柚子の果実をうまくつけるには、正しい時期に剪定や摘果を行い、適切な数量の果実に養分を行き渡らせるのがポイントです。
柚子の生育サイクルに基づく剪定に適した時期や、剪定方法をお伝えします。
柚子の剪定時期は3月中旬~4月上旬
柚子の剪定は収穫が終わり、翌年の花芽が形成されたあとの3月中旬~4月上旬に行います。
収穫直後に剪定すると、花芽のつく位置を確認できず、翌年実をつけるための花芽をたくさん切り落としてしまう可能性があります。
また、果樹の中でも落葉樹は冬に剪定を行いますが、柚子は常緑樹であり寒さに弱いので、真冬の剪定は避けましょう。日照時間の少ない冬に葉を減らしてしまうと、光合成で生成される養分の量が足りなくなり、柚子の木が弱ってしまいます。
柚子の本格的な剪定は樹齢4年目以降から
樹齢によって柚子の剪定目的は異なります。樹齢ごとの目的を意識しながら、柚子を剪定しましょう。
樹齢4年目ごろまでは枝の成長を優先
樹齢4年目ごろまでの柚子は、実を付けるよりも枝の成長を優先させます。無理な剪定はせずに、成長を妨げる枝を刈る程度にしましょう。
成長の妨げになる枝とは、具体的には「間隔の狭い枝」や「重なり合う枝」です。どちらも風通しや日当たりを悪くするため、剪定して枝を横に成長させましょう。
長く伸びた枝を中心にして、そこから分岐した枝を横に広げるように育てます。樹齢3年目までに3本、中心となる主枝(木幹から直接伸びた枝)を伸ばしましょう。
樹齢3~4年目になると、花や実を付ける枝もあります。放置すると花や実に栄養が行き、枝の成長を妨げてしまいます。花や実を摘み、枝に栄養が行きわたるようにしましょう。
樹齢5年目以降は実を重視
樹齢4年目までと打って変わって、樹齢5年目以降は「実を重視」しましょう。大きな実を付けるように、定期的に剪定して樹形を整えます。
樹齢5年目以降の剪定で取り除くのは、細くて実の付かない枝や、日陰になっている枝などです。
柚子は、上に向かって枝を伸ばす性質を持つため、樹木の高さを調節する「切り戻し剪定」をしてもよいでしょう。
樹齢5年目以降は実を重視するとはいえ、実の付け過ぎは樹木が弱る原因になります。「葉100枚につき実1つ」を目安に、実の数も調整しましょう。実の付け過ぎを防げば、残った実を大きく育てられます。
柚子の剪定方法
柚子の剪定目的や剪定時期を把握したところで、柚子の剪定方法を紹介します。柚子の剪定に必要な道具やポイントを押さえ、柚子の健康的な成長を促しましょう。
必要な道具
柚子の剪定に必要な道具は、以下の通りです。
- 剪定バサミ
- 剪定ノコギリ
- 脚立
植木バサミでは切れない太い枝の切り落としに、剪定バサミを使います。樹齢を重ねるとともに枝は太くなるため、剪定用のハサミを用意しましょう。
剪定バサミでも切れない太い枝は、剪定ノコギリで切り落とします。一般的な木工用ノコギリに比べ、大きく粗い歯が剪定ノコギリの特徴です。
剪定用の道具ではないものの、剪定で切り落とした枝による怪我を防ぐため、園芸用の革手袋や長袖で体を守りましょう。
不要な枝の見分け方
不要な枝は「間引き剪定」をしましょう。
間引き剪定で切り落とす枝は、下向き・内側に伸びていたり、ほかの枝に絡まったりする枝です。まっすぐ上に伸びた枝も、間引き剪定の対象になります。
不要な枝を放置すると、風通しや日当たりが悪くなり、枝や実の成長の妨げになります。収穫時の怪我や病害虫の発生の原因になったり、伸びた枝が実を傷つけたりする恐れもあるでしょう。
過剰な剪定は、実が付かなかったり樹形が崩れたりする原因になります。樹木全体のバランスを見ながら、慎重に間引き剪定していきましょう。
剪定する枝の量は、多くても樹木全体の2割が目安です。
柚子の樹形の仕立て方は「開心自然樹形」
「開心自然形」に樹形を整えるよう意識するのが、剪定のポイントです。
3本の主枝から、開心自然形は成り立ちます。中心に伸びる主枝1本と、両サイドに伸びる主枝が各1本です。サイドの主枝は横に広がるよう誘引しましょう。
亜主枝(主枝から分岐した枝)を各主枝に1本配置します。主枝と亜主枝、側枝(亜主枝から分岐した枝)のバランスを見て、全体が二等辺三角形になるのが理想です。
剪定後の切り口には、癒合剤を塗りましょう。癒合剤の目的は切り口の保護です。切り口から養分や水分が出ることや、雑菌や雨水の侵入を防ぎます。
剪定した枝の処分方法
剪定して柚子の木がすっきりしても、まだ切り落とした枝の処分が残っています。剪定前に枝の処分方法を確かめ、剪定後に困らないようにしましょう。
自治体の回収方法を確認しよう
剪定した枝を安く処分するには、自治体の回収方法を確認しましょう。
枝の長さや量に制限を設けている場合が多く、回収費用が有料の場合、費用は自治体によって異なります。2つの自治体の具体例を、確認しましょう。
東京都杉並区の場合、1回につき45Lの袋で3袋までは、無料で回収してもらえます。太さ10cm、長さ50cmを超える枝の場合、有料(1kgあたり40円)で粗大ごみとして回収可能です。
大阪府茨木市の場合、枝の太さに制限はありません。長さの制限は1m未満で、袋に入れるのではなく紐で縛ります。1回で回収できる上限は3束です。
参考:粗大ごみ/茨木市 |
トゲの付いた枝は怪我に注意
あまり知られていませんが、柚子の枝にはトゲがあります。怪我の恐れがあるため、トゲの付いた枝には注意しましょう。
柚子のトゲは約2cmと長めです。トゲの放置は収穫時の怪我につながるだけでなく、柚子の実を傷つける恐れもあります。
トゲは切っても再生しないため、気づいたら早めにトゲを切ると、安全に収穫・剪定可能です。
柚子を収穫したりトゲを切ったりするときは、園芸用の厚手の革手袋をしましょう。剪定時にトゲごと枝を切り落とした場合は、処分にも注意が必要です。
健康的な柚子を育てるためには、剪定が必要です。剪定の目的は樹齢によって異なります。樹齢に合った剪定をすれば、木が大きく育ち、実の付き方がよくなるでしょう。
自分で剪定するのが難しければ、業者に剪定依頼するのも手段のひとつです。樹齢や季節に適切な剪定方法で、柚子を大きく育てましょう。
剪定料金の目安
自分で剪定するのが難しいと感じる場合は、プロへの依頼もおすすめです。剪定費用の相場は、木の高さや依頼時期、職人の人数・技術などで異なります。
木の高さによる剪定費用の相場は、柚子の木1本あたり下記の通りです。
- 1~3m:1,000~5,000円
- 3~5m:5,000~10,000円
- 5~7m:10,000円以上
木の高さ以外では、職人への日当・時給が基準になる場合もあります。職人1人につき日当なら約2万円、時給なら約2,500円が相場です。
ほかにも剪定後のケアが別料金だったり、出張費用が発生したりする場合もあるため、見積もりを取りましょう。
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