ミツモアメディア

不動産売却の流れ8ステップ!査定から引き渡しまで時系列に解説

最終更新日: 2024年06月28日

不動産売却で売主がやるべきことをチェックしておくと、失敗するリスクを抑えられます。不動産会社選びや売り出し価格の決め方、売買契約が成立するまでの流れなどを事前に押さえておきましょう。査定から引き渡しまで、時系列で解説します。

監修者

髙杉義征

髙杉義征(セカイエ株式会社元執行役員/宅地建物取引士)

株式会社日京ホールディングスの元取締役、セカイエ株式会社の元執行役員を経て、現在は株式会社ミツモアの事業部長として全体を統括。一貫して不動産業界に携わり、不動産仲介会社、不動産管理会社、不動産テック企業での経験を有する。不動産売却希望者と不動産会社をマッチングするサービスでは、執行役員として事業立ち上げからグロースまでを担当。また、不動産関連のセミナーやライブ配信にも登壇している。

STEP1:事前に下調べ・準備をする

不動産の売却で失敗しないためには、事前の下調べや準備が必要です。情報収集のやり方や、査定を依頼する不動産会社選びのポイントをチェックしましょう。

売却相場の情報収集

まずは売却を考えている不動産の相場を調べましょう。所有する不動産の価値や、対象の不動産がある周辺地域の相場などを知らないと、不動産会社と交渉しづらくなります。

国土交通省が提供する『土地総合情報システム』を使用すると、過去に取引された不動産価格の情報が分かります。所有している不動産の条件に近いものをチェックしてみましょう。

また国土交通省土地鑑定委員会が決定している、地価公示を参照する方法もおすすめです。住宅地や宅地見込地などの土地の用途区分ごとに、土地の価格を検索できます。

地価公示・地価調査・取引価格情報 | 土地総合情報システム | 国土交通省

対象不動産の書類を集める

不動産会社を決める前に必要書類を把握し、できるだけそろえておきましょう。不動産の売却を依頼する際に必要な書類として、以下のようなものが挙げられます。

  • 売買契約書
  • 登記簿謄本または登記事項証明書
  • 土地測量図面・境界確認書
  • 建築確認通知書
  • 建築設計図
  • 固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書

買主が決まり、引き渡しをする際には本人確認書類・実印・印鑑証明などが必要です。印鑑証明は『発行から3カ月以内のもの』と指定されているケースが多く、売却に時間がかかった場合に期限切れになってしまう恐れがあるので、売却先が決定してから準備しましょう。

査定を依頼する不動産会社を選択

査定を依頼する会社を選ぶ際は、不動産の一括査定サービスを使って、複数社に査定を依頼する方法がおすすめです

一括査定サービスを利用すると、各社から簡易査定結果が届きます。1社だけでは比較対象がなく正しい相場が分からないので、複数社に依頼しましょう。

一括査定サービスといっても、種類はさまざまです。そのサービスが得意とするジャンルやエリアが、所有する不動産とマッチしているかを重視して選びましょう。

全国に対応しているものもあれば、特定の地域に特化しているものもあります。不動産会社の登録数や、一度に依頼できる数などもチェックするとよいでしょう。

STEP2:不動産会社に査定を依頼する

複数の不動産会社に簡易査定を依頼後、じっくりと内容を検討して訪問査定してもらう会社を絞り込みましょう。訪問査定で正確な査定額や担当者の対応などを確認し、最終的に依頼する不動産会社を決定する流れです。簡易査定と訪問査定の特徴を解説します。

簡易査定

簡易査定は売却予定の不動産を実地で確認することなく、不動産の条件や地域情報をもとに査定額を算出する方法です

現地へ行かず過去の事例や類似物件などのデータのみで査定額を算出するので、机上査定とも呼ばれます。

実際に訪れてみないと分からない情報や、不動産の印象などは考慮されません。訪問査定よりも査定額の振れ幅が大きいため、不動産の査定価格を大まかに知るためのものとして利用しましょう。

