ミモザは一般的にギンヨウアカシア、フサアカシアなどのアカシア属の総称であり、黄色い花を穂状につける庭木です。


ミモザの木の剪定に適した時期や、樹形を整える剪定のコツをお伝えします。
ミモザの剪定に適した時期
ミモザ(アカシア)の剪定は、花が咲き終わった後から花芽をつけるまでの4月上旬または5月中旬~6月上旬に行います。4月中旬から5月にかけては、植物が新芽の生長に集中する時期であり、剪定のダメージ回復にまわすエネルギーが足りないので、剪定を避けます。
7月ごろから翌年に開花する花芽が形成されるので、夏を過ぎたら剪定しないようにしましょう。花芽を切り落としてしまい、翌年の春に花が咲かなくなるおそれがあります。
またほとんどの種類が温暖なオーストラリア原産の常緑樹であり、寒さが苦手です。気温が下がっていく時期に剪定すると、枯れてしまうリスクもあります。
ミモザの基本的な剪定方法
ミモザの剪定は花後から花芽の形成前までに、以下の手順で行います。
花後に剪定し、夏以降は剪定を避けましょう。
①枯れた枝や不要な枝を根元から切り落とす
枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を剪定して取り除いておきましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
不要な枝を一通り切り落としたら、ミモザ全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。ミモザはその年に伸びた枝に翌年花芽をつけるので、新しい枝は残して古い枝を優先的に剪定しましょう。
具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら、ミモザの上から下に向かって切り進めましょう。
②芯止めをして高さを抑える
ミモザは植えてから数年で4~5mに達することもあり、放っておくと10mにも届く高木です。1.5~2m程度の高さから出た枝の上で、主幹を切り取って芯止めします。
地面にしっかり根が張ると急に生長スピードが速まるので、若木のうちから定期的に剪定をして、高さを保ちましょう。
③長い枝を切り戻す
長く伸びた枝は、つけ根から10~20cmの位置を目安に、葉がついている位置で切り戻しましょう。切った位置から枝分かれして新しい枝が伸び、こんもりと見栄えのよい樹形になります。
ミモザは強い剪定にも耐えられるので、適宜切り戻して枝分かれを促進させます。
芯止めや切り戻しをすると、枝が増えるのと同時に幹が太っていくので、ミモザの幹が細くひょろひょろしている場合は、適宜切り戻しを行いましょう。
庭木の剪定サービスの内容を見る
大きくなりすぎたミモザはどう剪定する?
ミモザが大きくなりすぎてしまった場合も、地面から1.5~2mあたりで主幹を切り戻します。
ただし、大きくなりすぎてしまったミモザの主幹を一気に剪定すると、木にストレスがかかります。また、かなり高い位置での作業が必要であり、慣れていない一般人が剪定するには事故のリスクが高く危険です。
無理に自分で剪定しようとせず、プロの庭師に依頼することをおすすめします。
ミモザを枯らさず剪定するためのポイント
ミモザは生長が旺盛な樹木ですが、剪定方法を間違えると花が咲かなくなったり、枯れてしまったりすることがあります。枯らさず花を咲かせるために、以下の3点に気を付けましょう。
夏を過ぎたら剪定しない
ミモザの木は夏を過ぎたら翌年春の開花が終わるまで剪定しないようにしましょう。
「ミモザ」と呼ばれるほとんどのアカシア類は、温暖なオーストラリア原産の常緑樹であり、寒さが苦手です。気温が下がっていく夏の終わりから秋に剪定すると、冬に枯れてしまうことがあります。
枯れなかったとしても、夏以降はすでに翌年咲かせる花芽をつけた状態です。花芽がついた枝を剪定で切り落とすことになり、花数が減ってしまいます。
太くなった枝を剪定しない
ミモザの太い枝は枯れこみやすいので、切り戻し剪定を避けましょう。
ただしミモザの枝は太くなるのが速いので、枝が出てから2~4年以内のまだ直径が細いうちに、不要な枝は切っておきます。
葉がない位置で切らない
ミモザはある程度切り戻し剪定を行って枝分かれをさせることがありますが、葉がついていない位置で強く切り戻すと、萌芽せずに枝が枯れてしまいます。
切り戻すときは葉がついている位置で切るようにしましょう。
ミモザの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
ミモザの育て方で気をつけること
移植ができない!
ミモザは根が浅く、根っこへのダメージに弱いので移植をすると枯れてしまうことがあります。
鉢植えの場合は植え替えができますが、地植えの場合は移植しない方がよいでしょう。そのため、庭に植えるときはよく場所を考えてから植えてくださいね。
強風に弱いので支柱が必要!
