北海道にゴキブリがいないという噂はウソ!
「北海道にゴキブリがいない」という都市伝説を聞いたことがありますか?
よく聞く噂かもしれませんが、実はこれはウソ。数は少ないですが、北海道にもゴキブリは存在します。
「北海道は寒いからゴキブリがいない」と思っていた方にとっては、衝撃の事実かもしませんね。
2002年には「札幌市におけるヤマトゴキブリの初記録」にて北海道でのゴキブリの存在を示す研究が発表。
2017年には「北海道でのチャオビゴキブリの生息事例」にて、2015年に札幌市内でチャオビゴキブリが生息していることを報告する研究論文も発表されています。
実際に北海道在住でゴキブリを見たことがある人もいて、「北海道にゴキブリがいない」というのは昔の話なのです。
「ゴキブリがいない」という噂の原因は?
実際には北海道にはゴキブリが生息しています。ではなぜ「ゴキブリがいない」という噂が立ってしまったのでしょうか。
その理由は大きく分けて2つあります。
1つは、昔は実際にゴキブリがいなかったからでしょう。
1980年頃までは、ゴキブリの生息分布の北限は青森だったと言われています。
しかし環境の変化などによってゴキブリの生息範囲が拡大し、1991年には北海道での定住化が進んでいきました。
もう1つは、北海道にいるゴキブリの数が、かなり少ないからでしょう。
冬にはかなり気温が下がる地域なので、ゴキブリが生息しやすい場所ではなく、数自体は少ないのです。
そのため、北海道でゴキブリを見たことがあるという人は、道民全体の半分もいないと言われています。
これらが原因で、「北海道にはゴキブリがいない」と思っている人が未だに多いのです。
北海道にゴキブリが少ない理由
北海道は気温が低いから
そしてゴキブリが北海道に少ない要因は、気温が低いことです。
ゴキブリが好む気温は20~32℃前後で、20℃を下回ると繁殖活動が難しくなります。
そして、主な活動時期は春から秋ですが、北海道の平均気温は以下の通り、夏でやっと20℃です。
- 夏:17.5~20℃前後
- 冬:-1.6℃前後
北海道の気温は、1年を通してゴキブリが繁殖しやすい温度よりも低いため、他の地域に比べてゴキブリが少ないのです。
またチャバネゴキブリという種は、‐5℃の環境に24時間さらされると死んでしまいます。そして、北海道の地域の多くは冬には‐5℃を下回ります。
そのため、野生のゴキブリは越冬することができず死んでしまい、結果として繁殖せずに少ないままなのです。
なぜ北海道でゴキブリが増えているのか
現在、北海道でゴキブリは増加傾向にあります。
なぜ寒さに弱いはずのゴキブリが北海道で増えているのでしょうか。その理由は、大きく分けて2つあります。
1つは物流が増え北海道への侵入機会が増えたため。
もう1つは暖房施設の拡充や温暖化によって、ゴキブリが繁殖するための気温を保てる場所が増えたためです。
①ゴキブリが侵入する機会が増えた
北海道でゴキブリが増えている1つの理由として、他県から直接運ばれてくるからということが挙げられます。
配達の際、荷物の梱包などには段ボールがよく使われます。
この段ボールは、ゴキブリの餌となるでんぷんを含むうえ、断熱性に優れるので温度を保つことが出来ます。
さらに、衝撃を吸収するための隙間に卵をうみつけることが出来るなど、ゴキブリが繁殖する場としては理想的な空間なのです。
北海道にゴキブリがいなかったとされる1980年代、物流は今ほど発達していませんでした。
しかし、1988年に「青函トンネル」が開通されるようになると、物流は大幅に発展。
運ばれてくる荷物に紛れてゴキブリが北海道にも侵入する機会が増加しました。
②ゴキブリが繁殖しやすい場所が増えた
2000年代に入り、技術の進歩に伴って、北海道でも暖房設備が充実しました。
その結果、暖かいビルや公共・商業施設などではゴキブリが1年中住み着き、繁殖ができる状態に。
また飲食店などでは、24時間稼動している冷蔵庫の裏や背面などの場所で、ゴキブリが暖をとれるようになりました。
さらに地球温暖化の影響もあり北海道の平均温度が上昇。このように、ゴキブリにとって生活しやすい温度帯に変化したことも増加の一因でしょう。
北海道でゴキブリはどこにいる?数が多い地域は?
