ヒメジョオンは可愛らしい小さな白い花を咲かせる夏の野草です。初夏から秋にかけて道端や公園などで見たことがある方も多いのではないでしょうか?
この記事ではヒメジョオンの特徴や花言葉、よく似たハルジオンとの違いや庭に生えた場合の駆除方法などを解説していきます。
ヒメジョオンは白い花を咲かせる越年草
「ヒメジョオン」は白い花を咲かせる越年草で、別名「柳葉姫菊(ヤナギバヒメギク)」とも呼ばれています。公園や道端によく咲いており、散歩中などによく見かける花のひとつです。ヒメジョオンの花の特徴や生息環境などについて解説していきます。
ヒメジョオンの特徴
植物名 | ヒメジョオン |
学名 | Erigeron annuus |
科名 / 属名 | キク科 / ムカシヨモギ属 |
原産地 | 北アメリカ |
開花期 | 6月~10月 |
花の色 | 白 |
草丈 | 30~150cm |
特性 | 一年草 (越年草) |
ヒメジョオンはキク科ムカシヨモギ属の一年草です。開花時期には茎の上部が枝分かれした茎先に、キクに似た花をたくさん咲かせます。直径が2cmほどの可憐な花は、中心部の黄色い筒状花を囲むように小さな白い花びらが3列に並べるのが特徴です。
また種類によっては、薄紫色の花びらを付けるものもあります。
ヒメジョオンは大きいものだと1mを超える大きさまで成長します。根元付近に生える根出葉は卵形、茎に生える単葉は卵形~細長く先がとがった形です。いずれの葉も表面には細かい毛が生えており、縁はノコギリのようにギザギザとしています。
ヒメジョオンが咲く季節
ヒメジョオンが咲く季節は初夏から秋で、6月~10月ごろになるとその白い花を街中に覗かせます。
また秋に発芽するヒメジョオンは、タンポポのように放射線状に広がるロゼット状の葉を根元に付けるのが特徴です。光合成によるエネルギー供給を効率的にし、冬を越した翌年の初夏頃にきれいな花を咲かせます。
全国に分布する外来種
ヒメジョオンは江戸時代末頃に日本へ持ち込まれた外来種で、北米が原産地です。渡来当初は観賞用として重宝されていましたが、明治初期には雑草化し、全国各地へと繁殖していきました。
植物の垂直分布帯である標高1700~2500mの「亜高山帯」にも分布しています。なお亜高山帯とは常緑針葉樹が生育するエリアのことです。亜高山帯に生息する在来植物の成長を阻む可能性が高いことから、積極的に駆除が行われています。
ヒメジョオンの名前の由来・花言葉
ヒメジョオンという名前は和名であり、属名の呼び名もいくつかあります。どのように名付けられたのでしょうか?名前の由来や花言葉について説明しましょう。
ヒメジョオンの名前の由来
ヒメジョオンは漢字では「姫女苑」と表記され、由来には諸説あります。中国産の野草の意味である「女苑」と、「かわいらしい」や「小さい」などの意味をもつ「姫」を合わせて名付けられたという説が有力です。
また国内ですでに生息していた別植物の「ヒメシオン(姫紫苑)」と区別するために、姫女苑と名付けられたともいわれています。
明治時代の文明開化の鉄道とともに、鉄道の線路沿いに生息していたことから「テツドウソウ」とも呼ばれていました。
学名の「Erigeron annuus」のErigeronは「早い」を意味するeriと「老人」を意味するgeronが由来です。annuusには「一年草」の意味があります。
花言葉は「素朴」と「清楚」
ヒメジョオンの花言葉は「素朴」と「清楚」です。豪華な美しさはないものの、道端や公園などにすっきりと控えめに咲く可憐な姿に由来しています。
何気なく歩いているときにヒメジョオンを見かければ、その魅力が心を和ませてくれることでしょう。
ハルジオンとともに貧乏草と呼ばれることも
同じく北米が原産地でキク科ムカシヨモギ属の「ハルジオン」とともに、「貧乏草」と呼ばれることもあります。いったいなぜ貧乏草と呼ばれるのでしょうか?
