甘酸っぱくておいしい果実として人気があるスモモは、剪定の仕方に気を付ければ初心者でも育てられるため、庭木として大変人気です。また美味しく育てるには剪定のほかにも摘果や病気対策も欠かせません。
本記事では剪定の時期や方法、美味しいスモモを育てるコツなどを紹介します。
スモモの剪定時期は12~2月
スモモの剪定は12~2月の休眠期に行うのがオススメです。実をつける前に伸びすぎた枝を切ることで栄養が分散しすぎるのを防ぎ、おいしいスモモができやすくなります。
また冬に剪定をすれば、葉がついておらず不要な枝の判別がしやすいうえ、枝がすぐ乾燥するため切り口からの感染予防にも繋がります。
夏に徒長枝の剪定を軽く行うこともありますが、基本的には冬季に定期的に剪定を行えば十分でしょう。
スモモの剪定に必要な道具
- 剪定用手袋
- 剪定バサミ
- 剪定ノコギリ
- 脚立
- 癒合剤
剪定用手袋
スモモを剪定する際は剪定用の手袋を着用することをオススメします。風通しを良くするために剪定を行うとき、奥まった木の枝を切る際にほかの枝が刺さることでケガをしてしまう可能性があるからです。また毛虫などの害虫もいるため、手袋など肌が露出しない状態にするのはやはり重要でしょう。
剪定バサミ
スモモのような細い枝を剪定するなら剪定ばさみが便利です。ペンチのような形をしており、切る際に握りこんで使う形状が多く、力が伝わりやすいように設計されているので、女性の方でも軽く握るだけで剪定できます。
握りの部分やサイズは多種多様にあるため、手の大きさに合わせて選ぶと良いでしょう。
剪定ノコギリ
剪定バサミでは切れないような太い枝を切って、樹形を整える際は剪定用ノコギリを使いましょう。ただし強剪定はスモモに大きな負担をかけるので、時期とやりすぎには注意が必要です。
剪定用のノコギリは角材を切るような大きいノコギリではなく、軽量で持ち運びがしやすいので、脚立に乗りながら太い枝を切るときにも役立ちます。また折り畳み式や電動式、ピストル式といった剪定ノコギリもあるので、自分にあったものを探すと良いでしょう。
脚立
スモモの木は大きくても3~4mほどです。そのため大きくなっても脚立を使えば、自分で手入れし続けることができます。
ただし、脚立を使った剪定は滑落の危険があります。使う前には月台には乗らないことや、ロックをしっかり確認するなど注意事項を見ておくことが大切です。慣れていない場合はプロに依頼して剪定してもらった方が安全でしょう。
癒合剤
スモモを剪定した際に切り口が大きいとそこから細菌が入り、モモが病気になってしまうことが良くあります。とくに切り戻し剪定など、スモモに負担がかかるような強い剪定をした際はダメージを軽減してくれる癒合剤を必ず塗りましょう。
スモモの剪定方法
スモモの剪定方法は透かし剪定と切り詰め剪定の2種類が主にあります。スモモは剪定の仕方次第で実のつけ方や味のクオリティが大きく左右されます。剪定をしすぎてしまうと剪定の負荷によって実がつかなかったりすることもあるので注意しましょう。
剪定する前に道具を必ず除菌してから使い、できるかぎりスモモが病気に感染しないよう準備することをオススメします。
不要な枝を取り除く透かし剪定のやり方
透かし剪定ではスモモの生育に邪魔になりそうな枝を取り除いていきます。不要な枝を取り除くことで、栄養を行きわたらせたり、風通しを良好にし害虫対策をしたりすることができます。例えば上方向に勢いよく伸びた徒長枝や交差枝、ひこばえなど剪定の際に優先して切り落としていきましょう。他には以下のような枝があった場合は切り落とします。
①腹切枝 | 幹と交差する太い枝。 |
②交差枝 | 他の枝と交差してしまっている枝。 |
③平行枝 | 複数の枝が平行に伸びてしまっているもの。 |
④車枝 | 枝の一部から多数の枝が出ているもの。 |
