日本人に昔から親しまれている桜(サクラ)は、ソメイヨシノやシダレザクラ、ヤマザクラなど500種類以上もあります。
桜の種類によってはご家庭の庭でも育てやすいことから、庭植えで人気の品種です。
桜の美しさを楽しむためには適切な剪定が欠かせません。この記事では桜の剪定の時期やコツをご紹介します。
桜の剪定時期は11~12月
桜の剪定は木が休眠期に入る11月から12月に行いましょう。
他の花木ですと花が咲き終わった後に剪定することが多いですが、桜は落葉後に剪定を行う必要があります。
理由は、桜の木は他の花木に比べて病気にかかりやすく腐りやすいためです。
春夏秋は病気や菌の活動が活発になり、剪定をすることによってダメージを広げる可能性が高いです。
また、冬が深まり寒さが厳しくなった時期も、病気に対する抵抗力が弱まってしまいます。
晩秋から初冬にかけて、落葉したころに剪定を行いましょう。
桜の剪定に必要な道具
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しておきましょう。
普通の軍手ですと剪定中にトゲやささくれが刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
剪定バサミは枝や植物の枝を切断するための専用ハサミです。
片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっているため、植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができます。
高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
剪定バサミでは切れないような枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背の高いロウバイを剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚が使われます。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
太い枝を剪定した後は、切り口の治りが遅く傷口から病気が入りやすくなっているので、癒合剤があると良いです。
癒合剤は清潔なハケ等で塗りましょう。
桜の剪定方法
桜の剪定で気を付けなければいけない点は、切るべき枝は、桜の栽培年数によって違うということです。植えてからの時期を3段階に分けて、それぞれで剪定のやり方を変えましょう。
1年目の場合
1年目の桜は切るべき不要な枝に目安をつけるところから始めます。
不要な枝の見極め方は下記画像を参考にしてください。
樹木全体の形を整えることを意識し、てっぺんの枝から剪定していきましょう。
切る枝は細い枝のみで、枝に対して切り口が直角90度の角度になるように切っていきます。
間違っても太い枝は切らないように注意してください。
剪定した枝は癒合剤を忘れずに塗りましょう。
2~5年目の桜の場合
この時期は樹形を作る剪定を行います。
不要な枝や交差する枝、内側に向かう枝を中心に剪定していきましょう。
ひこばえやふところ枝、からみ枝は根元から10cmほどのところを目安に切ることを意識してください。
また、景観を整えるために銅ぶき枝やさかさ枝も早めに切り落としてしまうのがおすすめです。
6年目以降の桜の場合
6年目以降の剪定は樹木を維持するために行います。
老枝の間引きや空気の通りを良くするための剪定をすることを意識しましょう。
太い枝を切りたい場合
太い枝はできるだけ切りたくないので、小さいときから樹形を整えておくことが大事です。
それでも切らないといけない場合、透かし剪定で切り落としましょう。
剪定後は、しっかりと癒合剤を塗るとを忘れないでくださいね。
桜を剪定するときの注意点
桜は剪定時期もそうですが、気を付けなければいけない注意点があります。
剪定の予定を立てる前に必ず確認してください。
花が咲いた後の剪定はしない
桜の剪定で絶対してはいけないのが花が咲いた後に行うことです。
桜の木は開花後、次年度の花芽を形成するための時期に入ります。
この時期に枝を切断すると、花芽の形成が阻害され、翌年の開花に悪影響を与える可能性が高いです。
また、桜の成長期である春・夏・秋は病害虫が増える時期でもあるため、ダメージを負う剪定はしないでください。
品種によって剪定方法が違う
品種によって剪定方法が異なります。主要な品種の特性と剪定のポイントは下記の通りです。
ソメイヨシノ
