梅雨の時期になると美しい花を咲かせるアジサイ。ガーデニングでの人気も高く、古くより人々に愛されてきた植物です。


しかし、いざ育ててみると「花がうまく咲かない」「アジサイが大きくなりすぎてしまった」などの悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか?
- アジサイの花付きをよくしたい
- アジサイの樹形をきれいに整えたい
- アジサイ剪定の時期や方法を知りたい
この記事ではアジサイの正しい剪定時期や方法、剪定のポイントなどを徹底解説します。アジサイの剪定方法を知って、キレイな花をつけるアジサイを元気いっぱいに育てましょう。
アジサイの剪定時期は花後と冬の年2回
落葉樹であるアジサイは、花が咲いた後の剪定と、休眠期である冬の剪定を行います。花後剪定と冬剪定はそれぞれ目的が異なります。
6~7月:花がらを摘み、不要な枝を間引く
6~7月はアジサイの開花期にもあたります。この時期は咲き終わったアジサイの花を適宜取り除き、併せて増えすぎている枝を間引きましょう。咲き終わった花を残したままにすると株が弱ってしまいます。
開花後の花を摘んだり枝を軽く間引いたりすることで新芽がよく伸びるようになり、翌年の花芽がつきやすくなります。
12月~2月:アジサイの株のシルエットを整える
12月~2月はアジサイが休眠期に入っているため、比較的ダメージを抑えながら剪定できます。混みあっている枝や広がりすぎた枝を整理し、アジサイのシルエットを整えましょう。
ただし、この時期は枝の先端に翌年の花芽がついているため、必要以上に切りすぎないようにすることが大切です。
アジサイの花後剪定の方法
アジサイの花が咲き終わったら、次の花芽が作られる前に以下の手順で剪定をしてお手入れします。
早めに花がらを切り、不要な枝を取り除いておくことで、翌年の花つきを良くします。
①花がらを切る
アジサイの咲き終わった花を枝についたままにしておくと、下から新しい芽が伸びてきにくくなります。
翌年同じ枝に花芽をつけるために、花が終わったら2~3節下で切り、花がらを取り除きます。園芸用語では、葉が茎に付く部分を「節」といい、カットする場所は、花茎の2節下のところです。樹高が高い株であれば、3~4節下でカットしてもよいでしょう。
②不要な枝を根元から切り落とす
以下のような枝は樹形を乱したり、アジサイの健康や花付きに影響を与える可能性があるので、根元から切り落としましょう。
- 枯れた枝
- 他の枝と絡み合っている枝
- 上に勢いよく飛び出している枝
- 白っぽくなっている枝
その年に花が咲かなかった枝は、秋に花芽が形成されて翌年花が咲く可能性があるので、そのまま残しておきます。
③飛び出した枝や長さが気になる枝を切り戻す
樹冠から飛び出している枝があったり、樹高が大きくなりすぎたりしたときは、枝が分岐している部分で切り戻します。
葉がまったくついていない部分まで切り戻すと、光合成ができずに弱ってしまうので、枝元の葉を残すようにしましょう。
アジサイの冬剪定の方法
アジサイは葉を落としている冬には、以下の手順で剪定を行います。
冬は剪定によるダメージが比較的少ないので、太い枝を切ったり、強く切り戻したりする剪定はこの時期に行います。
①枯れた枝や不要な枝をつけ根から切る
枯れた枝や上に勢いよく伸びた徒長枝、全体の方向に逆らって生えている枝を見つけたら、つけ根から切り取ります。
この時期には、すでに翌年咲く花芽がついています。花後剪定でカットした部分のすぐ下の葉を見ると、葉の付け根に小さな花芽があるのを確認できるはずです。
花芽の位置を確認して、切り落としすぎないように注意しながら剪定を行いましょう。
②バランスを見ながら混み合った枝を間引く
不要な枝を一通り切り落としたら、木全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。
③横に出る枝を根元から切る
アジサイは株から枝が出て、どんどん横に広がっていきます。
スペースが限られた庭では、株の横の地際から生えてきた枝を切り取り、横に広がるのを防ぎましょう。
④古い株を更新する(3~4年に1回)
アジサイの株が古くなると、花付きが悪くなります。
古くなったり、株が大きくなりすぎたりしたときは、すべての枝を根元からバッサリと切り取って株を更新しましょう。
翌年は花が咲きませんが、株を新しくすることでそれ以降は形の良い大きな花がたくさんつくようになります。
アジサイ剪定の注意点
アジサイの剪定は「花芽」を切らないように気を付けなければなりません。花芽を落としてしまうと、花がまったく咲かない年も出てきます。またアジサイには毒が含まれている可能性があることも覚えておきましょう。
花芽を切り落とさないように注意しよう
剪定時に花芽を切り落とすと、翌年や翌々年の花が咲かなくなります。花芽を切り落とさないように慎重にハサミを入れましょう。
アジサイの花芽は「枝と葉の付け根」にできます。夏剪定の後、カットした部分の下の芽が伸び、新しい枝になります。
そのひとつ下の葉の付け根に「翌年の花芽」ができるため、下までバッサリと切らないように注意しなければなりません。
鉢植えのアジサイは剪定後に植え替えよう
鉢植えのアジサイは定期的な「植え替え」が必要です。生命力が旺盛なため、放置しておくとすぐに根詰まりを起こしてしまいます。
植え替えのタイミングは1~2年に1回、「花後の剪定の後」が基本です。夏の間に剪定と植え替えを行うことで、翌年の花を咲かせるエネルギーが温存できます。開花時期の植え替えは花にストレスがかかるので避けましょう。
