小売店経営において、POSレジ選びは単なる「レジスターの購入」ではなく、「利益」と「時間」を生み出すための重要な投資です。かつては金銭授受のためだけの道具でしたが、現在、POSレジは在庫最適化、EC連携、そして顧客体験を左右する経営の中枢システムへと進化しています。
しかし、多くの経営者や店長が「種類が多すぎて選べない」「自店に最適なシステムがわからない」という悩みを抱えています。スペック表を眺めるだけでは、現場で本当に使えるかどうかの判断はつきません。
本記事では、数あるサービスの中から、小売業に不可欠な「在庫管理」「EC連携」に強い9製品を厳選しました。あなたの店舗規模や成長フェーズに合わせた「正解」のPOSレジ選びを実現していきましょう。
小売店におすすめのPOSレジ比較一覧・タイプ別診断

まずは結論から提示します。以下の診断チャートとスペック比較表で、あなたの店舗が検討すべきPOSレジを特定してください。
タイプ別・一発診断ナビゲーション
あなたの店舗が重視する要素に合わせて、以下の4つのタイプから選択してください。
【総合力・拡張性タイプ】
将来的に店舗を増やしたい、SKU(色・サイズ)ごとの在庫管理を徹底したい、実店舗とECを本格的に連携させたい店舗には、「スマレジ」または「POS+ retail」が正解です。
【コスト重視・スピードタイプ】
開業直後で資金を抑えたい、SKU数が少ない専門店、難しい設定なしですぐに使いたい店舗には、「Airレジ」または「Square リテールPOSレジ」が最適です。
【EC連携特化タイプ】
ネットショップと実店舗を少人数で同時運営している、D2Cブランド、オムニチャネル化を目指す店舗には、「STORESレジ」または「Shopify POS」を推奨します。
【業種特化・独自性タイプ】
接客・顧客管理(CRM)を最重視するアパレルや、専用ハードウェア・セルフレジが必要な店舗には、「パワクラ」「ユビレジ」「CASHIER」が適しています。
小売業向けPOSレジ9製品の比較表
| サービス名 | タイプ | 初期費用 | 月額費用 | 決済手数料 | 在庫管理・EC連携の強み |
| スマレジ | 総合力 | 0円 | 0円〜 | 3.25%〜 | Shopify連携・アプリ拡張性◎ |
| POS+ retail | 総合力 | 要見積 | 14,000円~ | 要見積 | 小売特化機能・保守手厚い |
| Airレジ | コスト | 0円 | 0円 | 3.24%〜 | 圧倒的シェア・操作性 |
| Square リテールPOSレジ | コスト | 0円 | 0円~ | 2.5%〜 | 最短翌日入金・シンプル在庫管理 |
| STORESレジ | EC特化 | 0円 | 0円〜 | 3.24%〜 | STORESネットショップ完全連動 |
| Shopify POS | EC特化 | 0円 | 750円〜 | Shop Pay等 | 世界標準のEC統合・越境対応 |
| パワクラ | 独自性 | 0円〜 | 5,250円〜 | 要見積 | アパレル・個客管理特化 |
| ユビレジ | 独自性 | 0円 | 6,900円~ | 3.24%〜 | iPad POSパイオニア・安定性 |
| CASHIER | 独自性 | 79,800円 | 0円~ | 要見積 | Android・ハードウェア自由 |

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迷ったら検討すべき小売業向けPOSレジ2選【総合力・拡張性】
将来的な多店舗展開や、数千点以上のSKU管理を見据えるならば、拡張性とデータ管理能力に優れた以下の2製品が確実な選択肢です。
スマレジ:在庫管理と拡張性で選ぶなら最適

「0円から使える手軽さ」と「上場企業も採用する高機能」を両立した、クラウドPOSの筆頭候補です。スマレジの最大の特徴は、スマホのアプリのように必要な機能を後から自由に追加できる「拡張性」にあります。1店舗のときは無料プランでスタートし、店舗数が増えたりEC連携が必要になったタイミングで「リテールビジネスプラン」へ移行するなど、システムを入れ替えずに事業成長に追随できる点が最大の強みです。
また、世界的なECプラットフォーム「Shopify」とのAPI連携アプリが充実しており、会員ランクの統合やポイント連携まで実現可能です。さらに、いつ誰が何を処理したかという詳細な「在庫変動履歴」が記録されるため、在庫管理の透明化と効率化にも大きく貢献します。
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円~ |
POS+ retail:小売特化機能と手厚い保守サポート