では北海道のゴキブリはどの地域に多いのでしょうか。上の画像で分かるように、北海道全土にゴキブリはいます。
よく発生するのは、商業ビルやホテルなどの暖房設備が整った施設や、これらの建物が密集している都市部です。
北海道のなかで都市部といえる地域には、札幌や小樽、函館などがあります。
北海道にいるゴキブリの種類は?
北海道で一番多いのはチャバネゴキブリ
北海道にいるゴキブリの大半は、「チャバネゴキブリ」という種です。
本州でもっとも多い「クロゴキブリ」と比べると、体長は半分程度の12~15㎜くらいしかありません。
しかし大きさの割に繁殖力が強く、一生で90~280個の卵を産みます。
また、幼虫の期間も2~3ヵ月ほどとクロゴキブリの3~12ヵ月に比べてとても短いため、放っておくとあっというまに増えてしまいます。
ゴキブリは排水管などの不衛生な場所を通るので、病原菌を運んできたり、フンや死骸がアレルギー物質になることもあります。
また電気系統に侵入して感電してしまうと、ゴキブリから流れ出た体液によって配線がショートすることも。
このように様々なトラブルの原因になるので、繁殖させないように予防・駆除を徹底することが大切です。
北海道にいるチャバネゴキブリ以外の種類は?
北海道にいるのは大半がチャバネゴキブリですが、他にも何種類かのゴキブリが定住しています。それぞれの種類ごとにどんな違いがあるのか、トラブルを引き起こすようなゴキブリはいるのか、特徴を表にまとめてみました。
特徴 | 幼虫・成虫期間 | 生息場所 | |
チャバネゴキブリ | 全体的に茶色く小さめ。北海道では最もよく見られる | 幼虫:2~3ヶ月
成虫:3~4ヶ月 |
暖房器具の整ったオフィスや飲食店、病院 |
クロゴキブリ | 文字通り全体が黒く、本州では最もよく見られる | 幼虫:3~12ヶ月
成虫:4~5ヶ月 |
木造家屋、コンクリートづくりのアパートなど |
ヤマトゴキブリ | 身体の前方は茶色がかり、お尻側は黒い | 幼虫:3~12ヶ月
成虫:3~6ヶ月 |
農家や木造の日本家屋 |
ワモンゴキブリ | 全体的に茶色く、胸部にリング状の斑紋がある | 幼虫:4~12ヶ月
成虫:3~20ヶ月 |
暖房設備の整ったビルやオフィス |
このように、生育期間や見た目はバラバラですが、どのゴキブリも繁殖しやすい場所は似通っています。
ゴキブリが生息しているかチェックする際には、これらの場所に注意しましょう。
もしゴキブリが住みやすい環境の住宅・施設なら、これらの家電の裏などを確認してみましょう。
北海道にいるゴキブリと間違えやすい虫、代わりにいる虫
ゴキブリに似ていて間違いやすい虫
北海道ではゴキブリを見ることが少ないので、似たような虫をみて「ゴキブリかなと?」と間違えることも多いです。種類が違えば各々対処法も違うので、見分けられるようにしておきましょう。
大きさ | 特徴 | |
シバンムシ | 2~4mm | 全体的に茶色、赤褐色でカブトムシやカナブンを小さくしたような見た目 |
トコジラミ | 4~8mm | 褐色で丸く扁平な体型、夜行性のため夜に見られる |
コオロギ | 10~40mm | 後ろ脚がくの字、全体が黒く高さがある |
シバンムシとトコジラミは、ゴキブリの幼虫と同じ大きさのためすぐに見分けることは難しいです。
しかし、触角の長さを見れば一目瞭然。
シバンムシとトコジラミの触角がとても短いのに対して、ゴキブリの触角は非常に長いのが特徴です。幼虫のときには、体長と同じくらいの長さがあります。
またコオロギは、脚の形で見分けることができます。コオロギは後ろ脚が「くの字」になっているのに対し、ゴキブリはまっすぐな形をしているのが特徴です。
北海道でゴキブリ以外に見かける害虫
