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梅の木の剪定時期は?正しい剪定方法やお手入れのコツを解説

最終更新日: 2025年02月14日

梅の木は生長が速く、「桜伐る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」という言葉があるほど、剪定が必須とされる植物です。

梅の美しい姿を保つために、正しい時期に定期的に剪定しましょう。

梅の木の剪定に適した時期は?

梅の木には花を楽しむ「花ウメ」と実を収穫する「実ウメ」があります。剪定時期における主な違いは、花後剪定をするかどうかです。

実ウメの剪定時期

実梅の剪定時期カレンダー

実が収穫できる実ウメは、休眠期で葉が落ちている12~1月に樹形を整える強剪定を行います。ただしすでに花芽がついている時期なので、切り落としすぎないように注意しながら切りましょう。

実ウメの場合、主幹が低く横に向かって伸びるように剪定すると、日当たりがよくなり実がよく育ちます。植えてから1~2年目は冬に主幹を切り詰め、下から出た枝を横に広げるように育てましょう。生長後も、だんだん実の付く位置が木の上方に移動するので、数年に一度この時期に切り戻し、芽が付く新しい短枝を出させます。

5月中旬~6月の剪定は、不要な枝を根元から切って間引きます。この時期に枝の途中で切り戻すと、実がつかない長い枝が出てきてしまうので注意しましょう。

花ウメの剪定時期

花梅の剪定時期カレンダー

主に花を楽しむ品種である花ウメは、12~1月の強剪定、5月中旬~6月の弱剪定のほかに、花が咲き終わってまだ花がらが残っている3~4月上旬に花後剪定も行います。

梅の木は短枝に芽をつけるので、この時期に長い枝を切り戻しておき、新芽が伸びる時期に短枝を出させるのです。

実を収穫する「実ウメ」の剪定方法

実ウメは実を収穫したいので、花が咲き終わった後の剪定は間引きのために少し行い、落葉期である冬の剪定をメインに行います。

1~3年目の剪定方法

植え付けてから1~3年目は、樹形の基本をつくっていく剪定を行います。実付きがよくなり、収穫しやすい樹形を目指しましょう。

  1. 主幹を切り戻す
  2. 主枝を横に広げるように伸ばす

①主幹を切り戻す

1~2年目の若木のころに主幹を切り詰めると、下のほうから新しい枝が出てきます。その枝を横に広がるように育てると、樹高が低く収穫しやすい樹形になります。

地面から30~60cmの高さに幹を切り詰めます。「切り過ぎではないか」と感じる人もいるようですが、思い切って作業することが大切です。

かんぬき枝

また上記のように、同じ部分から左右対称に伸びた枝(かんぬき枝)があると、栄養を奪い合い花付きに悪影響を及ぼします。そのため、左右対処の枝のうち、勢いのある枝だけを残すようにしましょう。

②主枝を横に広げるように伸ばす

主幹を横に向かって伸びるように誘引し「開心自然形」にします。

樹冠が空に向かって杯のように開くので、枝葉によく日があたり、実付きがよくなります。また、収穫もしやすいです。

4年目以降の冬剪定の方法

4年目以降は、美しい樹形を維持し、花を咲かせるための剪定を行います。

  1. 枯れた枝や不要な枝を根元から切る
  2. 長い枝の先端を切り戻す
  3. 低い位置で枝を切り戻す(数年に一度)

①枯れた枝や不要な枝を根元から切る

枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を剪定して取り除いておきましょう。

カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。

次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。

不要な枝を剪定するときの見分け方

不要枝の種類 不要枝の特徴
ふところ枝 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。
かんぬき枝 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。
逆さ枝 幹に向かって伸びた枝。
立ち枝 真上に向かって伸びた枝。
下り枝 下に向かって伸びた枝。
絡み枝 まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。
徒長枝 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。
車枝 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。
平行枝 同じ方向に伸びる上下2本の枝。
胴吹き枝 幹から新たに直接伸び出した枝。
ひこばえ 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。