簡易査定の結果を受けて、訪問査定を依頼する不動産会社を決めます。査定額だけで判断せず、不動産会社の得意ジャンルもチェックして絞り込むことが大事です。

訪問査定

訪問査定は現地で売却予定の不動産を実際に確認した上で、査定額を算出する方法です。訪問査定でチェックされる主なポイントとして、以下のような要素が挙げられます。

  • 築年数
  • 間取り
  • 最寄りの交通機関との距離
  • 日当たりや騒音などの周辺環境

訪問査定を依頼した不動産会社の中から、実際に仲介を依頼する不動産会社を選ぶには、以下のポイントをチェックしましょう。

  • 査定価格
  • 買手が現れそうか
  • いつまでに売れそうか
  • どのような売却プランがあるか
  • このエリアに詳しいのか

『説明が分かりやすく丁寧』『親身な対応をしてくれる』など、担当者との相性もチェックしておきたい部分です。

STEP3:不動産会社と媒介契約を締結する

依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びましょう。媒介契約には専任媒介契約・専属専任媒介契約・一般媒介契約の3種類があります。それぞれの特徴をチェックしましょう。

専任媒介契約

売主と1社の不動産会社の間でのみ契約を結ぶ方法です。他の不動産会社には仲介を行ってもらえませんが、売主が自分で買主を見つけることは可能です。

不動産会社側からしてみると、ほぼ確実に仲介手数料を受け取れる契約形態であるため、力を入れて販売活動に取り組みます。

売買の窓口を1つに絞るような感じになるため、売主が複数の不動産会社とやりとりをしなくてよい点も魅力です。

ただし売却力の低い不動産会社や担当者に当たってしまうと、いつまでたっても売れない結果になる可能性があるでしょう。

専属専任媒介契約

売主と1社の不動産会社が契約する方法です。専任媒介契約とは違い、売主自身では買主を探せず、必ず契約した不動産会社を通す必要があります。

契約した不動産会社が自社のみで買主を探す必要があるので、真剣に買主を探してくれる傾向です。売りにくい不動産を抱えている人におすすめな方法といえます。

専任媒介契約と同様に、不動産流通機構が運営する情報システム『REINS(レインズ)』への登録が義務付けられていますが、仲介手数料を買主と売主の両方から得るために、囲い込みをするリスクがある点はデメリットです。

一般媒介契約

売主が複数の不動産会社と媒介契約を結べる方法です。自力で買主を見つけることもできます。多くの不動産会社と契約できるので、買主を探しやすくなる点がメリットです。

契約方法には明示型と非明示型があります。明示型はどの不動産会社に依頼しているのかを通知する方法で、非明示型は通知しなくてよい方法です。

不動産会社からしてみると、販売活動を行ってもほかの不動産会社の利益になってしまう恐れがあります。積極性に欠ける場合もある点はデメリットです。

また『REINS』への登録義務がないため、物件情報が共有されず、買主を探す範囲が狭くなってしまう可能性もあります。

STEP4:不動産の売却活動を行う

不動産会社と媒介契約を結んだら、実際に売却活動がスタートします。売却活動の流れを見ていきましょう。

売り出し価格の設定

売り出し価格とは実際に物件を販売する際に設定する価格のことです。必ずしも査定額がそのまま売り出し価格になるわけではなく、売主の希望や近隣の市場価値も反映して決定します。

できるだけ高く売りたいと考えて高値で売り出しても、市場価格からかけ離れて高いとなかなか売れず、売り出し価格を下げなければならない状態に陥るでしょう。

反対にあまりに安くしすぎても損をしてしまうので、不動産会社のアドバイスを受けながら、適切な価格を設定するのがおすすめです。

もし早く売りたいという希望が売主にある場合は、あえて周辺の不動産価格よりも安めの価格を設定する方法もあります。

買主候補の内覧への対応

購入希望者が見つかったら、売却活動の一環として内覧に対応します。内覧当日までに、室内や庭などを掃除しましょう。ゴミや汚れなどが目立つ状態だと、よい印象を持ってもらえません。

当日は生活臭にも注意し、窓を開けておいたり消臭剤を使用したりするなどの工夫をします。室内が明るく見えるように、カーテンを開けて電灯をつけておきましょう。

また購入希望者から住居の設備や周辺環境などについて質問されたら、できるだけ丁寧に説明します。明るい笑顔で対応することも大事です。自分の思い入れではなく、買主視点でのメリットを語るように意識するとよいでしょう。

