外を散歩しているとふと発見したり、庭にいつの間にか生えていたりと、わたしたちの生活に身近な雑草。
ふと草花に目を向けた際に「この雑草の名前って何ていうのだろう・・・」と疑問に思うこともあるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、雑草の名前の調べ方やおすすめの植物図鑑、名前を調べるアプリなどを紹介します。身近な雑草も解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
雑草はどこでも生えるの?
多くの雑草は「好光性種子」という日光を必要とする種を持っており、日光があるところであればほとんどどこでも生えてきてしまいます。
雑草はなぜ生えてくるのか?
雑草はなんらかの方法で種子が日光の当たる場所に運ばれてくることで生えてきてしまいます。雨風や動物によって運ばれてくることもあるため防ぐことは難しいです。
「雑草」という植物はない
身近な場所で見かける草花を総称して雑草と呼びますが、植物にはそれぞれ名前が付いています。代表的な植物の名前を知るだけで、印象が変わるでしょう。雑草と呼ばれる草花の特徴や、主な種類を紹介します。
栽培目的で植えられた植物以外の草を指す
「雑草」はひとつの植物を指す言葉ではありません。花壇や庭などに人間が栽培したものではなく、自然に生えている草花全体を指します。
似た言葉に「野草」がありますが、どちらも意味合いはそれほど変わりません。庭や空き地など人間が管理しているエリアに生えたものを雑草、野山や草原に自生しているものを野草と呼ぶケースが多いでしょう。
名前の分からない草花をまとめて「雑草」と呼びますが、普段見かける雑草にもきちんと名前は付いています。草花の名前を知るだけで、雑草のイメージが変わるはずです。
雑草は「一年草」と「多年草」の2種類に分類される
草花は「一年草」と「多年草」に分かれています。雑草も生育の仕方で同様に分類されます。
分類 | 特徴 |
一年草 |
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多年草 |
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一年草は春または秋に芽を出し、1年の間に枯れる草花です。春に芽を出したものは冬に枯れますが、秋の場合は冬を越して夏頃まで育ちます。枯れる前に種子を作り、新しい命を生み出すのが特徴です。
多年草は冬を越して何年も生きる植物です。冬の間は根が休眠し、春になると同じ株から芽吹きます。見た目は枯れたように見えていても、同じ根から芽吹いている場合は多年草です。
雑草の名前がわからない場合の調べ方
雑草の名前の調べ方を3つ紹介します。
「外出中に見つけた印象的な花が気になる」「庭に知らない雑草が生えている」という場合、名前がわからないとモヤモヤしてしまいますよね。
雑草の名前がわかれば、特徴や豆知識、除草するべきかどうかなど、雑草との付き合い方がガラっと変わるでしょう。雑草の名前を調べて、外出やガーデニングをめいいっぱい楽しんでみてはいかがでしょうか。
画像検索で調べる
雑草の名前がわからない場合、Googleで画像検索をする方法が効果的です。画像検索は次の手順で行いましょう。
画像検索の手順 (スマートフォンの場合)
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実際に目の前の雑草の写真を撮影し、Googleのトップページにアクセスします。
画像検索を利用するにはPC版サイトに切り替える必要があるので、iPhoneを使用している場合は画面端の[・・・]ボタンからオプションを開いて選択しましょう。
表示されたカメラのアイコンをタップし、画像のアップロードから順にタップしていきます。撮影した写真を選択すれば、雑草の名前や関連写真など、撮影写真に応じた検索結果が表示されますよ。
iPhoneやAndroidなどのスマートフォンはもちろん、PCでも同様の方法で画像から雑草の名前を調べられます。
植物図鑑アプリで調べる
