タラの木(タラノキ)は、日本や韓国、中国などの東アジアに自生するウコギ科の落葉低木です。
高さは3〜4メートルほどで、初夏に白い小さな花を咲かせ、新芽は「タラの芽」として食用になります。
収穫がメインの剪定になるため、しっかりと剪定時期と方法を守り、タラの芽を収穫しましょう。
タラの木の剪定時期は春4~5月
タラの木の剪定は4~5月に行います。
この時期になるとタラの新芽を収穫できるので、収穫と同時に、翌年の新芽の生長を促すための剪定も実施しましょう。
ただし、タラの木を植え付けた1年目は、収穫はせずに剪定のみを行います。
タラの木の剪定に必要な道具
タラの木の剪定に必要な道具は下記の通りです。
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しましょう。
普通の軍手ですと剪定中に枝や葉が刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
タラの木を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます。
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
定期的に研磨しておくのがおすすめです。
植木バサミ
普通のハサミと同じような形をしています。
刃先が細く、小回りが利くため、込み入ったところにも入りやすいです。
細かい枝や最後の仕上げに使用します。
剪定ノコギリ
剪定バサミでは切れないような直径2cm以上の太さの枝を切るのに使います。
通常の木工用ノコギリとは異なり、刃が引く方向にのみ鋭利に切れる一方向切断刃が特徴です。
脚立
脚立は背の高いタラの木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
癒合剤
太い枝の剪定後の切り口に塗ることで病気や菌から守ることができます。
保護剤を塗ることを忘れると病気や菌が侵入し、多大なダメージを受ける可能性があるので、清潔なハケ等で塗りましょう。
剪定で使う道具は、使用前後にアルコール消毒を行って清潔な状態で使いましょう。
タラの木の剪定方法
タラの木の剪定方法について紹介します。
1年目は切り戻し剪定で芽の生長を促す
1年目の剪定の目的は、今後の生長を促すための剪定になります。
この時期はタラの木の枝数が少なく、収穫がほとんどできないので、翌年以降の枝を増やすための剪定を行いましょう。
タラの木は植え付けてから1年で20~60cm程に成長します。
芽になる部分を4~5つ残し、高さ20cm程度に切り戻す剪定を行ってください。
ポイント
- 主幹から4〜5本の主枝を選び、他の枝は思い切って切り取る
- 各主枝は、樹木の中心から放射状に伸びるように配置する
- 切り戻しの長さは、20cm程度にする
- 芽の向きに注意し、外側に向いた芽を残す
2年目以降の剪定は収穫と共に行う
2年目以降は、タラの芽を収穫しながら剪定を行いましょう。
1本の幹から枝分かれをした場所に、新芽が育っているので、まずは、そこの一番芽(一番上の芽)を剪定バサミで収穫します。
二番芽、三番芽も収穫したい場合、2~4週間後に改めて収穫&剪定を行うと、育った状態で収穫できます。
その後、枝は15~20cm程度残して、切り落としましょう。
※3年目以降は、それぞれの枝に1〜2個の芽を残すように収穫&剪定するのがポイントです。
収穫と剪定を繰り返すと、枝の本数が増えてタラの芽がたくさん収穫できるようになります。毎年忘れずに行いましょう。
タラの木を剪定するときの注意点
タラの木を剪定するときの注意点をお伝えします。
トゲに注意する
タラの木は、鋭いトゲを持つ品種もあり、剪定時には十分な注意が必要です。
安全対策
- 厚手の手袋を着用をする
- 長袖の作業着を着用する
- トゲを避けながら慎重に作業する
- 小型の剪定バサミや枝切りハサミを使用する
大きくなりすぎた枝は付け根から切る
過度に成長した枝は、タラの木の健康と実の生産性に悪影響を与える可能性があります。
注意点
- 切断面は斜めに、樹皮を傷つけないよう注意する
- 大きな枝は一度に切らず、段階的に剪定する
- 切除後は癒合剤を塗布する
芽が柔らかいうちに剪定する
芽が柔らかいうちに剪定することで、タラの木への負担を軽減し、効果的な成長を促進できます。
剪定のタイミング
- 早春の芽吹き前後が最適
- 新芽が柔らかく、生長が活発な時期
- 樹液の流れが活発になる直前
- 気温が安定し、霜の危険が少ない時期
タラの木のお手入れ方法
タラの木は、芽と葉が食用や薬用として人気があります。
適切なお手入れをすることで、健康的で豊かな実を収穫できるのでしっかりポイントを守りましょう。
水やり
タラの木は適度な水分を好む樹木です。
過剰な水やりや乾燥は生育に悪影響を与える可能性があります。
植え付け初期
- 新植後は週に2〜3回、根元に十分な水を与える
- 土壌の表面が乾いたら水やりを行う
成木期
- 成長期(春〜夏)は週1〜2回の水やりを行う
- 1回の水やりは樹木の根元を十分に濡らす
- 朝や夕方の涼しい時間帯に水やりを行う
全体的な注意点
- 排水の良い土壌を確保する
- 根腐れを防ぐため、過剰な水やりを避ける
- 葉や枝に直接水をかけない
肥料
適切な肥料管理は、タラの木の健康的な成長と豊かな収穫に必要不可欠です。
