美しい花を咲かせるハナミズキは、人気の植物の1つです。しかしハナミズキの綺麗な樹形を保ち、その魅力を長く楽しむためには、定期的な剪定が欠かせません。
この記事ではハナミズキの剪定時期や具体的な方法、プロに依頼する際の費用について詳しく解説します。自分で剪定する際のポイントや業者に頼むメリットもご紹介するので、参考にしてください。
ハナミズキの剪定に適した時期
花を楽しむ落葉広葉樹であるハナミズキは、11~3月の剪定をメインとして、必要に応じて花が咲き終わった後の5月下旬~6月にも剪定を行います。
樹形を整える剪定:11~3月
落葉樹であるハナミズキの剪定に適した時期は、休眠期である11~3月です。
この時期は、寒い冬を乗り越えるために、木の中に養分をたくわえ、葉を落として休眠しています。十分な養分があり、生長も止まっているので、枝を切ることでハナミズキにかかるストレスを最小限に抑えられるのです。
不要な枝を除く軽い剪定:5月下旬~6月
ハナミズキは4~5月に花を咲かせた後、7~8月にかけて翌年に開花する花芽が分化します。剪定適期である冬は花芽がついた状態なので、大幅に切ると花芽も一緒に落としてしまい、翌年に花が咲かなくなってしまう可能性があります。
枝が混んでいる場合は、冬だけでなく、咲き終わってから次の花芽ができるまでの5月下旬~6月にかけて、不要な枝を切る軽い剪定をしても大丈夫です。風通しをよくすることで、花芽の形成を促進する効果もあります。
とはいえハナミズキの樹勢はそこまで強くなく、樹形がまとまりやすいので、花後の剪定はしなくても大きな問題はありません。
ハナミズキの剪定に必要な道具
自分で剪定を行う場合、必要なアイテムを揃える必要があります。ハナミズキの剪定を行うには、以下のアイテムが必要です。
- 剪定ばさみ:細い枝を切るときに使用する
- 剪定のこぎり:太い枝を切るために使用する
- 高切り枝ばさみ:高い場所の枝を簡単に切ることができる道具
- 脚立:高い位置で作業するための足場として使用する
- 園芸用手袋(軍手):手を保護するために必須
上記の道具はホームセンターで購入できるため、剪定する前に揃えておきましょう。園芸用手袋がない場合は、軍手でも代用できます。他にも、熊手や箕、フレコンバッグなどがあると、剪定後の片付けがスムーズになります。
ハナミズキの基本的な剪定方法
ハナミズキは基本的に、不要な枝や混み合った枝を根元から切って間引く「透かし剪定」をします。
サイズが大きくなってくると、枝の途中で短く切り詰めたくなるかもしれませんが、なるべく避けましょう。花芽を切ってしまったり、内部の日当たりや風通しが悪くなったりして、花が咲かなくなる原因にもなります。
透かし剪定の手順は以下の通りです。
- 芯止めをする
- 徒長枝を切る
- 横に突き出した枝を切る
- 枯れた枝や不要な枝を切る
- 全体のバランスを見て混み合った枝を間引く
11~3月の剪定ではすべての手順を、5月下旬~6月の花後剪定では「5.全体のバランスを見て混み合った枝を間引く」のみを行いましょう。
①芯止めをする
ハナミズキはそのまま放っておくと4~10mくらいまで高く生長する木なので、一般的な広さの庭に植えている場合はある程度の高さにコントロールします。
主幹を3m程度の高さで切りましょう。
②徒長枝を切る
上に向かって立ち上がるように伸びた長い枝を徒長枝といいます。徒長枝には花芽がつかず、樹形を乱す原因にもなるので、徒長枝は枝が分岐している根元から切り落としましょう。
③横に突き出した枝を切る
ハナミズキは生長すると横に枝が張り出してくるので、枝の分岐点で切り落とします。ハナミズキの自然樹形は、木の頂点から下方に向かって自然に広がる球形です。遠くから眺めて樹形を確認しながら、理想的な樹形のラインからはみ出る枝を除いていきましょう。
④枯れた枝や不要な枝を切る
枯れた枝や生え方がおかしい枝を見つけたら、根元から切り取ります。切ったほうがよい不要な枝の見分け方をまとめたので、参考にしてください。
枝の種類 | 特徴 |
---|---|
徒長枝(とちょうし) | 真上に向かって伸びた枝で、立枝(たちえだ)と呼ぶこともある |
絡み枝 | 近くの主枝に、つるのように絡まりついている枝 |
