エアコンをつけたらカビ臭い風が出てきて、不思議に思ってエアコンを確認したら吹き出し口に黒い斑点がたくさんついていたという経験はありませんか?
その黒い斑点の正体は黒カビです。放置していると喘息などの健康被害が発生する可能性があります。
エアコンの吹き出し口にカビが発生する仕組みや掃除方法、予防法をご紹介します。
エアコン吹き出し口に黒カビが生える原因
吹き出し口を覗くと黒い点々とした汚れが見える場合、その正体は「カビ」であることが多いです。
さらにエアコンは構造・仕組み上カビが生えやすい家電製品であり、吹き出し口でカビが生えている場合、エアコン内部にもカビが繁殖している可能性が高いです。
カビは「温度20度以上」「湿度60%以上」「エサとなる汚れ」の条件がそろうと繁殖します。
冷房運転をするとエアコン内部で結露が発生し、熱交換器やドレンパン、送風ファンが濡れた状態になります。さらにフィルターにたまったホコリがエサとなり、カビにとって絶好の環境になるのです。
つまりまずエアコン内部でカビが発生し、吹き出し口の付近まで広がってきているといえます。
エアコン吹き出し口に生えたカビを放置するリスク
エアコンの吹き出し口に生えた小さなカビくらいなら放置しても問題ないと思うかもしれません。
しかしそれは大きな誤りです。吹き出し口に生えたカビを放置すると3つのリスクがあります。
健康に暮らしていくためにはどれも無視できないリスクです。
エアコンの吹き出し口に生えたカビを放置するリスクを解説します。
アレルギー発症などの健康被害が起きる
エアコンの吹き出し口に生えたカビを放置すると、風に乗って空気中にカビが飛散します。
カビを吸い込んでしまうとアレルギー性鼻炎や肺炎などの病気を引き起こしてしまうので注意が必要です。
エアコンをつけるとくしゃみが出る、エアコンを使う時期になると風邪を引くなどの症状はエアコンのカビが原因である可能性が高いです。
部屋中にカビの胞子を広げてしまう
エアコンの風に乗ったカビ胞子は部屋中に飛散し、繁殖しやすい場所に付着します。
カビが繁殖しやすい温度と人が快適に感じる温度は近いです。生活空間にカビの胞子が広がると、窓際やキッチンなど湿度が高くなりやすい箇所はカビが発生してしまいます。
1年中部屋のどこかにカビが生えている、押し入れにしまっていた服や家具がカビているなどの現象の理由はエアコンのカビにあるかもしれません。
エアコン全体が汚れて見える
エアコンの吹き出し口は意外と目に付く部分なので、そこにカビが生えているとエアコン全体が汚れているように見えます。
たとえ新品のエアコンであったとしても、吹き出し口に黒カビがあると古くて汚い印象を受けるでしょう。
見た目が悪いというのは健康被害に比べたら小さなことではありますが、目に付くと気になってストレスが積み重なっていきます。
心身共に健康に過ごすためにもエアコンの吹き出し口に生えたカビはすぐに掃除しましょう。
エアコン吹き出し口の掃除に役立つ道具
エアコンの吹き出し口を掃除するときは、細長いモップ状の道具を使うのがおすすめです。
いらない布や雑巾でも問題ありませんが、細長い形状のほうが奥まで届くので広い範囲を掃除できます。
家にあるもので簡易的な「おそうじ棒」を作る方法や、おすすめの市販製品を紹介します。
自作のお掃除棒
用意するものは「割りばし」「キッチンペーパーやいらない布」「輪ゴム」です。
キッチンペーパーを長方形になるように折り、割りばしに巻きつけます。巻きつけた上から輪ゴムを二重、三重にかけて固定しましょう。
アズマ工業「エアコンスキマキーレー」
「エアコンスキマキーレー」は、アズマ工業株式会社が販売するエアコン吹き出し口用のお掃除モップです。
