エアコンから伸びるダクトはお部屋の外観を損ねる原因ですので、化粧カバーですっきりさせましょう。こちらの記事ではエアコンのダクト・配管をきれいにしたいと考えている方へ向けて、化粧カバーのメリットや工事費用をご紹介しています。

エアコンダクトの基礎知識
まずは基本知識としてエアコンの室内機と室外機をつなぐ、エアコンダクトの概要について解説していきます。
エアコンダクトといっても、厳密には空気を通す「ダクト」と、液体やガスが通る「配管」があるので、その点についてはあらかじめ認識しておきましょう。
エアコンの構造上、ダクトと配管は一緒にまとめられている場合がほとんどですので、以下では配管に統一して呼称します。
配管の種類を知っておこう
エアコンの配管は賃貸物件や一軒家など、家の構造によって大きく以下2種類の通し方があります。
- 露出配管
- 隠蔽配管
露出配管とは部屋の内外で配管が見える通し方で、多くの賃貸物件などでも見受けられる方法です。壁に一箇所の真っ直ぐな穴があれば室内機と室内機を配管でつなげられるため、工事費を安く抑えられ、メンテナンスが容易なのがメリットです。
隠蔽配管は配管が見えないよう、室内機と室外機の位置関係を考慮した施工が必要となる方法です。壁の中に配管を通すため、すっきりとした見た目になるのが特徴となっています。
しかしエアコンの修理や交換が大変になるので、露出配管と比べて維持費が高くなる側面があります。
配管仕上げの基本はテープ巻き上げ
エアコンの配管には、熱の取り込みと排出の役割を担う「冷媒菅」と冷房時に生まれる水の排出を目的とした「ドレン菅」、そして換気で必要な「ダクト」の3種類があります。
バラバラの状態では見栄えが悪いため、露出配管では基本的にテープ巻き上げで仕上げれていることが多いです。また隠蔽配管でもひとつの穴を通して、室内機と室外機でつながっています。
冷媒菅は2本の銅管がそれぞれ断熱材で覆われており、特に重要なエアコンの部品となっています。聞きなれないドレン菅はジャバラ状の見た目をしており、排水口近くに設置される場合が多いです。
化粧カバーのメリット
室内機と室外機をつなげるエアコンダクトは、エアコンには欠かせないパーツですが、ダクトや配管がむき出しになっていれば見栄えが悪くなってしまいます。
テープで巻き上げるだけではすっきりとした印象にならないため、化粧カバーを取り付けたいところです。そこでここでは、化粧カバーを取り付けることで得られるメリットを解説していきます。
見た目がすっきりする
化粧カバーはプラスチック製のパイプで配管をきれいにまとめてくれるアイテムです。
テープを巻くことでも配管を束ねられますが、化粧カバーは壁に取り付けるため、配管が宙にぶら下がるようなころがありません。
最近ではカラフルなエアコンが販売されていることもあって、化粧カバーも色とりどりなものが選べるようになっています。お部屋のインテリアにこだわっている方は、化粧カバーの色にも注目してみましょう。
配管の劣化を防げる
化粧カバーはテープよりも耐久性に優れており、配管の劣化から防ぐ効果もあります。特に室外機側の配管は紫外線や雨風に晒されるため、テープを巻き上げるだけでは十分な対策になりません。
例えば、冷媒菅の断熱材がひび割れてしまえば、エアコンの機能が低下してしまったり、修理したりと様々な問題が起きてしまいます。
外でも目立たず、かつ耐久性に優れたスリムタイプの化粧カバーがありますので、家の外観にこだわりたい方は検討してみてはいかがでしょうか。
取り付ける基準
化粧カバーは新規設置工事のオプションとして設置をお願いできるのはもちろん、既存のエアコンでも設置の依頼はできます。
しかし化粧カバー費を工事費を合わせれば相当な額になるので、なるべく慎重に取り付けを検討していきたいところです。そこでここからは、取り付けの決め手となる基準や動機をお伝えしていきます。
エアコン周りをすっきりさせたい
一昔前までは露出配管といえばテープ巻き上げが一般的だったため、住んでいる部屋によっては配管が弛んでいたり、紐で無理やり固定したりしている場合があります。
部屋のリノベーションに伴って、エアコン周りをすっきりさせたいと考えている方は、化粧カバーの設置を考えても悪くないでしょう。
ホワイトの化粧カバーを取り付ければ、部屋を清潔で落ち着いた雰囲気になりますし、ブラウンやブラックにすれば、シックで大人なお部屋になります。
エアコンを長く使うかどうか
化粧カバーは配管を劣化から守る目的があるため、お金をかけて取り付けるなら、今後も長く使う予定のあるエアコンで工事をすべきでしょう。
エアコンの寿命は10〜15年といわれていますので、10年以上使っているエアコンの配管に化粧カバーを取り付けてしまっては、損をする結果になってしまいます。
久しくエアコンを買い換えていない方は、化粧カバーの設置もふまえ、いっそのことエアコンを新調してみはいかがでしょうか。
隠蔽配管ではない
化粧カバーは露出している配管に取り付けるパーツのため、隠蔽配管には施す必要がありません。
家の構造によっては露出配管を隠蔽配管に工事することも可能ですので、配管自体が煩わしいと感じている方は業者に相談してみてはいかがでしょうか。
もちろん工事費用は化粧カバー取り付けよりも割高になります。工事のコスト面は考慮しておきましょう。
また賃貸物件の場合はあらかじめ家主側にも確認をとっておきましょう。隠蔽配管は場合によって、室内機と室外機の位置を変えるため、退去時にトラブルになるかもしれません。
後付けは自分でできる?
