庭木として親しまれ、おいしい実も収穫できる柿の木。大きくなりすぎてしまって管理に困ったり、なかなか良い実が育たず苦戦している方もいるかもしれません。


柿の木を適切な大きさに育て、おいしい実を収穫するためには、剪定の時期とやり方がポイントです。
柿の木の剪定時期は12~2月

落葉樹である柿の木は、休眠期である12~2月にメインの剪定を行い、5月中旬~6月にかけて軽いお手入れ剪定をしましょう。
実を収穫する場合は、7月下旬~8月中旬にかけて、実の間引きである摘果も行います。
12~2月:翌年の実を増やすために枝を更新する
柿の木が休眠期に入る12~2月は、実がならない枝を切って新しく実がなる枝が伸びてくるように剪定を行い、翌年の果実に備えます。
大きくなりすぎた柿の木は、毎年12~2月に直径10cmくらいまでの枝を2~3mずつ切り戻し、適切な大きさになるまでくり返します。
5月中旬~6月:不要な枝を取り除く
開花期から花芽をつけ始めるまでの5月中旬~6月は、枯れ枝や生え方がおかしい枝、混み合った枝を切り落とす軽い剪定を行います。風通しや日当たりを良くして、花芽の生長をうながします。
7月下旬~8月中旬:収穫に備えて摘果をする
秋に柿の実を収穫したい場合は、7月に実を間引く「摘果」を行います。
近い位置にたくさん実がついていると、1つ1つにたくさん養分がいかず、実が小さくなってしまいます。この時点で小さめの実や、傷がついている実を切り落としましょう。
柿の木の基本的な剪定方法
柿の木は休眠している12~2月に、以下の流れで剪定を行います。不要な枝を取り除き、翌年に果実をたくさんつけるために枝の更新や整理をします。
果実を収穫するために、花が咲いた後の5~6月は大幅な剪定をせず、不要な枝があれば切る程度にしましょう。
果実がつくられ始めた7月下旬~8月中旬には、養分が分散しすぎないように実を間引く摘果をします。
①不要な枝や混み合った枝を根元から切る
枯れた枝や樹形を乱す不要な枝を剪定して取り除きましょう。
カサカサに乾いていたり、樹皮の中まで茶色く変色している枝は枯れています。枯れ枝を放置すると病気や害虫の原因になるので、最優先で取り除きましょう。
次に、以下のような生え方をしている不要な枝を切り落とします。

| 不要枝の種類 | 不要枝の特徴 |
|---|---|
| ふところ枝 | 樹冠の内部で生えた細かく小さな枝。 |
| かんぬき枝 | 左右の枝が主幹を貫いて一直線になるように生えたもの。 |
| 逆さ枝 | 幹に向かって伸びた枝。 |
| 立ち枝 | 真上に向かって伸びた枝。 |
| 下り枝 | 下に向かって伸びた枝。 |
| 絡み枝 | まっすぐ伸びず、他の枝に絡むように伸びた枝。 |
| 徒長枝 | 極端に勢いよく伸びた枝。上に向かって伸びることが多く、ほとんど花芽をつけない。 |
| 車枝 | 幹の同じ高さから4本以上の枝が水平に伸びたもの。 |
| 平行枝 | 同じ方向に伸びる上下2本の枝。 |
| 胴吹き枝 | 幹から新たに直接伸び出した枝。 |
| ひこばえ | 地際から主幹の隣に新しく伸びてくる枝。 |
不要枝の中での剪定の優先順位は以下の通りです。
- 逆さ枝・立ち枝・下り枝・絡み枝・徒長枝・車枝
- 樹形を乱す可能性が高いので、優先して切り落とす
- 平行枝・胴吹き枝
- 樹形を乱す可能性が比較的低いので、他の枝とのバランスを見て切るか決める
- ひこばえ
- 株立ちの幹を更新する場合は残し、それ以外の場合は切り取る
切り方は、枝の向きに対して垂直になるようにしてください。斜めに切ってしまうと、柿の木の生長に悪影響を与えてしまいます。
柿の木は1ヶ所から複数本の枝が出る性質があります。細い枝や内向きの枝を切り、上向きの枝を残すようにしましょう。花が咲いて実ができると、重みで枝が垂れてしまうからです。
②今年実がなった枝を切り戻す
柿の木は、その年の秋に果実がついた枝に、翌年は実になる花芽がつくられにくいです。実がついた部分の下にある節の上で切り、新しい枝が伸びてくるように促しましょう。
果実を収穫するときに、枝ごと折っておくと剪定がラクです。
その年に実がつかなかった枝には、翌年実がなる可能性があるので、残しておきます。
③30cmよりも長い枝を切り戻す
柿の果実がつくのは、長さ30cmくらいまでの枝です。それよりも長く伸びた枝は、つけ根から数えて2~3芽を残して切り戻し、新しい枝の伸長を促しましょう。
④枝の切り口に癒合材を塗る
病原菌や害虫が侵入しないように、剪定が終わったら枝の切り口に癒合剤を塗りましょう。断面のゴミを取り除いて、切り口全体に薄く均一に塗り広げます。
癒合剤を使ったほうが良いのは以下のケースです。
- 枝の切り口が大きいとき(直径3cm以上)
- 主幹から直接生えた枝や近い枝を切り落としたとき(3cm以内)
- 病気になりやすい木(サクラ、果樹など)
基本的には自然にはがれ落ちるので、塗った後はそのままにしておいて大丈夫です。
大きくなりすぎた柿の木を小さくする方法