マイクロファイバーでできたモコモコ素材のモップがホコリや黒カビを洗剤ナシで絡めとってくれます。モップ部分は外して水洗いし、繰り返し使えます。
本体は細長く、しなってカーブにフィットするので、狭いすき間に入り込んで吹き出し口の奥まで届きます。モップでルーバーを挟み、両面を一気にこすって掃除できるのも便利です。
公式の使い方説明動画もあるので参考にしてみてください。
アース製薬「エアコンの防カビ スキマワイパー」
吹き出し口の奥まで届く専用ワイパーと、防カビ・除菌・消臭・汚れ除去・ホコリガードの5つの効果を持つシートがセットになっています。
専用ワイパーにシートを取り付けて拭くだけで、汚れを取り除くだけでなく、汚れの予防までできるのがメリットです。
掃除が終わったらシートを外して捨てるだけなので、洗う手間もなく手軽にお手入れができます。
エアコン吹き出し口のカビの掃除方法
エアコンの吹き出し口は以下の手順で掃除します。
吹き出し口を拭くときに使う道具は、前の章で紹介したお掃除棒や市販のお掃除グッズ、雑巾などなんでも構いません。
エアコンの電源プラグを抜く
掃除を始める前に、必ずエアコンの電源が切れていることを確認し、コンセントから電源プラグを抜きます。
エアコンに電気が通る状態で掃除をすると、作業中に誤って作動させてしまってケガをしたり、感電したりするリスクがあるからです。
濡れた手で電源プラグを触るのも感電のおそれがあるので、必ず乾いた手で抜き差ししましょう。
手で風向板(ルーバー)を開く
風向きを調整するルーバーは上下方向と左右方向の2枚分があります。
エアコンの電源を切るとルーバーが自動的に閉じますが、上下方向の風を調整するルーバーは手でも簡単に動かせます。
力を込めて動かすと破損してしまうおそれがあるので、やさしく開けてください。
濡らしたモップや雑巾などで吹き出し口を拭く
用意したモップやお掃除棒、雑巾などを濡らし、水滴がしたたらない程度に絞って吹き出し口全体を拭きます。
水滴がエアコンの電装部品にかかってしまうと、故障や発火の原因になるので注意しましょう。
細長いモップやお掃除棒を使っている場合、左右方向に風向きを調整するルーバーの間まで拭き掃除をします。
力任せに奥のほうまで押し込むと、周囲の部品を壊してしまう可能性があるのでやめましょう。
乾いた布で水分を拭き取る
吹き出し口が濡れたままだとカビが生えやすくなります。
乾いた布で乾拭きをして水分を取りましょう。
カビの根も残さず掃除したいのであれば、消毒用エタノールをキッチンペーパーにつけて拭きます。
引火する可能性があるので、拭き終わったら十分に乾燥させましょう。
送風モードで吹き出し口の水分を蒸発させる
最後に送風モードを使って吹き出し口の水分を乾燥させます。
送風モードがない場合は冷房モードで設定温度を1番高くしてください。
室温と変わらない温度の風が出てくるので、これが送風モードの代わりになります。
30分ほど送風運転をしたあとは電源を切っても問題ありません。
エアコンメーカー各社が推奨する吹き出し口の掃除方法
代表的なエアコンメーカー各社は、吹き出し口の掃除方法について公式サイトで解説しています。
三菱電機
三菱のエアコン「霧ヶ峰」は、上下風向フラップがすべて取り外し可能です。
水洗いやつけ置き洗いはせず、乾拭きか水拭きをしてください。汚れがひどいときは、ぬるま湯に中性洗剤を溶かしたものを布に含ませて拭きます。
左右風向フラップは本体から完全に外すことはできませんが、扉のように開けて通風路を掃除できるようになっています。
奥にあるファンに力をかけないように注意しながら掃除しましょう。
日立
日立製のエアコンは、吹き出し口のフラップ(ルーバー・風向板)が1枚板の製品と3枚板の製品があります。