植物図鑑アプリを使用するのも、雑草の名前を調べる手軽な方法です。
使用方法も簡単で、アプリを使って雑草の写真を撮影するだけ。画像アップロード機能に対応している場合も多いので、後から名前が気になった場合も調べられます。
アプリ内に調べた履歴をコレクションしたり、コミュニティにアクセスしたりできる機能が備わっているものもあるため、これまで以上に植物の興味・関心を深められるのもポイントです。
植物図鑑(本)で調べる
もちろん書籍タイプの植物図鑑を使って調べる方法も効果的です。情報量が多く、興味のある雑草以外にもさまざまな種類の植物を知れるのが、書籍ならではのメリットといえます。
手軽に持ち運べるハンディタイプのものもあるため、外出時に忍ばせておけば散歩が楽しくなるでしょう。
雑草の名前を調べられるスマホアプリを紹介
雑草の名前を確認するのに便利なアプリを3つ紹介します。
AI(人工知能)を使った判別機能やSNS機能があるものまで、その種類は様々。アプリを活用して雑草の名前をチェックしてみましょう。
プラントネット
プラントネットは、写真を撮影するだけで使える簡単な学習アプリです。見つけた草花の写真を撮ってアプリにアップロードすると、名前を教えてくれます。
登録されている植物は約2万種類です。植物の総数は36万を超えるともいわれており、すべての種類を判別できるわけではありませんが、メジャーな雑草であればきちんと判別してくれるでしょう。
アプリにアップロードした写真がデータとして使用され、研究に役立てられているのも特徴です。多くの写真を撮影し、アプリに投稿するごとに、植物を見分ける精度が上がります。
写真撮影のときは、花や実、葉などの植物に特徴的な部分を映すようにしましょう。複数の部位が入ると、より正確に種類を見分けられます。
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グリーンスナップ
グリーンスナップは草花の名前を知るだけでなく、育て方や特徴も知りたい方にぴったりです。もちろん、写真投稿で植物の名前を自動で判別する機能もあります。
SNSアプリとしても利用でき、植物好きな仲間と交流を楽しめるでしょう。アプリには、毎日4万枚以上の写真が投稿されています。投稿された写真は900万枚を超えており、他の人が投稿している写真を見ているだけでも飽きません。
常時開催のフォトコンテストや専門コラムなど、コンテンツも充実しています。身近な雑草をきっかけに、ガーデニングも楽しみたいと考える人に最適でしょう。
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PictureThis
「PictureThis」は、アプリ内の人工知能が写真を判別して草花の名前を教えてくれるアプリです。数万種の植物が判別できます。投稿した写真を、自分だけのコレクションとしてまとめておけるのも特徴です。
アプリ内にはコミュニティもあり、植物やガーデニング好きな仲間と盛り上がれるでしょう。植物の育て方の検索や、水やりの時間を教えてくれるリマインダー機能も役立ちます。
基本は無料で利用できますが、有料会員向けのコンテンツも多く、本格的に植物系アプリを利用したい人に向いているでしょう。
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おすすめの植物図鑑3選
おすすめの植物図鑑を3つ紹介します。雑草の種類に特化した野草図鑑や、子ども向けのわかりやすい内容のものなど、それぞれのシチュエーションにぴったりな図鑑をみていきましょう。
本を持ち歩きたくない場合は、電子書籍での購入もおすすめです。
ナツメ社「色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑」
「色で見わけ五感で楽しむ野草図鑑」は持ち運びに便利なハンディサイズの植物図鑑です。身の回りに咲いている野草を543種類も掲載しているため、普段よく見かけるような雑草の名前はひと通りカバーできるでしょう。
またタイトルの通り、色で野草の名前を調べられる検索性が高いのも特徴です。7系統の色と季節で索引し、知りたい雑草の名前や特徴、名前の由来まで調べることができます。
