シマトネリコは庭木としてよく植えられている常緑高木です。6〜7月頃に小さく白い花を咲かせ、涼しげな見た目をしているのでシンボルツリーとして人気です。
一方で生長が速くすぐに生い茂るため、お手入れが大変と感じる方も多いようです。この記事では、シマトネリコを自分で剪定するときの適切な時期や方法をお伝えします。
- 1年に約50~60cm伸びるので、少なくとも年1回ペースで剪定する
- 3~4月に強剪定、5~10月頃に軽い剪定を行う
- 涼しげなシルエットを保つには、思い切って枝を多めに間引く
シマトネリコの剪定に適した時期
シマトネリコは3~4月または5~10月ごろに剪定する
シマトネリコは真冬と真夏以外なら基本的にいつでも剪定することができます。ベストな時期は、冬が終わり夏に向けて木が成長する3月終わり頃から4月くらいまでです。
またシマトネリコは寒さに弱いので、冬に剪定をしてしまうと切ったときのダメージで木が枯れてしまう危険性があります。そのため冬の剪定は控えた方がよいでしょう。
季節ごとの剪定のポイント
シマトネリコは剪定する時期によって効果や注意するポイントが変わってきます。
- 春(3~4月)の剪定
春はシマトネリコの新芽が生長していく時期です。この時期に切り戻し剪定を行うとより枝を伸ばし、木を大きくすることができます。切り戻し剪定の方法は後ほど紹介します。
- 初夏(5~6月)の剪定
初夏は新芽も生長し安定している時期なので、剪定によって枝の太さや長さをそろえることができます。
しかし6〜7月はシマトネリコが花をつける時期です。この時期に剪定をすると花芽まで一緒に摘まれてしまい、花がつかなくなるといったケースが考えられます。花を鑑賞したいならば、6~7月に剪定するのはやめましょう。
- 秋(9~10月)の剪定
シマトネリコは寒さに弱いので、冬が近いこの時期は不要な枝を切り落とすだけの剪定を行います。木に負担をかけないように枝を深く切ってしまう剪定は避けましょう。
シマトネリコの剪定に必要な道具
シマトネリコは生長が早く、1年に50~60cmほど伸びるといわれています。そのため定期的に手入れをしないと葉や枝が生い茂り、見た目も悪くなってしまうでしょう。
剪定をすることで見た目を整え、風通しや日当たりを良くしてシマトネリコが良く育つ環境を作りましょう。
剪定の目的によって剪定の方法や最適な時期も異なります。
各剪定の方法は後ほど詳しく解説します。
剪定をするのに必要な道具
剪定をするため必要な道具は以下の通りです。
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剪定時にはよく切れる剪定専用のハサミやノコギリを使いましょう。また枝の切り口から雑菌が侵入するのを防ぐためにも道具は清潔に保つことが大切です。
シマトネリコの剪定手順
シマトネリコは「透かし剪定」で枝の数を、「芯止め」で高さをコントロールすることでお手入れをします。
①不要な枝を中心に間引く「透かし剪定」をする
まずは枝の数を減らす「透かし剪定」を行いましょう。見た目を整えるのはもちろん、風通しや日当たりを良くして、木を健康に育てる目的もあります。
不要な枝の見分け方はいくつかあります。以下のような枝は切り取りましょう。
- 枝が古く、枯れてしまっている枝
- 向きが内側や下になっている枝
- 幹から直に生えている枝
- 成長の勢いがよすぎる枝
剪定するときのポイントは、不要な枝の根元から切ることです。枝の途中で切り戻してしまうと、そこから細かい枝が生えて樹形を乱すうえに、要らない枝に余計な栄養を使ってしまいます。
不要な枝を取り除いたら、全体のバランスを見ながら間引いて枝の数を減らしていきましょう。
ずっと近くで見ているとバランスが捉えづらいので、作業中にときどき遠くからシマトネリコの全体像を確認しながら剪定するのがおすすめです。特定の箇所だけ切りすぎることを防げます。
②主幹を切り戻して「芯止め」をする
シマトネリコの高さを抑えたいときには「芯止め」という剪定を行います。