1枚板のエアコンと、3枚板のエアコンの一部は、運転停止中にフラップを開けられないので、以下の手順で開けてお手入れをします。
- エアコンの運転を止め、電源プラグを抜いて5分待つ
- 電源プラグを差し直す
- 初期動作で上下フラップが開いたら、再度電源プラグを抜く
- やわらかい布でフラップをやさしく拭く
3枚板のエアコンでフラップのリモコン操作ができるものは、以下の手順でお手入れをしましょう。
- リモコンの「風よけ」ボタンを押しながら「上下風向」ボタンを5秒間押し続ける
- フラップが開き、「クリーン」ランプが消灯したのを確認する
- 電源プラグを抜く
- やわらかい布でフラップをやさしく拭く
汚れが落ちない場合、布やぞうきんを濡らして絞ってから拭いてみてください。
Panasonic
Panasonicのエアコンはルーバーを取り外すことができません。
エアコンの運転を止めてからルーバーを開き、やわらかい布で空拭きをします。
ルーバーの開き方は機種によって異なり、リモコンの「エコナビ」ボタンで操作するものと手動で開くものがあります。詳しくは公式サイトや取扱説明書を確認しましょう。
SHARP
SHARPのエアコンはルーバーが外れるようになっています。以下の手順で外してお手入れをしましょう。
- エアコンの運転を止め、電源プラグを抜く
- 上下風向ルーバーの左端のストッパーをつまみ、右側を持って斜め下に引き、取り外す
- 左右風向ルーバーの両端のロックを内側にスライドしながら持ち上げ、取り外す
- ルーバーを柔らかい布で軽く乾拭きする
- 吹き出し口を柔らかい布で軽く乾拭きする
- 取り外すときと逆の手順でルーバーを取り付ける
汚れがひどい場合、ルーバーは薄めた中性洗剤を柔らかいスポンジや布に含ませ、拭くように水洗いします。
エアコン本体側の吹き出し口は、水やぬるま湯を布に含ませて固く絞ってから拭きましょう。
故障や破損の原因になるので、吹き出し口奥のファンには触れないように注意喚起されています。
エアコン吹き出し口の除菌方法
カビは表面に見えている部分以外にも深く根を張って広がります。エアコンの吹き出し口のようなプラスチック部分でも、細かい傷に入り込んで根を張る可能性があります。
除菌してカビの再発を防ぐには、「エアコンスキマワイパー」のように、防カビ成分の含まれた掃除グッズを使って吹き出し口を拭くと良いでしょう。
なお、アルコール除菌スプレーや塩素系漂白剤(カビキラーなど)を吹き出し口に直接吹きかけるのは絶対にやめましょう。
電装部品が故障したり、ショートして火災が起こったりするおそれがあります。さらに、冷媒配管の腐食の原因になり、ガス漏れにつながる可能性も。
吹き出し口であれば大丈夫と思っていても、スプレーは広範囲に噴射されるので、内部まで届いてしまうかもしれません。
エアコン吹き出し口のカビを予防する方法
温度、湿度、栄養の3つの条件を満たすとカビが生えてしまいます。
カビ予防にはカビが繁殖しづらい環境を作ることが重要です。
エアコンの吹き出し口にカビが生えにくくする方法を3つご紹介します。
2週間に1回を目安にフィルターを掃除する
エアコンメーカーやクリーニング業者は、毎日使う時期であれば2週間に1度、あまり使わない期間でも月に1度はフィルター掃除をするようにアナウンスしています。
2週間に1度というと大変と思うかもしれません。
しかしこまめにフィルター掃除をすればホコリがたまりづらく、落としやすいので意外と掃除の負担は少ないです。
こまめに部屋の換気をする
こまめに換気をするとカビの胞子や栄養となるホコリなどを屋外に追い出せます。
屋外の方が湿度が低いのであれば換気で室内の除湿もできます。
換気は5分程度窓を開けているだけでも問題ありません。
