レインズとは、全国の物件情報が閲覧できるサービスです。公益法人「不動産流通機構」が運営しており、Real Estate Information Network Systems(不動産情報ネットワークシステム)の頭文字を取って、REINS(レインズ)と呼ばれています。
会員登録をした不動産業者のみが閲覧でき、売却したい物件を登録したり、希望に見合う物件を検索したりできます。レインズは一般人でも使えるのかを解説します。
監修者
髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)
株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。
レインズ(REINS)は不動産会社が閲覧できるシステム
レインズは、不動産業者が物件情報を一元的に管理・閲覧するためのシステムです。国内のほとんどの不動産会社が加入しており、加入した不動産会社はレインズ上の物件情報に全国からアクセスが可能です。
なお、物件情報や顧客の個人情報などが多く含まれているため、一般人は閲覧できません。
レインズ上で公開される物件の情報には、以下のものがあります。
- 価格
- 住所
- 面積
- 間取り
- 駐車場の有無
- 都市計画
多くの不動産会社が持つ情報が1つのシステムに集約されているおかげで、借り手や買い手が不動産会社を回る必要がありません。1つの不動産会社を通して全国の不動産情報にアクセスできるため、スムーズな不動産売買に役立っています。
一般の人は、不動産会社がレインズから得た情報を元に物件の紹介を受けて不動産売買を進めます。
レインズを一般人が見るには?
レインズには物件情報や顧客の個人情報が多く含まれており、会員は不動産業者に限定されているため、一般の人は自由に閲覧できません。レインズのIDやパスワードを教えてもらうことも、規約違反になるため不可能です。
ただし物件の売却価格を検討する時や、購入希望に合った物件を見せてもらうタイミングなどで不動産会社に頼めば、レインズ上の情報を教えてもらえる可能性があります。
一部の個人情報は伏せられますが、近隣の物件の売却相場や気になる物件の詳細などの情報を得られるでしょう。
また物件の売主は、自身の物件情報のみレインズ上で自由に閲覧できます。自身の物件を担当する不動産会社から受け取る「登録証明書」に、ログインに必要なIDとパスワードが記載されています。
買主がレインズの情報を見るメリット
買主は自由にレインズを閲覧できませんが、不動産会社にレインズ上の情報を教えてもらえるかもしれません。情報を得るメリットは以下の通りです。
手間なく希望に合う物件が見つかりやすい
レインズは各地の不動産会社が登録する全国の情報を網羅しているため、希望に合う物件が見つかりやすいでしょう。また登録されている物件数も非常に多いため、物件探しの手間も省くことができます。
あくまで掲載されている情報を教えてもらう形ですが、理想の条件を不動産会社に伝えれば、多くの情報の中からすぐに見つかるかもしれません。
悪質な取引に巻き込まれる心配が少ない
取引を検討している物件がレインズに掲載されているなら、悪質な取引に巻き込まれる心配が小さいでしょう。
レインズは、国土交通省の指定を受けた不動産流通機構が運営しています。国の指定を受けているため、レインズが提供する情報には信頼感があります。
またレインズを閲覧できる不動産会社は、全国の不動産協会の会員であるか、不動産流通機構の指定した手続きを済ませている業者です。そのため悪質な業者である可能性が低いといえます。
レインズが間に入ることで取引の安心感や安全性が担保され、納得のいく取引ができるでしょう。
売主がレインズの情報を見るメリット
売主は自身が売りに出している物件の情報のみ、いつでもレインズ上で確認できます。
売主が情報を確認するメリットは、囲い込みの防止です。囲い込みとは不動産会社が仲介料を得るために、他の不動産会社には情報を公開せず、自社内で取引を完結させることです。
不動産を売却する際、売主は不動産会社と「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」「一般媒介契約」のいずれかの契約を結びます。一般媒介契約の場合、他の2種類と違ってレインズへの物件登録が任意であるため、囲い込みのリスクがあります。
