キュウリは比較的育てやすく、実をたくさん収穫できるため、家庭菜園で育てるのに人気の野菜です。この記事では、キュウリを栽培する上で重要となる剪定を中心に、土づくりから収穫のポイントまで幅広く紹介します。
キュウリには剪定が必要?
適切な量の雌花をつけ、養分を集中させておいしい果実を作るためにも剪定は必要です。剪定をしないと、子づるや孫づるが伸び放題になって養分が分散したり、早いうちから実を大きくするのに体力を使ったりするので、その後の生育が悪くなることがあります。
キュウリの剪定はどうやって行う?
親づるは目線の高さくらいまで伸ばし続け、子づる、孫づるは葉を1~2枚残して雌花が1つずつつくように剪定をすると良いでしょう。詳しい剪定方法は記事内で解説しています。
【図解あり】キュウリの剪定方法
キュウリの収穫量を保ちながら育てるには、適切な剪定作業が必要です。生育スピードが速いため、つるの長さをコントロールしたり、葉を適宜取ったりと、こまめな剪定を行います。
成長に合わせたキュウリの剪定方法
キュウリは放置していてもそれなりには育ちますが、収穫量を伸ばすためには適切な整枝・摘心が必要です。摘心の仕方は、成長段階によって異なります。
~5節目(約30cm) |
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6~10節目(約50cm) |
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11節目(60cm以上)~ |
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上の図解のように、まず根を強く張らせるために、ある程度伸びてきたら5節目までの脇芽や雌花はすべて摘み取ってしまいましょう。せっかく出た芽ですが、その後の成長を促すために必要な工程です。
6~10節目までの子づるは、葉を1~2枚残してその先を切ります。子づるから伸びた孫づるも、1~2枚残して切りましょう。葉を全部取ってしまうと実がならなくなるので注意してください。
11節目より上は、子づるは2枚残して摘み取り、孫づるは基本的に放置で大丈夫です。伸びて混みあってきたら先端を適度に剪定して整理しましょう。
せっかく伸びたつるを摘み取ってしまい、実がなるチャンスを捨てるのは惜しいと思うかもしれません。しかし株を丈夫に育てておく方が、長い目で見るとキュウリを十分に楽しめます。
親づるは管理できる高さ(25~30節程度が目安)まで伸びたら先端を摘み取り、成長を止めましょう。上への成長を止めると、子づる、孫づるの発生も促進できます。
剪定の方法は以下の動画でもわかりやすく説明されています。
葉が生い茂ってきたらときどき間引く
風通しや採光の効率を上げるために、葉が茂ってきたら下の方の古くなった葉や大きめの葉を取り除いていきましょう。
特に老化して黄色くなったり、病害虫の被害が出たりしている葉を見つけたら、すぐに摘葉・下葉かきをしていくと良いです。
ただし根に近い部分の葉を取りすぎてしまうと、逆に株全体が弱まってしまうので注意しましょう。
間違えて親づるを切ってしまった場合の対処法
キュウリを剪定していて、間違えて親づるをバッサリ切ってしまうトラブルがあるかもしれません。
親づるを摘心してしまうと、その先また伸びることはありません。
ただし残った部分から子づるが伸びてきているなら、そのまま伸ばせば実がなって収穫することができます。
子づるの成長が止まってしまった場合は、残念ながら実の収穫は難しいでしょう。新たに育て直すしかありません。
キュウリは成長が速いので、6月頃であれば新たに苗を植え直して8月頃までに収穫することができます。
キュウリの特徴と収穫量を増やすコツ
キュウリの収穫量を適切にコントロールするために、まずはキュウリが植物としてどのような特徴を持っているのかを見ていきましょう。
生育スピードの速い植物
キュウリは生育スピードがかなり速く、種まきから収穫までが約70日で完了します。
キュウリは18cmほどの長さに成長したら収穫するのが一般的です。成長しすぎると味わいが落ちたり、硬すぎる食感になったり、みずみずしさが減ったりします。
育ち盛りの時期には1日で数センチも実が成長することがあるため、タイミングをしっかり見計って収穫するのが大切だといえるでしょう。
品種によって実がつく頻度が異なるので、あらかじめキュウリを収穫したい頻度や量を想定しておくと計画を立てやすくなります。
雌花が咲くタイミングによって収穫期間が変わる
キュウリの収穫時期は、雌花がどのように咲くかによって異なります。雌花が速いペースで咲くのが「節なり型」、遅いペースで咲くのが「飛びなり型」です。
節なり型
特徴 |
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こんな人におすすめ |
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飛びなり型
特徴 |
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こんな人におすすめ |
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適度な整枝が収穫量のカギ
キュウリはつるを伸ばしながら雌花を咲かせ、実をつけながら成長します。そのため実を多く収穫するためには、元気な親づるを適切に残していくことが重要です。
この作業を「整枝」といいます。親づるの生育を適切に促すため、つるが落ちてしまわずに上へ上へと自由に伸びていけるようネットを張りましょう。
子づるや孫づるは、親づるさえ誘導しておけばついてくるので気にしなくても大丈夫です。
