鮮やかな緑色の葉と小さく白い花が特徴的で、涼やかなたたずまいのシマトネリコは、庭に植えるシンボルツリーとして人気が高いです。


一方でシマトネリコは1年に50~60cm伸びるといわれるほど生長が早く、樹形の維持やお手入れが大変と感じる方も多いようです。
この記事では、シマトネリコを自分で剪定するときの適切な時期や方法をお伝えします。
シマトネリコの剪定に適した時期
シマトネリコは生長がとても速い庭木なので、大きさや樹形を維持するためには、なるべく年2回の頻度で剪定しましょう。3月下旬~4月上旬に1回、5月下旬~10月中旬に1回を目安に剪定するのがおすすめです。
ちなみにシマトネリコは開花直後から花芽をつけ始めます。主に葉を楽しむ庭木ですが、花を咲かせたい場合は花芽の位置を確認しながら剪定しましょう。
バッサリ剪定するのは3月下旬~4月上旬がおすすめ
シマトネリコは萌芽力が強く、剪定に適していない時期以外は基本的に強剪定を行っても大丈夫です。ただし株立ちの幹を根元から切るような強い剪定は、生長が活発になる前の3月下旬から4月上旬に行うのがおすすめです。
新芽の生長期と寒い時期は剪定を避ける
4月中旬~5月中旬は新芽の生長に養分を使っており、枝を切られたところの回復力が弱い時期なので、剪定を避けましょう。
またシマトネリコは温暖な地域が原産の常緑樹であり、寒さに弱いので、気温が下がる10月中旬~3月中旬も剪定に適していません。
シマトネリコの基本的な剪定方法
シマトネリコの剪定で重要なのは、「生長のスピードを落とすこと」と「高さを抑えること」です。
非常に樹勢が強いので、3~8月(新芽が伸びる4月下旬~5月を除く)の間で年2回剪定するのが理想です。2回とも同じ手順で進めて構いません。
①枯れた枝や不要な枝を切り落とす
まずは枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を根元から切り落としましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
②バランスを見ながら混み合った枝を間引く
不要な枝を一通り切り落としたら、シマトネリコ全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。
シマトネリコは葉の量が多いと光合成で養分がたくさん作られ、幹がどんどん太くなります。生長のスピードをおさえるために、細かい枝も含めてかなり思い切って透かしましょう。
③主幹を切り戻して「芯止め」をする
シマトネリコは放っておくと10mを超える高木に生長します。高くなりすぎないようにするため、定期的に主幹を切り取る「芯止め」を行いましょう。
枝分かれしている中でも真ん中にあり、一番高く伸びているものが主幹です。株立ち樹形の場合は複数の幹があるはずです。
切る位置は3m前後の管理できる高さを目安にするとよいでしょう。
④切り口に癒合剤を塗ってケアをする
病原菌や害虫が侵入しないように、剪定が終わったら枝の切り口に癒合剤を塗りましょう。断面のゴミを取り除いて、切り口全体に薄く均一に塗り広げます。
癒合剤を使ったほうが良いのは以下のケースです。
- 枝の切り口が大きいとき(直径3cm以上)
- 主幹から直接生えた枝や近い枝を切り落としたとき(3cm以内)
- 病気になりやすい木(サクラ、果樹など)
基本的には自然にはがれ落ちるので、塗った後はそのままにしておいて大丈夫です。
株立ちのシマトネリコはどう剪定する?
シマトネリコの樹形は、1本の幹から枝が広がる「単幹」だけでなく、複数の幹が伸びる「株立ち」も、涼やかな印象で人気があります。ただし株立ちは幹1本1本から枝が伸びるので、生い茂ってこんもりした見た目になりがちです。
株立ち特有の剪定のポイントは主に以下の2点です。
- 透かし剪定のときは複数の幹をまとめて1本の幹に見立てる
- 幹を根元から切って本数を減らしても問題ない
透かし剪定のときは複数の幹をまとめて1本の幹に見立てる
普段の透かし剪定を行うときは、複数立ち上がっている幹を上から見たときに、ひとまとまりの1本の幹であるとイメージしましょう。
単幹の不要枝を見分けるときと同じように、内側(幹と幹の間)に向かって伸びる枝や、重なり合う枝を根元から切り落とします。
幹を根元から切って本数を減らしても問題ない
株立ちで育てていても、1本1本の幹は段々太くなり、枝葉も茂っていきます。
株立ちのすらっとしたシルエットを保ちたい場合、複数本ある幹をいくつか根元から切って間引いても問題ありません。5本立ちであれば2本切って3本立ちにするなど、幹が奇数になるように調整すると、横から見たときも幹が重ならず、バランスの良い見た目になります。
新しい幹に更新したいときは、普段は不要枝として剪定する「ひこばえ」を残して育てます。
なお、根元から幹を切って間引くのは、剪定による負担が比較的少ない3月下旬~4月上旬の時期にしましょう。
大きくなりすぎたシマトネリコをバッサリ切っても良い?
シマトネリコの樹高が高くなりすぎたときは、思い切って主幹の途中で短く切り詰めても大丈夫です。
一般的な庭木であれば、基本的に枝の途中で切り詰める切り戻し剪定はおすすめできません。しかし萌芽力の強いシマトネリコは、切り詰めても再び芽吹いてくれます。しばらくすると切り口から何本も枝が伸びてくるので、1~2本残して他は切り落としましょう。
シマトネリコの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
シマトネリコの剪定が難しければプロに依頼しよう
シマトネリコは成長が早く、比較的丈夫な樹木なので、自力で剪定することも十分に可能です。
ただしバランスよく剪定する自信がない、高所での作業が不安、なかなか作業時間が取れないという場合は思い切って業者に依頼してしまうのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。庭に植えているシマトネリコの場合、2~3mであることが多いので、1本あたり2,900~3,600円が目安です。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
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