まきの木は観賞用の庭木としてはもちろん、生垣にも仕立てられるため大変人気な樹木の一種です。まきの木は非常に育てやすい一方、剪定を放置すると伸びすぎて近隣に迷惑をかけたり、処分に大金がかかってしまったりするため、剪定がとても大切な植物です。
本記事ではまきの木の剪定時期や剪定時の注意点、病気対策を解説します。
まきの木の剪定時期は5~6月と9~10月の年に2回
まきの木は年に2回、5~6月と9~10月に定期的に剪定を行います。真夏や真冬に剪定を行うと負荷が大きく、まきの木にダメージを与えてしまうためなるべく避けましょう。
剪定の仕方としては「玉散らし」という仕立て方が最も人気で、松のように丸く刈り込み整えていきます。剪定に慣れていない場合はなかなかハードルが高く難しいため、プロに依頼して美しく整えてもらうのもよいでしょう。
庭木の中には栄養にをため込んでいる冬に剪定をした方が良い品種がいくつもありますが、まきの木は温暖な地域の樹木です。そのため冬に剪定することはなるべく避け、適期に剪定するよう心がけましょう。
まきの木の剪定に必要な道具
- 剪定用手袋
- 剪定バサミ
- 刈り込みバサミ
- 剪定ノコギリ
- 脚立
剪定用手袋
まきの木にトゲなどはないですが、手袋なしで剪定をすると葉や枝によって切り傷ができてしまうなどの危険性があります。なるべく安全に剪定の作業を進めるためにも手袋や長袖の服を着用することで、対策してから剪定を始めましょう。
剪定バサミ
透かし剪定などで、まきの木の細い枝を剪定するなら剪定ばさみが便利です。ペンチのような形をしており、切る際に握りこんで使う形状が多く、力が伝わりやすいように設計されているので、女性の方でも軽く握るだけで剪定できます。
握りの部分やサイズは多種多様にあるため、手の大きさに合わせて選ぶと良いでしょう。
刈り込みバサミ
刈り込みバサミは伸びすぎた葉を整えていくために使うハサミです。広い面積を一気に刈り取れるので、樹形も整えやすいでしょう。
普通の刈り込みバサミでは時間がかかるときや、生垣など手入れすることがよくあるなら、電動の刈り込みバサミもオススメです。
剪定ノコギリ
強剪定など太い枝を切る際は剪定用ノコギリを使いましょう。剪定用のノコギリは角材を切るような大きいノコギリではなく、軽量で持ち運びがしやすいので、脚立に乗りながら太い枝を切るときにも役立ちます。
また折り畳み式や電動式、ピストル式といった剪定ノコギリもあるので、自分にあったものを探すと良いでしょう。
脚立
まきの木は大きく育ちやすい庭木で、小型種であるラカンマキでも10m、イヌマキであれば20mを超えていきます。大きすぎると高所作業者等が必要になるため、一般の人には手入れが難しくなります。ただし植えてから時間がたっておらず樹高が3~5m程度であれば脚立を使って剪定することはできるでしょう。
ただし脚立を使用しての剪定は危険が伴うため、あまり利用の経験がない人は脚立の使用方法を要確認して使用するか、プロに依頼して剪定してもらいましょう。
まきの木の剪定方法
まきの木を剪定する方法は刈り込み剪定と透かし剪定の2種類に分けられます。シンボルツリーなど観賞用なら丸く刈り込み、生垣用なら家の中が見えないよう四角く剪定するなど、植えた目的に応じて、毎年2回忘れずに剪定して管理しましょう。
葉の長さを整える刈り込み剪定のやり方
まきの木は萌芽力が強く、年に2回は整えないと伸びすぎて見た目が悪くなります。刈り込み剪定では刈り込みバサミで「玉散らし」という丸い形になるよう伸びすぎた枝や葉剪定していきます。丸い形を作ったあと枯れた葉や弱っている葉があれば、剪定ハサミなどで取り除いておくとよりきれいに見えます。
不要な枝を取り除く透かし剪定のやり方
まきの木が病気や害虫にかからないようにするには、不要な枝を取り除いて栄養を行きわたらせたり、風通しを良くしたりすることが不可欠です。不要な枝というのは上方向に勢いよく伸びた徒長枝や交差枝、ひこばえなどがあります。他には以下のような枝があった場合は切り落としましょう。
①腹切枝 | 幹と交差する太い枝。 |
②交差枝 | 他の枝と交差してしまっている枝。 |
③平行枝 | 複数の枝が平行に伸びてしまっているもの。 |
④車枝 | 枝の一部から多数の枝が出ているもの。 |
⑤懐(ふところ)枝 | 幹付近から伸びた弱々しい枝。害虫の温床になりやすい。 |
⑥ヤゴ・ひこばえ | 樹木の根元から生えてくる枝。 |
⑦下がり枝 | 垂れ枝ともいい、下に向かって伸びている枝。 |
⑧からみ枝 | 枝が絡み合ってしまっているもの。 |
⑨徒長(とちょう)枝 | 真上に伸びすぎてしまった枝。雨風で折れやすい。害虫の温床にもなりやすい。 |
⑩かんぬき枝 | 主幹を挟んで左右対称に生えている枝。樹形のバランスを考え、どちらか一つを剪定する。 |
