ノウゼンカズラはオレンジ色の花が印象的なつる科の植物です。ポールやフェンスに誘引することで自分好みの形を作れるため、庭木として一定の人気があります。


本記事ではノウゼンカズラの剪定時期や仕立て方、お手入れの方法などを紹介します。
ノウゼンカズラの剪定時期は3月と9~10月
ノウゼンカズラの剪定は、3~4月をメインに、必要に応じて9~10月にも行いましょう。
3月~4月上旬:成長期に向けて枝を切り詰める
落葉樹であるノウゼンカズラは冬に葉を落とし、春になると再び葉を出して成長を始めます。葉が出始める前に、前年に伸びた枝を幹の際まで切り詰めましょう。新しく勢いの良い枝が伸び、バランスよく花芽がつくようになります。
9~10月中旬:枝を間引き、咲き終わった花を摘む
9~10月には、増えすぎたり樹形を乱したりしている枝を間引き、咲き終わった花がらを摘みましょう。
次の花芽は翌年に伸びた新しい枝につくため、気になる枝はどの部分で剪定しても問題ありません。また、開花後の花をそのままにしていると、見た目が悪いだけでなく病気の原因にもなります。咲き終わった花は適宜摘み取るようにしましょう。
ノウゼンカズラの春剪定の方法(3月~4月上旬)
ノウゼンカズラを花後に剪定する流れは以下の通りです。
①前の年の枝を切りつめる
前の年に伸びた枝を切ります。つけ根に近い芽の上のところでしっかりと切りつめましょう。
②増やしたい枝を剪定する
枝を新たに増やしたい箇所は、つけ根から2~3芽ほど残して切ると増えやすくなります。
③ひこばえや下枝を切り取る
ひこばえや下枝などの余分な枝を切り取り、形を整えます。
そのほかに切り落とす枝の見分け方は以下の通りです。
枝の種類 | 枝の特徴 |
---|---|
腹切枝 | 幹と交差する太い枝 |
交差枝 | 他の枝と交差してしまっている枝 |
平行枝 | 複数の枝と平行に伸びてしまっている枝 |
車枝 | 枝の一部から多数の枝が出ているもの |
懐(ふところ)枝 | 幹付近から伸びた弱々しい枝。害虫の温床になりやすい |
ヤゴ・ひこばえ | 樹木の根元から生えてくる枝 |
下がり枝 | 垂れ枝ともいい、下に向かって伸びている枝 |
からみ枝 | 枝が絡み合ってしまっているもの |
徒長(とちょう)枝 | 真上に伸びすぎてしまった枝。雨風で折れやすい。害虫の温床にもなりやすい |
かんぬき枝 | 主幹を挟んで左右対称に生えている枝。樹形のバランスを考え、どちらか一つを剪定する |
逆さ枝 | 幹に向かって生えているもの |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は地際で切り取る
ノウゼンカズラの夏剪定の方法(9月~10月中旬)
ノウゼンカズラを落葉後に剪定する流れは以下の通りです。
①枝を間引きして風通しを良くする
切る場所の決まりは特にありません。つぼみが新梢からできるため、どこから切ってもしっかりと生えます。
絡んでいる枝や樹冠から飛び出した枝などをつけ根から切り取り、風通しを良くしましょう。
②花がらがあれば摘む
枯れてしまった花があると見栄えが悪くなるばかりか、病気や害虫などの発生原因にもなりかねません。花がらは見つけ次第取り除きましょう。
スタンダード仕立てとアーチ仕立てのやり方
スタンダード仕立ては太めのポールや支柱を立てつるや枝を絡ませる最も一般的な仕立て方です。枝が垂れていると花が付きやすくきれいに咲き続けます。また下部の枝は切り取っておくとより美しく見えるのでオススメです。
他にも支柱をアーチ状に立て、ノウゼンカズラを絡ませることで、きれいなアーチ仕立てにすることも可能です。花が咲くとオレンジ色のきれいなアーチが作れます。
ノウゼンカズラの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
刈り込みバサミ
![]() |
刈り込みを行う際に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
ノウゼンカズラを剪定するときの注意点
ノウゼンカズラは生長力が非常に高く、正しく管理していないと外壁に根が張り付き、取り除けなくなってしまうことがあります。また冒頭で紹介した花の蜜に含まれる毒にも注意しなければなりません。
建物の壁近くや基礎に届かないよう剪定する
ノウゼンカズラは誘引していないと、壁や堀に張り付き根を巡らせます。一度外壁などに根付くと取り除くのが非常に困難で、外壁や基礎の材質によってはえぐられてしまうことがあります。
また上方向にノウゼンカズラが伸び、電線などに絡んでしまうと、大きな事故になりかねないため、ノウゼンカズラを植えてから放置するといったことは絶対に避けましょう。
ノウゼンカズラの毒には細心の注意をする
冒頭でも紹介しましたがノウゼンカズラの花の蜜には「ラパコール」といわれる毒が含まれており、手に触れると軽いかぶれ、粘膜に触れると嘔吐やめまいなどといった症状が発症する場合があります。剪定や花がらを摘む際はゴーグルやマスク、手袋をしてから行うようにしましょう。
ノウゼンカズラの日ごろのお手入れ方法

ノウゼンカズラは生命力が強く、害虫や病気によって完全に枯れてしまうケースはほとんどありません。ただし誘引や植える場所にはいくつか大事なことがあります。
つるは支柱やフェンスで誘引する
ノウゼンカズラを植えたらその上に支柱やフェンスなどを立てて、誘引先を作りましょう。何も絡みつく先がないと地面を這って育ち外壁や基礎に張り付いてしまいます。伸びたつるが絡まってきたら、紐や針金などで固定すると良いでしょう。
誘引する際は枝が下向きに垂れるようにしてあげると、つぼみが下向きにつき花が開花しやすくなります。ノウゼンカズラは一度巻き付く先が決まると、再び別の支柱などに誘引することが出いません。そのため最初の誘引先が重要であることを記憶に留めておきましょう。
日が当たらないと花が咲かないため植える場所に気を付ける
ノウゼンカズラの花は日光があり、つぼみが下向きについていないと咲きません。そのため植える位置はしっかりと日が差すところにしましょう。また枝が垂れるように剪定すると花芽が下向きにつき多くの花が開花します。
咲き終えた花がらはすぐに摘む
咲き終えて萎れたノウゼンカズラの花がらは摘みましょう。放置していると見た目が悪いうえ、病気の原因にもなりえます。見つけたらどんどん取り除いていきましょう。
ノウゼンカズラの病気・害虫対策
ノウゼンカズラは基本的に害虫や病気の心配をする必要はありませんが、アブラムシなどが大量発生することがあります。
アブラムシは植物に寄生し栄養を吸い取り、生長を邪魔する害虫です。アブラムシがノウゼンカズラに住み着いていたら、園芸用の殺虫スプレーなどを使い駆除しましょう。
木酢液や黒酢などはアブラムシを駆除することはできませんが、寄せ付けないよう予防につなげることができるため、予防薬として大変便利です。
ノウゼンカズラの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
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見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
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