キュウリを栽培する前の準備
キュウリを栽培する前に栽培時期・種まきのコツ・土作りのポイントなどの、育て方の基本を覚えておきましょう。
育てやすい植物なので厳重に注意しなければならない点はありませんが、適切な時期に適切な方法で育てると、美味しいキュウリを長く楽しめます。
キュウリ栽培のスケジュール

キュウリの栽培時期は、「春まき」「夏まき」「秋まき」の3種類から選べます。冬を除くほぼ全ての季節にまくことができるので、シーズンごとに植えておくと長い間キュウリを収穫することが可能です。
ただし、この収穫期間は地域の気温によって前後します。家庭菜園では主に春まきの品種が選ばれることが多いです。6〜9月に夏野菜としてキュウリを味わうことができます。
用意するもの
キュウリを栽培するときに準備するものは以下の6つです。
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キュウリの種
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鉢
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苦土石灰
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堆肥(たいひ)
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液体肥料
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支柱
育てる規模によって異なりますが、支柱を購入する際には、長さと頑丈さに注目しましょう。キュウリを鉢植えする場合は、150cm前後の長さがおすすめです。
種まきで苗を作る
家庭菜園の場合には、苗ポット購入からスタートするとよりスムーズです。しかしキュウリは、種からでも十分に育てることができます。
種をまいてから5日ほど経過すると、芽が出てきます。一番元気に育っている芽を残し、必要に応じて間引きしましょう。
発芽にはある程度温度が必要で、25〜30℃くらいが理想です。もし春まきタイプを種から育てたい場合には、簡易なビニール温室などを作って育てましょう。
土作りのポイント
キュウリを上手に育てるには、水はけをよくしながら、肥料を切らさないことがポイントです。成長が速いので、こまめな追肥も必要になります。
根を浅く広範囲に張りながら生育するため、乾燥しやすく過湿にも弱いという点にも注意しましょう。
栄養価を高めた状態で、適度な水はけを保ちながら水やりも欠かさないことが重要です。土作りには手間がかかりますが、収穫量に影響するのでここで手を抜かないようにします。
キュウリ栽培のコツ
せっかくキュウリを育てても、美味しくなかったり、枯らしたりしてしまっては努力が水の泡です。キュウリを元気に育てるには、これまでに紹介したポイント以外にも、いくつかのコツがあります。
植え付けは50~70cmほど離す
苗を植える際には、それぞれの間を50〜70cmほど距離を空けて植えましょう。間隔を開ける理由は2つあります。
- キュウリの苗同士が栄養を奪い合わないため
- 葉や枝が密集しすぎてしまわないため
最初のうちは「離れすぎなのでは」と思うかもしれませんが、成長するにしたがって十分な間隔が必要なことがわかります。
成長するに従ってつるがどんどん伸びてくるので、絡める場所として仮支柱を用意しておくことも大切なポイントです。放置していると、先端が傷んでしまいます。
栽培規模に合わせて支柱立て

支柱立てには2種類の方法があります。
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直立型
特徴 | 垂直に支柱を立てる |
こんな人におすすめ | 1列で小規模に育てたい人 |
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合掌型
特徴 | それぞれの列に立てた支柱を互いに傾け、三角形をつくる |
こんな人におすすめ | 2列以上で大量に育てたい人 |
支柱と一緒にキュウリネットを用意しておくと、つるが勝手にネットに巻きついていくので便利です。ネットがない場合には、親づるを誘引していかねばならないので、ひと手間かかってしまいます。
1列でネットを使う場合には、実がつくと徐々につるが重くなっていくのが難点です。育てる量が少なめでも、ネットを使うのであれば、2列の合掌型にしておくと安定性が高まるでしょう。
敷きワラマルチで根を守る
キュウリは本来、つるを上に伸ばすのではなく、地面をはいながら成長していく植物です。そのため支柱やネットへと無理に誘導すると、根が弱りやすくなります。
ワラを分厚く敷きすぎないように気をつけてください。浅く根を張るという特徴ゆえ、土の中ではなくてワラの中に根を張ってしまい、土から栄養分を吸収できなくなってしまうからです。
連作障害に気を付けよう
同じ場所に同じ植物を毎年植え続けると育ちにくくなる現象のことを「連作障害」といいます。
キュウリのようなウリ科の植物は、特に連作障害を起こしやすい傾向にあるので、注意しましょう。具体的には2〜3年ほどの間隔を空けながら育てると良いです。
しかし家庭菜園だとどうしても、スペースが限られているケースが大半でしょう。このように同じ場所に植えざるを得ない際は「接木苗」を使うと良いです。
接木苗とは「耐病性がある丈夫な他の植物の苗」と、キュウリの苗とをついだものを指します。
よく使われる苗 | カボチャ |
メリット | 収穫量が増える |
デメリット | 普通の苗に比べると割高 (3,000円前後) |