花を見たり、匂いを嗅いだりする、五感を使った楽しみ方が記載されているのも本書ならではのポイントです。
大和書房「子どもに教えてあげられる 散歩の草花図鑑」
「子どもに教えてあげられる 散歩の草花図鑑 (ビジュアルだいわ文庫)」は子どもに教えてあげられるような豆知識を掲載した植物図鑑です。道端に咲いている雑草の基本的な情報に加え、触ると音がしたり、洋服にくっついたりするような、子どもが気になるポイントも解説しています。
野花を見て楽しむだけでなく、楽しみ方をシェアすれば、お子さんとのコミュニケーションのきっかけにもつながるでしょう。
親子での散歩が多い方におすすめの1冊です。
山と渓谷社「美しき小さな雑草の花図鑑」
「美しき小さな雑草の花図鑑」は雑草を美しいものとして、これまでにない新たな切り口から提案した雑草図鑑です。
雑草の花を大きくレイアウトしたページ構成が特徴的で、鮮明に写された花の魅力を存分に楽しむことができます。名前を知りたい雑草だけでなく、写真集のような使い方もできるでしょう。
また色別にインデックスされており、花が探しやすいのもうれしいポイント。雑草の魅力を新たな観点から体感したい方におすすめの1冊です。
よく見かける一年草の雑草
春や秋に花を咲かせて、冬には枯れてしまう一年草は、身近な場所にたくさん生えています。地面に目を向けてみると、その姿が見られるでしょう。枯れた後には種や花粉を飛ばし、冬が過ぎると新しい命が芽吹きます。
地面を這うように生える「スベリヒユ」
スベリヒユはスベリヒユ科の一年草で、畑や道端などでよく見かけます。7〜9月頃が最盛期です。食べられる草花としても有名で、おひたしや天ぷらなどにできるのも魅力でしょう。
1cm以下の小さく黄色い花が咲き、花の後には果実が実ります。実が熟すると上半分が割れて種子がこぼれ、次の年に新しいスベリヒユが生まれるのです。
赤みのある茎をもち、地面に沿って生えます。葉は肉厚で丸みを帯びており、やや小ぶりです。
似た植物として、ピンクの花を付けるハナスベリヒユや、茎が立ち上がるタチスベリヒユなどがあります。
花粉症の原因にもなる「ブタクサ」
キク科ブタクサ属のブタクサは「アンブロシア」とも呼ばれます。北アメリカ原産で夏が最盛期です。
草丈は30cm〜1mほどと雑草の中では高く、葉の形はキクと同じようにギザギザしています。開花時期には黄色の細かい花が房のように集まり、一斉に咲き誇るのです。
スギ・ヒノキなどのように花粉を飛ばすことから、夏から秋にかけて花粉症の原因にもなります。スギ・ヒノキ類のように遠くまで花粉が飛ばないため、近くに寄らなければ花粉を避けられます。
身近な多年草の雑草
冬の間も葉や根を残し、春になると再び育つのが多年草の特徴です。昔から家紋として親しまれるカタバミや、愛らしい形のつくしなど、多年草にはさまざまな植物があります。
繁殖力の強さで知られる「カタバミ」
カタバミ科カタバミ属の多年草で、クローバー型の葉が特徴的な植物です。花は小さめで、5枚の花弁が付いています。黄色や白の花弁が愛らしい植物です。
クローバーと見分けるには、葉の模様をチェックしましょう。クローバーには葉の真ん中にV字の白い線が入っていますが、カタバミの葉は全体が緑色です。
カタバミの葉には、夜になると閉じる習性があります。葉が閉じた様子は、まるで片側の葉が反対側の葉を食べているようです。カタバミを漢字で書くと「片喰」であり、名前の由来ともいわれています。
カタバミはスイモグサや鏡草と呼ばれることもあります。日本全国に分布している花で、それぞれの地域で異なる呼び方をされたことから、多くの別名をもっているのです。
日本においてカタバミの葉は「片喰紋」という家紋としても知られています。繁殖力の強さや、身近な場所で見かける植物であることから、よいイメージがあるようです。
つくしとも呼ばれる「スギナ」
春の山菜として知られる「つくし」はスギナの胞子です。3〜4月頃につくしが芽生えると、春の訪れを感じられるでしょう。