STEP5:買主候補者と条件交渉を行う

買主候補者が決まったら、条件を取り決めて売買成立までつなげます。条件交渉が始まる流れや、交渉の方法などを見ていきましょう。

条件交渉が始まる流れ

購入希望者が購入の意思を示すと、不動産会社から購入申込書(買付証明書)が送られてきます。そこには買主の希望する購入価格が記載されています。

購入希望価格には基本的に売り出し価格よりも低い額が記入されていると考えましょう。売主の希望価格通りに売却できるケースは滅多にありません。

内覧時に直接の値下げ交渉を受ける場合もありますが、その場で直接回答すると『言った・言わない』のトラブルに発展する可能性があります。不動産会社の担当者に事前に相談しておき、不動産会社を通じて交渉するようにしましょう。

値引き・条件交渉の考え方

買主候補者から値引き交渉が届いたら、値引き額が現実的かどうかを考えましょう。住宅ローンが残っている場合、値引き後の価格で完済できるかという点もチェックしなければなりません。

相場と比べてあまりにも低価格を希望された場合は、購入希望者の支払い能力が不足している可能性も懸念されるので、ほかの購入希望者を待つ方法もあります。

なかなか売却が進まず困っている場合や、早めに売却したい場合は値引きも考えましょう。売却活動を開始して半年以上売れないと不人気物件扱いされ、売りづらい状況に陥るケースも想定されます。

若干の値引きをした方がよい結果を招く場合もあるので、迷ったら不動産会社からのアドバイスを受けましょう。

STEP6:買主と売買契約を締結する

価格交渉がまとまったら、いよいよ売買契約に進みます。必要な書類や手付金の受け取り方、仲介手数料の支払い方法などをチェックしましょう。

必要になる書類

売買契約時に売主が用意すべきものは以下の通りです

  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
  • 印鑑登録証明書(3カ月以内に発行したもの)
  • 実印(印鑑登録済みのもの)
  • 印紙税額分の収入印紙
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知
  • 固定資産税納税通知書

不動産の取引では、所有者本人だと確認する必要があります。名義人が複数いる場合は、全員の本人確認書類や実印が必要です。

収入印紙は売買契約書に課せられる印紙税を払うために準備しますが、不動産会社が用意してくれる場合もあるので、確認しましょう。

不動産の所有者であることを示す、登記済証(権利証)または登記識別情報通知も必要です。固定資産税の額を確認するため、固定資産税納税通知書が必要になるケースもあります。

売買契約締結前には宅地建物取引士による重要事項の説明を受けましょう。

手付金受け取り

不動産の売却では、売買契約時に手付金を受け取ります。手付金の額は売買代金の5〜10%程度が目安です。物件の引き渡し時に残りの代金を受け取ります。

買主側が途中で売買契約を解約する場合、買主は手付金を放棄しなければなりません。反対に売主側が契約を解除したくなったケースは、手付金の2倍の金額を買主に返すことが必要です。

金額があまりにも少ないと、簡単に契約を解除されてしまうリスクがありますが、売主と買主の間で合意があれば、相場よりも少額に設定する場合もあります。

不動産会社に仲介手数料の一部を支払う

この時点で不動産会社に仲介手数料の半額を支払うのが慣例です。残りの金額は通常、決済と引き渡しの際に支払います。不動産会社によって割合が異なるので、事前に確認しましょう。

また仲介手数料にも消費税がかかるので、税込みか税抜きかについても事前に確認します。値引きに応じてくれる場合もあるので、契約時に交渉するとよいでしょう。

STEP7:売買代金の決済・物件の引き渡しを行う

買主との売買契約が成立したら、残金の決済と物件の引き渡しの段階です。同時に所有権移転登記の手続きもしなければなりません。必要書類や各工程のポイントをチェックしましょう。

残代金の受け取り

引き渡しの準備が終わったら、引き渡し日に残金の決済を行います。司法書士による本人確認と書類の確認が終わった後に、決済へ進む流れです。

決済の場所は原則として買主が指定するので、売主は指定された場所へ行きましょう。決済時に売主が準備する書類は、以下の通りです。

  • 本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
  • 印鑑証明書(3カ月以内に発行したもの)
  • 実印(印鑑登録済みのもの)
  • 登記済証(権利証)または登記識別情報通知
  • 固定資産評価証明書
  • 着金を確認するための預金通帳・キャッシュカード
  • 物件の鍵

