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BPaaSとAIの違いとは?どちらを選ぶべきか比較しながら解説

最終更新日: 2025年10月24日

「バックオフィス業務の効率化を進めたいが、『AIツール導入』と『BPaaS導入』のどちらを選ぶべきか?」

DX推進や経営企画の担当者として、経営層から「コスト削減」と「生産性向上」を強く求められる中、この二択に悩むのは当然です。

バックオフィス業務では「人手が不足している」(34.7%)、「仕事が属人化している」(30.8%)といった課題が特に深刻であり、特に従業員100〜499名規模の企業ではこの傾向が顕著(※)です。

この記事ではBPaaSとAIの違いから、「AI導入」と「BPaaS導入」それぞれのメリット・デメリット、そして選ぶべき企業のタイプまで解説します。

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BPaaSとAIの違いは「サービスモデル」と「技術要素」

ノートパソコンをタイピングする男性の

BPaaSとAIの違いは、両者が何を指すかという根本的な点にあります。

BPaaS(Business Process as a Service)は、業務プロセスそのものを外部委託する「サービスモデル」です。単なる業務代行(BPO)とは異なり、クラウドシステムと専門人材を組み合わせて、業務プロセス全体の最適化・標準化を実現します。市場は年平均14.8%で急成長しており、アウトソーシングの主流になりつつあります。

対照的に、AI(Artificial Intelligence)は、業務を自動化・高度化するための「技術要素」です。例えば、「ChatGPT」など生成AIの普及により、人事や財務といった社内業務の最適化を目的とした「ツール」としての導入が加速しています。

両者の関係性を整理すると、BPaaSは業務プロセス全体を請け負う「サービス」であり、AIはそのサービス品質を高めるために内部で活用される「技術」の一つ、という位置づけになります。

比較項目 BPaaS (Business Process as a Service) AI (Artificial Intelligence)
分類 サービスモデル / 契約形態 技術要素 / 機能
役割 業務プロセス全体のアウトソーシング(システム+人) 業務の自動化・高度化支援(ツール)
目的 業務プロセス全体の最適化、属人化の解消 特定業務の自動化、予測、分析
導入形態 外部ベンダーへの業務委託 自社システムへのツール導入・連携
関係性 AIを活用してサービス品質を高める場合がある BPaaSの中で強力な技術として利用される

「AI導入」と「BPaaS導入」どちらを選ぶべきか

BPaaSとAIの概念的な違いを理解した上で、DX推進担当者にとっての現実的な問いは「アプローチA:AIを自社で導入・運用する」か、「アプローチB:BPaaSで業務ごと外部委託する」か、という選択です。

この2つのアプローチは、コスト構造、必要なリソース、導入スピードにおいて根本的に異なります。AI導入は「ハイリスク・ハイコントロール」な選択肢であり、BPaaS導入は「ローリスク・ローコントロール」な選択肢と言えます。

以下の比較表で、両者の違いを明確にします。

比較観点 アプローチA:AIを自社導入・運用 アプローチB:BPaaSを導入(外部委託)
対象範囲 限定的(例:請求書処理「だけ」をAI-OCR化) 広範囲(例:経理業務「全体」)
導入コスト 初期費用+月額利用料+内部人件費(隠れコスト) 月額/年額のサービス利用料(コストが予測可能)
必要なリソース 高い(AI運用人材、データ整備、保守体制) 低い(ベンダーへのディレクションのみ)
導入スピード 遅い(選定・PoC・定着化に壁) 速い(既存サービスを利用)
メリット 自社にノウハウが溜まる、柔軟なカスタマイズ 即効性、リソース不要、属人化の即時解消
デメリット 使いこなせないリスク、データ整備・保守の負荷 ノウハウが溜まらない、業務のブラックボックス化
BPRの必要性 自社で実施する必要あり ベンダーが主導する場合が多い

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「AI導入」が適している企業

通信ネットワーク

AIの自社導入は、特定の業務を高度化し、自社にノウハウを蓄積したい場合に有効なアプローチです。しかし、その裏には「使いこなせない」という重大なリスクが潜んでいます。