大きくなりすぎた柿の木を小さくするために行う作業は以下の2つです。以下で詳しく説明します。
- 適切な長さで主幹を切る
- 長い枝を分岐点の付け根で切り落とす
①適切な長さで主幹を切る

主幹を切らないと、柿の木の高さがどんどん高くなってしまうため、適切な長さで切る必要があります。
主幹を切る上で気を付けるべきポイントは3つあります。
1つ目は主幹を切った後、主枝(主幹から分岐している枝)が最低でも3本残るように調整することです。主枝が2本以下だと十分に栄養を確保できず枯れてしまうことがあります。
2つ目は、残す主枝が幹の1/3以上の太さになるように切ることです。主幹を切った後、残った主枝の太さが主幹の1/3以上ないと、木が弱って枯れてしまうことがあります。
3つ目は、1度に主幹は1/3までしか切れないことです。1度に1/3以上切ってしまうと枯れてしまいます。木の高さを今よりも1/3以上小さくしたいという方は、1年ごとに主幹を1/3ずつ切るようにしましょう。
主幹の切り方

主幹を切る際にはどの部分を切るのかわかるようにチョークを使って切断線を引いておきましょう。作業手順は以下の通りです。
- 主幹の中心に縦線を引く
- 木の幹と枝の間にあるひだのような部分から少し上(5㎜~1㎝)にマークを付ける
- 2でつけたマークから1の縦線と垂直になるような横線を引く
- 3で引いた横線から斜め線を引く
※3の横線と45度になるように引くのがコツ - 4で引いた斜め線に沿って切断する
他の方法でも、主幹を切断することはできますが、腐敗菌が侵入しやすく、木に悪影響を与えてしまいます。上記の方法をとることで、腐敗菌の侵入を防ぎましょう。
②長い枝を分岐点の付け根で切り落とす
主幹を切って柿の木の高さを調整したら、「横に長く伸びすぎている枝を切断する」ようにしましょう。作業手順は以下の通りです。
- 横に長く伸びすぎている枝を見つける
- 長く伸びすぎている枝の先端がどこから伸びているかたどり、分岐している箇所を見つける
- 2で見つけた分岐点を切断して枝がちょうど良い長さになるようであれば切る
そうでない場合は、次の分岐点までたどる - ちょうどよい分岐点を見つけたら分岐点の付け根を切る
※枝の途中で切ると枯れてしまうため、枝分かれしている分岐点で切る
柿の若木を剪定する方法
柿の若木を剪定する際に注意したいポイントは、以下の5つです。
- 上方向に伸びている枝は切らない
- 主枝は3本、亜主枝は6~9本を残す目安で剪定する
- 主幹に対して45度くらいの主枝を残す
- 主枝の間隔が30~50cmになるように間引く
- 理想の樹高になったら主幹を切る
1.上方向に伸びている枝は切らない

植えてから2~3年ほどの若木の場合には、上部の生長を優先させるため、樹冠(木の上部)の枝は切りすぎないようにしましょう。
剪定で本格的に大量の枝を切るのは、成木になってからです。主幹に日光が当たるように意識しつつも、剪定しすぎないのがポイントです。
2.主枝は3本、亜主枝は6~9本を残す目安で剪定する

幹から生えている太い枝を「主枝(しゅし)」、そこからさらに分岐している枝を「亜主枝(あしゅし)」といいます。
幼木~若木の段階では主枝3本、亜主枝は1本の主枝につき6~9本ほど残しておくのが目安です。亜主枝が少なすぎると、横への生長がうまくいきません。
また亜主枝からさらに枝分かれしている枝は、亜主枝よりも長くならないように剪定しましょう。
3.主幹に対して45度くらいの主枝を残す

主枝が3本くらいになるよう剪定するときは、なるべく主幹に対して45度くらいの角度の枝を残しましょう。
柿の木が生長する方向は、なるべく横向きに広げていくのが理想です。垂直方向に伸びている主枝を切り落として、調整しましょう。
4.主枝の間隔が30~50cmになるように間引く

主枝を間引くときには、間隔にも注意する必要があります。主枝同士の間隔があまりに近いと、成木になったときに剪定するのが難しくなるでしょう。
幼木~若木のうちに、主枝のあいだを30~50cmほど離しておけば、剪定作業が楽になります。
5.理想の樹高になったら主幹を切る