不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。

  • 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
    • 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
  • 平行枝・胴吹き枝
    • 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
  • ひこばえ
    • 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る

不要な枝を一通り切り落としたら、木全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。具体的なバランスのとり方は以下が目安です。

  • 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
  • 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする

「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。

②長い枝の先端を切り戻す

長い枝には花芽がつかなくなります。先端を切り戻して、花芽がつく短い枝が新しく出てくるのをうながしましょう

梅の枝を3分の1切る

③低い位置で枝を切り戻す(数年に一度)

梅の木は新しい枝に花芽がつくので、だんだん枝の下部には花芽ができなくなり、枝の上ばかりに花がつくようになります。

数年に一度は低い位置で切り戻して新しい枝を出させ、樹形を仕立て直します。

4年目以降の間引き剪定の方法

春(4~5月)の剪定では、間引きを行います。間引きとは、大量の新芽から生命力の強い枝を選び、それ以外の新芽を切る作業です。

剪定というと、枝のカットに意識が向きがちですが実を間引くことも大切です。実の数が多すぎると、養分が不足してよい果実が収穫できません。

間引きを行う時期は、実が成りはじめる4月が適しています。実同士の間隔が5~6cmになるように切るようにしましょう。1つの枝に3~4個の新芽を残しておくとよいです。

また、実を見て他のものと比べて小さいものや形のよくないもの、傷や病気が見られるものがある場合は、あらかじめ取り除いておきましょう。

花を観賞する「花ウメ」の剪定方法

花を楽しむ目的で育てる花ウメは、花が咲き終わった後と、落葉後にそれぞれ剪定を行います。

花後剪定の方法(3~4月)

3月頃に花が咲き終わったら、花がらがついているうちに、3~6芽を残して長い枝を切り戻します。切り戻したところから、翌年に花芽をつける短枝が新しく出てきます。

梅の枝を3分の1切る

長い枝を切るときは、枝の外側に向かって生えている外芽の上で切るようにしましょう。内芽のところで切ると、内向きの枝の生長をうながしてしまい、樹形が乱れます。

冬剪定の方法(12~1月)

落葉期である冬の剪定では、不要な枝を切り落とし、樹高をおさえる剪定を行います。

不要な枝の見分け方は以下を参考にしてください。

不要な枝を剪定するときの見分け方

不要枝の種類 不要枝の特徴
ふところ枝 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。
かんぬき枝 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。
逆さ枝 幹に向かって伸びた枝。
立ち枝 真上に向かって伸びた枝。
下り枝 下に向かって伸びた枝。
絡み枝 まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。
徒長枝 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。
車枝 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。
平行枝 同じ方向に伸びる上下2本の枝。
胴吹き枝 幹から新たに直接伸び出した枝。
ひこばえ 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。

樹高が高くなりすぎた場合は、上に伸びている太い枝をつけ根から切り落とし、樹形を仕立て直します。冬は剪定によるダメージが比較的少ない時期なので、太い枝をバッサリ切るような強剪定をしても耐えられます。

ただし、切り口を放置すると菌が入って枯れこんでしまうおそれがあります。太い枝を剪定した後の切り口には、癒合剤を塗って殺菌と保護を行いましょう。

夏剪定の方法(5月中旬~6月)

花後剪定が終わり、新芽の生長が落ち着いた後にも、必要に応じて剪定を行います。

もし春以降に勢いよく伸びる徒長枝が出てきたら、つけ根から切り落としましょう。枝の途中で切り戻してしまうと、切ったところからさらに徒長枝が伸びて、樹形が乱れる可能性があります。

しだれ梅の剪定方法

しだれ梅は、多くの花をつけた枝が垂れ下がって成長します。より近い距離で梅の花を楽しめるため、人気の品種です。しだれ梅の剪定方法について紹介します。

しだれ梅の剪定時期は秋~冬がおすすめ

しだれ梅の栽培スケジュール

しだれ梅は通常の梅と異なり、大きく垂れ下がっています。適切な時期に剪定しないと、重さに耐えきれなくなった枝が折れてしまいます。必ず秋から冬の間に剪定を行うようにしましょう。

