「クロス集計を使った経験がない」「作成したこともない」という初心者でもわかりやすい、クロス集計の特徴やメリット、使い方を説明していきます。この記事を読み終わる頃には、クロス集計の基本が理解できるでしょう。
クロス集計とは?
クロス集計はマーケティングリサーチなどでよく使われる分析方法のひとつです。作成した経験はなくても、会社の資料で目にした記憶があるかもしれません。クロス集計とは何なのか、もうひとつの集計方法である単純集計との違いやメリットを紹介します。
設問を二つ以上掛け合わせたデータ集計方法
クロス集計とはアンケートを取った場合に、二つの設問の答えをかけ合わせて集計する方法です。
たとえば商品Aに対して、好きか嫌いかという質問と、性別への質問をかけ合わせます。すると「好き」と答えた人と「嫌い」と答えた人の、それぞれの男女比が出せるのです。
つまりひとつの質問だけでなく、複数の質問への回答結果を組み合わせて合計する手法です。それぞれの回答内容が、互いにどう影響しているかわかりやすい特徴があります。
単純集計との違い
マーケティングリサーチにおいてよく使われる基本的な集計方法に、単純集計とクロス集計があります。
単純集計とはひとつの設問に対する、回答率と回答内容の内訳を計算する方法です。Grand Totalを略してGT集計とも呼ばれ、設問に対する全体の分布をつかむのに役立ちます。
クロス集計は単純集計どうしをかけ合わせる計算方法です。一般的にまず単純集計で全体の傾向を把握し、各設問を詳しく分析するときにクロス集計を使います。
簡単に作成できて結果が分かりやすい
クロス集計のメリットは、リサーチの結果を読み取りやすい点です。たとえば商品Bに対する性別や年齢ごとの回答を比較すると、ある年代の女性に偏った特徴が浮かび上がるという具合です。
また基本的なクロス集計表なら、エクセルや統計用ソフトで簡単に作成でき、グラフ化しやすいのもメリットといえます。
クロス集計は単純集計ではつかみきれない、より正確なニーズに気付けます。明らかになったニーズをもとに対策を立てれば、商品やサービスの改善も的確になるでしょう。
クロス集計の見方
クロス集計を使い慣れない人にとっては、表頭(ひょうとう)と表側(ひょうそく)、横%表と縦%表といった呼び名比ひとつ取っても、難しく感じるかもしれません。クロス集計を使用する際によく出てくる用語を、具体的な例を挙げながら解説していきます。
表頭と表側
クロス集計表の縦軸は表側、横軸は表頭と呼ばれます。日本では一般的に、表側に説明変数、表頭に目的変数を配置します。
例えば30代と40代で商品Cへの「好感度の差」を調べる場合、表側に年代、表頭に好感度を置いて表を作成するのです。逆に商品Cに好感度が高いのは「どの年代か」を調べるなら、表側に好感度、表頭に年代を置きます。
つまり表頭に調べたい目的(目的変数)を、表側にその説明(説明変数)を配置し、因果関係を分析するわけです。
横%表と縦%表
表側(縦軸)にアンケート対象者が並び、表頭(横軸)にアンケートへの回答割合が並んだ表を、横%表と呼びます。反対に表側に質問への回答割合が置かれた場合は、縦%表と呼ばれます。
割合を横に向かって合計すると100%になる表が、横%表だと覚えるとわかりやすいでしょう。
クロス集計表を作成する場合、日本では横%表が主流です。海外や外資系企業では縦%表がよく使われるので、分析や作成の際は注意しましょう。
度数と割合
集計ではひとつの調査項目において、全体の回答数に対する選択肢ごとの回答数を度数(n)といい、回答数の構成比を割合(%)と呼びます。
たとえば商品Cへの好感度調査を100人に行い、好きと答えた人が60人、嫌いと答えた人が40人だったとします。好きの項目に注目すると、度数は60となり、割合は100分の60で60.0%です。
つまり度数は何人がその回答を選んだかを表し、割合は全体の何%がその回答を選んだかを表します。
クロス集計の種類