小売店特有の複雑な業務フローに標準機能で対応し、万が一のトラブル時にも安心できる手厚いサポート体制を持つ製品です。一般的なPOSでは対応が難しい「免税販売」「委託販売管理」「修理預かり管理」「買取」といった機能が、オプションではなく標準機能として搭載されています。そのため、複雑な販売形態を持つ店舗でも、カスタマイズなしで即座に運用を開始できるのが魅力です。
加えて、本部機能での一括管理や分析に強く、全店舗の売上・在庫状況をリアルタイムで把握できるため、多店舗展開企業の経営基盤として機能します。また、クラウドレジでは珍しく全国対応の駆けつけサポート(オンサイト保守)を提供している点も大きな特徴です。
IT機器の操作に不安があるオーナーや、専任のシステム担当者がいない中堅規模のチェーン店にとって、トラブル時に人が来てくれる安心感は代えがたい価値となります。
| 初期費用 | 要見積 |
| 月額費用 | 14,000円~ |
初期費用を抑えて手軽に導入できる小売業向けPOSレジ2選【コスト重視】
小規模なブティックやポップアップストア、あるいは開業資金を極力抑えたい事業者にとって、固定費をかけずに導入できる以下の2製品は強力な味方となります。
Airレジ:圧倒的シェアと「月額0円」の手軽さ

リクルートが提供する国内利用店舗数No.1のPOSレジアプリであり、「迷ったらAirレジ」と言われるほどの知名度と信頼性を誇ります。
最大のアドバンテージは、導入のハードルが極めて低いことです。iPadと周辺機器さえあれば、初期費用・月額費用ともに完全無料で使い続けられるため、ランニングコストを抑えたい店舗にとって最高のコストパフォーマンスを発揮します。
また、「誰でも使える」ことを追求した画面設計は秀逸で、新人アルバイトでも数分のレクチャーで操作を覚えることができます。人の入れ替わりが激しい店舗において、教育コストを最小化できる点は大きなメリットと言えるでしょう。同社の決済サービス「Airペイ」と組み合わせれば、クレジットカードや電子マネー、QR決済の会計処理がワンタップで完了し、金額の二度打ちによるレジ締め違算リスクも解消されます。
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円 |
Square リテールPOSレジ:デザイン性と最短導入・入金

洗練されたデザインのハードウェアと、驚異的なキャッシュフローの速さで、世界中の小売店から支持されています。特筆すべきは、2025年現在で2.5%(Visa, Mastercard等)という業界最安水準の対面決済手数料です。業界平均の3.24%〜と比較して手数料コストを大幅に削減でき、月商100万円の場合、年間で約9万円もの利益差が生まれる計算となります。
さらに、売上代金はみずほ銀行・三井住友銀行であれば最短翌営業日に入金されるため、仕入れ資金の回転が速い小売業の資金繰りを強力にサポートします。
無料の「Square リテールPOS」アプリを使えば、バーコードスキャンによる在庫調整や、資金を寝かせている死に筋商品を特定する「滞留在庫レポート」の確認も可能であり、コストをかけずに健全な在庫運営をスタートできます。
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円~ |
ネットショップ連携に優れた小売業向けPOSレジ2選【EC連携特化】
「実店舗で売れたら、ネットの在庫も自動で消す」。このOMO(Online Merges with Offline)の仕組みを、開発不要で実現する2製品です。
STORESレジ:ネットショップと店舗の在庫が「ズレない」

国内ネットショップ作成サービス「STORES」直系のレジアプリであり、ネットとリアルの境目をなくすことに特化しています。
STORESでネットショップを運営していれば、このレジアプリを導入するだけで、複雑な設定なしに在庫が自動連携されます。実店舗で商品が売れた瞬間にネットショップ上の在庫も減算され、完売すれば自動で「SOLD OUT」になるため、併売による「売り越し」を防ぐことができます。
基本は連動させつつ、「店舗限定在庫」としてネットとは分けて管理したい場合も設定ひとつで対応できるため、現場の運用に即した柔軟性も兼ね備えています。
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 0円~ |
Shopify POS:世界標準のEコマース連携で「攻める」小売へ

世界No.1のECプラットフォーム「Shopify」が提供するPOSシステムであり、ECを主軸に実店舗を展開するD2Cブランドや企業に最適です。ECとPOSが完全に同一システム上で稼働するため、データ連携という概念すら超えた「完全統合」が実現します。顧客情報、注文履歴、在庫データがすべてひとつの管理画面に集約され、リアルタイムで可視化されるのです。
この統合により、オンラインでの購入履歴を店舗のタブレットで確認しながら接客したり、店舗で購入した商品をECのマイページから確認できたりと、チャネルを横断したシームレスな顧客体験(CX)を提供できます。
また、多言語・多通貨に対応しており、将来的に海外展開やインバウンド需要の取り込み(越境EC)を視野に入れているブランドにとって、最も拡張性の高い選択肢となります。
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 750円~ |
特定ニーズに刺さる小売業向けPOSレジ3選【業種特化・独自性】
汎用的なレジでは満たせない、特定の業種や運用スタイルに特化した製品群です。
パワクラ:アパレル・ブティックの顧客管理に特化

「商品を売る」こと以上に「顧客との関係構築」を重視するアパレル専門店やセレクトショップから支持されています。高度なCRM(顧客関係管理)機能を標準搭載しており、購入履歴に基づいたきめ細やかな接客や、ポイント管理、DM送付などがスムーズに行えます。
「個客」ごとの好みを把握し、リピーター売上を最大化したい店舗にとって、強力な武器となるでしょう。
| 初期費用 | 0円~ |
| 月額費用 | 5,250円~ |
ユビレジ:iPad POSのパイオニア、安定した操作性

iPad POSの元祖として長年の実績を持ち、動作の安定性と使いやすさに定評があります。「ユビレジ在庫管理」オプションを追加することで、発注・入庫・棚卸といったバックヤード業務まで一気通貫でカバーできます。
各業種へ対応できる柔軟性があり、Salesforceなどの外部システム連携も得意としているため、長期的に安定した運用を求める店舗に適しています。
| 初期費用 | 0円 |
| 月額費用 | 6,900円~ |
CASHIER:ハードウェア自由自在、セルフレジも対応