しだれ梅を剪定する際のポイント

しだれ梅の剪定場所

しだれ梅を剪定するコツは2つあります。

1つ目は、「切り戻し剪定を行うこと」です。 切り戻し剪定とは、伸びすぎた枝を根元から切り落とすことです。地面につきそうなくらい伸びている枝は上の図解のように切ってください。

2つ目は、「実を間引くこと」です。間引きとは、新芽の中でも生長が早く太い芽を残して、養分を全体にいきわたらせる手法です。実同士の間隔が5~6cmになるよう切っておきましょう。

梅の剪定で注意する2つのポイント

庭木の栽培をはじめたばかりで、まだ剪定に慣れていない人もいるでしょう。ハサミやノコギリを使うため、初心者には注意が求められます。

梅の剪定に当たって、気を付けるべき点について解説します。

花芽・葉芽を区別して剪定する

剪定の際は、のちに花を咲かせる芽(花芽)と葉や茎に成長する芽(葉芽)を見分けることが重要です。特に春の剪定では、1つの枝につき何個の花が咲くのか先に把握してから新芽を間引くことで、次の年に理想通りの美しい見た目になるでしょう。

花芽は丸みのある形をしており、1か所にやや集まって付いている場合が多いです。いっぽう葉芽は先がとがったような形をしています。花芽を切り取りすぎると、当然ながら来年咲く花の数が減ってしまうので注意しましょう。

尖った枝によるケガを防ぐため、軍手をつける

繊細で美しい姿とは裏腹に、梅の木の枝は硬い性質を持っています。とがった枝や剪定した後の鋭利な切り口を素手で触ると怪我をする恐れがあります。作業時は必ず軍手をつけることが大切です。

また、剪定して地面に落ちた枝にも、リスクがあります。不用意に踏んでしまうと、思わぬケガを負う原因にもなるので気を付けましょう。

梅の木をちゃんと剪定しないとどうなる?

もし梅の木を剪定せずに放置した場合、見た目が悪くなるだけではなく、木の健康に悪影響を及ぼします。

梅が生長しない

必要のない部分にまで栄養が届き、成長に必要な栄養分が不足してしまいます。栄養分が不足すると、木の生長が妨げられてしまうのです。

木が栄養不足になると、つぼみや花が付く前に枝が枯れてしまうリスクがあります。長く梅の花を楽しむためにも、不要な枝はどんどん切り取ってしまいましょう。

病害虫の被害を受ける

剪定をしないために枝や葉が茂り過ぎてしまうと、太陽の光が当たりにくくなり、風通しも悪くなります。すると日陰を好む害虫が寄ってくるようになるのです。

アブラムシやウメスカシクロバなどの害虫は、梅の木の葉を食べる、木の水分を吸うなどして木の生長に悪影響を及ぼします。害虫が原因で木が病気にかかってしまう可能性もあるので、こまめな剪定によって虫が寄り付かないようにしましょう。

すでに害虫がついてしまった場合には、市販の殺虫剤を使って駆除してください。

梅の木の剪定はプロに依頼するのもおすすめ

「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。

庭木の剪定料金相場

単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。

庭木の高さ 1本あたりの料金相場 剪定ゴミの回収料金
1m以下 950~1,200円 950~1,200円
1~2m以下 1,900~2,400円 950~1,200円
2~3m以下 2,900~3,600円 950~1,200円
3~4m以下 4,200~5,400円 1,400~1,800円
4~5m以下 5,700~7,200円 1,900~2,400円
5~6m以下 8,600~10,800円 2,900~3,600円
6~7m以下 12,400~15,600円 3,800~4,800円
7~8m以下 16,200~20,400円 5,000~6,000円

※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出

梅の木の剪定料金を確認する

庭木の剪定をプロに依頼する流れ

庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。

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