業務上に必要な備品の購入や交通費を従業員が立て替えをすることを「立替精算」と言います。
従業員が負担したお金は「立替精算」すれば会社に請求できますが、実は必ずしも支払われるわけではないのをご存じでしょうか?
支払いを確実に行ってもらうため、正しい立替精算のやり方や対象の経費、注意点について解説します。
立替精算とは
「立替精算」は日々の通常業務とは別に行わなければならない経理作業です。なぜ立替精算が必要なのか、行う目的や摘要する経費について紹介します。
従業員が立て替えた経費を精算すること
「立替精算」とは業務上で必要な費用を従業員が負担し、経費として精算することです。会社によっては「経費精算」と呼ぶこともあります。
例えば仕事上で必要な備品を購入したときや、クライアント先へ訪問するための往復交通費などは立替精算の対象となることが多いでしょう。会社が業務上で必要だったと判断すれば、手続きを経て負担したお金は後日手元に戻ってきます。
ただし、必ずしも立て替えたお金は返金されるわけではありません。
「業務上必要か」という線引きは会社によって異なるため、従業員が「会社のため」と思って負担しても経費として認められない支払もあります。
会社によって「いつ」「何に」「いくら」使用したかで、都度判断されるでしょう。
基本的には金銭を使用する前に上長に「経費精算できるかどうか」を確認することがベターです。
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立替精算できる経費の種類
立替精算によって戻ってくるお金は、業務上欠かせない「経費」として認められたお金です。精算するには支払ったお金がどの「勘定科目」に当たるか仕訳しなければなりません。
「勘定科目」とは、経理の担当者が処理をするときに記載するラベルのようなものです。
会社で基本的に立替精算できる経費の「勘定科目」とその例は以下の通りです。(企業によっては経費として認めない場合もあるのでご注意ください。)
消耗品費 | 文房具や用紙、ガソリンなどの消耗品、
オフィス内で使用される什器(10万未満)など |
旅費交通費 | 出張の宿泊費
電車・新幹線・飛行機・高速代などの交通費など |
通信費 | 携帯電話料金、宅配便代、ハガキ代など |
水道光熱費 | オフィスの電気・水道・ガス・暖房灯油代など |
会議費 | 打ち合わせの際の会場代、書類費用、弁当お茶お菓子代など |
交際費 | 取引先への接待の際の会場代、飲食代、手土産代など |
福利厚生費 | 会社が給料以外のサービスや対価を従業員に提供する費用
決められた場面での社員同士のランチ代、ディナー代など |
修繕費 | 会社が所有する備品やオフィスなどの維持費、修繕費 |
広告宣伝費 | 会社の商品やサービスを消費者向けに広告・宣伝する際に使用する費用
CM代、Webマーケティング用のツール代など |
租税公課 | 事業そのものに関連する国税・地方税・公共団体に対する交付金 |
勘定科目に該当する支出であっても「仕事上必要」と判断されなければ経費として認められません。どこまでの範囲が認められるかは会社のルールによって異なります。
仮払精算と立替精算の違い
立替精算は従業員があらかじめ支払っている金額を、のちに精算することを指します。
対して仮払精算は、購入前に会社が概算金額を一時的に従業員に支払い、差額をのちに精算する方法です。
立替精算より仮払精算の方が従業員の金銭負担は少なくなりますが、過不足金を支払ったり返金する場合があるため手続きが煩雑になるデメリットがあるでしょう。
立替精算のやり方
会社のために支払をしても、立替精算を行わなければ手元にお金は戻りません。スムーズに手続きをすれば自己負担をしている期間が短くなり、経理担当の負担も減らせます。立替精算のやり方について見てみましょう。
立替精算の手順
立替精算は一般的に以下の手順で行われます。
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立て替えた費用は、給料を渡す時と同時に支払われることが多いでしょう。
大抵支払いは前月に申請されたものが、次月に支払われるサイクルが主です。ただし企業にもよるため、どのタイミングで支払いが行われるかは、経費使用の前に上長に確認することをおすすめします。
【立替精算例1】取引先へ打ち合わせに行った交通費を精算したい
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【立替精算例2】「出張」をしたのでホテル代を精算したい