クロス集計にはいくつかの種類があります。「属性クロス集計って何?」「設問間クロス集計とどう違うの?」はじめて聞く人はそんな疑問を抱くでしょう。属性クロス集計と設問間クロス集計それぞれの特徴や違い、多重クロスについて見ていきます。
属性クロス集計
属性クロス集計は回答者の属性に注目して、回答を比較する集計方法です。属性の例を挙げると次のようになります。
- 何歳または何十代か、年齢による区分
- 男女の違い
- どんな職に就いているか
- 住んでいる地域、都心か地方か
- 結婚しているか、いないか
- 家族は何人か、子どもがいるかいないか
回答者の特徴によって、回答にどんな変化が見られるかを調査する集計が、属性クロス集計です。
設問間クロス集計
設問間クロス集計は二つ以上の質問結果を掛け合わせて、関連性を調べる方法です。たとえば食品Dへの好感度が、何によって左右されるか知りたいとします。
表側に好感度への質問を5段階評価で並べ、表頭に食品Dの味や値段、においなどへの質問を並べてかけ合わせれば、好き嫌いが商品のどの性質から引き起こされているのか、みえてくるでしょう。
設問間クロス集計は、ある結果がどのような理由でもたらされているのか、調べたいときに利用できます。
多重クロス集計
二つの項目をかけ合わせた集計を二重クロス集計、三つ以上の項目をかけ合わせた場合を多重クロス集計と呼びます。
よく見られる例としては年代と性別を表側に置き、質問を表頭に置いた三重クロス集計があります。三重クロス集計の表側に、さらに興味の有無といった質問を掛けた場合は四重クロス集計です。
かけられた項目数が大きいほど当てはまる人数が減るため、多重クロスを作成するときは、前もってサンプル数が少なくなりすぎないように注意しましょう。
クロス集計を作成する場合の注意点
クロス集計は便利な分析方法ですが、正確な情報を得るためにはアンケートの設問段階から、気を付けなければならない条件があります。せっかく調査したアンケートが無駄にならないために、注意点をみていきましょう。
必要な情報を得られるような質問を立てる
クロス集計において重要な条件のひとつは、知りたい情報を得られるように設問を立てる点です。適切な設問を作成するには、調査課題を説明する仮説を考えます。
たとえば商品Cを買った人の割合が、年収によって変わるという仮説があれば、購買経験と年収を聞く設問が要るとわかります。アンケート後に仮説を立てても、裏付けできる質問をしていなければ手遅れです。
想定される顧客モデルが、企業や商品に気付いてから買うまでの感情や思考、行動を細かく分析すれば、必要な設問を発見できます。
客観的数値に必要なサンプル量を確保する
クロス集計は設問項目を掛けるごとにサンプルの数が小さくなるので、サンプルが少なすぎて役に立たなくなる場合があります。リサーチ結果の客観性を保つには、ひとつの属性につき最低30サンプルが必要です。
十分なサンプルを確保するには、質問内容に合った年齢や性別などの比率を前もって計算しておくと、どの属性の何人に聞けばいいのかわかります。
クロス集計で信用性の高いデータを出すためには、アンケートの段階で、回答者の比率にも気を配りましょう。
クロス集計の特徴や見方について理解しよう
クロス集計は単純集計とともに、データ分析の基本です。クロス集計の特徴やメリット、単純集計との違いや使い分けは理解できましたか?
初めのうちは戸惑っても使っている間に慣れてきて、便利さを実感できるはずです。クロス集計について理解し、マーケティングリサーチなどに役立てましょう。
BIツール選びは「ミツモア」を活用しよう
「事業形態」「業種」「使用人数」のような簡単な質問に回答していただくだけで、貴社の状況に合わせたおすすめのBIツールの提案も受けることができるので、BIツール探しに多くの工数を割く必要がありません。
自社の課題解決のためにBIツールの導入を検討している方はぜひ「ミツモア」を活用してみてくださいね。