ボケ(木瓜)はバラ科のボケ属で中国原産の落葉樹です。
ボケは200種類以上あるとされており、早春から春にかけて赤や白、ピンクなど色とりどりのキレイな花を咲かせるので庭木としても人気があります。
ただし、ボケの成長を長く楽しむためには適切なタイミングで剪定をしなければなりません。
この記事では剪定の時期や方法について解説します。
ボケの剪定時期は4月下旬~6月と11~12月の年2回
ボケの剪定は「花が咲き終わった後の4月下旬~6月」と「落葉後の11~12月」の年2回行うのがベストです。
この時期以外の剪定はボケの樹勢を弱めてしまう可能性が高いので、行わないように注意してくださいね。
花が咲き終わった後の4月下旬~6月
年に1回しか剪定ができない場合は、この時期に剪定を行いましょう。
この時期の剪定には2つの目的があります。
1つ目は、咲き終わった後の花に養分を取られないために、花がらを摘み取ることです。
2つ目は、新芽の生長を促進するために、長い枝を短く切り詰めることです。短くした枝が再び伸びていく過程で、新芽が増えます。
また、このときにあわせて混み合っている不要な枝も取り除いておくとよいでしょう。
落葉後の10~12月
不要な枝が目立つ場合は落葉後にもこの時期も剪定するのがおすすめです。
この時期の剪定は、枯れた枝や樹形を乱している枝などを切りましょう。
日当たりと風通しを改善し、ボケの健康状態を良好に保って、翌年の開花に備えます。
ボケの剪定に必要な道具
ボケの剪定に必要な道具を紹介します。
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しましょう。
普通の軍手ですと剪定中に枝や葉が刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
ボケの枝や植物の枝を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
剪定ノコギリ
剪定バサミでは切れないような直径2cm以上の太さの枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背の高い樹木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
太い枝の剪定後の切り口に塗ることで病気や菌から守ることができます。
保護剤を塗ることを忘れると病気や菌が侵入し、多大なダメージを受ける可能性があるので、清潔なハケ等で塗りましょう。
ボケの剪定方法
ボケの剪定は花が咲き終わった後と落葉後で少し目的が違います。
花が咲き終わった後は切り詰め剪定
ボケの花が咲き終わったら、切り詰め剪定をしましょう。
この時期は、「花の処理」と「枝の剪定」が必要です。
花の処理
咲き終わった花を剪定バサミで取り除きます。
枝1本につき1~3個程度の花のみを残し、他は摘み取りましょう。
花の数が多すぎると木の栄養が分散し、全体的な樹勢が弱まってしまいます。
枝の剪定
花を取り除いた後は枝の剪定です。
花芽を2~3芽程度残しながら、長く伸びた枝を根元から3cm程度に短く切りましょう。
花芽は長い枝には付きにくいため、短く剪定することで新しい短い枝を伸ばし、次年度の花芽形成を促進してくれます。
その後、重なっている枝や内側に向いている枝など不要な枝を樹形を乱さないよう適切に整えてください。
剪定時のポイント
- 剪定バサミは常に清潔に保ち、鋭利な状態を維持する
- 枝は斜めに芽の外側に向けて切る
- 切り口は大きく開かないよう丁寧に行う
落葉後は透かし剪定
落葉後は透かし剪定を行い、ボケの健康と美しい開花のための準備をしましょう。
剪定で木の樹形を整え、次の春の花芽の成長を促進させます。
目的
- 枯れた枝や不要な枝を取り除きいて健康を維持する
- 樹形を整えて美しい樹木の姿を保つ
- 風通しを良くし、病気や害虫のリスクを減らす
- 次年度の花芽の成長を促進する
花芽のない枝の剪定
- 不要な枝を注意深く選別して取り除く
- 枝を1cm程度まで短く切り詰める
- 切り口は斜めに芽の外側に向けて整える
- 枝を切り詰めて風通しを良くする
つぼみのある枝の剪定
必ず、つぼみを残しながら行います。
- つぼみの位置や数を確認する
- 枝の根本から10cm程度まで切り詰める
剪定時のポイントは花が咲き終わった後の剪定と同じです。
ボケを剪定するときの注意点
ボケを剪定するときに注意しないといけない点は2つあります。
挿し木のボケの剪定は数年待つ
挿し木で増やしたボケは根が完全に定着し十分に成長するまでに時間がかかります。
最初の3~5年は木の基本的な樹形作りに集中させるため、最低限の間引き剪定だけにしましょう。
幹が十分に太くなり根が安定してきたら、徐々に整枝や剪定を始めてください。
実をつけたい場合でも適度に花がらを摘む
咲いた後の花は基本的に残さないでおきましょう。
花が終わった後、植物は種子生産に多くのエネルギーを使います。
花がらを摘むことで、そのエネルギーを根や枝の成長、次年度の花芽形成に振り向けることができます。
また、枯れた花を放置すると、カビや病気の温床になる可能性もあるので、残さない方が良いです。
実を楽しみたい場合でも、枝1本につき3つほどにとどめて、あとは摘んでしまいましょう。
ボケのお手入れ方法
健康的なボケの生長を楽しむためには適切なお手入れも必要です。
それぞれのポイントを確認してくださいね。
植え付け
ボケを植え付ける時期は9~11月がおすすめです。
日当たりの良い場所で、腐葉土や完熟堆肥などを混ぜてあげましょう。
水やり
植え付けから2ヶ月の間は土が乾いたら水やりをしてください。
根付いた後は自然の雨のみで大丈夫です。
ただし、乾燥に弱いので、夏場などの乾燥しやすい時期や雨が降らない日が続く場合は、水やりを行ってください。
水やりは涼しい時間帯(午前中か夕方)に行うのがおすすめです。
肥料
1~2月にかけて緩効性肥料を与えましょう。
この時期はボケの休眠期間なので、春先からの生長に向けてエネルギーを蓄えさせてあげましょう。
ボケの病気・害虫対策
ボケがかかりやすい病気やつきやすい害虫は下記です。
それぞれ注意してください。
病気:赤星病
赤星病は、ボケに最も多い糸状菌による病気で、新葉にオレンジ色の斑点が出るのが特徴です。
感染が進むと葉が黄変して、早期に落葉します。
枝や新芽にも赤褐色の斑点や膨らみが発生してきたらだいぶ進んだ状態です。
放っておくと樹木全体の枯死に繋がります。
対策
- 症状が出た枝や葉は速やかに除去する
- 適度な剪定で通気性を確保する
- 銅剤や硫黄剤などの予防的な薬剤散布を行う
害虫:根頭がん腫病
根頭がん腫病は、土壌中の細菌による深刻な感染症で、樹木の根元に致命的な影響を与えます。
根元に腫瘍(コブ)が形成され、樹皮の亀裂や肥大が症状として現れます。
放っておくと樹木全体の枯死に繋がりかねません。
予防と対策
- 健康な苗木を選び、感染リスクを最小限に抑える
- 排水の良い土壌環境を維持する
害虫:グンバイムシ
グンバイムシは小型の吸汁性害虫で、ボケの葉に被害を与えます。
対策
- 手で取り除くか、高圧水で洗い流す
- 必要に応じて有機系殺虫剤を使用する
害虫:アブラムシ
アブラムシは繁殖力が高く、葉や新芽に大きな被害を与える害虫です。
対策
- 石鹸水や植物性油剤で駆除する
- 化学的殺虫剤を使う(最終手段)
業者にボケの剪定を依頼する場合の費用相場
ボケの剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決まります。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
5m以上 | 16,000円~ |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
ボケの剪定に困ったらプロに依頼を
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