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立替精算する際の注意ポイント
立替精算では大金が動くケースはほぼありませんが、会社の税務に大きく関わります。負担する側も精算する側も損なくスムーズに精算ができるよう、注意すべきポイントを見てみましょう。
領収書やレシートが必要
立替精算では「いつ」「何の目的で」「いくら支払ったか」を証明する書類を添付しなければなりません。少額であっても会社のお金の流れを把握するために、支払時には領収書やレシートを必ずもらいましょう。
支払う場所によっては明細書が出ない(または無い)場合もあります。公共交通機関を利用した場合はICカードやクレジットカードの利用履歴、ご祝儀や香典を立て替えた場合は招待状や案内状を代替え資料として提出すれば問題ありません。
取得した領収書やレシートを紛失してしまった場合は「出金伝票」を起こして提出します。手間がかかりますが、支払が証明できないと税務調査に響くため注意が必要です。
個人のポイント利用分について
近年カード利用や商品購入時に付与される「ポイント」で支払が可能です。個人のポイントを利用して支払をした場合も、支払が会社の利益に必要なものであれば立替精算ができるケースもあります。
現金で立て替えたときと同じ扱いになるため、ポイントによって「何の目的でいくら支払ったのか」を証明する明細が必要です。会社のルールによってはポイント利用による立て替えは認められない場合もあるため事前に確認しておきましょう。
立替精算申請はいつまでにするべきか確認する
一般的に立替精算申請は1ヶ月以内を目処にするべきとされています。
ただし、企業によって「当月中に行う」や「決算期までに申請する」などルールは様々です。
【経理担当者向け】立替精算の処理方法
立替精算は立て替えた従業員だけでなく経理担当者が、申請を処理する必要があるでしょう。一般的には従業員から上がってきた申請を仕訳し、支払うというフローがベターです。
立替精算の仕訳例
仕訳とは「いつ」「何に」「いくら」お金を使ったのかを振り分け記録する作業です。立替精算の仕訳について、交通費を例に紹介します。
【交通費1,500円分の立替精算が現金で行われた】
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
旅費交通費 | 1,500円 | 現金 | 1,500円 | 〇月〇日交通費精算 |
【交通費2,000円分の立替精算が決算を過ぎてしまった】
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 | 摘要 |
旅費交通費 | 2,000円 | 未払金 | 2,000円 | 〇月〇日分交通費 |
決算時に精算が間に合わなかった場合、従業員が立て替えをした年度分の経費として扱われます。そのため「未払金」として扱われるのです。
経理担当者は提出された経費精算書を保管する義務が法律によって定められています。原則として最低7年間は保管しなければなりません。
従業員への支払い方法
立替精算による従業員への支払いは二つの方法が取られます。一つは「小口現金からの支払い」で、もう一つは「指定口座への振り込み」です。
会社の多くの資金は銀行に預金されていますが、日常の業務で備品購入や交通費精算など細々をした支出に対応できるよう一定額の現金が置かれています。この現金が「小口現金」です。経費精算書が承認されると小口現金から経費が支払われます。
指定口座への振り込みは、毎月決められた日を迎えないと支払が行われません。一般的には給与と同日に振り込まれるケースが多いです。現金を手渡す場合は出納の記録を都度しなければなりませんが、振り込みの場合は手間が減らせます。
立替精算は正確に
立替精算は日々の業務でよく起こります。金額自体は少額であっても、正確に「いくら使ったのか」「何のための支払か」を証明しなければ経費として認められず、手元にお金が戻らないかもしれません。
支払時には領収書やレシートをもらい、経費精算書を提出するときまで大切に保管しておきましょう。従業員が代わりに支払をしてくれた経費は会社の税務に大きく関わるため、経理担当者は提出された書類や領収書は7年間保管しなければなりません。
次の記事ではおすすめの経費精算システムを紹介しています。立替精算の効率化を検討するなら、ぜひ合わせてご覧ください。
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