日本人に昔から親しまれている桜(サクラ)は、ソメイヨシノやシダレザクラ、ヤマザクラなど500種類以上もあります。


桜の種類によってはご家庭の庭でも育てやすいことから、庭植えで人気の品種です。
桜の美しさを楽しむためには適切な剪定が欠かせません。この記事では桜の剪定の時期やコツをご紹介します。
桜の剪定時期は11~12月
落葉樹である桜は、休眠期である11~12月にメインの剪定を行い、必要に応じて5月中旬~6月にも行います。
11~12月:樹形を整え、古い枝を取り除く
11~12月は、桜の木は葉を落として休眠期に入っており、剪定による桜の木へのダメージを比較的抑えることができます。花の咲きづらい長い枝や樹形を乱す枝を切ったり、古い枝を切り落として若い枝に更新したりする剪定は、11~12月に行いましょう。
5月中旬~6月:不要な枝を切る
春に花が咲き終わり、花芽を形成する前である5月中旬~6月は、混みあった枝や幹から直接生えている枝などの不要な枝を剪定します。
枝同士の重なりを改善することで木の内部の風通しや日当たりが良くなり、健康な花芽がたくさんつくことが期待できます。
桜の落葉後剪定の方法(11月~12月)
落葉した後に剪定する流れは以下の通りです。
①不要な枝を切る
まずは下がり枝や立ち枝などを中心に、不要な枝を切り取ります。
切り落とす枝の見分け方は以下の通りです。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は地際で切り取る
特に桜は病気になりやすい庭木です。丈夫に生長し続けるためには、枝の節々にあるブランチカラーを残しながら剪定する必要があります。
ブランチカラーとは枝のつけ根に丸くふくらんだ箇所で、菌の侵入を防ぐ役割を持っています。
②長枝を切る
枝分かれしている箇所から長枝を切り取ります。枝を伸ばしたい箇所は、枝元から4~6芽ほどを残して、外芽の上で切りましょう。
③古い太い枝をつけ根から切る
古い枝は定期的に切り落とすと新しい枝が生えて長く楽しめます。太い枝はつけ根から切り落としましょう。
④枝の切り口に癒合剤を塗る
特に桜は病気を防ぐため、癒合剤を塗るのがおすすめです。剪定後に枝の切り口に適量を塗りましょう。
桜の花後剪定の方法(5月中旬~6月)
桜の花後に剪定する流れは以下の通りです。
落葉後の剪定ほど力を入れる必要はありませんが、メンテナンスとして手を入れると長く綺麗なシルエットの桜を楽しめます。
①不要な枝を切る
日当たりを良くするために、徒長枝や枯れ枝を切り取ります。
②下枝を切る
胴吹きや下枝などの下部の枝もつけ根から切り取ります。このひと手間で養分や水分が奪われることなく、上部まで届くようになります。
桜の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
刈り込みバサミ
![]() |
刈り込みを行う際に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
桜を剪定するときの注意点
桜は剪定時期もそうですが、気を付けなければいけない注意点があります。
剪定の予定を立てる前に必ず確認してください。
誤った切り方で枯れてしまうことがある
桜は病気になりやすい庭木です。剪定の仕方によっては簡単に枯れてしまう場合もあるので注意が必要です。
誤った切り方の例
- 枝の付け根から数センチ残して切る
- ブランチカラー(枝の付け根のふくらみ)を切り落とす
冷え込む冬は特に枯れやすいので、剪定の際は気をつけて切り落としましょう。
品種によって剪定方法が違う
品種によって剪定方法が異なります。主要な品種の特性と剪定のポイントは下記の通りです。
ソメイヨシノ
日本で最も一般的な桜品種の一つです。
- 剪定時は樹形のバランスを重視する
- 内側に向かう枝や交差する枝を中心に除去
シダレザクラ
垂れ下がる枝が特徴的な品種で、独特の剪定が必要です。
- 枝の垂れ下がり具合を維持させる
- 垂れ下がる枝が地面につかないよう剪定する
- 樹勢を弱めない慎重な剪定が必要
- 全体的な樹形のシルエットを崩さない配慮をする
桜の日ごろのお手入れ方法
キレイな花を咲かせるためにも桜を植える土や、日々のお手入れは大切です。
植える前の土づくり
植えた後に土壌を変えるのは難しいので植える前に土をしっかり整えてあげましょう。
まず、植える場所は日当たりが良く、まわりに障害がない場所を選びましょう。
土は水はけが良く、適度に湿り気がある場所が良いです。
水捌けが悪い、地面が固い、養分が少ない場所は避けましょう。
日々の水やり
庭植えの場合、基本的に水やりは不要です。
ただし夏場の乾燥が続くとき(雨が降らないとき)は2週間に1回程度水やりをしてください。
水やりのタイミングは朝がおすすめです。
桜の病気・害虫対策
桜は病害虫に弱い植物です。
その中でもソメイヨシノは遺伝的な単一性から、病気や害虫に対して極めて弱い特性を持っています。
桜がかかりやすい病害虫は下記の通りです。
病気:てんぐ巣病
てんぐ巣病は、桜にとって最も厄介な病気の一つです。
この病気は、糸状菌によって引き起こされ、木の成長点に異常な枝の繁殖を引き起こします。
症状
- 枝先に異常に密集した小枝が形成される
- 「ほうきの束」のような特異的な形状になる
- 感染部分の葉は小さく変形することがある
- 感染が進むと、木全体の樹勢が著しく低下する
予防法
- 剪定ハサミなど剪定道具の消毒を徹底する
- 感染した枝は根元から完全に切除する
- 感染初期の早期発見が最も重要
害虫:モンクロシャチホコ
モンクロシャチホコの幼虫は、桜の葉を食い荒らす蛾の仲間です。
人間の体に害はありませんが、大量発生すると葉を完全に食べきり、表面を食い荒らして光合成を阻害することで、木の栄養吸収力を低下させます。
駆除対象ではないので、初期に発見することが一番大事なポイントです。
対策
- 7~8月の間に卵を植え付けるので念入りに葉の裏側をチェックする
- フェロモントラップを設置する
害虫:コスカシバの幼虫
コスカシバの幼虫は、桜の幹や枝の内部に穴を開け、木が栄養を巡回するのを邪魔します。
長い期間放置すると木の枯死につながる可能性があります。
対策
- 樹幹の定期的な目視点検を行う
- 穴や樹液の異常に注意する
- フェロモントラップを設置する
桜の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
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