柿の木を植えてから4~5年ほど経つと、樹高が4~5mほどまで生長します。
ちょうどいい高さになったら、そこで主幹を切るようにしましょう。手の届く範囲に実がなってほしいという方は、幹の高さを2m前後で剪定しておくのがおすすめです。柿の木を育てるスペースが小さい場合は、早めに切ってしまっても問題ありません。
主幹を切っておくと、垂直方向への生長が止まり、横方向への生長が始まります。
柿の実がならないのはなぜ?
柿の実がならないときに考えられる原因は以下の通りです。
実の数が多くて1つ1つに十分な栄養が行き渡っていない
花が咲いて実がなりはじめたのに、十分に実が育たず落ちてしまった場合は、実の数が多くて栄養が行き渡っていない可能性があります。
7月下旬~8月中旬ごろに、実を間引く摘果作業を行いましょう。小さな実や傷のついた実を中心に摘み取り、1つの実に対して15~20枚の葉がついているくらいのバランスになるように数を調整します。
摘果は、必ず生理落下が終わってから行うようにしてください。生理落下とは、出来の悪い実が自然に落ちていくことです。生理落下の前に、摘果を行うと、出来の悪い実が残されてしまうことがあります。
前年に実をつけすぎて木が消耗している
柿の木には、実がたくさんついた翌年は不作になる、隔年結果という性質があります。実の成熟に養分を使ってしまうので、枝に養分がまわらず、次の花芽ができにくくなることが理由です。
毎年安定した量を収穫したい場合は、摘蕾と摘果を適切な時期に行うことが大切です。
肥料が多すぎる、または少なすぎる
肥料の量に過不足がある場合も、柿の実がうまく育ちません。
昨年は実が実ったのに、今年は柿が実らないという場合は、肥料を与えると改善される可能性が高いです。前年度に養分を使い切っているため、今年は栄養が不足しているのです。
肥料を与える時期は「7月上旬ごろ」「9月上旬ごろ」がおすすめです。
7月に肥料を与えるとき、そもそも実がついていない場合には肥料を与えるのは見送ってください。かえって悪影響を与える可能性があります。また、9月に肥料を与える際は、とくにカリウムを補給するとよいでしょう。
果樹栽培においては、有機肥料を使用するのがオススメ。化成肥料を使う場合には土壌の分析が必要で、素人には見極めが難しいからです。
日当たりが悪く花芽がつくられにくい
柿の木全体に日が当たっていないと、花芽の分化がうながされず、花付き・実付きが悪くなります。
樹冠内部にもしっかり日が当たるように、冬の剪定で不要な枝や混み合った枝を間引いて透かすことが大切です。
花芽のついた枝を剪定で切り落としてしまった
剪定の仕方が悪いと、実がならない可能性があります。
枝の途中で切断する切り戻し剪定を多く行うと、花芽がついた部分を切り落としてしまい、花が咲かず実もつきません。
生え方が乱れた枝や混み合った枝を根元から切り、その年に実がなった枝を切り戻すのが基本の剪定方法です。
柿の木の剪定に必要な道具
自分で庭木を剪定するときは、最低限以下の道具を用意しておきましょう。
| 道具 | 用途 |
|---|---|
剪定バサミ![]()
|
枝を切るときにメインで使用する(直径1.5cm程度までの枝が目安) |
| 植木バサミ |
特に細かい枝の切断に使用する |
剪定ノコギリ![]() |
剪定バサミでは切りづらい太い枝の切断に使用する |
園芸用の脚立![]() |
高い位置の枝を切るときに使用する 屋外の凸凹がある地面でも安定する三脚のものを選ぶ |
園芸用の手袋![]() |
作業中の手を守る 軍手だと枝やトゲが貫通するので、樹脂コーティングされたものがおすすめ |
癒合剤![]() |
剪定後の切り口の回復を促し、病原菌の侵入を防ぐために塗る |
他にも、切った枝を集める熊手やホウキがあると便利です。
柿の木の剪定はプロに依頼するのもおすすめ
「自分でうまく剪定する自信がない」「忙しくて定期的に剪定する時間がとれない」という方は、植木屋や庭師と呼ばれる剪定のプロに依頼するのもおすすめです。
庭木の剪定料金相場
単価制で依頼した場合、一般的な庭木の剪定料金の相場は以下の通りです。
| 庭木の高さ | 1本あたりの料金相場 | 剪定ゴミの回収料金 |
|---|---|---|
| 1m以下 | 950~1,200円 | 950~1,200円 |
| 1~2m以下 | 1,900~2,400円 | 950~1,200円 |
| 2~3m以下 | 2,900~3,600円 | 950~1,200円 |
| 3~4m以下 | 4,200~5,400円 | 1,400~1,800円 |
| 4~5m以下 | 5,700~7,200円 | 1,900~2,400円 |
| 5~6m以下 | 8,600~10,800円 | 2,900~3,600円 |
| 6~7m以下 | 12,400~15,600円 | 3,800~4,800円 |
| 7~8m以下 | 16,200~20,400円 | 5,000~6,000円 |
※ミツモアの過去3年間(2022年1月1日~2024年12月31日)の見積もり依頼データから算出
庭木の剪定をプロに依頼する流れ
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