いくつかの説のうち、貧乏な家の庭には生えているという説が代表的です。庭の手入れには手間やお金がかかります。そのため手入れが行き届いた裕福な家の庭には生えずに、手入れのされていない貧乏な家の庭に生えやすいという理由が、貧乏草と呼ばれる原因です。
中にはヒメジョオンやハルジオンに触れるだけで貧乏になると伝えられている地域もあります。
ハルジオンとの違い・見分け方
ハルジオンとヒメジョオンは、外見がとても似ていることから、見分けがつきにくいと感じる人も多いでしょう。しかしいくつかの違いを理解すれば、誰もが簡単に見分けられます。ここではハルジオンとの見分け方について紹介します。
花びらの違い
ハルジオンもヒメジョオンも花びらが平行である「舌状花」です。一見同じように見える花部分ですが、花びらの形状や付き方に違いがあります。
ハルジオンの花びらは細く、ひとつの花に対して200枚ほど付きます。まとまりはなくそれぞれの花びらがバラバラに付いているのが特徴です。
一方、ヒメジョオンの花びらは太くて、ひとつの花に対して100枚ほどです。花びらの付き方にはまとまりがあります。
茎の中身の詰まり方が異なる
茎の中身の詰まり方にも違いがあり、ハルジオンは茎の中身が空洞で中身がスカスカしているのが特徴です。一方で、ヒメジョオンは茎が肉厚で髄が白く、ふわふわとした中身が詰まっています。
そのため、触った茎が柔らかければハルジオン、固ければヒメジョオンと見分けることが可能です。
葉の付き方が異なる
ハルジオンとヒメジョオンは葉の付き方も異なります。
ハルジオンは茎を抱きかかえるようにして葉の根元部分が丸みを帯びます。一方でヒメジョオンは、葉がまっすぐに茎の側面から生えているのが特徴です。
いちばんわかりやすい見分け方なので、どちらか迷った際は歯の根元部分を見るようにするとよいでしょう。
ヒメジョオンに似た花
ハルジオン以外にもヒメジョオンに似た花が存在します。道端などでヒメジョオンを発見した際は、これらの種類かどうかを確認してみてはいかがでしょうか。
ヘラバヒメジョオン
ヘラバヒメジョオンはキク科ムカシヨモギ族の越年草で、別名「ヤナギバヒメジョオン」とも呼ばれます。ヒメジョオンによく似ていますが、葉がギザギザとしたノコギリ状になっておらず、へらのような形をした楕円形になっているのが特徴です。
道端や公園など、ヒメジョオンと同様の場所に生息しますが、ヘラバヒメジョオンは乾燥した場所や土が痩せた場所でも生育できます。
ペラペラヨメナ
ペラペラヨメナはキク科ムカシヨモギ属の多年草で、別名「ゲンペイコギク」とも呼ばれます。特徴的な名前は葉がペラペラに薄いことと、「ヨメナ」のような花をつけることが由来です。
関東より西の地域で多く見られ、道端や河川が主な生息範囲です。また園芸種として広まったこともあり、花屋でもエリゲロンという名前でさまざまな品種が売られています。
ヒメジョオンとは本当によく似ていて見分けがつきにくいですが、薄紫色の花や1本の茎から2つの花をつけるなどの特徴があります。
ヒメジョオンは繁殖力の強い雑草
白くて可憐な花を咲かせるヒメジョオンですが、庭に咲いている場合は注意が必要です。あっという間に広がってしまうほど繁殖力が高いので、庭で発見した際は駆除も検討しましょう。
種子による繁殖力が高い
ヒメジョオンはひとつの株に4,000個以上の種子を付けます。茎が高く成長して開花時に種子を飛ばしますが、あまり遠くまでは飛ばずに株付近に着地して繁殖するのが特徴です。
株付近に落ちた種子は発芽して翌年以降には、また種子を付近に撒いて株を増やしていくため、どんどん繁殖していってしまうのです。種子の寿命は15年以上ともいわれており、さまざまな土壌で成長することから厄介な雑草として扱われています。
その繁殖力は庭で育てている他の植物の成長を妨げるほどで、日本の「侵略的外来種ワースト100」に入っています。外来生物法で要注意外来生物に指定されている植物です。
抜いても生えてくるので駆除が困難
ヒメジョオンは茎を抜いても土中の根が残っていればまた生えてくる性質があります。そのため除草の際には根ごと抜き取らなくてはならず、駆除が困難です。
土が固い場合には、道具を使って土をほぐしてから根ごと抜き取るようにしましょう。
ヒメジョオンの駆除方法
ヒメジョオンが庭に生えてしまったら、どうやって駆除すればいいのでしょうか?
