顧客生涯価値ともよばれるLTVとは、どのような意味を持っているのでしょうか?基礎知識や計算方法と併せ、LTVを最大化する方法も解説します。またLTVと関係のあるCAC(顧客獲得コスト)についても、確認しましょう。
LTV(顧客生涯価値)とは?
企業と顧客の関わりにおいて、顧客がどれだけの利益をもたらすかは、重要なポイントです。まずは顧客がもたらす利益を表す、LTVの基本的な知識を確認します。
顧客が生涯にわたりもたらす利益
顧客が企業やブランドの商品・サービスを使い始め、使用をやめるまでの期間を、「顧客ライフサイクル」といいます。顧客ライフサイクル内で、顧客が企業へもたらす利益がLTVです。
LTVはLife Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、顧客生涯価値ともよびます。LTVの向上は企業の利益アップにつながります。そのため多くの企業が注目する数値です。
LTVの計算式
LTVの計算でよく用いられるのは、「平均購入単価×粗利率×平均購入頻度×平均継続期間」です。計算に必要な要素が以下のときのLTVを計算します。
- 平均購入単価:3,000円
- 粗利率:30%
- 平均購入頻度:1年に6回
- 平均継続期間:10年
計算式に当てはめると「3,000×30%×6回×10年=126,000円」です。この企業の顧客は、商品やサービスを利用し始めてから使わなくなるまでに、126,000円の利益を企業へもたらすと分かります。
またサブスクサービスでは「平均購入単価÷チャーンレート」という計算式で、LTVを算出。チャーンレートは一定期間にサービスを解約した、顧客の割合です。
LTVを最大化する方法
企業の利益を増やすには、LTVを大きくすると良いでしょう。顧客1人あたりが企業へもたらす利益を増やす戦略には、どのような方法があるのでしょうか?
商品、サービスの値上げ
LTVを増やす簡単な方法が「値上げ」です。これまで1,000円で提供していた商品を1,500円にすれば、商品1個あたり、500円の利益増が見込めます。
ただし値上げをすると、顧客が離れたり、購入する頻度を下げたりするかもしれません。これでは商品1個あたりの利益が増えても、全体の利益はそれほど上がらないか、場合によっては下がるケースもあります。
値上げによるLTVの向上を見込めるのは、商品やサービスの価格が問題にならないほどの、ブランド力や利便性を企業が提供しているときのみです。
販売方法の工夫
同じ商品やサービスを、価格を変えずに提供する場合でも、「売り方」の工夫で、LTVアップにつなげられるかもしれません。例えば定期的に買い替えが発生する商品なら、買い替え時に上位モデルをすすめる、「アップセル」が有効です。
また関連商品の購入をすすめる「クロスセル」でも、LTV向上を目指せます。扱う商品やサービスによっては、セット販売が向いているケースもあるでしょう。
また商材のバリエーションを用意し、顧客が選択しやすい状態を整える方法もあります。
原価の抑制
売り方はこれまでと同じでも、商品やサービスの「原価」を抑えられれば、利益を増やせます。製造業であれば、材料をより安く購入できるよう、複数社で価格を競わせると良いでしょう。
またサービス業であれば、原価は広告費やコンサルト費といった、外注費用です。例えば広告費を減らすなら、商材に合う広告のみに絞り、不要な広告をなくすと良いでしょう。
顧客ロイヤリティの向上
顧客の企業やブランドへの、愛着や忠誠心が「顧客ロイヤリティ」です。一般に顧客ロイヤリティが高いほど、購入単価や購入頻度も高くなりやすいといわれています。
顧客ロイヤリティの向上で、LTVアップを目指すなら、自社が提供する商品や、サービスの魅力を高めなければいけません。顧客が自然と「買いたい」と思うような、ブランドイメージを構築する必要があります。
購入を促すための特典を用意するのも効果的です。また顧客の声を聞き、商品やサービスの展開に生かすのも良いでしょう。蓄積した顧客データを元に戦略を立てられるよう、徹底したデータ管理も求められます。