⑤懐(ふところ)枝 | 幹付近から伸びた弱々しい枝。害虫の温床になりやすい。 |
⑥ヤゴ・ひこばえ | 樹木の根元から生えてくる枝。 |
⑦下がり枝 | |
⑧からみ枝 | 枝が絡み合ってしまっているもの。 |
⑨徒長(とちょう)枝 | 真上に伸びすぎてしまった枝。雨風で折れやすい。害虫の温床にもなりやすい。 |
⑩かんぬき枝 | 主幹を挟んで左右対称に生えている枝。樹形のバランスを考え、どちらか一つを剪定する。 |
⑪逆さ枝 | 幹に向かって生えているもの。 |
幹から放射状に広がるようにバランスよく剪定することも大切です。ときどき遠くから眺めてバランスを伺いながら剪定をしていきましょう。
長く伸びた枝を切り詰める剪定のやり方
長く伸びすぎた枝は1/4~1/6ほど先端を切り詰めましょう。生長の勢いを保つため元気が良ければ1/6ほど、弱っていれば1/4切るなど枝の状態に合わせて剪定します。
切り詰める位置によって枝が生長していく方向が変わっていくため、外側にバランスよく伸びていくよう芽の方向を気にしながら切り詰めましょう。
スモモを剪定するときの注意点
スモモの剪定で特に気を付ける点は剪定のし過ぎです。スモモを育てる醍醐味は果実の収穫ですが、太い枝を多く切ったり、頻繁に剪定をしてしまうと樹木が疲労し実つきが悪くなってしまいます。
強剪定はスモモの収穫量が減る可能性がある
スモモは生長がとても早いわけではなく、樹高も最大で4m程度と強剪定が必要になる状況はそこまで多くありません。ただし、害虫による病気や隣人の土地まで枝が伸びてしまったといった場合は強い剪定をする必要があります。
強い剪定をした翌年は収穫量が減ってしまうことを認識しておきましょう。なるべく負担をかけないように剪定したい場合はプロに頼んでみるのもオススメです。
剪定後は断面に癒合剤を使い雑菌から守る
スモモは剪定後の枝の切り口から雑菌が侵入して病気になってしまうことがあります。そのため剪定後は断面に癒合剤を塗り、枝のダメージ回復とともに病気対策もしましょう。
病気になると奇形の実ができたり、実が小さいままであったりとせっかくのスモモが楽しめなくなってしまうので、癒合剤の準備は重要です。
スモモのお手入れ方法
スモモのお手入れはそこまで大変ではないですが、大きくておいしいスモモを収穫するにはいくつかコツがあるため紹介します。
受粉に失敗した実は摘みとって取り除く
受粉できずそのまま萎れてしまった実はなるべく早く摘み取りましょう。受粉の成功の可否の見分け方は簡単で、成功していると大豆ほどの大きさに実が膨らんでいて、失敗していると黄色くて小さいままで残っています。
失敗していても枝についている限り、ある程度栄養を奪ってしまいます。判別ができる段階で取り除くことで、成功した実がより多く生長できるよう助けることが可能です、
摘蕾と摘果で果実をよりおいしくする
摘蕾と摘果とは果実がたくさんなったとき、病気や元気がない、あるいは密集しすぎている状態のつぼみや果実を取り除く行為です。摘蕾と摘果をすることによって良質な実に栄養が集まり、大きくて美味しい実ができやすくなります。
多くの実ができていたら、どうしてもすべて育てたくなってしまいますが、ここは心を鬼にして摘果の作業を進めましょう。品種にもよりますが基本的には5~10cm間隔に実が1つという状態がベストです。
5月頃には袋かけをして害虫や裂果を防ぐ
スモモの収穫は6~9月頃に行います。せっかく育てた選りすぐりのスモモが害虫や裂果によって台無しにならないよう5月頃には袋かけをして実を守りましょう。
袋かけをすることで害虫が実を食べてしまう可能性を大幅に下げることができます。また裂果は過湿や過密着によって起こります。袋かけをすることで雨などを防ぎ、裂果の可能性を減らすことが可能です。
開花前の時期に肥料を与える