効率よく換気をしたいのなら、空気の入り口と出口ができるように向かい合わせの位置にある窓を開けましょう。
冷房・除湿運転をしたあとは送風モードを使う
冷房や除湿モードを使うとエアコンの内部にはどんどん水が溜まっていきます。
エアコン内部の水はドレンホースを伝って外に排出されますが、流れきらなかった水分が湿度を上昇させるのでカビが繁殖する原因になります。
冷房や除湿運転をしたあとは「内部クリーン」機能や送風モードでエアコン内部を乾燥させましょう。
送風モードや除湿運転後の対応について詳しく知りたい方はこちらの記事もお読みください。
1~2年に1回を目安にプロのエアコンクリーニングを依頼する
エアコン内部は自分で掃除できないパーツが多いです。
清潔な状態を保つために定期的にエアコンクリーニングを受けることにしましょう。
プロのエアコンクリーニングを受ける頻度の目安は2年に1度です。
使用状況や設置場所によって頻度は変わりますので、気になるなら1度エアコンクリーニング業者に相談してみると良いでしょう。
エアコンクリーニングの頻度について詳しくは関連記事もご確認ください。
エアコンクリーニング後に防カビコーティングをしてもらう
エアコンクリーニングのオプションとして、防カビコーティングサービスを提供している事業者もいます。カビの発生を少しでも抑えたい場合は、コーティングを依頼するのも1つの手でしょう。
ただし防カビ・抗菌コートには、エアコンへのホコリや汚れの付着を防ぐ力はありません。あくまでカビや雑菌の繁殖を防ぐ役割を果たし ます。
効き目の持続期間は使用するコーティング剤によって異なりますが、エアコンを使っているとだんだんコーティングが取れてくるので、明確に効果があるのはワンシーズン程度が目安です。
「2~3年カビが生えません」とうたわれていることもありますが、実際にはそこまで効果が持続しないことが多いので注意しましょう。
吹き出し口内部(ファン)の汚れはプロのクリーニングを依頼しよう
吹き出し口の掃除をしていると、奥に見える筒状の部品(送風ファン)の汚れが気になってしまうことがあるかと思います。
吹き出し口が汚れている場合は、送風ファンにもカビやホコリが付着しているケースが多いかと思いますが、送風ファンはなるべく自分で触らず、プロのエアコンクリーニング業者に依頼しましょう。
専門知識を持った事業者であれば、正しくエアコンを分解し、高圧洗浄機などを使って確実に汚れを洗い流してくれます。
吹き出し口内部を自分で掃除するリスク
分解せずに送風ファン全体を掃除することはできません。吹き出し口から掃除道具を押し込んで無理に汚れを落とそうとすると、中途半端に剥がれ落ちた汚れやカビがエアコンの風とともに部屋に拡散されてしまいます。
また、無理やり掃除道具を押し込むことで、ファンが割れてエアコンの運転に支障が出る可能性もあります。
送風ファン洗浄用のスプレーも売られていますが、基本的にはおすすめできません。洗い流しきれず内部に残ってしまった洗剤成分がカビのエサとなり、汚れが悪化してしまうケースも多く見られます。
また自分でエアコンを分解するのもやめましょう。専門知識がないと、分解の過程で壊してしまったり、元に戻せなくなったりする可能性が高いです。
エアコンクリーニング業者は相見積もりで比較を
エアコンの吹き出し口を掃除しても何度もカビが生えてしまうのなら、手が届かない内部にカビが繁殖している可能性があります。
エアコン内部をきれいにするにはエアコンクリーニングが必要です。
プロの技術で隅々まできれいにしてもらいましょう。
エアコンクリーニング業者を選ぶときは相見積もりを取って、料金やサービス内容を比較することが大切です。
ミツモアでは最大5社からの見積もりが取れるので、業者の比較検討も簡単にできますよ。