大きさ | 特徴 | |
カマドウマ | 18.5 – 21.5mm | 体色は栗色でキリギリスやコオロギのように後ろ足が発達しており、くの字に曲がっている |
雪虫 | 5mm前後 | 青白い綿のような毛に包まれており、初冬に出現するといわれている |
北海道ではゴキブリが少ない代わりに、カマドウマや雪虫など、気味の悪い虫はちゃんと存在しています。
カマドウマはバッタの仲間です。
体長は12~23㎜とクロゴキブリよりは少し小柄ですが、めったに飛ぶことのないゴキブリと比べて、ぴょんぴょん飛び跳ねるカマドウマの方が怖いという人も多いでしょう。
「北海道の人はゴキブリを見たことがないので怖がらない」という話は有名ですが、ゴキブリよりカマドウマの方が怖いのが理由かもしれませんね。
雪虫はアブラムシの仲間で、体長は3~4㎜ととても小さいため、ゴキブリやカマドウマと比べ怖いという印象は少ないと思われます。
しかし、雪虫の脅威はなんといってもその量です。とてつもない数の個体が、風に乗って空に滞留しています。
間違って自転車で群れの中を通過しようものなら、顔中が雪虫だらけになってしまうほどです。
ゴキブリと違って「見るだけで不快」という虫ではないものの、雪虫のほうが実害は大きいかもしれませんね。
北海道に住んでいる方必見!ゴキブリの駆除方法
ゴキブリは寒さに弱いため、気温の低い北海道であれば「換気をするだけで充分だ」という意見もあります。
しかしチャバネゴキブリは、‐5℃でも24時間は生きることができます。
また、そもそもマンションや北海道の住宅は断熱性が高いため、換気をしても効果が弱いケースが多いのです。
そのため換気だけではなく、殺虫剤などを用いる必要があります。
一般的に言われているゴキブリの駆除方法には、殺虫剤やベイト剤、くん煙剤などが挙げられます。
ただし、北海道に多いチャバネゴキブリは、世代交代の速さにより薬品への耐性が付きやすいので、殺虫剤やベイト剤はだんだん効かなってしまうでしょう。
駆除した後には再び繁殖しないようしっかり予防する必要もあります。
①殺虫スプレー
今すぐ殺虫したいときには重宝する殺虫剤です。種類によって「1㎡に何十秒噴射」と使用方法が書かれているので、それに従って使用してください。
注意点として、ゴキブリは薬品への耐性が高いため、ゴキブリ用の殺虫剤を使用しましょう。
ゴキブリ駆除をしたことがない人がやりがちな失敗は、新聞紙や段ボールに殺虫剤をかけること。これは殺虫効果が長続きしないので、ゴキブリへ直接かけるようにしましょう。
②ベイト剤
ベイト剤は、駆除薬剤が混ざった餌のことです。これをゴキブリに食べさせたり、巣に持ち帰らせたりして駆除します。アースの「ブラックキャップ」が有名ですね。
ゴキブリの餌場・目撃場所・糞や跡があるところにベイト剤を置くだけで処理できるため、「怖いからゴキブリを直接駆除したくない」という人におすすめです。以下のような場所に設置しましょう。
- 棚の裏
- 壁の隙間
- 普段ゴキブリをよく見る場所
- ゴキブリがよく通りそうな場所
- 冷蔵庫などの熱源の裏側や下廻り
とくに広範囲におよぶ駆除にはベイト剤が手軽でおすすめ。例えば飲食店・倉庫・オフィス・食品加工工場・製造工場・病院・公共施設などですね。
ただし、ベイト剤はゴキブリだけでなく、子どもやペットが口に入れると害を及ぼす危険性があります。できるだけ人が触れない場所に設置するようにしてください。
③くん煙剤
くん煙剤とは煙・霧状の薬剤を散布しゴキブリを駆除する薬剤のこと。「バルサン」が有名ですね。
屋内で広範囲に渡って駆除をする場合、かつ即効性が欲しい場合はくん煙材が最もおすすめ。ベイト剤のように、ゴキブリが食べるのを待つ必要がありません。
