容によっては10万円を超えるケースもあり、ゴキブリが発生したときだけ駆除を依頼するスポット作業か、定期的に管理してもらうかでも費用が大きく異なります。店舗に合った方法を選択するためにも、業者ごとの作業内容や費用を確認しておきましょう。

飲食店のゴキブリを徹底駆除するならプロに依頼しよう!

飲食店でできるゴキブリの駆除方法や侵入対策について紹介しました。飲食店で発生しやすいチャバネゴキブリの生態や好まれる環境を理解したうえで駆除したり、侵入を防ぐ対策を行うことで食中毒や風評被害による顧客離れや営業停止処分を避けられます。

徹底的にゴキブリを駆除したい場合は、ゴキブリ駆除業者に依頼しましょう。

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