Webサービス上で利用者の行動を追跡するトラッキングは、アクセス解析や広告の効果測定などに使われています。トラッキングの仕組みや計測方法を解説するので、Webサービスを運用している人は、この機会にトラッキングの基本を知っておきましょう。
トラッキングとは?
トラッキングとはWebサイトをはじめ、各種Webサービスの利用者がどのように活動しているか、具体的な動きをつかむための技術です。まずはトラッキングの概要と、どういったデータが取得されているか確認しておきましょう。
ユーザーの行動を追跡する行為
Webサービス上でユーザーの行動を追跡する行為がトラッキングであり、ユーザーがパソコンやスマートフォンでWebページや広告のどこを閲覧しているのか調査し、マーケティングに役立てます。
トラッキングといえば、スマホアプリのイメージを持っている人も多いようですが、広くWebサービスで活用されている機能です。
最終的に商品・サービスの購入に結び付いている場合は、トラッキングによってどの部分が購入の理由になったのか推測できるようになります。
逆に成約に至らなかった場合は、ページ内のどこに問題があったのかを確認できるので、Webサイトやアプリの改善が可能になります。
トラッキングデータの例
Webサービスのトラッキングでは、一般的にユーザーの次のデータが収集の対象となります。
|
これら全ての情報が、常にトラッキングによって収集されているわけではありませんが、上記以外にもさまざまな情報がトラッキングデータとして収集されるケースもあります。
特にWebサイトやアプリケーションの場合、ユーザーが訪問後、どのような動きをしたのかは、サービスを改善する上で非常に重要な情報となります。
トラッキングの目的
企業がトラッキングをする目的としては、最終的にはWebサービスや広告の内容を改善して成約(売上)に結び付けることですが、具体的には以下の点が挙げられます。
CVの計測
Webサービスの訪問者が、自社の考えるCV(コンバージョン)ポイントに達したかを計測するため、トラッキングデータが活用されます。
ページ訪問時のユーザーの行動を追跡することで、成約に結び付いたのはどの部分か、想定していたCVポイントが機能しているかを確認します。
ユーザーが想定していたCVポイントに至っていないならば、スムーズにCVポイントに到達するように改善しなければいけません。トラッキングデータを基に、Webページの構成やコンテンツの配置を変えるなどして、CV率が向上するように調整します。
広告の効果測定
広告にどれぐらいの効果があったかを測定し、費用配分を最適化する際にも、トラッキングが活用されます。
複数の媒体に広告を出稿している企業は多くありますが、実際にそれぞれの広告がどれほどの効果をもたらしているのか、検証していない企業は少なくないようです。
効果を検証しなければ、成果の出ていない広告の費用を負担することになりかねないので、トラッキングによって費用対効果の高い広告を明らかにする必要があります。
トラッキングデータを参考に、実際に効果の出ている広告に特化すれば、成果に直結する有効な広告に絞り込んで運用できるようになります。
トラッキングはどういう仕組み?
