データの可視化とは、収集したデータを直感的に把握するために加工する方法です。さまざまな手法があるので、目的から逆算して最適な方法を使う必要があります。データ可視化のメリットや具体的な手法を把握し、データ可視化の基本を押さえましょう。
最終更新日: 2024年06月28日
データの可視化とは何か？
データの可視化とは、文字通りデータを「見える化」することを指します。少し抽象的な表現ですが、ビジネスシーンでは多くの場面で使われる言い回しなので、ここで意味をきちんと理解しておきましょう。
「可視化」の意味を理解する
データを「可視化」するとは、そのデータが何を示しているのか、直感的に分かるように数字を整理したり、情報を確認しやすくしたりする作業です。
通常データとは数字の集まりを指し、そのままでは何を意味するのか理解するのは困難です。数字同士の関係や全体の傾向、数字の羅列の中でもどれが重要なのかなど、一目で理解できるケースはほとんどありません。
そこで数字の集まりを色分けしたり、グラフやチャートなどで表現したりすることで、全体の傾向やどの部分に注目すればよいかが分かるようになります。
なぜデータの可視化が必要か？
データの可視化は、特定の情報を把握しやすくするため、あるいは主に数字の羅列から、有意な情報を引き出すためなどに必要です。
そのデータが何を意味しているのか、誰にでも直感的に理解できるように加工することで、日頃からデータを扱っている人以外に対しても説明しやすくなります。
例えばビジネスプレゼンテーションの場では、視覚化されたデータを表示させながら、プレゼンターが説明するシーンがよく見られるでしょう。
分かりやすく視覚化されたデータには説得力があり、特定の情報を分かりやすく説明しなければならない場面だけでなく、誰かを説得する場面でも頻繁に活用されています。
データを可視化するメリット
データを可視化する具体的なメリットとしては、以下の点が挙げられます。個人でも役立つ場面は多くありますが、特にビジネスシーンでは、必要な相手に必要な情報を提供するために欠かせない方法です。
スムーズな意思決定が可能になる
企業の業務に関するデータを分かりやすく可視化することで、スムーズな意思決定が可能になります。分かりやすく加工されたデータは、営業やマーケティングの活動をバックアップする有益な情報となるので、社員全体の業務生産性が向上するでしょう。
営業活動は特に個々の担当者の経験やスキルと成果が相関しやすく、どうしても人によって成約率に差が出てしまいます。
そこで顧客情報を多角的に分析して分かりやすく視覚化すれば、顧客に対して何が有効なアプローチなのか導き出せるかもしれません。
それを営業チーム全体で共有すれば、誰でも一定以上の成果を上げられるようになるでしょう。個々の営業担当者が意思決定する上で、正確性を上げられるわけです。
問題や課題を正確に把握できる
データの可視化によって、業務フローのどこに問題があるのか、どの部分を改善すべきかが把握できるようになります。
単純なグラフでも全体の状況を俯瞰できるようになり、時間の経過による状況の変化や、何が業務効率化のネックになっているのかなどを理解できるようになるでしょう。その結果、組織の生産性を上げるための施策を打ち出せるようになります。
単純なデータの可視化に加えて、BIツールなどを活用して多角的にデータを分析すれば、組織として解決すべき問題や課題を詳らかにできるはずです。これまで認識していなかった問題も浮き彫りになるでしょう。
組織全体の業務効率が向上する
データの可視化によって、これまで蓄積してきた情報を活用しやすくなり、データが意味するところを読み解いたり確認したりする手間を省略できるようになります。
結果として個々の社員のみならず、組織全体の業務効率が向上するでしょう。組織内における認識のズレを修正でき、チームとして何をすべきかが明らかになります。
また社員がいつでも情報を簡単に引き出して活用できる体制にしておけば、それぞれの行動が最適化され、業績アップにもつながるはずです。
将来の予測が立てやすくなる
今後の見通しを立てやすくなり、将来に備えて適切な準備ができるようになるのも、データを可視化するメリットです。
数字がどのように変化しているか、その意味するところを読み解けるようになるため、これまで特定の社員の経験や肌感覚に頼っていた将来予測を、データに基づいた合理的な予測に切り替えられます。
データに基づいた施策の提案ができるようになれば、組織全体でコンセンサスを得やすくなり、有効な施策を打ち出しやすくなるでしょう。