囲い込みをされると、より高額で購入してくれる可能性のある他の買い手との接触機会がなくなってしまうでしょう。
囲い込み防止のためにも必ずレインズへの登録をお願いし、正しい情報が登録されているか自身で確認してください。
レインズ以外で物件情報を調べる方法
不動産の売買を検討していると、自分で不動産情報を集めたくなるシーンがあるでしょう。自分で物件情報を集めるには、レインズ以外のサービスを使う必要があります。
レインズの代わりに使える、4つのサービスを紹介します。
システム名 | 情報量 | 住所 | 成約価格 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
レインズマーケットインフォメーション | 〇 | 非公開 | 〇 |
|
不動産ジャパン | 〇 | 非公開 | 非公開 |
|
土地総合情報システム | 〇 | 非公開 | △ 住所 |
|
不動産ポータルサイト | △ 販売中のみ |
非公開 | 非公開 |
|
レインズマーケットインフォメーション
レインズと同等の情報を一個人が入手するには、『レインズマーケットインフォメーション』を活用すると良いでしょう。レインズマーケットインフォメーションは、国土交通省が2007年から本格的に運営しているWebサイトです。
価格をはじめ、売却された不動産の専有面積や間取り、築年数などの情報を検索できます。地域詳細や沿線などの追加条件を指定すれば、より細かな条件で物件の情報を検索可能です。
レインズマーケットインフォメーションでは公開情報から個人が特定されることを避けるため、詳細な住所は非公開としています。それゆえ、近隣の取引事例から売却相場を探りたい場合には、力不足かもしれません。
不動産ジャパン
レインズとほぼ変わらない情報が手に入るもう1つのサイトが『不動産ジャパン』です。
不動産ジャパンは、公益財団法人・不動産流通推進センターが運営する不動産情報サイトです。不動産ジャパンの情報提供元には、合わせて全国の9割以上の不動産会社が加盟しており、圧倒的な情報量を誇っています。
不動産ジャパンは、不動産を買いたい人と借りたい人をターゲットに物件情報を提供しています。レインズが提供する情報とほとんど変わらない情報を検索できるのが強みです。
ただし、不動産ジャパンでは成約情報を確認することはできません。売却予定の物件の相場を知る目的には適さないので注意しましょう。
土地総合情報システム
過去の不動産取引をもとに似た物件の売却相場を把握したい時には、国土交通省が運営している『土地総合情報システム』の利用がおすすめです。
このシステムは、不動産の取引価格情報提供制度に基づいて運営されており、取引価格の検索・地価公示や、都道府県地価調査を閲覧できます。
アンケートに基づいた取引価格も掲載されており、不動産の種類や地域を指定すれば、対象エリアでどんな物件がいくらで売れたかを知ることができます。
ただしこのシステムでは、物件の細かな住所までは特定できません。周辺地域の物件の取引価格を基に売却価格を考えたい場合には、不向きといえるでしょう。
不動産ポータルサイト
不動産情報を集めるための常套手段が不動産ポータルサイトの利用です。不動産ポータルサイトとは、不動産に関する情報が集められているサイトです。代表的なサイトとして『SUUMO』や『アットホーム』があります。
不動産ポータルサイトの強みは圧倒的な情報量です。しかしレインズは、不動産ポータルサイトをはるかに上回る情報量を持っています。多彩な物件情報にアクセスしたいなら、ポータルサイトではなくレインズが適しているといえます。
また、不動産ポータルサイトはあくまで情報が集まっているだけのサイトです。ポータルサイトで見つけた物件に問い合わせる際には、ポータルサイトではなく、管理している不動産会社に連絡する必要があります。
レインズ以外の方法を駆使して情報を集めよう
レインズは不動産業者向けの物件情報サイトです。一個人として物件情報を検索するなら、『不動産ジャパン』や『土地総合情報システム』などのサイトを活用しましょう。
納得のいく不動産売買ができる、信頼のおける不動産業者を探すなら、ミツモアを利用してみませんか?ミツモアには多数の不動産業者が登録しており、簡単な質問に答えるだけで希望する条件にぴったりなプロと出会えますよ。