椿(ツバキ)を長く楽しむ上で欠かせないのが剪定です。適切に刈り込むことで病気を防いだり、樹形を整えたりできます。
椿の剪定には時期や刈り込み方など、さまざまなポイントがあります。正しい知識を付けて剪定し、椿を美しく健康に保ちましょう。
椿の栽培に剪定は欠かせない
庭木や生垣として高い人気を誇る椿。
栽培に比較的手がかからないものの、椿の美しさを保つためには剪定が欠かせません。
剪定で椿の美しさと健康を保とう
椿を剪定するメリットは大きく分けてふたつあります。
- 通気性がよくなり、健康を保ちやすくなる
- 椿の樹形を美しく仕立てられる
ひとつ目のメリットは通気性がよくなり、健康を保ちやすくなることです。葉や枝が増えると通気性が悪くなり、チャドクガなどの虫が付いたり病気になったりと悪影響が出てしまいます。
ふたつ目は椿の外観を美しくできることです。枝や葉が伸び放題だと見た目が悪く樹形も崩れてしまうので、きれいに整えましょう。
また椿が大きくなりすぎると栄養が行き渡りにくくなり、花付きが悪くなります。椿の健康と美しさを保つためにも、正しく剪定しましょう。
剪定時期は花が咲き終わる4月~5月頃
![椿の花芽](https://meetsmore.imgix.net/wp/2021/04/pixta_3783814_M.jpg?auto=compress%2Cformat&fit=scale&h=397&ixlib=php-1.2.1&w=600&wpsize=large)
椿の剪定に適した時期は、花が咲き終わった4~5月頃です。咲いている花や、6月頃に付き始める花の芽(花芽)を切ってしまう心配がありません。
ただし地域によって剪定時期は異なります。花が咲き終わる時期に合わせて剪定しましょう。また花芽が付いた後に剪定したい場合は、花芽を切らないよう注意が必要です。花芽は丸くて膨らみがあるので、しっかり見極めながら刈り込みます。
葉になる芽(葉芽)は花芽と間違われがちですが、細く尖った形をしているのでよく見れば区別は可能です。
椿の剪定に必要な道具
椿を剪定する際は次の道具を用意しましょう。
- ビニール袋
- 新聞紙(またはビニールシート)
- 剪定ばさみ
- 剪定ノコ
- 殺菌剤
- 軍手
新聞紙やビニールシートは剪定後の後片付けをしやすくするために、あらかじめ椿の下に敷いておきます。
剪定の際はケガをしないよう軍手を着用し、長袖・長ズボンなど肌を覆える服装で行いましょう。軍手は耐久性があり、滑り止め効果のあるものだと剪定しやすくなります。
レインコートのように服の上から着込める上着を用意しておくと、より安心して作業を行えますよ。
椿を剪定する方法と注意点
椿の剪定方法と注意点を解説します。
椿の剪定をするときは、ポイントと手順を事前にしっかりと押さえておくことが大切です。2種類の剪定方法をマスターし、樹形をしっかりと整えていきましょう。
剪定前に完成イメージを明確にしておくのがポイント
剪定する前に、椿をどのような高さや形にしたいのかをイメージしておきましょう。
庭植えの場合も鉢植えの場合も、クリスマスツリーのような円錐形にするのがスタンダードです。大きさは剪定前の2/3~1/2程度がおすすめです。
剪定後のイメージをしないまま適当に切ってしまうと樹形が崩れ、切りすぎてしまう恐れがあります。切りすぎると枯れてしまう危険もあるため、十分な注意が必要です。
風通しをよくする「透かし剪定」
「透かし剪定」とは枝や葉が茂っている部分、伸びて密集している部分の枝を根元から切り落とす方法です。
葉や枝の密度を適正にすることで、日当たりや風通しがよくなります。通気をよくすると木が丈夫になり、病気にかかりにくくなるのがメリットです。