LTVが注目される理由
多くの企業がLTVに注目しているのは、新規顧客の獲得が難しいからです。さらにマーケティング手法が、大勢へ向けたものではなく、個人に向けたものに変化したこととも関係しています。
新規顧客獲得の難しさ
人口が減少している中、新規顧客の獲得は、以前より難しくなってきています。絶えず新規顧客の獲得を目指すと、かかるコストの割に、利益が増えないといったことも起こるかもしれません。
そこで既に企業やブランドを利用している既存顧客に、注目する企業が増えました。既に取り引き実績のある顧客に、よりたくさんの商品やサービスを利用してもらうために、LTVが重要です。
個人に合わせたマーケティング
マーケティング手法の変化も、LTVへ注目が集まる理由です。以前は多くの人へ向けたマスマーケティングが主流でしたが、現在は個人に向けた「One to Oneマーケティング」が主流です。
One to Oneマーケティングを実施するには、顧客の属性や行動履歴などの、分析が欠かせません。顧客情報を分析し、個人に合わせたコミュニケーションで、ロイヤリティの向上を目指す方法です。
この方法はLTV向上にも役立つため、注目が集まることとなりました。
LTVとCACの関係性
1人の顧客が企業にもたらす利益を増やすには、より少ないコストでの顧客獲得を目指すと良いでしょう。そのためCAC(顧客獲得コスト)を考える必要があります。
CACとは顧客獲得にかかるコスト
顧客獲得にかかるコストが大きいと、その分企業の利益は少なくなります。収益性を高めるには、顧客獲得コストであるCACを、できるだけ小さくすると良いでしょう。
CACが適切な状態で、企業が利益を出せているか判断するには、「ユニットエコノミクス」を確認すると役立ちます。ユニットエコノミクスは「LTV÷CAC」で、計算できる指標です。
ユニットエコノミクスは1以上で黒字
LTV÷CACで算出できるユニットエコノミクスが「1以上」だと、企業は黒字です。1以上であれば、顧客獲得コストより、顧客が企業にもたらす利益が多いことを表します。
一方「1より小さい」場合は赤字です。顧客がもたらす利益より、顧客コストが大きいため、商品やサービスが売れるほど、企業は損失を被ります。
ただしユニットエコノミクスは、大きいほど良いわけではありません。大き過ぎるユニットエコノミクスは、かけるべき顧客コストを、かけていない結果の可能性があるからです。この場合企業は機会損失を被っています。
LTVは利益アップに活用できる
企業が利益アップを目指すとき、LTVに注目するケースが増えています。新規顧客の獲得には、多くのコストがかかり難しいため、既存顧客に注目し、利益を高めようとする取り組みです。
顧客が商品やサービスを使い始め、購入しなくなるまでの期間に、企業にもたらす利益をLTVといいます。LTVが増大すれば、企業は利益アップが可能です。
そこで値上げの実施や、売り方を工夫します。原価を抑えられれば、これまでと同等の売上でも利益を増やせます。さらに顧客ロイヤリティを高められれば、よりたくさんの商品やサービスを、頻繁に購入してもらえるでしょう。
効果的に利益を増やすには、LTVアップへの取り組みが役立ちます。
MAツールを検討しているなら、ミツモアのツール診断を使ってみよう
MAツールを利用して顧客に適切なアプローチをすることで、顧客ロイヤルティを上げLTVの向上につながるでしょう。MAツールは様々な会社が提供しており、それぞれ特徴があったりプランによってもできることが変わってきたりします。
そんな中で自社に最適なMAツールを見つけるのは難易度が高いでしょう。そこでMAツールを検討している方はぜひ、ミツモアのMAツール診断を使ってみてください。
この診断では
- 業種
- MAツールの導入時期
- MAツールの導入目的
などいくつかの項目に答えるだけで、最適なMAツールを診断してもらえます。あなたの会社にピッタリのツールが見つかりますよ。
チャット形式で時間をかけずにできるうえ、無料なのでぜひ一度利用してみてください。