有機肥料の種類
- 腐葉土
- 堆肥
- 鶏糞
- 魚粉
施肥のタイミング
- 早春(芽吹き前)
- 夏前(果実の生育期)
- 秋(越冬準備期)
施肥の方法
- 樹木の根元から50cm程度の範囲に均一に散布する
- 土と混ぜ合わせる
- 過剰な肥料は避け、適量を守る
植え付け
植え付けの時にポイントを守ってあげると、タラの木もしっかり育ちやすいです。
場所
- 日当たりの良い場所を選ぶ
- 風通しが良く、排水性の良い場所を選ぶ
- 他の樹木から適度な距離を保つ
土壌
- pH6.0〜6.5の微酸性土壌が理想
- 有機質に富む土壌
- 深さ60cm以上の耕起
植え付けの手順
- 早春に植え付けをする
- 苗木の根に傷をつけないよう注意する
- 植え穴は根が余裕を持って入る大きさにする
- 植え付け後は十分に水を与える
タラの芽をたくさん収穫する方法
タラの芽は、春の訪れを告げる山菜の代表格として、多くの日本人に愛されています。
そんなタラの芽をたくさん収穫するためには、いくつかのポイントがあります。
種子または苗の選択
- 健康な種子や苗を選ぶ
- 地域に適した品種を選ぶ
- 遺伝的多様性のある種苗を使用する
施肥のタイミングと方法
- 早春:窒素成分の多い有機肥料を与える
- 生育期:緩効性肥料を与える
- 秋:腐葉土や堆肥を与える
株の若返り
- 3〜4年ごとに株を分割する
- 元気な新芽を選んで移植する
収穫のタイミング
- 早春、芽が5〜10cm程度に成長したとき
- 柔らかく、鮮やかな緑色の芽を選ぶ
- 朝方の涼しい時間帯に収穫する
収穫方法
- 茎の基部から鋭利なハサミで切る
- 芽を傷つけないよう注意する
- 過度な収穫を避ける
タラの木の病気・害虫対策
タラの木は、さまざまな病気や害虫に注意しなければいけません。
タラの木の主要な病気と害虫について、その特徴、予防法、対策方法を紹介します。
病気:立ち枯れ病
立ち枯れ病は、土壌伝染性の真菌による感染症です。
樹木の根部から徐々に枯死させて、急速にタラの木全体が枯れる可能性があります。
症状
- 葉が小さく縮み、黄色くなる
- 枝や幹が枯れる
- タラの木の元気がなくなる
- 根元が腐る
予防策
- 排水の良い土壌環境を整備する
- 過度の湿気を避ける
- 健康的な土壌管理を行う
対策
- 感染初期の早期発見
- 症状が出た樹木や周辺の植物を処分する
- 殺菌剤を使用する
病気:ふくろみ病
ふくろみ病は、ウイルスまたは菌類による感染症です。
ふくろみ病にかかると、葉や果実の異常な成長を引き起こします。
症状
- 葉が以上にふくらんだり、変形する
- 果実の形がいびつになる
- 生育が遅れる
- タラの木の元気がなくなる
予防策
- 健康的な苗木を選択する
- 適切な栽培環境を維持する
- 定期的に樹木を点検する
- 感染源となる周辺植物を管理する
対策
- 感染した枝や葉を速やかに除去する
- 接ぎ木の際の衛生管理を徹底する
- 適切な剪定で通気性を確保する
病気:灰星病
灰星病は、湿潤な環境で急速に広がる真菌感染症です。
果実や葉に灰色のカビを形成し、収穫量と果実の品質に深刻な影響を与えます。
症状
- 果実表面に灰色のカビが現れる
- 葉が変色し、枯れる
- 果実が腐る
- 生育が遅れる
予防策
- 適切な通気性を確保する
- 過度の湿気を避ける
- 定期的な剪定で日光を確保する
- 樹木間の適切な間隔を保つ
対策
- 感染した果実や葉を即時除去する
- 殺菌剤を使用する
- 樹木の栄養状態を改善する
害虫:アブラムシ
アブラムシは、非常に小さな昆虫で、樹液を吸収し、樹木に深刻なダメージを与えます。
急速に繁殖するので早期発見が大事ですし、放置しておくとすす病の発生原因になります。
症状
- 葉が変形する
- 樹液が吸収され、樹勢が低下する
- 生育が遅れる
予防策
- 定期的に樹木を点検する
- 健康的な樹木を維持する
- 周辺環境の衛生管理を徹底する
対策
- 高圧水で物理的除去を行う
- 有機系殺虫剤を使用する
害虫:カイガラムシ
カイガラムシは、硬い外殻を持つ吸汁性害虫で、樹木の枝や幹に付着し、樹液を吸収して樹木に深刻な影響を与えます。
症状
- 樹液が吸収され、樹勢が低下する
- 枝や幹が枯れる
予防策
- 定期的に樹木を点検する
- 健康的な樹木環境を維持する
- 適切な剪定で通気性を確保する
対策
- 手作業で除去する
- 必要に応じて殺虫剤を使用する
業者にタラの木の剪定を依頼する場合の費用相場
タラの木の剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定します。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
---|---|
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
5m以上 | 16,000円~ |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
---|---|
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
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