AI導入の主なメリット:自社ノウハウの蓄積と柔軟性

最大のメリットは、AI活用による競争優位の構築です。特に製造業などでは、AIの活用が劇的な成果を生むケースがあります。

  • パナソニック コネクト株式会社ではOpenAIの大規模言語モデルをベースに開発した自社向けのAIアシスタントサービス、「ConnectAI」で年間18.6万時間の業務時間削減を実現しました。(※1)
  • 神戸製鋼所では、AI-OCRの活用により、帳票処理業務の時間を60%削減しています。(※2)

このように、特定の業務領域において、自社でデータを蓄積・活用し、業務を高度化できる点がAI自社導入の魅力です。

AI導入の注意点と「よくある失敗」:ツールが「塩漬け」になるリスク

「自社で使いこなせるか?」という点は、AI導入における最大の関門です。

調査によれば、生成AIを導入している企業の多くは試用段階に留まり、本格導入はわずか6%(※)に過ぎません。多くの企業が投資対効果を得られない「PoCの壁」に直面しています。

失敗の最大の要因は、「AIやデジタルの高度な知識・技術を持つ人材が足りない」(31%)こと(※)です。AIツールを導入しても、データ整備や運用保守を担う内部人材がいなければ、ツールは「塩漬け」になります。

さらに、見落とされがちなのが「隠れたコスト」です。

  • 内部人件費: AIを有効活用するためのデータクレンジングや継続的な改善活動には、専門人材の工数がかかります。
  • コンプライアンス負荷: 自社導入の場合、経済産業省の「AI事業者ガイドライン」が求める安全性やプライバシー保護、説明責任(アカウンタビリティ)を担保する体制を、自社で構築・維持する必要があります。

これらの管理・統制コストは、バックオフィス業務の「負荷軽減」という本来の目的と相反する結果を招くリスクがあります。

「BPaaS導入」が適している企業

オフィスに集う男女

BPaaSの導入は、深刻な人手不足や属人化に悩み、即効性のある解決策を求める企業に適しています。コア業務へのリソース集中を最優先する場合に有効です。

BPaaS導入の主なメリット:即効性とリソースの解放

BPaaSの最大の価値は、業務プロセスをシステムと専門人材ごと外部化することで、社内リソースを即座に解放できる点にあります。

  • 三菱地所は、請求書処理にBPaaSを活用し、月間合計860分の業務時間削減を達成(※1)しました。
  • KJRマネジメント(51〜300名、サービス業)は、経費精算業務をアウトソーシングし、専門性の高いコア業務へのリソース集中に成功(※2)しています。

ユーザーからは「業務プロセスが可視化され、ブラックボックスが解消された」「ノンコア業務から解放され、コア業務に集中できるようになった」といった声が上がっており、属人化の解消と従業員の負担軽減に直結します。

BPaaS導入の注意点と「よくある失敗」:従来のBPOと同じ結果になるリスク

一方で、「コスト削減止まりで、業務プロセスは改善されなかった」という、従来のBPO(業務代行)と同じ結果に陥るリスクも存在します。

重要なのは、導入するサービスの見極めです。

BPaaS市場は従来のBPOを上回る年平均13.3%の成長率で拡大していますが、これは単なる業務代行から、AIやRPAを組み込んで付加価値を高めるサービスへのシフトが進んでいることを示しています。

導入前に、そのサービスが「単なる業務代行」なのか、業務プロセスの変革(BPR)まで踏み込む「真のBPaaS」なのかを厳格に評価する必要があります。

第3の選択肢:AIとBPaaSを「組み合わせる」アプローチ

「AI導入」と「BPaaS導入」を比較してきましたが、市場のトレンドは両者の「融合」へと向かっています。それが「AI×BPaaS」という第3の選択肢です。

「AI×BPaaS」が解決すること【いいとこ取り】

AI×BPaaSは、ペルソナが抱える「AIの高度な自動化は欲しいが、自社での導入・運用リスクは負えない」という根本的なジレンマを解決します。

  • AI導入の課題だった「自社での運用負荷・人材不足・コンプライアンス対応」を、BPaaSのサービス提供者が専門家としてすべて引き受けます。
  • BPaaSの課題だった「単なる業務代行」を、AIの技術が解決し、業務の高度化・自動化を実現します。

これは、AかBかという二者択一ではなく、両方のメリットを享受できる、最も合理的かつ先進的な選択肢です。

AI×BPaaSは、従来のBPaaSと何が違うのか?

