一年中美しい深緑の葉を生やし、秋には可愛らしい赤い実をつけるモッコク。「庭木の王様」と呼ばれ、江戸時代から日本人に親しまれてきました。手入れが簡単なモッコクですが、定期的な剪定が必要不可欠です。そこで今回は、モッコクの剪定時期や方法、注意事項を説明します。
モッコクの剪定時期
モッコクの剪定に最適な時期は、初夏と秋口です。具体的には6〜7月と、本格的に寒くなる前の11〜12月の年2回を目安に剪定するのが良いでしょう。葉が生い茂ると、十分に日差しが当たらず枯れてしまう原因となるため、定期的な剪定が必要です。
モッコクは小枝が密集する性質があります。剪定が必要に見えなくても、内側は葉が重なり合っていることが多いので、注意してください。
モッコクの剪定方法
年2回の剪定が必要なモッコクですが、剪定方法として「透かし剪定」がおすすめです。この剪定方法は「透かし剪定」と「三枚透かし剪定」が2つの方法があります。ここでは、剪定に必要な道具や「透かし剪定」「三枚透かし剪定」2種類の剪定方法について説明します。手順を参考に剪定し、モッコクを美しく仕上げましょう。
透かし剪定
モッコクの透かし剪定の手順を以下で解説します。
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不要な枝の見分け方は以下を参考にしてください。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
剪定した枝が木に引っかかっていると、モッコクが枯れてしまう原因となります。透かし剪定をおこなった後には、木を揺らして必ず全て落としましょう。
モッコクを綺麗に剪定するコツ
ちなみにモッコクの樹形をより綺麗な仕上がりにするには、以下のようなコツがあるので、ぜひ試してみてください。
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三枚透かし剪定
モッコクの透かし剪定には「三枚透かし」という方法があります。枝に生えている葉を三枚だけ残し、他の葉を全て除去する方法です。三枚だけ葉を残すことで、芽吹くスピードが遅くなります。
三枚透かしのメリットは木の成長を抑えられ、モッコクを小さくできること。緩やかな成長を見守りたい方や、今以上に成長して欲しくない方におすすめの方法です。
モッコクの剪定で注意すること
ここではモッコクの剪定を行う際の注意点について紹介します。害虫発生・病気のリスクや剪定をやり過ぎてしまった場合に、どのような影響があるのかについて説明します。剪定後のケア方法についても触れるので、モッコクを健康な状態でキープしたい方は参考にしてください。
剪定を怠ると害虫が発生する
モッコク剪定の注意点として、害虫が発生することが挙げられます。長期間剪定を怠ると、害虫が発生する可能性が高いです。害虫が発生すると、最悪の場合は木が枯れたり、駆除のために薬剤を使用しないといけなかったりと手間がかかります。
モッコクに発生する害虫の中で多い虫が「カイガラムシ」と「ハマキムシ」です。
カイガラムシ

カイガラムシは植物の葉や茎に発生し、植物の水分や糖分を餌にします。栄養を吸われてしまった植物は栄養不足となり、最悪の場合は枯れることも。カイガラムシが幼虫であれば、薬剤が有効です。しかし成虫には効果がありません。そのため手で除去する必要があります。
ハマキムシ

ハマキムシは、葉や芽を食害する害虫です。葉っぱを巻き、巻いた葉っぱの中に巣を作ります。手で除去するか、薬剤散布で駆除することが可能です。
どちらの害虫もモッコクに悪影響を及ぼしますので、定期的な剪定を欠かさないようにしましょう。発見したら早急に駆除することが大切です。
剪定を怠ると病気にかかる
モッコクは害虫だけでなく、病気の感染にも注意が必要です。剪定を怠ると、モッコクは「うどんこ病」にかかりやすくなります。うどんこ病にかかったモッコクの葉には、白カビが発生します。カビを放置すると、葉から葉へと広がっていき、周囲の植物にも感染するのがうどんこ病の特徴です。
うどんこ病を治すには、患部(カビが確認できる箇所)を取り除く必要があります。早めに対処をしないと、葉や皮を一枚ずつ取り除く必要があり大変です。白カビの感染が広がると、モッコクが枯れてしまう可能性も。病気の感染を防ぐために、定期的な剪定を行いましょう。
強剪定は避ける
モッコク剪定する際は、強剪定に注意しましょう。なぜなら成長が緩やかなモッコクは、樹形が変わるほど剪定すると、次の芽を出すまでに時間がかかり花芽がつかなくなるからです。花芽がつかないと、花が咲くことはありません。
そのため「刈り込み剪定」「強剪定」「切り詰め剪定」を行うのは避け、枝先を少しずつ剪定していきましょう。
剪定をしすぎない
モッコクは剪定のし過ぎに注意しましょう。なぜなら頻繁に剪定し過ぎると、枝先に栄養を送ろうとし、モッコクの成長が遅れる可能性があるからです。モッコクの剪定回数は、年に2回を目安に6月~7月と11月~12月に行うのがベストです。
3月は花芽を切り落としてしまう可能性があるので、モッコクの剪定に適した時期ではありません。花芽を切り落とすと、花が咲くシーズンにモッコクの綺麗な花を見ることができなくなります。適正な時期に、適正な頻度でお手入れをすることで、モッコクの綺麗な花を見ることができます。
剪定後のケアを欠かさずにしよう
モッコクの剪定後には、剪定した枝のケアをしましょう。木の健康を保つために、重要なことです。枝の切り口には、癒合剤を塗ります。癒合剤を使うことで以下のような効果が期待できます。
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枝に癒合剤を塗らないと、切り口から雨や雑菌が侵入し、枯れてしまう原因になることも。癒合剤はハケやヘラを使用して、簡単に塗ることができます。太い枝から優先的に癒合剤を塗りましょう。
モッコクの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
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枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
モッコクの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
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