つくしは胞子を出すと枯れてしまいますが、その後にスギの葉に似た草が伸びてきます。葉だけの状態が「スギナ」です。秋頃まで緑の葉が茂りますが、冬になると枯れ草が残り休眠するのです。分類としては、シダ植物のトクサ科に属します。
葉が茂っている夏頃に収穫し、乾かしたものは「モンケイ」と呼ばれる生薬です。利尿作用が高い煎じ薬で、入浴剤としても使えます。
大きく成長する「セイタカアワダチソウ」
黄色く小さな花をたくさん付けるセイタカアワダチソウは、英語で「ゴールデンロッド」とも呼ばれます。花が金色に輝き、背の高い姿が杖のように見えることから付けられた名前です。
外見がブタクサに似ていることもあり、花粉を飛ばす草と誤解されがちですが、セイタカアワダチソウは蜜で虫を引き寄せて花粉を運ぶ植物です。花粉も重く飛散しにくいため、花粉症の原因物質とは無関係といわれています。
北アメリカ原産の植物で、分類はキク科アキノキリンソウ属です。属名の通り花は9〜10月頃から咲き誇ります。1〜2mまで成長し、雑草としては大きな種類です。つぼみの時期に収穫し、入浴剤として使う人もいます。
冬には一度枯れますが、地上に葉や茎を残した「ロゼット葉」(地上に葉が広がっている様子)の状態で越冬する多年草です。
人が踏み付ける場所に生える「オオバコ」
オオバコはオオバコ科の多年草で、人が歩く道端や畑などさまざまな場所に生えています。葉はやや丸みを帯びた形で、茎が地面に沿って伸びるのが特徴です。
花は春に咲き、細かく白い花を付けた穂が数本上に向かって立ち上がります。日本全国に分布し、見かける頻度も高い雑草です。10~20cmと背が低く、子どもには見つけやすいでしょう。
人や車に踏まれても再生し、枯れないほどの強さを持つ草です。他の草花が踏み付けに負ける場所でも、オオバコならではの強靭な生命力で生き延びます。
さらに種は踏まれると粘液を出し、靴の裏などにくっつきます。人や車などに運ばれた種が、広い範囲に子孫を残すのです。
花を咲かせる代表的な雑草
雑草の中には美しい花を咲かせる植物もあります。外を歩くときに少し目を向けて、たくましく生きる花たちを眺めてみましょう。道端にも素朴で愛らしい花がたくさん咲いています。
キク科の一年草「ヒメジョオン」
ヒメジョオンはキク科の花で、黄色の筒状花の周りに細く白い花弁が付きます。形はマーガレットに似ていますが、花弁が細く多いのが特徴です。
似た種類として「ハルジオン」がありますが、葉の付き方や花の大きさが異なります。ハルジオンは茎を抱くように葉が沿っているのに対して、ヒメジョオンはまっすぐ広がるように葉が付いています。またヒメジョオンの葉には両面に細かい毛が生えているのに対し、ハルジオンにはありません。
花の大きさはヒメジョオンの方が小さく、花弁も細くたくさん付いています。北アメリカ原産の花で、愛らしい姿とは対象的に非常に繁殖力が強く、日本古来の植物と競合するため「侵略的外来種ワースト100」に選出されています。
春の花の代表格「タンポポ」
黄色の花がかわいらしい「タンポポ」は、数ある雑草の中でもよく知られる植物です。細い花弁とギザギザの葉を持つ、キク科の植物です。
タンポポは丸みを帯びた1つの花のように見えますが、細い花弁のように見えるもの1本1本が花です。それぞれにおしべとめしべがあり、タンポポという大きな花の集まりになっています。
開花時期は一般的に3~4月の春頃で、花の時期が終わるとふわふわとした綿毛を飛ばして広い範囲に種を運びます。根が強く、地上部分が枯れても再生する多年草です。
日本の自生種である「ニホンタンポポ」と外来種の「セイヨウタンポポ」がありますが、純粋なニホンタンポポは数を減らし、多くは交雑種になっています。
花冠作りを楽しむ「シロツメクサ」
シロツメクサはクローバーが咲かせる花の名前です。白く小さな花が集まり、丸い形をしています。
ヨーロッパ原産の花でマメ科に属し、開花は4〜7月の春頃です。シロツメクサの名前は、昔外国から割れ物が送られてくるときに、詰物の代わりとして使われていたことから「白い詰草」を略してシロツメクサになったといわれます。
シロツメクサは花冠作りが楽しめる花です。シロツメクサを根本部分から摘んで、中心となる2本の花を用意します。編む側のシロツメクサを巻き付けて、花の部分に通す作業を繰り返すと、かわいい花冠の完成です。子どもと一緒に花を摘んで、遊んでみましょう。