引き渡す不動産に抵当権が設定されている場合は、抵当権抹消の書類も準備しなければなりません。

当日に必要な持ち物は、不動産会社が指示してくれます。足りないものがあると決済ができないので、忘れ物がないように準備しましょう。

仲介手数料の残額を支払う

不動産売却の決済が済んだら、不動産会社に残りの仲介手数料を支払いましょう。現金を手渡しするのではなく、金融機関からの振り込みを選択した場合であっても、その場で決済されるケースが多いといえます。

仲介手数料の上限は法律で定められており、不動産の売却価格が高ければ仲介手数料も高額になる仕組みです。売却価格が400万円超の場合『売却価格×3%+6万円(+消費税)』の計算式で、おおよその金額が分かります。

参考:宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額|国土交通省

所有権移転登記の手続き

引き渡しと同じタイミングで、所有権移転登記の手続きを行います。引き渡し当日に手続きをしたとしても、申請から完了までに7~10日程度の時間がかかるのが一般的です。

登記をしないと新しい所有者が第三者に対して、所有権を主張できません。買主以外から権利を主張されるトラブルを防いで、確実に所有権移転登記をするために、残金の決済と同時に行われます。

登記の申請は原則として売主と買主が共同で行う決まりです。売主は買主がスムーズに手続きを終えられるように、協力しなければなりません。

参考:○登記の申請は誰がしなければならないのですか?|法務局

STEP8:確定申告を行う

不動産を売却したら確定申告が必要になる場合があり、忘れていると延滞税を請求される恐れがあります。確定申告が必要なケースやタイミング、流れなどをチェックしましょう。

確定申告が必要なケース

不動産の売却で利益が出た場合は、確定申告を行いましょう。例えば1,000万円で取得した不動産を1,200万円で売却した場合、200万円の利益が出たことになります(譲渡にかかった費用が引かれるため、実際にはもう少し利益は縮小)。

不動産売却で得た利益は『譲渡所得』と呼ばれ、課税対象になります。税率は原則として、以下の通りです。

  • 長期譲渡所得(5年を超える場合):所得税15%、住民税5%
  • 短期譲渡所得(5年以下):所得税30%、住民税9%

所有期間によって税率が異なる点に注意しましょう。また自宅の売却時には軽減税率の特例が設けられています。

不動産の売却額よりも取得費や譲渡費用などの諸経費が多かった場合は、利益が出ていないので確定申告は不要となります。

不動産の売却価格1,200万円に対し、取得費と諸経費の合計が1,500万円だとしたら300万円のマイナスになり、譲渡所得が発生しないので確定申告の必要はありません。

ただし自宅の譲渡により損失が生じた場合には、そのほかの所得との損益通算や繰越控除が可能なので、多くの場合において確定申告をした方が節税につながります。

参考:土地や建物を売ったとき|国税庁

不動産売却時における確定申告のやり方

確定申告を行う場合には、国税庁のWebサイトや最寄りの税務署から以下の書類を入手しましょう

  • 確定申告書の第一表・第二表
  • 確定申告書の第三表
  • 譲渡所得の内訳書

売却した不動産の金額や所在地、売却した家の面積・用途などの必要事項を記入しましょう。売買契約書や領収書を見ながら、正確に記載します。

書類を税務署の窓口に持参する以外に、電子申告や郵送での申告も可能です。書き方が分からない場合や自分で申告する時間を確保できない人は、税理士などの専門家に相談しましょう。

確定申告を行う期限は、原則として不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日です。

不動産会社探しは一括査定サービスを使うと簡単

不動産売却での失敗を避けるためには、事前に大まかな相場を調査した上で、不動産会社の査定を受けましょう。

一括査定サービスを利用して複数社に簡易査定を依頼すると、適正な相場や不動産会社の対応などを簡単にチェックできて便利です

得意とするエリアやジャンルなども考慮しながら、信頼できる不動産会社を選びます。売却活動開始後は定期的に不動産会社から状況の報告を受け、必要に応じて売り出し価格の見直しをすることが大事です。

不動産査定の見積もりを依頼する

サービス提供事業者さま向け
ミツモアにサービスを
掲載しませんか?
ミツモアにサービスを掲載しませんか?

ミツモアは依頼者さまと事業者さまをつなぐマッチングサイトです。貴社サービスを登録することで、リードの獲得及びサービスの認知度向上が見込めます。 さらに他社の掲載サイトとは違い、弊社独自の見積システムにより厳選されたリード顧客へのアプローチが可能です。 もちろん登録は無料。 ぜひミツモアにサービスをご登録ください。