椿(ツバキ)を長く楽しむ上で欠かせないのが剪定です。適切に刈り込むことで病気を防いだり、樹形を整えたりできます。


椿の剪定には時期や刈り込み方など、さまざまなポイントがあります。正しい知識を付けて剪定し、椿を美しく健康に保ちましょう。
椿の剪定時期は3月下旬~4月上旬と5月中旬~6月
常緑樹である椿の剪定に適した時期は、花が咲き終わった3月下旬~4月上旬と5月中旬~6月頃です。この時期に剪定を行えば、咲いている花や、7月頃に付き始める花芽を切ってしまう心配がありません。
内向きに生えた枝や徒長枝、混みあった枝などはつけ根から切り取ります。葉や枝を間引くことで通気性が良くなり、チャドクガなどの虫が付いたり病気になったりといったリスクを防ぐことができるでしょう。
また椿が大きくなりすぎると栄養が行き渡りにくくなり、花付きが悪くなります。5~6年に一度ほどであれば、つけ根の葉1~2枚を残して強剪定し、樹高を調整しても良いでしょう。
椿の剪定方法
椿の剪定をするときは、ポイントと手順を事前にしっかりと押さえておくことが大切です。
①花が咲いた枝を切り戻す
花芽は枝の先端につきます。花が咲いた枝の葉芽(タケノコのような形の芽)を2~3ほど残して外芽(横や下から出る芽)の上で切りましょう。
花が咲かなかった枝は、枝元から3~4つほど芽を残して外芽の上で切ってください。
②不要な枝をつけ根から切る
樹冠(樹木の上部、枝や葉の集まった部分)から飛び出した枝をつけ根から切ります。
切り落とす枝の見分け方は以下の通りです。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 徒長枝・立ち枝・ふところ枝・絡み枝・逆さ枝・下り枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
③枝の切り口に癒合剤を塗る
剪定では当然ながら椿を切るため、木には傷が付きます。傷付いた木は弱りやすくなっており、切り口から菌が入れば大きなダメージを受けるでしょう。
刈ってすぐ切り口に癒合剤を塗っておけば、病気にかかりにくくなります。特に太めの枝を剪定した場合、癒合剤を塗り忘れないよう注意しましょう。
椿の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
椿を剪定する方法と注意点
椿の剪定をするときは手順だけでなく、以下の注意点をしっかりと押さえておきましょう。
剪定前に完成イメージを明確にしておく
剪定する前に、椿をどのような高さや形にしたいのかをイメージしておきましょう。
庭植えの場合も鉢植えの場合も、クリスマスツリーのような円錐形にするのがスタンダードです。大きさは剪定前の2/3~1/2程度がおすすめです。
剪定後のイメージをしないまま適当に切ってしまうと樹形が崩れ、切りすぎてしまう恐れがあります。切りすぎると枯れてしまう危険もあるため、十分な注意が必要です。
切り戻し剪定は夏になる前に行う
椿の切り戻し剪定は時期に注意が必要です。椿の花後、速やかに作業しましょう。
なお、4月中旬から5月上旬の切り戻し剪定は避けてください。
強剪定を頻繁に行うのはNG
先述の通り、椿の強剪定は5~6年に1度程度で十分です。あまりにも頻繁に強剪定を繰り返すと成長に悪影響を及ぼしてしまうため慎重に行ってください。
水やりと肥料の与え方に気を付ける
椿を植えてから2年未満であれば、土の表面が乾いたら水をたっぷり与えましょう。
特に花が咲く時期は、花びらを咲かせるために多くの水を必要とします。夏は朝晩の2回、春や秋は2日に1回、冬は3日に1回が目安です。
2年以上経った株に水やりの必要はありません。雨が少なく、土の表面が乾く場合のみ水をあげます。
肥料は、椿を庭植えにしている場合は2月に**「有機質肥料」を、鉢植えの場合は3月に「化成肥料」**を株の根元に与えましょう。花が咲いている場合は、花が咲き終わった後に肥料を与えます。
葉が黄色くなり成長スピードが遅い場合は、椿の成長を促進できる「生理的酸性肥料(硫酸アンモニウムなど)」を与えるのがおすすめです。
椿に発生しやすい害虫と病気
椿を育てていると、害虫や病気の被害を受けることがあります。椿に被害をもたらすのは、主にどのような病害虫なのでしょうか?
害虫
椿にとっての天敵はチャドクガです。
チャドクガの幼虫は「毒針毛(どくしんもう)」と呼ばれる細くて軽い毛を持っています。幼虫に触れた場合だけでなく、近づいたり刺激したりすると毒針毛を飛ばす危険な虫です。
椿を好んで食するだけではなく、毒針毛が肌に刺さると、炎症を起こして広範囲に赤い発疹ができます。炎症による強烈な痒みは1~2週間続く点に注意が必要です。
幼虫は葉の裏側に隠れていることがあるので、見つけたときは葉ごと切り落として捨てましょう。チャドクガを固める専用のスプレーを使うのがおすすめです。幼虫が成長して椿全体にいる場合は、薬剤を散布して駆除します。
万が一毒針毛が刺さった場合は粘着テープなどで取り除き、流水でよく洗い流します。洗った後は抗ヒスタミン薬を塗りましょう。症状がひどい・回復しない場合は皮膚科を受診する必要があります。
病気
椿は次の3つの病気にかかりやすいです。
- すす病
- 花腐菌核病(はなぐされきんかくびょう)
- もち病
すす病は害虫の排出物が原因で、枝や葉にすすのような黒い模様ができる病気です。カイガラムシという害虫によってもたらされ、光合成の妨げになります。見つけたら傷んでいる部分を取り除き、害虫を駆除しましょう。
花腐菌核病は花びらに茶褐色の斑点ができ、腐敗して枯れてしまう病気です。進行すると花びらに黒い塊(菌核)ができ始めます。雨が原因で起こりやすいため、梅雨の時期は注意しましょう。水やりの際も花びらにはかからないようにします。
もち病はツバキ類に発生するカビが原因となり、雨が多く日当たりの悪い春から夏にかけて発生しやすい病気です。
若い葉が肉厚になり球状に膨れます。葉が日に当たると薄く赤みを帯びるのが特徴です。病気が進むと葉の表面が白いカビに覆われ、つぶれたように干からびます。
ツバキの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
個人での剪定が難しいと感じる場合は、業者に依頼しましょう。プロの技術できれいな樹形に整えてくれます。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
なお、地域のプロを探す際はミツモアの一括無料見積もりをご利用いただくと、手間なくご自身の希望通りの業者を見つけることが可能です。
ぜひミツモアを利用してみてはいかがでしょうか。