プロが行うエアコンクリーニングは、エアコンを分解して内部まで洗浄できます。
実はエアコンクリーニングには「分解洗浄」と「完全分解洗浄」があり、どちらも分解して洗浄することには変わりませんがどこまで分解するかなどが異なります。
完全分解洗浄の詳細や依頼したときの料金相場などを解説します。
完全分解洗浄と分解洗浄の違い
エアコンの完全分解洗浄と分解洗浄の違いを表にまとめました。まずはそれぞれの特徴をチェックしましょう。
完全分解洗浄 | 分解洗浄 | |
---|---|---|
分解する範囲 | 室内機の全てのパーツ | コース・プランによって異なる |
壁からエアコンを外すか | 外す | 外さないことが多い |
所要時間 | 半日~数日 | 1~2時間半 |
一般的に「分解洗浄」と呼ばれるエアコンクリーニングよりも、「完全分解洗浄」の方が分解するパーツが多く、より多くの汚れを除去できるのが大きな特徴です。
「完全分解洗浄」は広くいえば分解洗浄に含まれます。ただし「完全」とつくので、分解洗浄コースとは異なるサービスとして扱われます。
違い①:分解するパーツの範囲が異なる
多くのエアコンは以下の6つのパーツを分解できます。
- 本体カバー
- ルーバー
- フィルター
- ドレンパン
- 送風ファン
- 熱交換器(冷却フィン)
完全分解洗浄では6つのパーツに加え、エアコン本体も壁から外して洗浄します。
この方法であればカビや汚れも徹底的に洗浄できます。
エアコンクリーニング業界では、エアコン本体を壁から外して完全洗浄を行うことを、特別に「背抜き完全分解洗浄」と呼ぶこともあるそうです。
違い②:洗浄に使う場所が異なる
エアコンを壁にかけたまま行う分解洗浄であれば、エアコンの周辺に養生を施してその場で洗浄を行います。
しかしエアコン本体を壁から外す完全分解洗浄の場合、持ち帰ってクリーニング業者の専用作業場や工場などで徹底的に洗浄するケースがほとんどです。
エアコンの完全分解洗浄で行うこと
エアコンクリーニングの大まかな流れは以下の通りです。
- エアコンの動作確認を行う
- 養生など作業前の準備をする
- エアコンのパーツを取り外す
- 高圧洗浄機を用いてパーツの洗浄を行う
- エアコンを組み立てなおす
- 動作確認をし問題なく動くかチェックする
完全分解洗浄クリーニングであっても流れそのものは大きく変わりません。しかしそれぞれの工程にかかる時間が分解洗浄よりも増加します。
特に時間がかかるのはエアコンのパーツを取り外す工程です。エアコン本体を壁から外す完全分解洗浄では、分解するパーツが多いのでその分時間がかかります。
完全分解洗浄クリーニングでは取り外したエアコンを持ち帰って、クリーニング業者の工場などで徹底的に洗浄します。高圧洗浄機や特殊な薬品などを使い、カビや汚れが残らないよう丁寧に作業するので隅々まできれいになるのが特徴です。
持ち帰って作業するという都合があるので、即日に洗浄が完了しまた使い始められるようにはなりません。数日間エアコンを利用できない日ができるので、依頼タイミングには注意が必要です。
エアコンクリーニングでプロが使う道具の例
これはプロのエアコンクリーニングで使われる道具のごく一部ですが、様々な工具を用意していることが分かります。
素人では何に使うかすぐに判別できないような専門的な工具や道具を用いて、エアコンを隅々まできれいにしてくれるのがエアコンクリーニングサービスです。
エアコンの完全分解洗浄のメリット
エアコンの完全分解洗浄を依頼すると以下3つのメリットがあります。
詳細を順にご説明します。
カビや汚れを完全に落とせる
完全分解洗浄で最も大きいメリットは、エアコン内部の汚れやカビまできれいにできることです。
エアコン内部のカビや汚れを放置すると、咳やくしゃみなどの不快な症状が出る可能性があります。
荒尾市立有明医療センターによると、エアコン内部で繁殖した「トリコスポロン」というカビが放出した胞子を吸い込むことで夏型過敏性肺炎を発症することがあります。
エアコンをつけているときや自宅にいる間だけ咳が止まらない、微熱が出て倦怠感が出るなどの症状があれば夏型過敏性肺炎かもしれません。適切な医療機関を受診してください。
完全分解洗浄でエアコン内部を隅々まできれいにすることは、自分や家族の健康を守ることに繋がります。
冷暖房の効率が上がる
エアコンの稼働効率を下げる原因のひとつは、ホコリや汚れが溜まっていることです。
ホコリなどが溜まっていると空気がスムーズに流れず、エアコンが快適な温度に調整した風を放出しづらくなります。
設定室温にするために余計なパワーが必要になり、電気代が上がる原因です。
エアコンの完全分解をすれば隅々までキレイになるので、必要最低限の電力で効率よくエアコンを使えるうえ余計な負荷もかからないのでエアコンを長く使えます。
電気代が節約できる
完全分解洗浄をしてエアコンの汚れを落とすと、運転の妨げになるものがエアコン内部からなくなります。
すると効率よくエアコンが稼働するようになり、必要最低限の消費電力で空調がかかるようになります。
電気代が節約されるので、エアコンをよく使う人ほど完全分解洗浄はおすすめです。
エアコンの完全分解洗浄のデメリット
良いことばかりに思えるエアコンの完全分解洗浄ですが、デメリットも当然あります。
完全分解洗浄を依頼する前に2つのデメリットを確認しておきましょう。
洗浄完了までに時間がかかる
完全分解洗浄はエアコンをパーツ単位になるまで分解します。
壁からエアコンを外すので、壁にかけたままで行うエアコンクリーニングよりも時間がかかります。
エアコンを業者の作業場に持ち帰って洗浄し、後日取り付けるプランもあるので依頼前に作業内容の確認が必要です。
費用が高額になることがある
エアコンの完全分解洗浄は他のエアコンクリーニングと比較して工数が多く、費用も高額になりがちです。
例えば一般的な壁掛けエアコンのクリーニング費用は7,000円からが相場ですが、完全分解洗浄プランでは20,000円からと料金が倍以上違います。
1社の見積もりだけで決めるのではなく、複数社から見積もりを取れば相場観が分かるので相見積もりを活用しましょう。
エアコンの完全分解洗浄は自分でできる?