また表面を切りそろえるだけでは、中の枝や葉が枯れやすくなります。透かし剪定を行うことで、内側の枝や葉も元気に育つのです。
透かし剪定では太すぎる枝や長すぎる枝、不要な枝を切り取りましょう。極端に長い枝や太い枝があると栄養が集中してしまい、他の枝や葉の成長に影響を及ぼすためです。
形を整える「切り戻し剪定」
「切り戻し剪定」とは伸びすぎた枝や茎を切り取り、株を短くして樹形を整える方法です。切り戻し剪定を行うと花芽などに栄養を行き渡らせられ、風通しもよくなります。
芽や葉がついている場合は数mm上でカットします。椿は葉や芽がない枝を切ると枯れやすくなるため、注意が必要です。また切り戻し剪定では枝を大きくカットするので、木に負担がかかりやすくなります。
椿が最も弱っている夏に切り戻し剪定をすると、強い日差しから木を守れなくなるのです。夏は光合成を行い実りの秋に向けてエネルギーを蓄える必要があるため、切り戻し剪定を行う時期には注意しましょう。
難しければ業者への依頼も検討しよう
椿を剪定するポイントは「時期を守ること」「枝や葉を切りすぎないこと」です。間違った方法で剪定を行うと椿にダメージを与えてしまい、枯れる原因にもなります。
剪定時期の見極めや方法が難しいと感じる場合は、業者に依頼するのがおすすめです。自分で剪定を行うと時間もかかり、思った通りの形にならないなどのデメリットがあります。
椿の剪定は一見簡単に見えるかもしれませんが、微妙なさじ加減が必要な作業です。経験豊富な業者に依頼すれば、理想の樹形に整えてもらえるでしょう。
椿の剪定を業者に依頼する際はミツモアを使うのがおすすめです。樹高や本数などの簡単な質問に答えるだけで、最大5名のプロの剪定業者から無料で見積もりがもらえますよ。
剪定後の椿を健康に保つには
剪定を行った後は椿が弱りやすくなります。刈った後に気を付けるべきポイントを確認しましょう。
切り口に殺菌剤を付ける
剪定では当然ながら椿を切るため、木には傷が付きます。傷付いた木は弱りやすくなっており、切り口から菌が入れば大きなダメージを受けるでしょう。
刈ってすぐ切り口に殺菌剤を塗っておけば、病気にかかりにくくなります。特に太めの枝を剪定した場合、殺菌剤を塗り忘れないよう注意しましょう。
水やりと肥料の与え方に気を付ける
水やりなどの基本的な世話も、剪定後の椿を健康に保つために重要なポイントです。
椿を植えてから2年未満であれば、土の表面が乾いたら水をたっぷり与えましょう。
特に花が咲く時期は、花びらを咲かせるために多くの水を必要とします。夏は朝晩の2回、春や秋は2日に1回、冬は3日に1回が目安です。
2年以上経った株に水やりの必要はありません。雨が少なく、土の表面が乾く場合のみ水をあげます。
肥料の与え方
椿を庭植えにしている場合は2月に「有機質肥料」を、鉢植えの場合は3月に「化成肥料」を株の根元に与えましょう。花が咲いている場合は、花が咲き終わった後に肥料を与えます。
葉が黄色くなり成長スピードが遅い場合は、椿の成長を促進できる「生理的酸性肥料(硫酸アンモニウムなど)」を与えるのがおすすめです。
知っておきたい椿の基礎知識
椿の知っておきたい基礎知識を紹介します。
椿のことを深く知ってから剪定を実施すれば、これまで以上に愛着が湧くはずです。
椿の特徴や自生地
椿はツバキ科ツバキ属の常緑高木(じょうりょくこうぼく)で、光沢のある緑の葉が特徴です。「常緑高木」とは高さがあり、1年中緑の葉を付ける木を指します。
花の色は白色系から桃色系・紅系・黄色系までさまざまです。花びらの模様も多種多様で、咲き始めから散るまで変化に富んだ形へ変化します。
椿の種類や自生地
日本に自生する椿は「ヤブツバキ」「ユキツバキ」「サザンカ」「ヒメサザンカ」の4種類です。