食用にもなる雑草
食用や漢方として使われる草花は、雑草として身近な場所にも存在しています。うまく見つけたときは、食用として利用できるでしょう。ただし似た雑草もあるので、しっかりと見分ける力も必要です。
独特の匂いを持つ「ドクダミ」
ドクダミは薬草として有名で、お茶や料理にも使われます。利尿作用や下剤の作用がある漢方の一種です。湿気の高い日陰を好みますが、繁殖力が強く生育場所を問いません。
5〜7月に花が咲き、白い花弁と黄緑色の穂が真ん中に立っているのが特徴です。花弁に見える白い部分は葉の一部で「総苞(そうほう)」と呼ばれます。葉はスペード型で深緑色です。
においが強く、ちぎるとさらに悪臭を放ちます。魚の匂いに似ているともいわれ、「ギョセイソウ」の別名もあります。除草の際には対策が欠かせません。
古くから食用にされる「ヨモギ」
ヨモギはキク科の多年草で、昔から草餅やおひたしなどに使われる食用の植物です。春には若くやわらかい葉を摘んで、さわやかな香りを楽しみましょう。
食用としてだけでなく、皮膚炎に煮汁を塗るなど漢方的な使い方も知られています。入浴剤としても利用でき、ヨモギ独特の香りが感じられるでしょう。
草丈は1m前後で、夏から秋にかけて小ぶりな紫色の花を咲かせます。葉はキク科特有のギザギザとした形状で、裏側に綿毛があるのが特徴です。
春によく見られる雑草
植物が芽吹き、花を咲かせる春は、雑草もいちばん多い季節です。
春に芽吹いた雑草は夏から秋にかけて生長していきます。芽吹いた雑草は、小さいうちに処理するのが鉄則です。新生活が始まる春先は何かと忙しい人も多いでしょう。しかし、雑草対策は春先からしっかり始めるのが肝心です。
ナズナ
植物名 | ナズナ |
科名 / 属名 | アブラナ科 / ナズナ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 3月~5月 |
草丈 | 20~50cm |
生育期間 | 11月~6月 |
春の七草で知られる「ナズナ」は、代表的な春の雑草です。別名「ペンペン草」や「三味線草(シャミセン草)」と呼ばれることもあります。ナズナは少し外を歩けばすぐに見つけられるほど、日本中どこにでも生えている植物です。
ナズナは一年草または二年草(越年草)で、春から初夏に小さな白い花を咲かせます。食べてもおいしいナズナですが、強い繁殖力は厄介です。
スズメノカタビラ
植物名 | スズメノカタビラ |
科名 / 属名 | イネ科 / イチゴツナギ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 3月~5月 |
草丈 | 10~30cm |
生育期間 | 10~7月 |
イネ科の「スズメノカタビラ」は、畑やアスファルトのすき間など、場所を問わずどこにでも生える雑草です。冬から夏にかけて、小さなイネのように見える小さな卵型の花をつけます。近所の散歩中に見かけたことのある方も多いでしょう。
秋に発芽して翌年の春にかけて生長する一年生越年草ですが、繁殖力が強いので、辺り一面に緑の葉がすぐに広がります。根は浅いものの茎が地表で横に広がるので、処理しにくいのが特徴です。
ホトケノザ
植物名 | ホトケノザ |
科名 / 属名 | シソ科 / オドリコソウ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 2月~5月 |
草丈 | 10~30cm |
生育期間 | 12月~6月 |
「ホトケノザ」といえば「春の七草」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?実は道端などに生えているホトケノザは、春の七草の「ホトケノザ(たびらこ)」とは別物なので間違って食べないように注意してください。
雑草のホトケノザはシソ科オドリコソウ属の一年草で、大きいものだと30cmほどの高さまで生長します。葉が段々につくことから「三界草」という別名がついています。繁殖力が強く種を周囲に撒き散らすので、庭や畑で広がりやすいのが厄介です。
