ビタミンCなど健康によい成分がとれるレモンは、剪定方法が他の果樹とは異なります。
多くの実を収穫するためにも正しい剪定の手順を覚えていきましょう。豊富な実を付けるために大切なポイントや、レモンを剪定する方法を解説します。
レモンの木の剪定時期
レモンの木の剪定は3月中旬~4月上旬をメインに行います。その他の時期にも、軽い剪定や実を大きく育てるための摘果というお手入れをします。
レモンは常緑樹であり寒さには弱いので、冬の剪定は避けましょう。
3月中旬~4月上旬:樹高の調整や枝の更新をする
3月中旬~4月上旬にかけては、高さを抑えたり太い枝を切り落としたりする強剪定を行います。
レモンの木を育てて数年経つと、古くて太くなった枝には実がつかなくなってくるので、胴吹き枝を残して古い枝を切り落とし、枝を更新しましょう。
また、大きくなりすぎないように主幹を切り詰めます。あわせて、不要な枝を切り取る透かし剪定はこの時期にも行います。
5月中旬~6月:春に伸びた枝や不要枝を切る
5月中旬~6月にかけては、不要な枝を適宜切り落とすほか、春に伸びた枝のうち飛び出て長い枝を切り戻し、バランスを整えます。
7月・10月頃:摘果をする
レモンは四季咲き性の品種が主に出回っており、5~10月ごろにわたって花を咲かせ、6月~12月に実をつけます。しかし、夏から秋にかけてできた実は摘み取り、収穫するのは11~12月のみにしましょう。
たくさん実をつけたまま育てると、1つ1つの実が小さくなります。また、エネルギーを消費してレモンの木が消耗するので、翌年の実付きが悪くなります。
レモンの剪定方法【3年目まで】
レモンの剪定は植え付け年数によって目的が違ってきます。3年目までは樹形や樹高を整えるのが主な目的です。目指したい樹形と剪定の具体的な手順を押さえておきましょう。
横に広がる樹形が理想的
鉢植えは卵形・地植えは扇型が、レモンがよく実を付ける理想の樹形です。どちらも樹高を抑えて横に広がる樹形に仕上げます。主幹を短くして枝分かれする大きな枝も2〜3本に絞ることで、栄養が分散されにくい樹形に仕上がるのです。
植え付けた年は主幹の剪定をします。2年目で主枝と亜主枝以外から、不要なものを選んで切り落としましょう。3年目は交わる枝を切り落とすなどの細かい剪定をしていきます。
毎年樹齢に合わせて適切な剪定を施すと、理想の樹形に近づくでしょう。
具体的な剪定の手順
植え付けた年の剪定では主幹の高さを整えます。鉢植えでは鉢と同じ高さ、地植えでは苗木の2/3ほどが樹高の目安です。切り落とす部分に芽があっても、残った部分から発芽するため心配はいりません。
2年目の剪定ではメインにする主枝を選んで残し、樹形のベースを作ります。地植えであれば2本、鉢植えなら3本が残す枝の目安です。他の枝は根元から切ってしまって構いません。残す枝は先端から1/3ほどに切り詰めます。
3年目に切る枝はその年に実を付けた枝が中心です。レモンは実がなった翌年は同じ枝に実を付けません。他にも根元から生えた若芽(ひこばえ)や日当たりを悪くする枝は、根元から切り落としましょう。
レモンの剪定方法【3年目から】
生育3年目までの樹形を整える剪定が終わった後は、実付きのよい木に育てる剪定が主です。3年目以降の具体的な剪定方法を解説します。
実を付けにくい夏枝と秋枝を落とす
レモンは1年を通して実を付ける「四季なり」の性質を持っています。しかし冬と春の実はほとんどの場合大きくなりません。秋に大きな実を付ける「春枝」は残して、剪定する年の前年から生えている「夏枝」と「冬枝」を切り落とします。
大きく切り詰める強剪定は3〜4月に行いましょう。実を付けた枝や交わった枝などを軽く整える程度であれば、他の季節でも問題ありません。メインとする枝以外を小まめに整えておくと、樹形が整うだけでなく春枝に養分が行きやすくなります。
不要な枝を間引く
適した時期の強剪定も小まめに行う軽剪定でも、不要な枝を間引いていきます。間引き剪定で注意したいのが、「亜主枝(あしゅし)」を切り落としてはいけないという点です。
亜主枝はメインとなる「主枝」から分かれて生えている枝で、樹全体を支えています。栄養分を運ぶ役割を持っているため、切ってしまうと樹木全体が栄養不足に陥りかねません。
亜主枝からさらに分かれて生えてきた枝葉は、切ってもよい不要な枝です。下に向いていたり伸びすぎていたりする枝を中心に、樹形が整うように切っていきましょう。
トゲは取り除くのがおすすめ
レモンをはじめとした柑橘類の多くでは、枝に鋭いトゲが生えています。剪定や収穫の作業時にケガをする恐れがあるため、可能であれば取り除いておきましょう。特に子どもがいる家庭では誤って触る可能性があるので、取っておいた方が安全です。
トゲを取ってもレモンの実付きや成長には影響を与えません。柔らかいトゲは園芸用のハサミで切り取れます。硬くて切れない場合はノコギリを使います。トゲがなくなればケガだけでなく、レモンの実が枝に触れて傷付く心配もなくなるでしょう。
トゲの処理が面倒、子どもが触れるのは心配という人は、トゲがない品種を選ぶのも一つの手です。「ユーレカ」「ビラフランカ(ビアフランカ)」といった種類は枝にトゲがありません。
レモンの木のお手入れのコツ
害虫対策をしっかりと行う
レモンの木を健康的に育てるためには害虫への対策も大切です。レモンの木が被害を受けやすい害虫として以下の4種類が挙げられます。
- アオムシ
- アブラムシ
- カイガラムシ
- ハダニ
アオムシはアゲハチョウなどの幼虫で葉を主食としています。周辺の葉を食べ尽くしてレモンの生育を悪くするため、見つけたら駆除しましょう。アブラムシは新芽を食べてしまうだけでなく、排出物が細菌を引き寄せる原因になります。
風通しが悪くなると付きやすくなるのが、カイガラムシです。幹から栄養を吸い取ってしまいます。幼虫は薬剤で退治できますが、殺虫剤が効きにくい成虫はこすり落としましょう。ハダニは葉の裏に付き養分を吸い取ってしまいます。
どの病害虫もレモンの実付きに大きく影響するため、日頃から防虫対策をしっかり行う必要があります。
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