スマホアプリ型だけでなく、専用の据え置き型ハードウェアや、自動釣銭機付きのセミセルフレジ、完全セルフレジ筐体など、デバイスの選択肢が豊富な点が特徴です。
Androidベースの堅牢なシステムで、店舗のオペレーションに合わせた独自のカスタマイズやレンタルプランも提供しており、こだわりの店舗作りや特殊な運用フローを持つ事業者にも対応可能です。
| 初期費用 | 79,800円 |
| 月額費用 | 0円~ |
小売業がPOSレジ選びで「絶対に外してはいけない」5つの基準
ここまで紹介した製品の中から、自社に最適な製品を選び抜くための判断基準を解説します。
1. 「個品管理」と「在庫管理」の精度(SKU対応)
小売業にとって、在庫は現金そのものです。「Sサイズ・赤」と「Mサイズ・青」を別々に管理できるSKU対応は必須です。
また、バーコードのない商品でもJANコードを発行して管理できるか、棚卸し作業がアプリ上で完結するかを確認してください。これにより、在庫差異による損失を防ぎます。
2. ECサイトとの在庫連動性(API連携)
「EC連携」と一口に言っても、CSVによる手動連携か、APIによるリアルタイム連携かで業務負荷は天と地ほど異なります。
売り越しを防ぎ、少人数でオムニチャネルを回すためには、ShopifyやSTORESなど、自社が利用するカートシステムとリアルタイムかつ自動で連携できる製品を選ぶべきです。
3. 将来の店舗拡大に耐えられる「拡張性」
今は1店舗でも、将来的に2店舗、3店舗と増えた際に、店舗間の在庫移動や売上合算がスムーズに行えるかが重要です。
クラウドPOSであれば、アカウントを追加するだけで多店舗管理へ移行できるため、システム入れ替えのコストと手間が発生しません。
4. スタッフの使いやすさと自動釣銭機の連携
人手不足が深刻化する中、レジ操作の習得に時間がかかるシステムはリスクとなります。直感的なUI/UXを持つ製品を選び、新人教育コストを削減しましょう。また、現金過不足ミスをゼロにする自動釣銭機との連携可否も、業務効率化の大きなポイントです。
5. サポート体制と導入コスト(IT導入補助金)
万が一のトラブル時に、電話やメールで即座に対応してもらえるか、365日対応かを確認します。また、「IT導入補助金」の対象ツールであるかどうかも重要です。補助金を活用すれば、ハードウェアやソフトウェア費用の実質負担を大幅に軽減し、投資回収期間を短縮できます。
小売業がPOSレジ導入前に知っておくべき注意点と準備
導入をスムーズに進めるために、必要な周辺機器と環境を事前に整理しましょう。
周辺機器のコスト
iPadなどのタブレット本体に加え、レシートプリンター、キャッシュドロア、バーコードリーダーが必要です。これらをセットで揃えると、一般的に10〜20万円程度の初期費用がかかります。
Wi-Fi環境
クラウドPOSはインターネット接続が必須です。業務用の安定した回線を確保してください。
商品登録データ
移行時の最大の作業は商品登録です。既存システムからCSVデータを出力し、新しいPOS向けにフォーマットを整える準備が必要です。
POSレジ導入で小売店の未来はどう変わる?
最適なPOSレジの導入は、単なる業務効率化に留まらず、経営の質を根本から変革します。
データ経営への転換
「なんとなく売れている気がする」という勘に頼った経営から脱却できます。死に筋商品をデータに基づいて排除し、売れ筋商品の在庫を厚くすることで、利益率が向上します。
顧客体験(CX)の向上
実店舗とECの垣根がなくなり、顧客は「どこでも買える」利便性を享受できます。店舗スタッフも、タブレットで顧客の過去の購入履歴を見ながら、パーソナライズされた提案が可能になります。
業務効率化のその先へ
レジ締めや棚卸しにかかっていた時間が削減されることで、スタッフは接客スキルの向上や、新商品の開発、魅力的な売り場作りといった「付加価値を生む仕事」に注力できるようになります。
まとめ:あなたの店舗に最適なPOSレジを選ぼう

小売業のPOSレジ選びで重要なのは、「在庫管理」と「EC連携」が自店の規模に合っているかです。
難しく考えすぎる必要はありません。まずは気になったサービスの無料アカウント作成や資料請求を行い、実際の画面を触ってみてください。
「これならスタッフも使いやすそう」という直感こそが、失敗しない一番の近道です。 レジが変われば面倒な事務作業が減り、大切なお客様と向き合う時間が増えます。まずは気軽な「お試し」から始めてみましょう。
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