ただ部屋が煙で充満してしまうため、パソコンやテレビなどの精密機器が故障したり、子どもやペットへの健康が害されたりすることもあるので、不安な方はベイト剤を使用しましょう。
ゴキブリを寄せ付けないための予防策
ゴキブリの駆除方法について説明してきましたが、基本的に気温が-20度以下になる場所なら、越冬できない可能性が高いので問題ありません。
ただしそこまで気温が下がらない北海道南部の方などは、ゴキブリが家のなかで繁殖する危険があります。
「1匹いたら100匹いる」と言われるほど繁殖力が強いため、現れてから殺虫するのでなく、寄せ付けないように予防することがイチバンの解決策です。
きちんと掃除するのがイチバンの予防方法
北海道でのゴキブリ予防対策も、基本的には本土と同じ。以下の方法が有効です。
- こまめに掃除し清潔にする
- 風通しをよくする
- 食品や食器を放置しない
- 生ゴミや排水口の汚れなどの不衛生なものはすぐ捨てる
基本的には、家や建物をキレイな状態に保っておくのがイチバンのゴキブリ予防になります。
またゴキブリが好む環境は狭くて暗くて暖かいところです。したがって、以下のような場所は、注視しておきましょう。
- ゴミ箱
- 新聞紙
- エアコン
- 観葉植物
- 段ボール
- キッチンの収納
- 家具の下や裏側
- 冷蔵庫や電子レンジの下
まず倉庫や家電製品の周りはこまめに掃除しましょう。ベランダや玄関、軒下などはついつい見落としがちですが、ゴキブリの温床になりやすいので注意してください。
掃除の際には、食べかすやホコリ、動物の死骸などを取り除き、ゴキブリのエサになるものは残さないように。
また有機リン系殺虫剤を2~10倍に水で薄めて、ゴキブリが通る家電の裏などに塗るのも有効です。この薬剤に触れたゴキブリの神経伝達を狂わせることで殺虫できます。「サイアノックス乳剤」という名前でホームセンターに売っているので、入手するのはカンタンです。
希釈する前の「有機リン」は人体にとっても有害で、「神経ガス」と呼ばれています。しかし殺虫用に薄めたモノであれば、虫以外への効果はほとんど無いため、扱いに注意さえすれば安心して使用できます。
ゴキブリが好んで食べるエサは?
ゴキブリはデンプンが含まれた食物や果物を好みます。特に以下のようなものが狙われやすいです。
- ダンボール
- パン
- 玉ねぎ
- 米ぬか
- パスタ
- 小麦粉
- ドライフルーツ
- インスタントラーメン
引っ越しや宅配などでよく使われるダンボールですが、食べ物とともに素早く処理してゴキブリの餌にすることを防ぎましょう。
北海道にもゴキブリはいる!見つけ次第対策を取ろう
この記事では、北海道でのゴキブリにまつわる噂、ゴキブリの状況や種類、対策法などを解説してきました。
様々な種類がおり、場合によっては病原菌を媒介したりアレルギーの元になったりとトラブルを引き起こすゴキブリ。
北海道では滅多に見る機会がありませんが、「いる場所にはいる」ということを覚えておきましょう。寄せ付けないように、日ごろから予防対策をしておくのが大切です。
ゴキブリが大量発生したらプロに駆除を依頼するのもおすすめ
北海道はゴキブリが発生しづらいとはいえ、一度棲みつくとどんどん繁殖してしまう可能性があります。
1匹だけでなく短期間に複数の個体を見かけたら、家の中で巣を作って増えているかもしれません。
そんなときは思い切ってゴキブリ駆除業者に依頼することで、発生源から根絶してもらえます。毎回退治してもゴキブリに遭遇してしまう方は、一度プロによる駆除の見積もりをとってみてはいかがでしょうか。
お仕事のマッチングプラットフォーム「ミツモア」では、お近くのゴキブリ駆除業者から最大5件の見積もりを無料でもらうことができますよ。