まきの木は観賞用の庭木としてはもちろん、生垣にも仕立てられるため大変人気な樹木の一種です。まきの木は非常に育てやすい一方、剪定を放置すると伸びすぎて近隣に迷惑をかけたり、処分に大金がかかってしまったりするため、剪定がとても大切な植物です。


本記事ではまきの木の剪定時期や剪定時の注意点、病気対策を解説します。
まきの木の剪定時期は5~6月と9~10月
まきの木は年に2回、5~6月と9~10月に剪定を行います。真夏や真冬に剪定を行うと負荷が大きく、まきの木にダメージを与えてしまうので、なるべく避けましょう。
常緑樹であるまきの木は寒さに弱く、冬に剪定して葉が減ると、冬越えやそのあとの芽吹きに必要な養分が足りなくなり、弱ってしまいます。比較的暖かい地域では、12月ごろまでは剪定しても大丈夫ですが、寒冷地では10月までに終えましょう。
剪定の仕方としては「玉散らし」という仕立て方が最も人気で、松のように丸く刈り込み整えていきます。
まきの木の剪定方法
まきの木を剪定する方法は刈り込み剪定と透かし剪定の2種類に分けられます。シンボルツリーなど観賞用なら丸く刈り込み、生垣用なら家の中が見えないよう四角く剪定するなど、植えた目的に応じて、毎年2回忘れずに剪定して管理しましょう。
葉の長さを整える刈り込み剪定のやり方
まきの木は萌芽力が強く、年に2回は整えないと伸びすぎて見た目が悪くなります。特に生垣やトピアリー、玉散らしなどの樹形に仕立てている場合は、こまめなお手入れが必要です。
形を維持できるように、刈り込みバサミを使って、理想的な樹冠のラインからはみだした枝や葉を刈り込みましょう。
丸い形を作ったあと枯れた葉や弱っている葉があれば、手で取り除きましょう。風通しも見た目もよくなります。
不要な枝を取り除く透かし剪定のやり方
まきの木が病気や害虫にかからないようにするには、不要な枝を取り除いて栄養を行きわたらせたり、風通しを良くしたりすることが不可欠です。
以下のような生え方をしている不要な枝を切り落としましょう。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
まきの木の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
まきの木を剪定するときの注意点
まきの木は庭木の中では剪定に強い部類に入りますが、いくつか注意点があります。
樹形を整えるなら最上部を優先して剪定する
まきの木は最上部がもっとも生長が早いため、最上部から剪定を行うと樹形を綺麗に整えられやすいです。木が大きくなりすぎて脚立では対処できなくなったらプロに依頼しましょう。定期的な剪定はもちろん、まきの木の高さ下げ剪定なども頼むことができます。
年2回の剪定を怠らないように注意が必要
まきの木は毎年、定期的に剪定をしていればそこまで大きな作業料にはなりませんが、放置していると、枝や葉が数10cm以上も伸び、個人で剪定をするのが困難になってしまうケースがあります。長年放置した状態にしていると、プロの見積もりも比例して高くなってしまうでしょう。
そのためなるべく剪定は怠らないように気を付けましょう。どうしても剪定ができない際はプロに依頼するか、買取や伐採といった選択肢も考える必要があります。
幹回りが100cm以上あり、しっかりと剪定されているなど条件がそろっていると、まきの木を数十万円で買い取ってもらえることがあります。伐採には多額の費用がかかるため、いつか管理ができなくなって手放す必要が出てきた際のためにも丁寧に剪定しましょう。
剪定を失敗すると長い間見た目が悪くなるため慎重に
まきの木の剪定は慎重に行いましょう。最上部の部分以外は比較的、生長は緩やかですが剪定を失敗するともとの形に戻るまで時間がかかります。せっかく樹形を楽しむために剪定していても枝葉が再び伸びてくるまで見た目が悪くなってしまうのはもったいないので、慎重に剪定を進めましょう。
まきの木の病気・害虫対策
まきの木は丈夫な庭木ではありますが、害虫によるすす病やペスタロチア病を発症することがあります。どちらも早めの対処をすることで被害の拡大を防げるため、定期的な観察をするのが重要です。
マキシンハアブラムシは木酢液で駆除できる
マキシンハアブラムシは新しく伸びてて来た枝の先端に発生しやすいアブラムシの一種で、枝に住み着き栄養を奪い取っていきます。またマキシンハアブラムシの排出物はすす病を誘発するため、見かけ次第、ホームセンターなどで売っている木酢液や殺虫剤で駆除しましょう。
葉にカビが発生するすす病に注意
すす病はアブラムシやカイガラムシが残す排出物から発生するカビによって発症します。すす病になると葉の表面が黒色のカビに覆われていきます。見た目が悪いうえ放置しているとどんどん拡大していくため、すす病に気づいたらその枝や葉を取り除きましょう。
アブラムシやカイガラムシを寄せ付けないため風通しがよくなるよう剪定を心がけ、加えて樹木にダメージのない殺虫剤などで予防することも大切です。
葉が枯れてしまうペスタロチア病は殺菌剤で対策できる
ペスタロチア病は糸状菌によって葉が灰褐色に変色する病気で、葉が枯れていってしまうこともあります。ペスタロチア病は葉の傷口から菌が入ることで発生するため、まきの剪定時に中途半端に葉を傷つけないように注意しましょう。
葉が変色、あるいは一部枯れているようなものはペスタロチア病にかかっている可能性があるため、取り除きましょう。殺菌剤をまくことでも対策することができます。
まきの木の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
まきの木の剪定は、木の高さによって料金が変わる「単価制」で費用が計算されることが多いです。「ミツモア」に登録している事業者のまきの木剪定料金の目安をまとめました。
高さ | 料金相場 |
---|---|
高さ2m以下 | 4,500~5,300円 |
高さ2~3m | 8,100~9,900円 |
高さ3~4m | 13,000~15,000円 |
高さ4~5m | 20,000~23,100円 |
高さ 5~6m | 27,000~33,000円 |
高さ 6~7m | 36,000~48,000円 |
高さ7m以上 | 要相談 |
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