オオデマリ(大手毬)は、別名を「テマリバナ」と言い、スイカズラ科(レンプクソウ科)ガマズミ属の落葉低木で、5~6月にかけてアジサイに似た白い花を咲かせます。
オオデマリは生長が緩やかで枝数がそこまで多くないため、強い剪定は必要ありませんが、樹形を整えたり、大きく育てたくない場合に剪定をする必要があります。
この記事ではオオデマリの剪定時期や方法について紹介しています。
オオデマリの剪定時期は5~6月
オオデマリ剪定は花が咲き終わったあとの5~6月に行いましょう。
7~8月にかけて花芽が出てくるので、その前に剪定をしておくと花芽を傷つけずにすみます。
オオデマリの剪定に必要な道具
オオデマリの剪定に必要な道具を紹介します。
剪定用手袋
剪定用の手袋を準備しましょう。
普通の軍手ですと剪定中に枝や葉が刺さってケガをする場合があります。
手のひら側が樹脂コーティングになっているものがおすすめです。
剪定バサミ
オオデマリの枝を切断するための専用ハサミで、片刃が鋭利な刃物、もう片方の刃は平らな受け刃になっています。
植物の枝を傷つけることなく、きれいに切断することができ、高炭素鋼やステンレス鋼などで作られているので長期間、切れ味を保つことができます
サイズは色々あるので手の大きさ、左手用など自分にあったものを選びましょう。
脚立
脚立は背の高い樹木を剪定するときに使用します。
剪定では幹や枝の隙間に足をねじ込んで脚立を立てることが多いので、三脚を使いましょう。
脚立を使う際には、以下の注意点を守って使用してください。
- 登る前に調節器具がロックされていることを確認する
- 一番上の段に載って作業しない
- 上を向いて作業しない
- 悪天候下では使わない
オオデマリの剪定方法
オオデマリは生長がゆるやかで枝数も多くなく、自然樹形のまま育てている方もいます。
基本的には枯れた枝や古い枝葉を剪定するくらいで留めておくのが無難ですが、大きく育てたくない時は強めの剪定をする場合もあります。
毎年行うのは間引き剪定
5~6月は不要な枝葉を切り落とすような剪定を行いましょう。
枝の種類 | 枝の状態 | その他 |
---|---|---|
枯れ枝 | 変色し、周囲の枝と比べてツヤがない | 残しておくと病害虫の発生原因 |
徒長枝 | 勢い良く伸びた枝 | 他枝の生長を妨害、樹形を乱す原因 |
車枝 | 幹の一ヵ所から数本の枝が放射線状に伸びている状態 | 樹形を乱すので1~2本だけ残す |
平行枝 | 長さや太さ同じの枝が上下、左右に平行して伸びている枝 | 樹形を乱すので1~2本だけ残す |
下り枝 | 主枝からわかれて、下に向かっている伸びる枝 | 樹形を乱す原因 |
逆さ枝 | 主枝の向きに逆らって、幹に向かって生えている枝 | 樹形を乱す原因 |
絡み枝 | 枝同士が交差しながら生長しあっている枝 | 通気性の悪化、樹形を乱す原因 |
かんぬき枝 | 幹の左右前後に対象に伸びる枝 | 片方の枝を剪定する必要 |
胴吹き枝 | 幹から直接生えている枝 | 栄養分を過剰吸収し、樹形を乱す原因 |
ふところ枝 | 幹付近から伸びた枝 | 樹形を乱す原因 |
ひこばえ | 樹木の根元から出ている細い枝 | 樹木を衰弱させたり、樹形を乱す原因 |
また、古い枝は花が咲きづらくなっているため、3年以上経ってしまった枝は根元から切り落としてしまいましょう。
切り口は45度の角度で切ると、水切れと病気の予防になります。
大きくしたくない場合の剪定
オオデマリを大きくしたくない場合、強剪定を行います。
はじめに、間引き剪定で不要枝を切り落とし、その後、長い枝を途中で切る切り戻し剪定を行いましょう。
高さをしっかりコントロールするのであれば、芯止めを行ってください。
強剪定の際は下記の点に気を付けてください。
- 芽の1cm上で切る
- 一年の間に何度も行わない
- 花芽ができている短い枝は切らない
オオデマリを剪定するときの注意点
オオデマリは基本的に剪定を好まない樹木なので、注意するべきポイントがいくつかあります。
年に何度も剪定しない
オオデマリは花つきが良く、生長がゆるやかな樹木なので剪定を行う場合でも1年に一回に留めておきましょう。
ただし、剪定をするべき枝も存在するので、花が咲き終わったころに、枯れた枝や樹形を乱す生え方をした枝がないかどうか観察してみましょう。
剪定するべき枝が見つからない場合は、5~6月でも無理に剪定を行う必要はありません。
花芽がつく枝を切り落とさない
オオデマリの花芽は7~8月にかけてついてくるため、もし、花芽がついた後にどうしても切らなくてはいけない枝が出てきた場合は、特に注意して切る必要があります。
オオデマリの花芽は古くなった枝や伸びすぎた枝につくことはないので、そういった枝を中心に剪定するようにしましょう。
