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労働基準法第24条の意味とは?協定の内容や罰則について解説

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最終更新日: 2024年06月28日

労働基準法第24条は労働者の賃金に関するルールを規定した重要な法律です。労働者とのトラブルを未然に防ぐためには、法律の内容をしっかりと理解しておく必要があるでしょう。労働基準法第24条の意味や違反の具体例を紹介します。

労働基準法にまつわる基礎知識

ビジネスウーマン、オフィス

労働基準法第24条を理解する前に、まずは労働基準法自体の基本的な内容を押さえておきましょう。働基準法と労使協定の意味について解説します。

労働基準法の意味や目的

労働基準法は、労働条件について最低限のルールを規定した法律です。契約上不利な立場になりがちな労働者を守る目的で作られています。

労働基準法で定められている主な項目は、賃金・労働時間・休日・有給休暇・災害補償です。1947年に制定されて以来、雇用情勢の変化に合わせてたびたび改正されています。

1人でも労働者を雇用する事業者には、原則として労働基準法が適用されます。雇用形態の種類は問いません。違反すると重いペナルティが科されることもあります。

労使協定の意味とは

労働基準法の労働条件に例外を設けられるのが労使協定です。労働者と使用者の間で締結されます。

法律から逸脱したルールの適用を事業者が望むケースで、労働者側の合意が得られた場合に労使協定を結べます。時間外労働に関する例外を定めた「36協定」は、労使協定の代表例です。

労使協定は会社ごとの特有ルールであり、適用範囲を定めていなければその会社の全労働者に適用されます。どのような労働条件でも例外を設けられるわけではなく、労使協定で規定できる内容は労働基準法により制限されています。

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労働基準法24条、賃金支払いの5原則とは

オフィスで働くビジネスウーマン

賃金の支払い方法に関しては、労働基準法第24条が定める「賃金支払いの5原則」で細かく規定されています。それぞれのルールの内容を見ていきましょう。

現物給与の禁止

賃金は通貨払いを原則とします。自社商材・商品券・食材などの現物を賃金とすることは認められていません。

ただし、労使協定を締結すれば、例外的に現物で賃金を支払うことが可能です。一般的に行われている賃金の銀行口座振り込みも、事前に労働者の同意を得なければなりません。

国によるキャッシュレス化の推進に伴い、デジタルマネーによる賃金支払いが近い将来に実現する見込みです。賃金のデジタル払いが解禁されれば、電子マネーやプリペイドカードなどで賃金を支払えるようになります。

直接払いの原則

原則として、賃金は労働者本人に直接支払わなければなりません。家族などの代理人や消費者金融などの債権者に賃金を支払うことは違法となっています。

直接払いの原則の例外が「使者」への支払いです。使者とは、労働者本人が入院などの理由で賃金を直接受け取れない場合に、本人に頼まれて賃金を受け取る人です。代理人と違い使者には意思決定権がないため、使者への賃金支払いは適法とされています。

税金の滞納などを理由に、裁判所の決定で賃金が差し押さえられた場合も、例外的に差押債権者への支払いが認められています。

全額払いの原則

賃金は労働者への全額払いが原則です。会社の資金繰りが悪化していても、分割で支払うことは認められていません。労働者に貸付を行っているケースでも、会社が一方的に貸付金と賃金を相殺することは違法とされています。

ただし、所得税や保険料など法令で定められているものに関しては、賃金からの天引きが可能です。労使協定を結べば、社宅賃料や社内旅行積立金からの天引きなど、全額払いの原則の例外を設定できます。

全額払いの原則は、労働者の生活をより安定させるために定められているものです。一部の賃金の未払いにより自由退職が妨げられるのを防止する意味もあります。

毎月1回以上払いの原則

賃金は最低でも毎月1回の支払いを義務づけられています。月2回の給料日を定めることは問題ありませんが、給料日を2カ月に1回とするのは違法です。

年俸制で賃金を決めるケースでも、年1回の一括払いは認められていません。年俸を12分割するなどして、少なくとも毎月1回は支払う必要があります。

数日しか働いていない月がある場合も、翌月の賃金とまとめての支払いはできません。たとえ1日しか働いていなくても、1日分の賃金をその月の賃金として支払うのが原則です。