ハルジオン
植物名 | ハルジオン |
科名 / 属名 | キク科 / ムカシヨモギ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 4月~8月 |
草丈 | 50~80cm |
生育期間 | ほぼ通年 |
「ハルジオン(春紫苑)」は小さなひまわりのような花が印象的な雑草です。
秋に芽生えて春に花を咲かせる越年草です。北アメリカ原産で繁殖力が高く、根の一部が残っていればまた生えることから「貧乏草」という別名がついています。
もともと観賞用として大正時代に持ち込まれたものが、やがて野生化した経緯があります。キク科のハルジオンは花粉アレルギーがあるので、花が咲く時期は注意が必要です。
ハコベ
植物名 | ハコベ |
科名 / 属名 | ナデシコ科 / ハコベ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 2月~9月 |
草丈 | 10~30cm |
生育期間 | 通年 |
ハコベはナデシコ科ハコベ族の一年草で、「はこべら」として春の七草にも数えられている雑草です。春~秋にかけて1年を通じて発芽し、3~11月にかけて、小さくてかわいらしい白い花をつけます。庭や道路などの様々な場所で生育しますが、畑では特に目立つ雑草です。
ハコベは柔らかく、根の張りも弱いので簡単に除草が行えます。
夏によく見られる雑草
続いて夏に見られる雑草を紹介します。生命力の強い雑草は夏の暑さでもへこたれません。雑草を駆除する際は、くれぐれも熱中症に注意して作業しましょう。
ネジバナ
植物名 | ネジバナ |
科名 / 属名 | ラン科 / ネジバナ属 |
種類 | 多年草 |
花期 | 5月~8月 |
草丈 | 15~40cm |
鮮やかなピンクの花が特徴的な「ネジバナ」は、野生のランの仲間です。ランというと花屋で見かける華やかなイメージがありますが、ネジバナの見た目からはランの一種のような雰囲気は感じられません。
ネジバナの「Spiranthes(スピランセス)」という学名は、ギリシア語の「speira(らせん)」と「anthos(花)」が語源です。茎に巻き付くように咲く花の形を表しています。
ネジバナは乾燥した環境が苦手なので、雑草として処理するなら土壌の水分調節がキーポイントです。
ユウゲショウ
植物名 | ユウゲショウ |
科名 / 属名 | アカバナ科 / マツヨイグサ属 |
種類 | 多年草 |
花期 | 5月~9月 |
草丈 | 20~60cm |
「ユウゲショウ」は北アメリカ南部から南アメリカを原産とする多年草です。もともと鑑賞用として明治時代に日本に持ち込まれたもので、やがて野生化して関東地方より西に広く分布しています。
茎は伸びると60cmもの高さになり、5月~9月にかけて淡いピンク~赤紫色の花を咲かせます。花の大きさは1~1.5cm程度です。ユウゲショウという名前ですが、一日中咲いているのが特徴です。
ヤブガラシ
植物名 | ヤブガラシ |
科名 / 属名 | ブドウ科 / ヤブガラシ属 |
種類 | 多年草 |
花期 | 7月~8月 |
草丈 | 50~200cm |
生育期間 | 4月~10月 |
ヤブガラシは長いつる状の茎が大きな特徴の、夏によく見られる雑草です。生育旺盛で急速に茎を伸ばし、フェンスに巻き付いたり、他の植物に覆いかぶさったりして、広範囲に生長していきます。また7月~8月ごろになると、淡い緑色の小さな花を枝先に多く咲かせます。
ヤブガラシは多年草で生命力も強く、除草が難しい植物です。駆除する際には根から抜き取るか、除草剤を散布して地中深くから駆除するようにしましょう。
メヒシバ
植物名 | メヒシバ |
科名 / 属名 | イネ科 / メヒシバ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 7月~9月 |
草丈 | 40~80cm |
生育期間 | 5月~10月 |
メヒシバは庭だけでなく、道端でもよく見かけるイネ科の一年草です。細い茎の先に数本の穂を放射状につけるのが特徴です。