従来のBPaaSが「人手+クラウドシステム」による効率化だったのに対し、AI×BPaaSは、そこに「AIによる高度な自動化・分析・予測」が加わります。

これにより、企業は単なる業務効率化から、データに基づく「戦略的価値創造」へとシフトすることが可能になります。例えば、経理業務の自動仕訳の精度向上や、人事における採用マッチング精度の向上などが挙げられます。

自社に最適なアプローチを選ぶための判断基準

では実際のところ「A:AI導入」「B:BPaaS導入」「C:AI×BPaaS導入」のどれを選ぶべきでしょうか。以下の3つの質問で、自社のアプローチを判断してください。

Q1. 解決したいのは「特定業務」か「プロセス全体」か?

  • 特定業務の高度化(例:不良品検知)が目的なら、「AI導入」が適しています。
  • プロセス全体の標準化・効率化(例:経理業務)が目的なら、「BPaaS」または「AI×BPaaS」が適しています。

Q2. 社内にAIやデータを扱える「専門リソース」はあるか?

  • 「ある」場合、「AI導入」も選択肢に入ります。
  • 「ない」場合、「AI導入」は「人材不足」の壁に阻まれ、失敗リスクが極めて高くなります。「BPaaS」または「AI×BPaaS」が現実的な選択です。

Q3. 「即効性」と「自社ノウハウ蓄積」のどちらを優先するか?

  • 「ノウハウ蓄積」が最優先なら、「AI導入」です。
  • 「即効性」と「リソース解放」を優先するなら、「BPaaS」または「AI×BPaaS」です。

最後に、TCO(総所有コスト)の視点が不可欠です。

例えば請求書処理業務において、AI-OCRを自社導入した場合、ソフトウェア費用(例:年96万円)に加え、データ整備や運用管理のための内部人件費(例:年150万円)が発生します。

この場合、年間TCO(推定256万円)は、BPaaSを導入した場合の年間TCO(推定120万円)を大幅に上回る可能性があります。

「コスト削減」に応えるには、ツールのライセンス費用だけでなく、目に見えない内部人件費や管理コストまで含めたTCOで比較検討すべきです。

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まとめ:AIとBPaaS、自社の課題に合わせたアプローチ選択を

オフィスの若いビジネスウーマン

本記事では、BPaaSとAIの違い、そして「AI導入」と「BPaaS導入」という2つのアプローチの比較、さらに第3の選択肢「AI×BPaaS」について解説しました。

  • BPaaSは業務プロセス全体を請け負う「サービスモデル」
  • AIは業務を自動化する「技術要素」

重要なのは、自社のリソース(特に専門人材の有無)、解決したい課題の範囲(特定業務かプロセス全体か)、そしてTCO(総所有コスト)の観点から、最適なアプローチを選択することです。

労働力不足が深刻化し、DX推進が待ったなしの状況において、自社のリソースをどこに集中させるべきか。この記事で得た判断基準が、貴社の最適なバックオフィス改革の第一歩となれば幸いです。

「AI導入」と「BPaaS導入」、貴社の最適解は?

ガッツポーズを挙げるビジネスマンのイラスト

AIの自社導入には「運用リスク」が、BPaaSには「単なる業務代行に終わる」リスクがあり、最適なアプローチは企業の課題によって異なります。

「自社の場合、AIで “作業” を自動化すべきか?」 「それとも、BPaaSで “業務ごと” 外部化すべきか?」この判断を誤ると、コストだけがかかり課題は解決しません。

そこでおすすめなのが、ミツモアの業務支援サービスです。「AIエージェント(作業の自動化)」と「BPaaS(プロセスの外部化)」、その両方の選択肢を持つ私たちが、貴社の課題をヒアリングし、最適な解決策を中立的な立場でご提案します。まずは「無料相談」で、貴社の状況をお聞かせください。

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