肥料は11~12月の開花前の時期に肥料を与えましょう。5~6月など実がすでに成熟期に入っているときに肥料を与えたくなりますが、逆に果実が熟さなくなったり、生理落果を引き起こしたりするため、実がついているときに肥料を与えることは控えましょう。
また収穫後に肥料を与えることは問題ないですが、なんらかの理由で実ができなかった年にあたえると生育の勢いが強すぎて、結実しないことがあるため注意してください。
スモモの病気・害虫対策
スモモは害虫や病気に比較的遭いやすい樹木です。しっかりと対応していけば初心者でも問題なく育てられるのであらかじめ対策を知っておくことが非常に重要でしょう。
シンクイムシは摘果することで防げる
摘果をあまりせず、実同士がくっついたままの状態でで成熟させると、実と実の隙間にシンクイムシなどの幼虫が入り込み食害を起こします。
摘果する際はもったいなく感じますが、5~10cm間隔に実が並ぶよう心がけて摘果を行いましょう。
梅雨の時期は灰星病に気を付ける
梅雨などの湿度が高い時期は果実にカビが生える灰星病に注意しましょう。発症したら早い段階で実を取り除くことが大切です。
対策としては農協や園芸店でEBI系の殺菌剤を購入したいと申し出れば、灰星病に効く殺菌剤が購入できます。名称が分からなければスモモに灰褐色のカビができたと伝えれば理解してもらえるはずです。
ふくろみ病は石灰硫黄合剤で対策できる
ふくろみ病は糸状菌や子のう菌類が幼果が奇形になってしまう病気です。トウガラシやアケビのように長細く奇妙な形になるので判別はすぐにしやすいでしょう。見つけ次第、被害を受けた果実を摘み取り破棄しましょう。地面にそのまま捨てて放置していると伝線源になりうるので焼却するののが好ましいです。
対策としては冬季に「石灰硫黄合剤」か「パルノックスフロアブル」という殺菌剤を撒いておくとふくろみ病にかかるリスクを大幅に減らすことができます。
黒斑病や胴枯病は見かけ次第取り除く
スモモは実だけでなく樹木が病気になってしまうことも多々あります。例えば黒斑病や胴枯病などは害虫や切り戻し剪定時の切り口などから病原菌が侵入することで感染します。
黒斑病は葉に黒い斑点ができ、病が進むと最悪木が枯れ落ちてしまいます。黒い斑点が発症している葉があればすぐに取り除き、防除薬剤を散布することで治療することが可能です。
傷口部分が赤や黒褐色に変色し、隆起物が多数出てく来ている場合、胴枯病と判断できます。傷口を癒合剤や墨汁等で防ぎこれ以上、病原菌が侵入しないようにしましょう。
業者にスモモの剪定を依頼する場合の費用相場
剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は2パターンあります。
日当制の場合は職人の単価×日数で金額が計算されます。日当制の相場は1日あたり1万5000~2万円です。職人のレベルや経験によって単価は大きく異なるのでチェックしておきましょう。
単価制の場合1本あたりの木の大きさで料金が変わります。たとえば高さ3m以下なら1,000~5,000円、4~7mであれば8,000~2万円が相場です。
高さ | 費用相場 |
---|---|
3m以下 | 1,000~5,000円 |
4~7m | 8,000~2万円 |
また剪定を依頼する際は果樹の剪定経験が豊富なプロなどに依頼すると良いでしょう。また見積もりはミツモアなどを使って、複数業者からもらい、サービスや費用を見比べながら決めるのがオススメです。
スモモの剪定に困ったらプロに依頼を
「スモモの剪定に自信がない」「強剪定にならない程度に樹形を整えたい」といった方はプロに依頼して剪定をしてもらうのがオススメです。依頼者は労力と時間の節約になるうえ、スモモに大きな負荷を与えてしまう心配も少ないでしょう。
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