ミモザは根が浅い上に幹が細い植物です。気つけないと、風に煽られて折れてしまいます。それを防ぐためにも、若木のうちは支柱を立てて木を支えてあげましょう。
竹や細い丸太、針金、縄を使い、ミモザと地面を固定します。
支柱の立て方には八つ掛け、鳥居支柱、布掛け支柱などがあります。
水やりは必要最低限に
ミモザは乾燥気味を好みます。地植えの場合、根付いてからは特に水やりをしなくても元気に育ちます。真夏の高温乾燥が続く日にはたっぷり水をあげてください。
鉢植えの場合は、土が乾いて一日ほど経ったらたっぷりを水をあげましょう。
肥料は4~5月にあげよう
基本的に、ミモザに肥料を多く与える必要はありません。地植え・鉢植えどちらの場合にも、花が咲き終わる4~5月にリン酸やカリが多く窒素が少ない化成肥料をあげるとよいでしょう。ちなみに窒素が少ないものがよい理由は、ミモザが窒素を吸収する力を持っているからです。
挿し木をしておくと安心
挿し木とは、植物の株の一部を切り取って、それを別の場所で発根させて増やすことです。
ミモザは日本の夏にあまり強くなく、突然枯れてしまうことがあります。剪定の際に切った枝を挿し木にしておくと、万が一枯れてしまっても2代目を育てることができます。保険のようなものですね。
水揚げして下葉を取り除き、枝の部分を赤玉土に挿して、水やりしてあげましょう。
ミモザの栽培でよくあるトラブル
ミモザを育てていてよく起こるトラブルをあらかじめ知っておけば、事前に防いだり、すぐに適切に対処することができます。以下の3つを確認しておきましょう。
強風で傾いてしまった!
ミモザは幹が細いので、強い風が吹くと傾いてしまうことがあります。自分で傾き直しをするのが不安であれば、遠慮なく造園業者や植木屋に依頼した方が安心です。
ひとまずこれ以上傾かないように自分で応急措置をする場合には、次のような方法があります。
- 木の上部が重くなっていたら、軽く剪定する
- ロープでフェンスや柱とくくりつけておく
- 根が見ていたら、土をかぶせておく
- 仮の支柱をたてておく
ロ―プや、支柱に使える竹・丸太はホームセンターで入手することができます。
葉がたくさん落ちた!
鉢植えでミモザを育てている場合、根詰まりを起こしていることが考えられます。
根詰まりとは木が成長して、植木鉢の中が伸びた根っこでいっぱいになった状態を指します。
こうなるとうまく根から水分を吸収できずに乾燥してしまったり、根が腐ってしまったりして、葉をたくさん落とすことがあります。大きな鉢に植え替えてあげましょう。
花が咲かなかった!
花が咲かない原因は、剪定の時期が適切でなかったか、まだ花が咲く年数ではない場合が考えられます。
ミモザは、花が終わるとすぐに来年の花の芽ができ始めます。花の芽がついた枝を剪定で切り落としてしまうと、翌年に花が咲かなくなってしまうことがあるのです。
また、苗を植えてからすぐの場合には、まだ花をつけません。ミモザが開花するのは苗を植えてから1~3年後なので、もう少し気長に待ってみてくださいね。
虫がついてしまった!
ミモザの栽培で気をつけなければいけない害虫は、イセリヤカイガラムシです。白と茶色の見た目をしている小さな虫で、ミモザの葉の裏に寄生して樹液を吸います。カイガラムシの排泄物が葉につくと、ミモザは「すす病」という葉がカビで黒くなる病気に感染してしまいます。
カイガラムシは薬剤で駆除し、すす病に感染してしまった木は水で洗いながらティッシュや歯ブラシでこすりましょう。
ミモザ(アカシア)の基本情報
植物名 | ミモザ |
学名 | Acacia baileyana |
科/属 | マメ科 / アカシア属 |
原産地 | オーストラリア南部 |
開花時期 | 3~4月 |
分類 | 半落葉~常緑高木 |
「ミモザ」はマメ科アカシア属の総称
ミモザという名前は、黄色い花を咲かせるマメ科アカシア属の植物の総称です。
ミモザは本来マメ科オジギソウ属の学名ですが、一般的には混同されて使われています。
アカシアがミモザといわれる理由としては、見た目が似ていることが由来しています。ヨーロッパにアカシアが伝わった際に、ミモザに似ていることから「ミモザアカシア」と呼ばれたことが始まりとされているのです。
ミモザの花は芳香が高く、かわいらしい黄色の花を長く楽しむためにドライフラワーやリースとして飾るなど活用されます。また種類によっては香水の香りの原料にもなるのです。
花と葉の色のコントラストが美しく、庭木や公園樹、街路樹などとして人気があります。
一般的なミモザの種類はギンヨウアカシア
日本で「ミモザ」といえば、一般的にギンヨウアカシア(銀葉アカシア)のことを指します。
3〜4月が開花時期で、黄色いポンポンのような花をたくさんつけます。また成長が早く、2〜10m程度まで大きくなります。
常緑高木で「シルバーリーフ」と呼ばれる銀色がかった緑の葉も特徴です。
サイズが小さめな四季咲きミモザ
四季咲きミモザと呼ばれる「アカシア デアネイ」という種類は、他のミモザよりもコンパクトです。
地植えならば樹高は2.5~6mの常緑低木で、開花の時期も5~10月と長めなのが特徴です。
サイズの小ささと管理のしやすさから、ミモザの中でも栽培に人気の種類となっています。
ミモザの剪定は庭師に依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。庭に植えているミモザの場合、2~3mであることが多いので、1本あたり2,900~3,600円が目安です。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
「ミツモア」では、地域で活躍する植木屋・庭師をかんたんに見つけられます。
「依頼内容」「希望の日程」「作業場所」などの質問に答えると、最大5社から自動であなたにカスタマイズされた見積もりが届きます。
見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
自動の見積もりをもらうだけなら無料でできるので、自宅の庭木の剪定料金を確認してみてはいかがでしょうか?