一方、鉢植えのアジサイを地植えにする場合は「休眠期」が理想です。根を傷つけないように、作業は慎重に行いましょう。
アジサイの毒に気を付けよう
アジサイの葉・茎・花などには有毒成分が含まれており、口に入ると嘔吐・めまい・顔面紅潮などの「中毒症状」が出るおそれがあります。
成分はまだ明らかになっていませんが、一部のアジサイからは青酸配糖体の陽性反応が出ているようです。また、嘔吐性アルカロイドの「フェブリフギン」が含まれているという報告もあります。
アジサイの剪定で中毒になることはありませんが、アジサイの葉や花を利用する際はくれぐれも口に入らないように注意しましょう。
アジサイの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
アジサイを剪定するメリット
アジサイの剪定は次のようなメリットが期待できます。
- 翌年以降の花付きが良くなる
- 大きくなりすぎた樹形を小さくできる
「剪定」は樹木の不要な枝を切り落とす作業のことで、形を整えたり、風通しをよくしたりする目的があります。剪定を実施して、アジサイの健康的な成長を促しましょう。
翌年以降の花付きが良くなる
アジサイの剪定をすると、翌年以降の花付きが良くなります。
アジサイは秋になると枝の葉の付け根の部分に花芽を付けます。アジサイはその年に伸びた新しい枝には花芽を付けない習性があるため、花芽が付いているのは「前年伸びた枝」です。
つまり、その年に伸びた枝に花芽が付くのは「翌年の秋」、その花芽が開くのは「翌々年」ということになります。剪定によって、生育に必要なエネルギーが花を咲かせる枝にピンポイントに届くようになり、より大きく美しい花が咲くのです。
また、増えた細枝や枝をきれいに整理すると「風通し」がよくなり、株全体がリフレッシュされるというメリットもあります。
大きくなりすぎた樹形を小さくできる
アジサイの剪定を行えば、大きく育った樹形を小さくすることも可能です。
アジサイは生育が旺盛な植物のため、剪定をせずに放っておくとどんどん大きく生長していきます。花の位置が高くなり、鑑賞には適さない状態になってしまうでしょう。枝があちこちに伸びると、樹形が崩れていくのも避けられません。
「冬剪定」で枯れた枝や混み合っている枝を切り落として姿を整えるほか、大きくなりすぎた場合は株元近くでバッサリと切る「強剪定」も効果的です。翌年の花は咲かなくなってしまいますが、大きくなったアサガオのサイズ感を小さくて可愛らしい姿に戻すことができます。
アジサイの種類
アジサイは世界に数千種類もの品種があるといわれています。主に日本で流通しているのは「ホンアジサイ」という種類です。日本でよく見かける3つのアジサイの特徴を紹介します。
ホンアジサイ
「ホンアジサイ(本紫陽花)」は日本人がイメージする「典型的なアジサイ」です。
日本原種の「ガクアジサイ」を改良した園芸品種で、全体が手毬のように丸みを帯びているのが特徴です。ボリュームがあるため、華やかで見ごたえがあるでしょう。色は白・青・紫・赤色などで、土壌の成分によって色が変化します。
日本を原産国とし、ヨーロッパで品種改良されたものは「セイヨウアジサイ」と呼ばれています。
ガクアジサイとの違いは両性花がなく、装飾花のみで構成されている点です。種を取るのが難しく、通常は挿し木をして増やします。
カシワバアジサイ
「カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)」は、北アメリカ東部が原産です。葉っぱが柏の葉のように5~7に裂けていることから、「柏葉 (カシワバ)」と名付けられました。
色は「白」で、花は「ピラミッド形」または「円錐状」の独特の形状をしています。
通常のアジサイは土壌によって花の色が変わりますが、カシワバアジサイは基本的に色が変わりません。品種によって「八重咲き」と「一分咲き」があります。
株が大きくなりやすいため、鉢植えよりも地植えに適しているでしょう。
ガクアジサイ
「ガクアジサイ(額紫陽花)」は日本や中国、台湾、北アメリカが原産国です。日本では、愛知県・和歌山県・高知県・伊豆半島・房総半島などの海岸地帯に自生します。
両性花の周りに咲く装飾花が額縁のように見えることから「額紫陽花」という名が付けられました。
花びらのように見える部分は「萼」で、中央にある両性花の雄しべと雌しべが種子をつくります。ホンアジサイと同様に、土壌の成分によって花の色が変わるのが特徴です。
ガクアジサイは種からも増やせますが、家庭では苗から育てるのが一般的です。
色ごとに異なるアジサイの花言葉
アジサイの花言葉は色によって異なります。オーソドックスな青色のアジサイは「忍耐強い愛」、ピンク色は「元気な女性」、白は「寛容」です。花言葉に合わせた色のアジサイを贈るのもよいでしょう。
また、小さな花が寄り添って咲くことから、日本では「団らん」や「家族」の象徴ともされています。
一方で、「移り気」や「無常」といったマイナスの花言葉もあります。一部のアジサイは土壌の成分によって花の色が変化するのが特徴です。元の花の色はアントシアン由来の「ピンク色」ですが、土壌にアルミニウムが混じっていると青に変化します。
アジサイの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
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見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
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