真夏と真冬以外ならいつでも行うことができますが、シマトネリコは寒さに弱いので秋や冬は枝を切りすぎないようにしましょう。
剪定時には次のような枝を切り取りましょう。
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これらの枝は他の枝よりも生長のスピードが早いので、切り取ってしまうことで高さを抑えることができます。
「何メートルにしなければいけない」などの制限はありませんが、あまり高すぎてもメンテナンスが大変ですし、逆に低すぎてもシマトネリコらしさが失われてしまいます。そのため2〜3mの高さに整えるとよいでしょう。
③切り口に癒合剤を塗ってケアをする
癒合剤とは枝を切った際、切り口を保護する薬剤のことです。剪定後に切った枝から養分が出てしまったり、雑菌が侵入したりするのを防ぐことができます。
癒合剤はオレンジ色などの目立つ色をしているものもあるため、使用する際は衣服に付着しないよう注意しましょう。また、剪定した際に切り口がオレンジ色では気になるというような場合は、透明な癒合剤を使用するとよいです。
癒合剤は安価なものであれば1,000円前後で買うことができます。
株立ちのシマトネリコを剪定するコツ
シマトネリコには1本の幹からなる「単幹」と複数の幹からなる「株立ち」の2種類があります。
「株立ち」は「単幹」とは違った美しさがあります。株立ちの剪定方法は以下の通りです。
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株立ちの幹は根元から切っても良い?
株立ちのシマトネリコを育てていると、1本1本の幹の根元がどんどん太くなり、がっしりした姿に成長します。どんな木でも、高く伸びるにつれて全体を支えるために根元が太くなるものなのです。
シマトネリコの特徴であるすらっと細く涼しげなシルエットを保ちたい場合、株立ちの幹のうち1本を根元から切ってしまう方法もあります。代わりに、普通は不要枝として剪定する「ひこばえ(根元に生える若い枝)」を残し、新しい幹として育てるのです。だいたい幹が3~4本になるように調整すると良いでしょう。
ただしこれはシマトネリコへの負担が大きい剪定方法なので、木が元気な春の時期に行いましょう。
シマトネリコの剪定に失敗しないためのポイント
シマトネリコを剪定する際、失敗しないためにはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
枝を切りすぎると弱る
剪定時に枝を切りすぎたために、シマトネリコが枯れてしまうことがあります。
枝は光合成のために大必要な部分です。その枝を切りすぎてしまうと、光合成ができず生長が妨げられます。さらに病害虫に対する抵抗力も弱まり、最悪の場合木が枯れてしまうので注意が必要です。
また枝を切り落としすぎると木が危機感を抱き、内部に蓄えていたエネルギーを使って徒長枝のような「不要な枝」を生やしてしまうこともあります。
秋~冬の強い切り戻し剪定は避ける
シマトネリコは寒さに弱いため、秋から冬に強い切り戻し剪定をするとダメージが大きく枯れてしまうことがあります。この時期は不要な枝を切り、形を整えるだけの弱剪定を心がけましょう。
【番外編】病害虫の可能性も
シマトネリコが枯れてしまう原因は剪定の失敗だけではありません。害虫にも注意が必要です。
シマトネリコにつきやすい代表的な虫として、ハマキムシ・シマケンモン・スズメガなどが挙げられます。虫がついたシマトネリコは葉っぱを食べられてしまうことがあるので、殺虫剤や防虫ネットなどで対策を怠らないようにしましょう。
また剪定をすることによって樹木の防虫効果が期待できます。
庭木の剪定を業者に依頼するのもおすすめ
シマトネリコは成長が早く、比較的丈夫な樹木なので、自力で剪定することも十分に可能です。
ただしバランスよく剪定する自信がない、高所での作業が不安、なかなか作業時間が取れないという場合は思い切って業者に依頼してしまうのもおすすめです。
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