⑪逆さ枝 | 幹に向かって生えているもの。 |
バランスを考える必要はありますが、基本的に透かし剪定をする際はこれらの不要な枝は見かけ次第切ってしまうのがオススメです。
まきの木を剪定するときの注意点
まきの木は庭木の中では剪定に強い部類に入りますが、いくつか注意点があります。
樹形を整えるなら最上部を優先して剪定する
まきの木は最上部がもっとも生長が早いため、最上部から剪定を行うと樹形を綺麗に整えられやすいです。木が大きくなりすぎて脚立では対処できなくなったらプロに依頼しましょう。定期的な剪定はもちろん、まきの木の高さ下げ剪定なども頼むことができます。
年2回の剪定を怠らないように注意が必要
まきの木は毎年、定期的に剪定をしていればそこまで大きな作業料にはなりませんが、放置していると、枝や葉が数10cm以上も伸び、個人で剪定をするのが困難になってしまうケースがあります。長年放置した状態にしていると、プロの見積もりも比例して高くなってしまうでしょう。
そのためなるべく剪定は怠らないように気を付けましょう。どうしても剪定ができない際はプロに依頼するか、買取や伐採といった選択肢も考える必要があります。
幹回りが100cm以上あり、しっかりと剪定されているなど条件がそろっていると、まきの木を数十万円で買い取ってもらえることがあります。伐採には多額の費用がかかるため、いつか管理ができなくって手放す必要が出てきた際のためにも丁寧に剪定しましょう。
剪定を失敗すると長い間見た目が悪くなるため慎重に
まきの木の剪定は慎重に行いましょう。最上部の部分以外は比較的、生長は緩やかですが剪定を失敗するともとの形に戻るまで時間がかかります。せっかく樹形を楽しむために剪定していても枝葉が再び伸びてくるまで見た目が悪くなってしまうのはもったいないので、慎重に剪定を進めましょう。
また目隠しの目的でまきの木を生垣にしている人は、剪定に失敗すると穴が空いてしばらくの間、壁としての役割が薄れてしまいます。剪定に自信がなければプロに任せましょう。
まきの木の病気・害虫対策
まきの木は丈夫な庭木ではありますが、害虫によるすす病やペスタロチア病を発症することがあります。どちらも早めの対処をすることで被害の拡大を防げるため、定期的な観察をするのが重要です。
マキシンハアブラムシは木酢液で駆除できる
マキシンハアブラムシは新しく伸びてて来た枝の先端に発生しやすいアブラムシの一種で、枝に住み着き栄養を奪い取っていきます。またマキシンハアブラムシの排出物はすす病を誘発するため、見かけ次第、ホームセンターなどで売っている木酢液や殺虫剤で駆除しましょう。
葉にカビが発生するすす病に注意
すす病はアブラムシやカイガラムシが残す排出物から発生するカビによって発症します。すす病になると葉の表面が黒色のカビに覆われていきます。見た目が悪いうえ放置しているとどんどん拡大していくため、すす病に気づいたらその枝や葉を取り除きましょう。
アブラムシやカイガラムシを寄せ付けないため風通しがよくなるよう剪定を心がけ、加えて樹木にダメージのない殺虫剤などで予防することも大切です。
葉が枯れてしまうペスタロチア病は殺菌剤で対策できる
ペスタロチア病は糸状菌によって葉が灰褐色に変色する病気で、葉が枯れていってしまうこともあります。ペスタロチア病は葉の傷口から菌が入ることで発生するため、まきの剪定時に中途半端に葉を傷つけないように注意しましょう。
葉が変色、あるいは一部枯れているようなものはペスタロチア病にかかっている可能性があるため、取り除きましょう。殺菌剤をまくことでも対策することができます。
まきの木の剪定を依頼する場合の費用相場
剪定をプロに依頼する際は費用の算出方法に「日当制」と「単価制」の2通りが存在しますが、まきの木は基本的に木の高さなどによって、料金が変わる「単価制」によって費用が計算されることが多いです。「ミツモア」に登録している事業者のまきの木剪定料金の目安をまとめました。
高さ | 料金相場 |
---|---|
高さ2m以下 | 4,500~5,300円 |
高さ2~3m | 8,100~9,900円 |
高さ3~4m | 13,000~15,000円 |
高さ4~5m | 20,000~23,100円 |
高さ 5~6m | 27,000~33,000円 |
高さ 6~7m | 36,000~48,000円 |
高さ7m以上 | 要相談 |
まきの木の剪定に困ったらプロに依頼を
「形がうまく整えられる自信がない」「まきの木が大きくなりすぎた」といった場合はプロに任せて剪定してもらうのがオススメです。依頼者は労力をかける必要がなく、まきの木もきれいに映えるよう整えてもらえます。
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