ホームセンターだけでなく、Amazonや楽天などネット通販でも手に入れられます。
キュウリの手入れと収穫
美味しいキュウリを収穫するには、収穫のタイミング・土壌の中の水分量・肥料の与え方が重要になります。それぞれのプロセスで、注意すべきポイントを押さえておきましょう。
土壌の水分が不足しないよう、こまめに水やり
キュウリの95%は水分です。そのため土壌の水分量が生育に大きな影響を及ぼします。
細かったり曲がったりしているキュウリがあれば、土壌の水分量が不足している証拠です。水を与える量や頻度を見直すと良いでしょう。
実の形からSOSのサインを判別できるため、収穫しながら実を観察すると早めに気付くことができます。
追肥のペースは2週間に1度
キュウリは成長スピードが速いので、肥料切れを起こしやすい性質があります。しかし一度にたくさんの量を与えると肥料焼けを起こすリスクがあるため、こまめに適量を与えましょう。
実がなり始めた時期に1度目の追肥をします。そのあとは収穫が続く限り2週間に1度くらいの頻度で追肥をすればOKです。
追肥の際には、成長のペースを見ながら株元から通路、畝(うね)など場所を変えるのも大切です。
収穫のタイミング
キュウリを収穫するタイミングの目安は3つあります。
その①:収穫の目安は、花をつけてからおよそ7日後
一番美味しくキュウリを食べられるタイミングは、花をつけてから7日後です。放置して肥大すると美味しくなくなるうえに、株が実の栄養を吸収してしまうので、早めに刈り取りましょう。
その②:最初につく実は、小さくても早めに収穫する
最初の実がなる段階では、まだ株が十分に育っていません。全体への負担が大きくならないよう、1番目の実は小さくても収穫するとよいです。
その③:収穫に適した実のサイズは18cm前後
生育が進んできたら目安18cm前後の大きさを収穫の目安にしておくと、食べごろのキュウリを楽しめます。
キュウリ栽培の注意点
キュウリの苗の様子がおかしい場合には、病気や害虫を疑いましょう。いずれも症状はわかりやすく形に出てくるので、育てながら日々こまめに異変を見逃さないことが大切です。
キュウリによくあるトラブルと対処法
キュウリによくあるトラブルは「空洞」や「奇形」「子づるが出ない」「枯れた」が挙げられます。
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空洞
原因 |
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対処法 |
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奇形(実の下部が膨らむ、全体が曲がる)
原因 |
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対処法 |
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子づるが出ない
原因 |
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対処法 |
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キュウリは、親づるに実る傾向があるため、子づるが出なくてもあまり心配する必要はありません。
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枯れた
原因 |
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対処法 |
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気を付けたい病害虫
キュウリがかかりやすい病気として、代表的なものに「うどん粉病」「べと病」が挙げられます。また、害虫では「ウリハムシ」に注意が必要です。
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うどん粉病
葉の表面に白い粉が吹いたような症状が観察されます。発病してしまったら、該当する葉を早めに刈り取りましょう。
放置しておくと全体に広がってしまうので、日々のお手入れの際に、葉をしっかりと観察してください。
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べと病
葉の裏面にすす状のカビが生える症状で、面には斑点が出ます。肥料切れが原因です。うどんこ病と同様、放置すると症状が広がるので、べと病にかかった葉は取りましょう。
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ウリハムシ
穴を開けて食べ尽くしてしまうので、見つけ次第駆除しましょう。特に夏になると大量発生しやすいので要注意です。
キュウリを栽培してみよう
キュウリは成長スピードがとても速い植物です。そのため育ってからあれもこれもと準備するのではなく、育てる前にある程度対策やコツを押さえておくと、失敗が少ないでしょう。
キュウリはつるを長く伸ばしながら実をつけていくので、上手に育てて美味しい実を収穫するには、剪定がとても重要になります。栄養分が効率よく行き渡るように、成長ペースに合わせて整枝・摘心を行いましょう。
美味しいキュウリを採り続けるためには、頻繁に収穫し、株に負担をかけないことも大切です。とにかく実がなるサイクルが短いので、日々こまめに観察し、問題があれば機を逃さないように対応していくのが、美味しいキュウリを楽しむ上でポイントになります。
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