データの可視化に使われる手法
データの可視化に使われる、具体的な手法を押さえておきましょう。可視化の方法はさまざまありますが、ここではビジネスシーンで頻繁に使われる、代表的な手法のみ簡単に紹介します。
データの色分け
データの色分けは、視覚化の最も基本的な方法です。カテゴリごとに別の色を利用したり、優先度の高いデータや注目すべき部分を目立つ色に置き換えたりするだけで、必要な情報をすぐに把握できるようになります。
データの利用者は余計な情報を自分で判断して捨象する必要がなくなり、初めからどの部分に目をつけてデータを見ればよいか分かるようになるので、直感的にデータの意味するところを理解できるでしょう。
情報のカテゴリ分けや優先順位づけはもちろん、色の濃淡で時間の経過を表現する方法もあります。
グラフや図表を使用する
データを整理してグラフや図表などで表現するのも、頻繁に用いられる視覚化の手法です。ExcelやBIツール、CRMなどを使い、データを棒グラフや折れ線グラフ、円グラフ、チャートなどで表現するのは、ビジネスシーンでよく見られる光景でしょう。
どの情報をピックアップしてグラフ化や図表化するかは、目的から逆算して吟味しなければいけません。しかし対象さえ明らかになれば、グラフや図表に落とし込むツールはあふれているため、誰でも簡単にビジュアライズが可能です。
画像やイラストで表現する
必要な情報を収集・整理して1枚の画像やイラストで表現するのも、視覚化の一種といえます。
いわゆる「インフォグラフィック」と呼ばれる手法で、複雑なデータでも一般的に認識されやすい視覚情報に落とし込むことで、何を意味するか直感的に理解されやすくなります。
インフォグラフィックの手法としては、データ全体が何を意味するのかイラストを用いた画像で表現したり、手順をフローチャートで示したりする方法が有名です。
例えばイラストで表現された電車の路線図や公園・テーマパークなどの地図は、多くの人が日常的に目にするはずです。
電化製品の取扱説明書などでは、使用手順がフローチャートで表現されているケースが多いでしょう。視覚的に分かりやすければ、わざわざ文字で細かく説明しなくても、重要な点をすぐに理解してもらえます。
データを可視化する際に気を付けるべき点
データを可視化する際には、以下の点に注意しましょう。闇雲に視覚化しても、誰にとっての情報なのか、何を意味しているのか分からなくなってしまう可能性があります。
誰に見せるのかを明確にする
誰がそのデータを閲覧するのか、どのような目的でデータを活用するのか、まずは明らかにすることが大事です。
利用者のニーズを理解し、どのような形態で情報を提供すれば役立ててもらいやすいのかを考えましょう。相手の数字に対する理解度に合わせた手段を検討することも大事です。
例えばビジネスシーンでは、数字をもとに要点を示した方が、説得力が増す可能性が高いでしょう。
しかし相手が数字の苦手な人の場合、極力数字を減らして、感覚的に理解できる図やイラストなどで表現すべきです。利用シーンに合わせて、最適なビジュアライズの方法を検討しましょう。
「直感」や「感覚」に訴える
どのような手法でデータを視覚化するにせよ、人間の「直感」や「感覚」に訴えなければいけません。
たとえ数字に強い人を対象にしている場合でも、単に数値を羅列するだけでは要点が伝わらないでしょう。どの部分に注目してほしいのか、何が重要なのかを色分けしたり、適宜図表を用いたりするなどして、うまくアピールすることが大事です。
無機質なデータを読み取るのが苦手な人は多いので、情緒や直感に働きかけるために、データを加工する必要があります。
相手のレベルや業務分野に応じて、適切な表現方法を選択しましょう。そのためには、可視化したいデータが何を意味するのか、正確に理解しておかなければいけません。
基本的なデータ可視化の方法を知ろう
データの可視化とは何か、基本的なところを解説しました。データをうまく可視化できれば、必要な相手に必要な情報を素早く伝えられるようになります。
その結果、ビジネスシーンでは業務効率が向上し、組織として解決すべき問題や課題も明らかになるでしょう。
データの可視化に取り組む際には、そのデータを閲覧する対象者に合わせて、適切なビジュアライズの方法を選択しなければいけません。対象者のITレベルや数値への理解度などを把握した上で、最も情報が伝わりやすい方法を慎重に選択しましょう。
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