またよく似た雑草に、秋によく見られるオヒシバがあります。穂の部分が茎の部分と同じくらい細いものをメヒシバ、茎の部分より太い穂をつけるものをオヒシバと見分けるとよいでしょう。
メヒシバは暑さや乾燥にも強く、駆除するのがなかなか難しい雑草です。手で抜こうとしても先だけが抜けることが多く、根っこからの駆除が困難なため、除草剤を用いて効率的に除草するようにしましょう。
オヒシバ
植物名 | オヒシバ |
科名 / 属名 | イネ科 / オヒシバ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 8月~10月 |
草丈 | 20~50cm |
生育期間 | 4月~10月 |
オヒシバは先端に大きな穂をつけるのが特徴の一年草です。メヒシバと同じような見た目をしていますが、メヒシバがつける穂と比較して、サイズが大きいのが見分け方のポイントです。
またメヒシバが細い茎を伸ばして広がっていくのに対して、オヒシバは株そのものを放射状に広げて大きく生長していきます。
節々に根を下ろす特徴があるので、生長してしまう前に除草剤で駆除するようにしましょう。
秋によく見られる雑草
春と同じく、秋も雑草が芽を出す季節です。「鉄は熱いうちに打て」が功を奏するので、ぜひ雑草対策を入念に行いましょう。
カヤツリグサ
植物名 | カヤツリグサ |
科名 / 属名 | カヤツリグサ科 / カヤツリグサ属 |
種類 | 一年草 |
花期 | 7月~9月 |
草丈 | 30~50cm |
生育期間 | 4月~10月 |
カヤツリグサは庭以外に道端や田畑にも発生し、30~50cmほどの草丈に育つ一年草です。葉が細長くて柔らかく、先端がとがっているのが大きな特徴です。7月~9月ごろから、茎の先端に茶色い穂をつけます。
またカヤツリグサは繁殖力が高く、雑草の中でも最強クラスの繁殖力を誇ります。地上部を刈っても、地中で細かくちぎれた芽から再生するため、除草の際は根ごと枯らす効果のある除草剤を使うとよいでしょう。
冬によく見られる雑草
気温が下がり木々の葉が落ちる冬は、さすがに雑草の元気もなくなってきます。
この時期は、根も弱くなり旺盛な生長にも陰りが出てくるため、雑草処理にはうってつけです。しっかりと寒さ対策をして処理しておきましょう。冬に芽を出す主な雑草は以下の種類です。
ゼニゴケ
植物名 | ゼニゴケ |
科名 / 属名 | ゼニゴケ科 / ゼニゴケ属 |
種類 | 苔類 |
花期 | なし |
草丈 | 3~10cm |
生育期間 | ほぼ通年 |
苔の代表的な存在である「ゼニゴケ」は、どこでも生えてすぐ増えることから嫌われ者のイメージが強いでしょう。
ゼニゴケの歴史は古く、なんと4億年以上前の地層からもゼニゴケに似た化石が見つかっています。幾多の地球生物の大量絶滅を乗り越えたゼニゴケの生命力は尋常ではありません。
ゼニゴケは栄養が豊富な酸性土壌を好むので、畑や花壇などにもよく見られます。
雑草を放置するとどうなる
刈るのが面倒だからと放置すると、さらに面倒なことになるのが雑草の困ったところです。ただ見栄えが悪くなるだけでは済まされない、雑草のさまざまな弊害について見ていきましょう。
害虫の発生源になる
生い茂った雑草は、害虫にとって最高の棲み家になります。
代表的なのが「蚊」です。蚊は雑草の間に身を潜め、人の体温や汗を感じ取ると血を吸うために飛び出してきます。「最近、家に蚊がよく出る気がする・・・」と困っている人は、庭の雑草が増えていないかチェックしてみましょう。
蚊は夏に飛び回るイメージがありますが、実は気温が22℃~30℃のときに活発に動きます。そのため、春から秋まで注意した方がよいでしょう。
また、名前の通り葉を食い荒らす「ハダニ」もよく見かける害虫です。もし作物や草木の葉に白い斑点ができていたら、ハダニの可能性が高いでしょう。
葉の葉緑素を吸い取ってしまうハダニは、あらゆる植物に寄生します。花壇などに移ってしまうと悲惨な状態になりかねません。
そのほか、芋虫や毛虫にも注意が必要です。見た目の嫌悪感だけでなく、家庭菜園の野菜の葉や果実をかじる食害もあります。発見したらすぐに駆除しましょう。