次に、トラッキングの仕組みを簡単に解説しておきます。近年は専用ツールも多く登場していますが、最も多くトラッキングに活用されているのはCookie情報です。
最も利用されているのはCookie
トラッキング情報を収集するのに、一般的に利用されているのはCookie(クッキー)です。CookieはWebページへの訪問履歴やログイン情報などを記録する仕組みで、同じページに何度か訪問したユーザーの識別もできるようになっています。
Cookie を活用することで、Webサイトの運営者がユーザー情報を取得できるようになります。ユーザー側も、ログインが必要なサイトを訪問する際、初回にIDやパスワードを入力しておけば、再訪問の際に情報を入力せずに利用できるのがメリットです。
Cookieには「1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)」と「3rd party Cookie(サードパーティークッキー)」の2種類があります。ここで違いを押さえておきましょう。
1st party Cookie
1st party CookieはWebサイトが直接発行するCookieです。各Webサイトが独自に発行しており、ユーザーは当該サイトを訪問した際、初めに情報を入力しておけば、それがCookieに記録されるので再訪問時に入力する手間が省けます。
サイトの管理者は訪問者が初めて訪れたのか、訪問履歴があるのかを確認でき、再訪問ならばどのページを閲覧していたのかなどが分かるので、ページの最適化に役立てられます。
3rd party Cookie
3rd party Cookieはユーザーが訪問する、Webサイト以外のドメインから発行されたCookieです。過去に当該サイトを訪れた回数や、複数のWebサイトにまたがって広告を表示させた回数など、さまざまな情報を取得できるのが特徴です。
複数のドメインを横断して訪問者の情報を追跡できるので、Cookieに記録された閲覧履歴を読み込んで、別のサイトにユーザーが訪れた際、元のサイトの広告を表示するといった運用ができます。
ただし、近年は個人情報保護の観点から、Cookie情報の取得の是非が議論されるようになり、Googleは2023年を目途に3rd party Cookieのサポートを段階的に終了すると発表しています。
今後、3rd party Cookieの利用に関して、何らかの規制が入る可能性もあるので、Web管理者はCookie情報を巡る動向を注視しておくことが大事です。
Cookie以外のトラッキング方法
Cookieを活用する以外のトラッキングとしては、次のような方法があります。
|
「広告識別子(広告ID)」と「SensorID」は、スマートフォンで使われているトラッキングの仕組みです。
現状、Webサービスでトラッキングをする場合はCookieを使うか、専用のトラッキングツールを使う場合が多いようですが、こういった方法もあることを覚えておきましょう。
トラッキングの計測方法
具体的なトラッキングの計測方法も知っておきましょう。大きく分けて「ダイレクト計測」と「リダイレクト計測」があります。
ダイレクト計測
訪問者の情報や動きを計測したいWebページに計測用のタグを設置する方法です。訪問者にタグが読み込まれるとカウントされる仕組みなので、サーバーに不具合が起こってもトラッキングができるのが特徴です。
ただし、計測タグの読み込みに時間がかかる場合があり、カウントまでにタイムラグが発生する可能性がある点は注意しましょう。
リダイレクト計測
リダイレクト計測は訪問者のトラッキング用のサーバーを用意し、サーバーを経由したものをカウントする方法です。
計測用のタグを設置する必要がなく、読み込み時のタイムラグも発生しないのがメリットですが、サーバーに不具合が起こると計測ができなくなる可能性があります。
さらに、サーバーの設置費用や管理に負担がかかるので、より詳細なトラッキング情報を得たい場合に導入を検討しましょう。
トラッキングの基本知識を押さえておこう
Webサービスの改善に使われているトラッキングとは何か、概要と基本的な仕組みを解説しました。トラッキングはWebサイトなどで、ユーザー(訪問者)の動向を追跡する行為で、アクセス解析や広告の効果測定などに活用されています。
Webトラッキングの場合は主にCookie情報が使われますが、規制の動きも広まっているので、今後トラッキング情報を活用したい人は動向を注視しておきましょう。
他にもスマートフォンの場合は「広告識別子(広告ID)」や「SensorID」を使った計測方法などもあります。今後、トラッキングの活用を検討している人は、基本的な仕組みや方法を理解しておきましょう。
MAツールを検討しているなら、ミツモアのツール診断を使ってみよう
自社に合ったMAツールを導入するためにも、製品ごとの機能面や操作性の高さ、サポートの充実度をしっかりと確認しましょう。
しかし、資料を取り寄せて1つひとつ比較するのは骨の折れる作業ですよね。そこでMAツールを検討している方はぜひ、ミツモアのMAツール診断を使ってみてください。
この診断では
- 業種
- MAツールの導入時期
- MAツールの導入目的
などいくつかの項目に答えるだけで、最適なMAツールを診断してもらえます。あなたの会社にピッタリのツールが見つかりますよ。
チャット形式で時間をかけずにできるうえ、無料なのでぜひ一度利用してみてください。