ヒメジョオンは抜いても地中に根が残っているとまた生えてきてしまうため、除草剤の使用がおすすめです。また薬剤を使う場合には、効果を発揮するまでの時間や予防効果の有無などにも違いがあるので注意しましょう。
手軽な「除草剤」
ヒメジョオンのもっとも手軽な駆除方法は「除草剤」を使った方法です。根が残っているとまた生えてくるので、根を枯らす効果のある除草剤を使用するとよいでしょう。
また除草剤には大きく分けて「粒剤」と「液体剤」の2タイプがあります。
粒剤 |
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液体剤 |
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粒剤は土壌に直接撒いて、根から薬剤を吸収させることで除草効果を発揮します。そのため液体剤よりも除草効果が長いです。雑草が生える前に撒けば予防効果があります。
液体剤は粒剤よりも速効性に優れており、2~3日ほどで効果があらわれます。雑草の茎葉に撒くことで、茎葉部分の除草が可能です。
予防には「防草シート」が効果的
「防草シート」は土の上に敷いて固定するだけで、雑草対策ができる便利なアイテムです。雑草が育つために必要な日光を遮断して成長を阻み、発生を予防します。
防草シートは大きく分けると次の3タイプに分けられます。
- 不織布高密度タイプ
- 不織布短繊維
- 織布タイプ
それぞれで日光の遮断力、水はけのよさが異なります。水はけがよいと雑草が成長すると思われがちですが、シートに水たまりができるとそこに種子が落ちると発芽して、繁殖してしまう可能性があるので要注意です。
美観も保ちたい方は「固まる砂」での予防がおすすめ
庭の美観を保ちながら雑草予防をしたい方には「固まる砂」がおすすめです。固まる砂は土にセメントなどを混ぜており、水をかけるだけで固まります。土のような色なので、見た目は自然な土とほとんど変わらずに庭に植えられた植物と一体感が出ます。
また表面も平らなので後々の手入れも簡単です。落ち葉やホコリが溜まっても簡単に掃除できるでしょう。
雨が降った際に、固まる砂の上に水たまりができないように排水溝に向けて傾斜を作り、水が流れるようにするのがポイントです。
広範囲なら業者の利用を検討
雑草駆除を自分でやっても繰り返し雑草が生えてきてしまう場合や、駆除範囲が広い場合には、業者の利用を検討してみるのもひとつの方法です。
業者によって手作業や機械作業、作業範囲などによって料金設定は異なります。
雑草駆除を依頼する際は、植栽や剪定などを行う造園業者や、雑草駆除とともに雑草対策まで行ってくれる除草専門業者がおすすめです。
庭の手入れのプロ探しはミツモアがおすすめ
かわいらしい花を咲かせるヒメジョオンは繁殖力が強く、あっという間に庭を占領してしまいます。大事に育てている他の植物の生育を阻むため、見つけたらすぐに駆除するように心がけましょう。
またヒメジョオンは種子によって繁殖するため、種子を付ける前に除草剤や防草シートなど便利なグッズを使って駆除します。
駆除範囲が広いなど自分では難しい場合には、専門業者に相談してみましょう。
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