エアコンの完全分解洗浄をDIYでする難易度は非常に高いです。
完全分解洗浄が難しい理由は以下の通りです。
- 水濡れ厳禁のパーツがある
- 再組み立てに知識が必要
- 作業に体力が必要
仮に自分で完全分解洗浄をするとしても、故障やケガのリスクを考えると業者に依頼するほうがコストパフォーマンスが高くなります。
フィルターや吹き出し口は自分で掃除ができる
エアコンの一部パーツは自分で掃除ができます。
フィルターと吹き出し口は掃除をしても故障やケガのリスクがほとんどありません。
定期的にフィルターと吹き出し口を掃除すると、エアコンにカビや汚れが溜まりづらくなるので快適に使い続けられます。
フィルターや吹き出し口の掃除方法は関連記事をご覧ください。
エアコンの完全分解洗浄を依頼するときの注意点
エアコンの完全分解洗浄を依頼するときには2点気をつけるべき点があります。
依頼する時期に注意する
エアコンの完全分解洗浄を依頼するときは特にタイミングが重要です。
分解したエアコンを持ち帰って洗浄し、別日に再取り付けをするプランは確かに隅々まできれいになりますが、その間エアコンが使えなくなります。
真夏や真冬など、1日でもエアコンが使えないと危険な状態になる時期には依頼しないようにしましょう。
所要時間を考えて依頼する
持ち帰らずに洗浄をする完全分解洗浄のプランであっても、作業には半日近くかかります。
完全分解洗浄を受ける日はなるべくほかの予定は入れず、何かあったらすぐに対応できるようにしましょう。
分解~洗浄までは機種にもよるものの2~3時間ほどで終わることが多いです。
見積もりを取った時にどのくらいの時間がかかるかあらかじめ聞くことをおすすめします。
プロにエアコン完全分解洗浄を依頼したときの料金相場
エアコンの完全分解洗浄は工数が多く時間もかかるので、壁にかけたままで行うエアコンクリーニングと比べると作業金額が高くなることが多いです。
完全分解洗浄を依頼したときの料金相場を表にまとめました。参考としてご覧ください。
エアコンの種類 | 料金(1台あたり) |
---|---|
壁掛けエアコン | 20,000~35,000円 |
お掃除機能付きエアコン | 25,000~40,000円 |
機種によって分解のしやすさが異なることなどから、料金にはある程度幅があります。
一般的に最新機種ほどノウハウが確立していないため、作業料金が高くなりやすいです。
エアコンクリーニングの料金について、関連記事もご覧ください。
エアコンクリーニングを依頼する頻度の目安
定期的にエアコンクリーニングを依頼すると、カビなどの悪影響を受けづらくなります。
設置場所別のエアコンクリーニングの依頼頻度を以下の表にまとめました。
設置場所 | 依頼の頻度 |
---|---|
リビング | 1~2年に1度 |
キッチンやダイニング | 1年に1度 |
寝室や子供部屋 | 1~2年に1度 |
ホコリに油分が付着すると粘着性のある汚れになります。
粘着性のある汚れが付着するとエアコンの運転効率が下がるので、定期的な完全分解洗浄でエアコンを隅々まできれいにしましょう。
エアコンの分解洗浄をして快適に過ごせるようにしよう
定期的に完全分解洗浄をすることで、エアコンがキレイな状態を保ちやすくなります。
エアコンがキレイならアレルギーやアトピーといった病気の心配がなくなるので、自宅がストレスフリーな環境になるでしょう。
1~2年に1回を目安にエアコンクリーニング業者に完全分解洗浄を依頼して快適に過ごせるようにしましょう。