化粧カバーはホームセンターなどでも手に入るため、自力で後付けすることも不可能ではありません。しかし化粧カバーのサイズをひとつ間違うだけでも、簡単に失敗に終わってしまうリスクがあります。
そこでここでは、自分で化粧カバーの取り付けを検討している方へ、失敗時のリスクや必要な道具、手順をご紹介していきます。
失敗した時のリスクを知っておく
むき出しの配管をまとめてきれいに化粧カバーに収めるには、室内機と穴の位置関係を把握して、どこで曲げるのかを考慮する必要があります。
そのためDIYに慣れ親しんでいない方は、万が一に備えて失敗した時にリスクを把握しておきましょう。
失敗でもっとも避けたいのが、配管を間違って破損させてしまう行為です。冷媒菅を間違えて破損させてしまえば、エアコンが正しく機能しなくなってしまいます。
また化粧カバーは壁に取り付けるため、電動ドリルで穴を開ける作業が必要です。間違えた箇所に穴を開けてしまえば、傷となって残ることになります。
室外機側にも化粧カバーを設置する場合も、外壁に手を加えることになりますので、本格的な道具を持っていない方は業者への依頼が無難です。
後付けに必要な道具
問題なく化粧カバーの取り付けを終えるためには、道具を揃えておくのが肝心です。
化粧カバーといっても種類は多岐にわたるため、必要なものを必要な長さ、数で購入しましょう。ダクトが真っ直ぐなストレートタイプをはじめ、直角に曲がっているコーナー用や穴の近くに付けるウォールコーナータイプなどがあります。
また作業を行うためにはDIYの基本的な道具も欠かせません。化粧カバーの取り付けには主に以下の道具を揃えておきましょう。
- ドライバー
- ネジ
- 電気ドリル
- ハンドソー
- エアコンパテ
ドライバーや電気ドリルは、化粧カバーを壁に設置する際に必要となります。ネジは購入する化粧カバーの規格に合ったサイズを選ぶようにしましょう。
またハンドソーは化粧カバーの長さを調整するためで、斜めにならないように注意して切るよう心がけましょう。エアコンパテは紙粘土のような質感が特徴で、化粧カバーの取り付けで生じた隙間を埋めるために使います。
室内用のエアコンパテが販売されていますが、様々な環境で使える「全天候用」を選ぶのが無難です。
後付けの手順
化粧カバーを後付けする場合、「後付け専用」の化粧カバーを選ぶようにしましょう。上記でご紹介した道具を揃えたら、以下の手順で作業を進めていきます(室内機側の場合)。
- 室外機へと繋がる壁の穴にウォールコーナータイプのカバーを付ける
- 化粧カバーを配管にかぶせて長さを調整する
- 必要に応じて化粧カバーをネジで壁に固定する
まずは室外機に繋がる穴周辺をきれいに整えていきましょう。既存のエアコンパテが残っている場合は取り除いて、新しいエアコンパテで穴を塞ぎ、ウォールコーナータイプの化粧カバーを取り付けます。
その後、化粧カバーを配管にかぶせて長さを確認し、必要に応じてハンドソーで調整していきます。調整が済んだら化粧カバーがずれないように壁に固定すれば完了です。
エアコンダクトカバーの取り付けや隠蔽配管の平均費用
最後に業者に化粧カバーの取り付けを依頼した際に発生する平均費用をご紹介していきます。既存エアコンと新設エアコンとでも費用に差がありますので、エアコンの買い換えも考慮に参考にしてみてください。
また比較対象として隠蔽配管の費用もご紹介しています。予算内に収まっているようでしたら、隠蔽配管を検討してみてはいかがでしょうか。
新設エアコンにカバーをつける費用
新設エアコンに化粧カバーを取り付ける場合、設置工事のオプション扱いとなるため、既存エアコンよりも安く請け負ってくれる場合が多いです。
室内機側の場合は「7,000円から」で、室外機側は「5,000円から」が平均的な費用です。もちろん、配管が長くなればそれだけ工事も大変になるため、追加費用が発生します。
2階のエアコンの室外機が1階の外に置かれている場合は、割増になる可能性がありますので、その点は考慮しておきましょう。
既存エアコンにカバーをつける費用
既存エアコンへの化粧カバーの設置工事は、エアコン・配管を必要に応じて移動させる必要があるため新設エアコンよりも高めです。
平均費用は室内機側で「15,000円から」室外機側で「17,000円から」となっており、具体的な費用はエアコンの設置環境によっても変わってきます。
自分自身で後付けするなら道具費用だけで済みますので、費用面で悩んでいる方は、まずは見積もりを取ってみてはいかがでしょうか。
隠蔽配管にかかる費用
住んでいる部屋に配管のための穴が残っている場合は、隠蔽配管を検討してみましょう。すでに通されている配管を利用すれば、化粧カバーを必要とせずに工事を行えます。
平均費用は「6,000円」からとなっていますが、配管が汚れている場合は配管の洗浄や交換の費用が発生しますので、その点は要注意です。