逆さ枝 | 主枝の向きに逆らって、幹に向かって生えている枝 |
ひこばえ | 樹木の根元から生えている枝で、ヤゴとも呼ばれる 養分が樹の上まで届かずに衰弱したり、見栄えが悪くなったりする |
下がり枝 | 主枝から分かれて、下に向かって伸びる枝 |
かんぬき枝 | 幹を中心として、左右対称に伸びた2本の枝 |
ふところ枝 | 幹付近から伸びた枝 風通しや日当たりが悪くなりやすい |
平行枝 | ほかの枝の近くに平行に伸びている枝で、「重なり枝」とも呼ばれる |
車枝 | 1か所から何本も生えた枝 |
胴吹き枝 | 幹から直接伸びた枝 |
⑤全体のバランスを見て混み合った枝を間引く
最後に全体のバランスを見ながら、狭い間隔で生えている枝を切り落として間引きます。枝と枝の間隔がなるべく均等になるように意識しましょう。
太い枝から左右に対で生えている枝を、互い違いになるように切っていくとバランスがとりやすいです。
ハナミズキはそこまで樹勢が強い木ではないので、あまりたくさん切りすぎたり、太い枝を切り詰めたりしないようにしましょう。木への負担が大きいだけでなく、樹形が乱れたら元に戻すのにも時間がかかります。
大きくなりすぎたハナミズキを低くする剪定方法
ハナミズキが大きくなりすぎてしまった場合、剪定に適した時期である11月〜3月に「芯止め」を行いましょう。
「芯止め」は枝を途中で切り詰める「切り戻し剪定」の一種で、上に向かって伸びている主幹をある程度の高さで切り取り、芯を止める方法です。
年数が経つと主幹はどんどん太くなり、切りづらいだけでなく木への負担も大きくなるので、なるべく若木の段階で行いましょう。
ハナミズキの剪定でよくある質問
最後に、ハナミズキの剪定でよくある質問をまとめました。
それぞれ見ていきましょう。
ハナミズキの理想的な形は?
ハナミズキの理想的な形は、一般的に下から上までまっすぐ整った樹形であるとされています。園芸店などで販売されているハナミズキの多くも、このような樹形をしています。
まっすぐ整った形を保つなら、定期的な剪定が欠かせません。
ハナミズキを小さく育てる方法はある?
ハナミズキを大きくしたくない場合、幹を好きな高さでカットし、樹形・サイズを考慮して剪定していきます。幹から出ている太い枝をカットすることで、全体的にすっきりとした印象にまとまります。
通常の剪定と同様、11月から3月に行いましょう。
ハナミズキの剪定は業者への依頼もおすすめ
小さなサイズのハナミズキであれば、自分で剪定できるかもしれません。しかし少しでも不安がある場合は、専門業者に依頼することも選択肢の一つです。専門知識を持つプロの業者であれば、適切な剪定方法を用いて、ハナミズキを美しく剪定してくれます。
以下では、剪定をプロに任せるメリットと費用について解説していきます。
剪定をプロに任せるメリット
プロに頼むメリットは、適切な方法で剪定してハナミズキのストレスを最小限に抑えてくれること、そしてケガのリスクもないことです。
自力で剪定をするメリットはコストを抑えられる点ですが、失敗するとかえって手間とコストが増えることもあります。自信がない場合やハナミズキの健康を最優先に考えるなら、プロに依頼するのがおすすめです。
業者によっては、剪定後のごみの処理まで依頼できたり、庭のデザインについて相談できたりするところもあります。
剪定をプロに任せる際の費用
庭木の剪定料金には、主に以下2つのシステムがあります。
- 日当制:職人1人につき1日あたり○○円と決まっている
- 単価制:庭木1本あたり○○円と決まっている
ハナミズキは低〜中木にあたるため、おおよその参考価格は以下になります。
日当制 | 2〜3万円/日(職人1人あたり) |
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単価制 | 低木(高さ0〜3m未満):2,500円〜5,000円/本 中木(高さ3~5m未満):5,000円〜10,000円/本 |
ただし、オプションの有無やハナミズキの大きさ、依頼するエリアなどによって具体的な価格は変動します。依頼を検討する際は、見積もりを各業者に確認するようにしてください。