健康被害をもたらす
放置された雑草は人間の健康にも害を及ぼします。代表的なのが花粉によるアレルギーです。今や日本人の2人に1人が花粉症といわれていますが、原因となる植物の中には雑草も多く含まれます。
花粉症を引き起こすイネ科の雑草は「カモガヤ」「オオアワガエリ」「ハルガヤ」など、キク科の植物では「ブタクサ」が挙げられます。
他にも、雑草そのものに触れて発症する接触性皮膚炎(かぶれ)にも注意が必要です。例えば茎からアルカロイド系の有毒な液体を出す「タケニグサ」や「クサノオウ」などは、見つけても決して触らないようにしましょう。
また、雑草が放つ悪臭も、健康面を考えると決してよいものではありません。他の木などに巻き付いて伸びる「ヘクソカズラ」は、葉や茎から嫌な臭いを放つ困った雑草です。
雑草を刈るときの手順
実際に雑草を刈っていく手順を説明します。処理する面積にもよりますが、手作業で行う雑草刈りは時間のかかる重労働です。しかし、適切な道具と正しいやり方を知れば、作業がぐっと効率的になります。
草刈道具を準備する
まずは雑草刈りに欠かせない、以下の道具を用意しましょう。
- 鎌
- スコップ
- 剪定バサミ
- 熊手orほうき
- 厚手の軍手
根が深かったり茎が絡みついたりした雑草を手で抜くのは困難です。そのため鎌は必須アイテムといえます。
雑草を刈る場合は、刃が薄めの草刈り鎌がおすすめです。軽いので長時間の作業でも腕が疲れにくいでしょう。座ったままの作業で腰や膝が辛い人は、立った姿勢で使える伸縮型の鎌やハサミでの作業を検討します。
スコップは根を取り除くのに使います。通常の形のものでもOKですが、先端が釘抜きのようになっていて、地面に差して根ごと一気に抜き取れる商品も便利です。
剪定バサミは鎌で刈りきれなかった雑草を切り取るのに使用します。扱いやすい小型のものを用意しましょう。
熊手やほうきは刈り終えた雑草を集めるのに役立ちます。軍手はトゲや浸出液などで思わぬケガにつながる危険を避けるため、できるだけ厚手のものを準備しましょう。
道具を使って草を刈る
まずは刈り始める前に大きな石などを取り除きましょう。鎌が当たると刃先を傷める原因になります。
鎌はなるべく柄の下を持ち、刃先が左を向くように構えましょう。刈るときは左手で草を起こし、鎌を右斜め前から左後ろに引くようにして切断します。左に向かって刃を動かしていくので、刈りたい場所の右側から始めるとスムーズに進められるはずです。
ひと通り刈り終えたら、取り残した草や茎を剪定バサミで切っていきます。余分な雑草を残さないよう、できるだけ地面に近いところでカットしましょう。
地下茎を伸ばす雑草は根ごと刈らないとまた生えてくるので、スコップで地面を掘ってしっかりと根を除去するのがポイントです。
草を集めて掃除し、処分する
最後に刈った草を集めて処分すれば終了です。処分方法は主に3つあります。
- 燃えるゴミに出す
- 地面に埋める
- 業者に依頼する
特に都会に住んでいる人なら、燃えるゴミに出すのが最も簡単でしょう。自治体が指定するゴミ袋に詰め込んで、ゴミの日に出すだけでOKです。
ただし自治体によって、ゴミ出しのルールが異なります。事前にゴミの分別表を確認したり市役所に電話したりして、何ゴミの扱いになるのか、どのように処分するのかをチェックしておきましょう。
地面に埋める方法もありますが、浅いところに埋めると残った種子が芽を出して、しばらくしたらまた雑草まみれ・・・という事態になりかねません。少なくとも地面から30cm以上の深さに埋めておきましょう。
また、刈った草が大量にあったり、粗大ゴミなど他に処分したいものがあったりするときは、回収業者に依頼するのもひとつの手です。しかし処分費用が掛かることは覚えておきましょう。
雑草の種類と刈り方を知ろう
根を伸ばして大きく生長した雑草は刈るのも大変です。芽生えて日が浅い段階で対策するのが有効でしょう。処理する際も鎌や剪定ハサミなど、雑草刈りに適した道具を使いこなせば、より効率的に駆除を進められます。
特に庭付きの戸建てに住んでいる人は、雑草との付き合いは避けられません。正しい対処法をマスターして、雑草レスの快適な暮らしを実現しましょう。