甘い香りと美しい白い花で庭を彩るクチナシ。クチナシは自然と樹形が整いやすい性質ですが、健やかに育てるためには剪定が必要です。
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しかし、「いつの時期に剪定するべき?」「どのように剪定すればいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、クチナシの剪定時期や方法、忌み枝の見分け方、剪定頻度について解説します。注意すべき具体的なポイントも交えてお伝えするので、ぜひ最後までお読みください。
クチナシの剪定時期は6月中旬~7月上旬
クチナシは、開花時期の後半から花芽をつけ始めるまでの6月中旬~7月上旬に剪定をしましょう。実をつけると翌年は花を咲かせなくなってしまうため、翌年も花を楽しみたい場合は必ずこの時期に剪定をします。
花後に伸びた枝に翌年の花芽がつくので、8月以降に剪定すると花芽のついた枝を切り落としてしまう可能性があります。
クチナシは生長が遅く、自然に樹形が整いやすいです。基本的に、花後以外の時期には剪定しなくても問題ありません。
ただし、株全体が大きくなりすぎている場合は、まだ花が咲いていても7月上旬までに切り戻し剪定を行います。
クチナシの剪定方法
クチナシの剪定は以下の手順で進めます。
①樹冠から飛び出した枝を切り戻す
クチナシは生長がゆっくりな樹木なので、あまり頻繁に手を入れなくても自然にまとまった樹形になります。
もし樹冠から飛び出した枝があれば、花が咲き終わった後なるべく早めに、葉を3~6枚残したところで切り戻しましょう。
②枯れた枝や不要な枝をつけ根から切る
枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を剪定して取り除いておきましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。
不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
---|---|
ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
③バランスを見ながら混み合った枝を間引く
不要な枝を一通り切り落としたら、木全体のバランスを見ながら、混み合った部分を間引いて枝の数を減らしていきます。具体的なバランスのとり方は以下が目安です。
- 主幹から四方にバランスよく枝が広がった状態にする
- 枝と枝の間隔をどこから見てもなるべく均等にする
「遠くから眺めたときに、枝の密度が均等になっているか」を確認しながら進めましょう。
④枝の切り口に癒合剤を塗る
病原菌や害虫が侵入しないように、剪定が終わったら枝の切り口に癒合剤を塗りましょう。断面のゴミを取り除いて、切り口全体に薄く均一に塗り広げます。
癒合剤を使ったほうが良いのは以下のケースです。
- 枝の切り口が大きいとき(直径3cm以上)
- 主幹から直接生えた枝や近い枝を切り落としたとき(3cm以内)
- 病気になりやすい木(サクラ、果樹など)
基本的には自然にはがれ落ちるので、塗った後はそのままにしておいて大丈夫です。
クチナシの剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
道具 | 用途 |
---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
クチナシの育て方は庭植えと鉢植えの2パターンある
クチナシは、鉢植えや盆栽としても楽しめる植物です。庭植えと鉢植えでは、管理方法が少し変わります。
庭植えの場合は広さの制限が少なく、クチナシが比較的自由に成長できるでしょう。地面に直接植えられているため根が広がりやすく、大きく育つ可能性もあります。一方で、霜ができるような寒冷地では冬越しが難しい場合があるため、気候を考慮して植える必要があるでしょう。
鉢植えの場合は、季節や気候に応じて場所を移動させることが可能です。また、鉢植えの大きさに応じて小さく育てることもできるため、限られたスペースでも楽しめます。
いずれの場合も、クチナシは適度に日が当たる半日陰の場所が適しています。直射日光が強すぎる場所や、逆に日陰すぎる場所に植えることは避けましょう。
鉢植えのクチナシを剪定するコツ
最低限の剪定にとどめる
鉢植えのクチナシは、基本的に最低限の剪定にとどめるのがおすすめです。クチナシは自然に整った樹形を保つ性質があるため、過剰な剪定はかえって植物にストレスを与えてしまう可能性があります。
剪定の際は枯れた枝や病気の枝、樹形を乱している枝を中心に取り除きましょう。不要な枝を取り除くことで健康な枝の成長が妨げられることなく、樹形を美しく維持することができます。
伸びすぎた枝は軽く間引く
枝が伸びすぎて樹形が乱れている場合は、軽く間引く程度の剪定を行います。特に内側に向かって伸びている枝や、他の枝と交差しているような枝があれば、優先的に取り除きましょう。
間引き剪定を行う際は、太い枝ごと切り取るのではなく、葉を少し残した状態で先端を切るようにします。通気性や適度な日当たりが確保できれば問題ないため、切りすぎないように注意しましょう。
花の数が気にならない場合は強剪定も可能
基本的には軽い剪定が望ましいですが、翌年の花の数が気にならない場合は強剪定を行うこともできます。強剪定では、樹高や樹形を大きく変えることが可能です。
強剪定を行うと翌年の花の数が減少する可能性があるため、見栄えにこだわりたい場合は注意が必要です。どうしてもコンパクトにしたい場合を除いて、軽い剪定にとどめておくのがおすすめです。
鉢植えのクチナシの育て方
クチナシを鉢植えで育てるときのポイントとして、植え付けのタイミングと日頃の管理のコツを押さえておきましょう。
春または秋に植え付ける
クチナシの苗は、4~6月頃、もしくは9~10月が植え付けにおすすめのタイミングです。この時期に植え付けることで根がしっかりと張りやすく、健康な成長を促すことができます。
植え付ける際は、根鉢よりも一回り大きな鉢を用意しましょう。
排水性と保水性のバランスのよい土を使用して、植え付け後はたっぷりと水を与えていきます。元肥入りの土を選ぶと初期の管理が楽になるためおすすめです。
土が乾いたら水をやる
クチナシは乾燥に弱い植物です。そのため、土の表面が乾いたら、たっぷりと水を与えてあげるようにしましょう。特に夏場は土が乾燥しやすいため、こまめにクチナシの状態を確認することが大切です。
ただし、水のやりすぎは根腐れの原因となるので注意が必要です。鉢底から水が流れ出るくらいを目安に水やりを行いましょう。
置き場所に注意する
クチナシは、夏には半日陰で、それ以外の季節には日の当たる場所で育てるのが理想的です。直射日光が強すぎる場所は避け、適度に日光が当たる場所を選びましょう。
冬場は寒さに弱いため、寒冷地では室内に移動させるなどの対策が必要です。また、風通しの良い場所に置くことで、病気や害虫の発生を防ぐことができます。
クチナシの剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
---|---|---|
1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
庭木の剪定をプロに依頼するには、まず自宅に訪問してくれる近くの庭師を探す必要があります。
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見積もりの料金や口コミ評価を比較して、気になる庭師に剪定を依頼してみましょう。正式な依頼前に、チャットで疑問点を相談することもできます。
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