日本で最も一般的な桜品種の一つです。
- 剪定時は樹形のバランスを重視する
- 内側に向かう枝や交差する枝を中心に除去
シダレザクラ
垂れ下がる枝が特徴的な品種で、独特の剪定が必要です。
- 枝の垂れ下がり具合を維持させる
- 垂れ下がる枝が地面につかないよう剪定する
- 樹勢を弱めない慎重な剪定が必要
- 全体的な樹形のシルエットを崩さない配慮をする
桜のお手入れ方法
キレイな花を咲かせるためにも桜を植える土や、日々のお手入れは大切です。
植える前の土づくり
植えた後に土壌を変えるのは難しいので植える前に土をしっかり整えてあげましょう。
まず、植える場所は日当たりが良く、まわりに障害がない場所を選びましょう。
土は水はけが良く、適度に湿り気がある場所が良いです。
水捌けが悪い、地面が固い、養分が少ない場所は避けましょう。
日々の水やり
庭植えの場合、基本的に水やりは不要です。
ただし夏場の乾燥が続くとき(雨が降らないとき)は2週間に1回程度水やりをしてください。
水やりのタイミングは朝がおすすめです。
桜の病気・害虫対策
桜は病害虫に弱い植物です。
その中でもソメイヨシノは遺伝的な単一性から、病気や害虫に対して極めて弱い特性を持っています。
桜がかかりやすい病害虫は下記の通りです。
病気:てんぐ巣病
てんぐ巣病は、桜にとって最も厄介な病気の一つです。
この病気は、糸状菌によって引き起こされ、木の成長点に異常な枝の繁殖を引き起こします。
症状
- 枝先に異常に密集した小枝が形成される
- 「ほうきの束」のような特異的な形状になる
- 感染部分の葉は小さく変形することがある
- 感染が進むと、木全体の樹勢が著しく低下する
予防法
- 剪定ハサミなど剪定道具の消毒を徹底する
- 感染した枝は根元から完全に切除する
- 感染初期の早期発見が最も重要
害虫:モンクロシャチホコ
モンクロシャチホコの幼虫は、桜の葉を食い荒らす蛾の仲間です。
人間の体に害はありませんが、大量発生すると葉を完全に食べきり、表面を食い荒らして光合成を阻害することで、木の栄養吸収力を低下させます。
駆除対象ではないので、初期に発見することが一番大事なポイントです。
対策
- 7~8月の間に卵を植え付けるので念入りに葉の裏側をチェックする
- フェロモントラップを設置する
害虫:コスカシバの幼虫
コスカシバの幼虫は、桜の幹や枝の内部に穴を開け、木が栄養を巡回するのを邪魔します。
長い期間放置すると木の枯死につながる可能性があります。
対策
- 樹幹の定期的な目視点検を行う
- 穴や樹液の異常に注意する
- フェロモントラップを設置する
プロに桜の剪定を依頼する場合の費用相場
一般的に庭木の剪定をプロに依頼する場合、費用の算出方法は日当制と単価制の2つのパターンがあります。
庭木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
日当制の費用相場
日当制は作業員の人数と作業時間に基づいて請求される方式です。
- 費用相場:作業員1人につき1.5〜3万円/日
- 具体的な要因:
- 桜の木の本数
- 木の大きさ
- 剪定の難易度
- 作業の複雑さ
単価制の費用相場
単価制は、桜の木の本数や大きさによって価格が決定されます。
- 5m未満の低木・中木:1本あたり1〜1.5万円
- 生垣や植え込みの剪定:5㎡以内で1〜1.5万円
桜の剪定は特別な費用設定がある
桜の剪定は以下の条件で費用設定が変わる可能性があります。
- 樹齢
- 樹齢1年~30年の若木:一般的な庭木の相場と同じ
- 樹齢30年以上の老木:気が弱っている場合、丁寧な作業が必要なため高額になる可能性がある
- 品種
- ソメイヨシノ:一般的な庭木の相場と同じ:
- シダレザクラ:枝の形状により追加費用の可能性あり
- 木の健康状態
- 病気や害虫の有無
- 特殊な処置が必要な場合は追加費用がかかるケースもある
上記を踏まえたうえで、桜の剪定をプロに依頼した場合、
- 1本の桜(5m未満):1〜1.5万円
- 2〜3本の桜:2〜4万円
- 複雑な剪定が3要な場合:5万円以上
が目安になります。
剪定料金の相場などの詳細は下記の記事を参考にしてください。
桜の剪定に困ったらプロに依頼を
「初めて剪定するから不安」「桜に虫がついているけど剪定して大丈夫なのかわからない」「大きくなりすぎて一人では剪定できない」といった場合はプロに任せて剪定してもらうのがオススメです。
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