ヤブツバキは九州から青森までの広い範囲に分布し、南部では密度が高くなっています。北部では海岸の暖かい地域にしか自生しません。
ユキツバキは滋賀県から北陸地方、東北地方の日本海側に自生しており、富山県・新潟県に多く自生しています。
サザンカは四国・九州から西表島などの海岸から、山地一帯に自生する椿です。ヒメサザンカは琉球列島の固有種で、奄美大島の山林地帯から沖縄本島・石垣島・西表島まで分布しています。
名前の由来と日本での歴史
椿の語源は諸説あります。葉に光沢のある様子を示す古語「ツバ」からきたという説や、「艶のある葉の木」を意味する「艶葉木(ツヤバギ)」が語源という説が代表的です。
強い葉から「ツヨハキ」・厚い葉から「厚葉木(アツバギ)」など、葉の強度が由来になっているともいわれています。
日本では古くから幹の硬さを活用し、器具や彫刻の材料として使われていました。種は灯火や化粧用の油に使用されており、重要な資源となっていたことがうかがえます。
椿はもともと花を楽しむ園芸植物ではなく、生活に活用する有用植物として重宝されていました。
育てる上で気を付けたい害虫と病気
椿を育てていると、病気や害虫の被害を受けることがあります。椿に被害をもたらすのは、主にどのような病害虫なのでしょうか?
毒針を持つチャドクガに注意
チャドクガは椿を好んで食べる害虫です。
幼虫は「毒針毛(どくしんもう)」と呼ばれる細くて軽い毛を持っています。幼虫に触れた場合だけでなく、近づいたり刺激したりすると毒針毛を飛ばす危険な虫です。
毒針毛が肌に刺さると、炎症を起こして広範囲に赤い発疹ができ、強烈な痒みが1~2週間続きます。
幼虫は葉の裏側に隠れていることがあるので、見つけたときは葉ごと切り落として捨てましょう。チャドクガを固める専用のスプレーを使うのがおすすめです。幼虫が成長して椿全体にいる場合は、薬剤を散布して駆除します。
万が一毒針毛が刺さった場合は粘着テープなどで取り除き、流水でよく洗い流します。洗った後は抗ヒスタミン薬を塗りましょう。症状がひどい・回復しない場合は皮膚科を受診する必要があります。
椿がかかりやすい病気
椿は次の3つの病気にかかりやすいです。
- すす病
- 花腐菌核病(はなぐされきんかくびょう)
- もち病
すす病は害虫の排出物が原因で、枝や葉にすすのような黒い模様ができる病気です。カイガラムシという害虫によってもたらされ、光合成の妨げになります。見つけたら傷んでいる部分を取り除き、害虫を駆除しましょう。
花腐菌核病は花びらに茶褐色の斑点ができ、腐敗して枯れてしまう病気です。進行すると花びらに黒い塊(菌核)ができ始めます。雨が原因で起こりやすいため、梅雨の時期は注意しましょう。水やりの際も花びらにはかからないようにします。
もち病はツバキ類に発生するカビが原因となり、雨が多く日当たりの悪い春から夏にかけて発生しやすい病気です。
若い葉が肉厚になり球状に膨れます。葉が日に当たると薄く赤みを帯びるのが特徴です。病気が進むと葉の表面が白いカビに覆われ、つぶれたように干からびます。
剪定のプロ探しはミツモアがおすすめ
椿は1年を通して光沢のある緑の葉を付けます。花びらも咲き始めから咲き終わりまで変化するため、観賞用として楽しめる植物です。
椿を長く育てるなら、剪定は必ず行いましょう。剪定によって病気にかかりにくくなり、見た目も保てます。ただし剪定は椿の負担になりやすいため、殺菌剤の使用など終わった後のケアも重要です。
個人での剪定が難しいと感じる場合は、業者に依頼しましょう。プロの技術できれいな樹形に整えてくれます。
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