一定期日払いの原則

給料日は原則として期日を特定しなければなりません。「毎月25日」のように、日付を固定して給料日を設定するのが基本です。「毎月20日から月末までの間」や「毎月第4月曜日」など、毎月給料日が変動するのは違法です。例外として「毎月末日払い」は月ごとに支払い日が異なりますが、認められている定め方となります。

指定した給料日に銀行が休みの場合は、平日に繰り上げ・繰り下げて支払うことがが認められています。会社のルールに規定されていれば、必ずしも前倒しで支払う義務があるわけではありません。ただし元々繰り上げて支払う予定の賃金を遅らせることはできないので、注意しましょう。

なお賞与や退職金など臨時で支払われる報酬は、一定期日払いの原則には当てはまりません。性質上賃金と扱いが違うことは覚えておきましょう。

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労基法24条について知っておくべきポイント

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労働基準法第24条で規定されている全額払いの原則には、法定控除などの例外があります。控除可能なものや手続きに関することを知っておきましょう。

賃金控除可能なものと注意点

全額払いの原則により、労働者には賃金の全額を支払わなければなりません。ただし、所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料などは、労働者の同意がなくても法定控除として賃金から控除できます。

労働者と労使協定を締結すれば、福利厚生費や社員会費などを例外的に控除することが可能です。費用の内容が明白なもののみ、労使協定の定めに応じた天引きを行えます。

損害賠償金に関しては、労使協定を結んでも賃金控除はできません。会社の備品などを破損・紛失し、労働者に対する損害賠償請求権が発生しても、賃金と債権の相殺はできないとする判例があります。

賃金控除の書類や届出に関して

労使協定の種類は、労働基準監督署に届出を必要とするものと不要なものに分けられます。例えば、36協定を締結するケースでは、労働基準監督署に届出を行わなければなりません。

賃金控除に関する労使協定を結ぶ場合、労働基準監督署への届出は不要です。控除内容や有効期間などを記載した協定書を作成し、事業所へ保存しておくだけで済みます。

賃金控除に関する協定書を作成する際は、東京労働局のホームページで提供されている無料テンプレートを使うのが便利です。以下のURLからダウンロードできます。

参考:様式集 (必要な様式をダウンロードしてご使用下さい。) | 東京労働局

労働基準法第24条違反の例と罰則

OJT ビジネス エンジニア

どのようなケースで労基法24条違反とみなされるのでしょうか。法律違反の具体例と罰則について解説します。

労基法24条違反の具体例

労基法24条に違反する事例を、具体例を挙げて見ていきましょう。

たとえば労働者が未成年だとしても、代理人が賃金を代わりに受け取ることは「直接払いの原則」に違反するので注意しましょう。(ここでいう「代理人」とは、本人の意思に関係なく代理人の意志で法律行為を行える人を指します)

未成年でも本人名義の口座は開設できるので、口座が未開設の場合は開設してもらいましょう。また事情によって銀行口座を保有していない場合でも、手渡しで渡す方法もあります。「直接払いの法則」は本人の年齢に関わらず生じるものと覚えておきましょう。

別の事例では、労働者が自社製品を社員割引で購入した結果「全額払いの原則」や「通貨払いの原則」に違反したケースがあります。社員割引で購入した代金が賃金から天引きされている場合、労使協定で賃金天引きの旨を締結する必要があります。締結されていない場合、天引きによる製品の購入は「全額払いの原則」の違反となる恐れがあるのです。

また会社から不要な物を買わされ、その代金が賃金から天引きされている場合も「通貨払いの原則」に違反する場合があります。

違反をするとどんな罰則がある?

労基法24条で定められている賃金支払いの5原則に違反すると、使用者に罰則が適用されます。罰則の内容は30万円以下の罰金刑です。

立ち入り調査や逮捕の可能性がある点にも注意しましょう。例えば、賃金の未払いで困っている労働者が労働基準監督署に相談した場合、支払い催促・立ち入り調査・行政指導が行われる可能性があります。

再三の注意や指導を受けても支払いに応じない場合は、検察官に書類送検され、刑事事件に発展する恐れもあります。

労働基準法第24条をしっかり理解しよう

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賃金支払いの5原則とは、労働基準法第24条で規定されている、賃金の支払い方法についてのルールです。現物賃金の禁止や直接払いの原則など、細かいルールが定められています。

労基法24条に違反した場合、使用者に罰則が科されます。法律の内容を正しく理解し、トラブルが発生しないように適切な労働条件を設定しましょう。

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