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LTV(顧客生涯価値)とは何か?利益アップにはCACもポイント

最終更新日: 2024年06月28日

顧客生涯価値ともよばれるLTVとは、どのような意味を持っているのでしょうか?基礎知識や計算方法と併せ、LTVを最大化する方法も解説します。またLTVと関係のあるCAC(顧客獲得コスト)についても、確認しましょう。

LTV(顧客生涯価値)とは?

LTVとは

企業と顧客の関わりにおいて、顧客がどれだけの利益をもたらすかは、重要なポイントです。まずは顧客がもたらす利益を表す、LTVの基本的な知識を確認します。

顧客が生涯にわたりもたらす利益

顧客が企業やブランドの商品・サービスを使い始め、使用をやめるまでの期間を、「顧客ライフサイクル」といいます。顧客ライフサイクル内で、顧客が企業へもたらす利益がLTVです。

LTVはLife Time Value(ライフ タイム バリュー)の略で、顧客生涯価値ともよびます。LTVの向上は企業の利益アップにつながります。そのため多くの企業が注目する数値です。

LTVの計算式

LTVの計算でよく用いられるのは、「平均購入単価×粗利率×平均購入頻度×平均継続期間」です。計算に必要な要素が以下のときのLTVを計算します。

  • 平均購入単価:3,000円
  • 粗利率:30%
  • 平均購入頻度:1年に6回
  • 平均継続期間:10年


計算式に当てはめると「3,000×30%×6回×10年=126,000円」です。この企業の顧客は、商品やサービスを利用し始めてから使わなくなるまでに、126,000円の利益を企業へもたらすと分かります。

またサブスクサービスでは「平均購入単価÷チャーンレート」という計算式で、LTVを算出。チャーンレートは一定期間にサービスを解約した、顧客の割合です。

LTVを最大化する方法

LTVを最大化する方法

企業の利益を増やすには、LTVを大きくすると良いでしょう。顧客1人あたりが企業へもたらす利益を増やす戦略には、どのような方法があるのでしょうか?

商品、サービスの値上げ

LTVを増やす簡単な方法が「値上げ」です。これまで1,000円で提供していた商品を1,500円にすれば、商品1個あたり、500円の利益増が見込めます。

ただし値上げをすると、顧客が離れたり、購入する頻度を下げたりするかもしれません。これでは商品1個あたりの利益が増えても、全体の利益はそれほど上がらないか、場合によっては下がるケースもあります。

値上げによるLTVの向上を見込めるのは、商品やサービスの価格が問題にならないほどの、ブランド力や利便性を企業が提供しているときのみです。

販売方法の工夫

同じ商品やサービスを、価格を変えずに提供する場合でも、「売り方」の工夫で、LTVアップにつなげられるかもしれません。例えば定期的に買い替えが発生する商品なら、買い替え時に上位モデルをすすめる、「アップセル」が有効です。

また関連商品の購入をすすめる「クロスセル」でも、LTV向上を目指せます。扱う商品やサービスによっては、セット販売が向いているケースもあるでしょう。

また商材のバリエーションを用意し、顧客が選択しやすい状態を整える方法もあります。

原価の抑制

売り方はこれまでと同じでも、商品やサービスの「原価」を抑えられれば、利益を増やせます。製造業であれば、材料をより安く購入できるよう、複数社で価格を競わせると良いでしょう。

またサービス業であれば、原価は広告費やコンサルト費といった、外注費用です。例えば広告費を減らすなら、商材に合う広告のみに絞り、不要な広告をなくすと良いでしょう。

顧客ロイヤリティの向上

顧客の企業やブランドへの、愛着や忠誠心が「顧客ロイヤリティ」です。一般に顧客ロイヤリティが高いほど、購入単価や購入頻度も高くなりやすいといわれています。

顧客ロイヤリティの向上で、LTVアップを目指すなら、自社が提供する商品や、サービスの魅力を高めなければいけません。顧客が自然と「買いたい」と思うような、ブランドイメージを構築する必要があります。

購入を促すための特典を用意するのも効果的です。また顧客の声を聞き、商品やサービスの展開に生かすのも良いでしょう。蓄積した顧客データを元に戦略を立てられるよう、徹底したデータ管理も求められます。

LTVが注目される理由

LTVが注目される理由多くの企業がLTVに注目しているのは、新規顧客の獲得が難しいからです。さらにマーケティング手法が、大勢へ向けたものではなく、個人に向けたものに変化したこととも関係しています。

新規顧客獲得の難しさ

人口が減少している中、新規顧客の獲得は、以前より難しくなってきています。絶えず新規顧客の獲得を目指すと、かかるコストの割に、利益が増えないといったことも起こるかもしれません。

そこで既に企業やブランドを利用している既存顧客に、注目する企業が増えました。既に取り引き実績のある顧客に、よりたくさんの商品やサービスを利用してもらうために、LTVが重要です。

個人に合わせたマーケティング

マーケティング手法の変化も、LTVへ注目が集まる理由です。以前は多くの人へ向けたマスマーケティングが主流でしたが、現在は個人に向けた「One to Oneマーケティング」が主流です。

One to Oneマーケティングを実施するには、顧客の属性や行動履歴などの、分析が欠かせません。顧客情報を分析し、個人に合わせたコミュニケーションで、ロイヤリティの向上を目指す方法です。

この方法はLTV向上にも役立つため、注目が集まることとなりました。

LTVとCACの関係性

LTVとCACの関係性1人の顧客が企業にもたらす利益を増やすには、より少ないコストでの顧客獲得を目指すと良いでしょう。そのためCAC(顧客獲得コスト)を考える必要があります。

CACとは顧客獲得にかかるコスト

顧客獲得にかかるコストが大きいと、その分企業の利益は少なくなります。収益性を高めるには、顧客獲得コストであるCACを、できるだけ小さくすると良いでしょう。

CACが適切な状態で、企業が利益を出せているか判断するには、「ユニットエコノミクス」を確認すると役立ちます。ユニットエコノミクスは「LTV÷CAC」で、計算できる指標です。

ユニットエコノミクスは1以上で黒字

LTV÷CACで算出できるユニットエコノミクスが「1以上」だと、企業は黒字です。1以上であれば、顧客獲得コストより、顧客が企業にもたらす利益が多いことを表します。

一方「1より小さい」場合は赤字です。顧客がもたらす利益より、顧客コストが大きいため、商品やサービスが売れるほど、企業は損失を被ります。

ただしユニットエコノミクスは、大きいほど良いわけではありません。大き過ぎるユニットエコノミクスは、かけるべき顧客コストを、かけていない結果の可能性があるからです。この場合企業は機会損失を被っています。

LTVは利益アップに活用できる

LTVは収益アップに活用できる

企業が利益アップを目指すとき、LTVに注目するケースが増えています。新規顧客の獲得には、多くのコストがかかり難しいため、既存顧客に注目し、利益を高めようとする取り組みです。

顧客が商品やサービスを使い始め、購入しなくなるまでの期間に、企業にもたらす利益をLTVといいます。LTVが増大すれば、企業は利益アップが可能です。

そこで値上げの実施や、売り方を工夫します。原価を抑えられれば、これまでと同等の売上でも利益を増やせます。さらに顧客ロイヤリティを高められれば、よりたくさんの商品やサービスを、頻繁に購入してもらえるでしょう。

効果的に利益を増やすには、LTVアップへの取り組みが役立ちます。

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