オオデマリのお手入れ方法
オオデマリは比較的丈夫で育てやすいですが、いくつかお手入れの際に気を付けなければいけない点があります。
水やり
水やりの基本的なポイントは、土の乾燥具合を常に確認することです。
指で土の表面から2〜3センチメートルの深さを触り、乾燥している場合に水を与えるのが理想です。
夏季の暑い時期は週に2〜3回、冬季は月に1〜2回程度と調整してあげましょう。
ポイント
- 朝や夕方の涼しい時間帯に行う
- 根元に直接水をかけず、土の表面全体に均等に水を与える
- 排水性の良い土を使用し、水はけを確保する
- 水が溜まらないよう注意する
肥料
オオデマリの肥料は、美しい花と健康的な成長を維持するために重要です。
年間を通じて適切な肥料を与えることで、活力を保つことができます。
ポイント
- 春の新芽が出始める時期(3月〜4月)に、緩効性の化成肥料を施す
- 開花前の5月頃と、秋の9月頃に追肥を行う
- 窒素成分の多い肥料を避け、バランスの取れた肥料を選ぶ
- 肥料は株元から20〜30センチメートルの範囲に均等に散布する
- 過剰な施肥は根を傷める可能性があるため、推奨量を守る
日当たり
オオデマリは半日陰から日陰を好む植物です。
直射日光は避け、明るい日陰や午前中の柔らかな日光が最適な生育環境となります。
ポイント
- 午前中の柔らかな日光は当てて、午後の強い日差しは避ける
- 木陰や建物の日陰など、適度に遮られた場所に植える
- 真夏の強い日差しから保護するため、遮光ネットなどを利用する
- 季節や地域によって日光の強さが異なるため、植物の状態を注意深く観察する
植え付け
オオデマリの植え付けは、その後の成長に大きく影響を与える重要な作業です。
適切な植え付け方法と環境選びが、健康的な植物を育てる基本となります。
ポイント
- 植え付け時期は、春(3月〜4月)または秋(9月〜10月)が最適
- 排水性の良い、腐葉土を混ぜた軽い土を使用する
- 植え付け穴は、根鉢よりも30パーセント大きめに掘る
- 根が土の表面すれすれになるよう、適切な深さに植える
- 植え付け後は十分に水をやり、周囲の土を軽く押さえる
オオデマリの病気・害虫対策
オオデマリがかかりやすい病気や害虫について紹介します。
病気:うどんこ病
うどんこ病は、オオデマリにとって最も一般的で厄介な病気の一つです。
この病気は、糸状菌による葉の表面に白い粉状の病斑を形成する真菌性の病気で、主に湿度が高く、風通しが悪い環境で発生しやすく、オオデマリの健康と見た目に影響を与えます。
葉の表面に白い粉状または霜降り状の斑点が現れ、徐々に葉全体に広がり、葉の光合成能力を低下させます。
重度の場合、葉が黄変し、枯れ落ちてしまうので予防・対策をしましょう。
予防
- 適切な植栽間隔を保ち、十分な通気性を確保する
- 朝方の水やりを心がけ、葉が濡れたままにならないようにする
対策
- 症状が出た葉は速やかに取り除き、感染拡大を防ぐ
- 硫黄合剤や銅剤などの殺菌剤を使用し、感染を抑える
病気:褐斑(かっぱん)病
褐斑病は、オオデマリを脅かす深刻な真菌性の病気です。
この病気は、主に湿度が高く、温度が適度に暖かい環境で発生します。
葉に茶色の斑点を形成し、オオデマリの健康に大きな打撃を与えかねません。
葉の表面に小さな茶色の斑点として現れ、徐々に拡大し、斑点の周囲が黄色や赤褐色のハローに囲まれることもあり、最終的には葉全体が枯れ落ちる可能性があります。
特に梅雨時期や夏季に発生しやすく、注意が必要です。
対策
- 症状が出た枝や葉を早期に除去し、感染拡大を防ぐ
- 周囲を清潔に保ち、落ち葉や腐植を除去する
- 銅系殺菌剤や有機系殺菌剤を使用し、感染を抑制する
- 過度の窒素肥料の使用を避け、ストレスを軽減する
- 適切な間隔で植栽し、風通しを良くする
害虫:カイガラムシ
カイガラムシは、オオデマリにとって厄介な害虫の一種です。
小型で硬い殻に覆われた吸汁性の害虫で、植物の樹液を吸収し、植物の生育に深刻な影響を与えます。
枝や葉の表面に固着し、植物の樹液を吸収し、葉が黄変して枝が弱り、最終的には枯死する可能性があります。
特に冬季の温室や屋内植物で発生しやすい害虫です。
対策
- 手作業で目視できる成虫を取り除く
- 高圧水で害虫を洗い流す
- 必要に応じて、適切な殺虫剤を使用する
害虫:サンゴジュハムシ
サンゴジュハムシは、オオデマリの葉を食害する甲虫の一種です。
成虫と幼虫の両方が植物の葉を食べ、オオデマリの健康と見た目に大きな影響を与えます。
葉に不規則な穴を開け、葉の表面を食い荒らし、オオデマリの光合成能力を著しく低下させてしまいます。
梅雨時期から夏季にかけて活動が活発になるので注意しましょう。
対策
- 手作業で成虫と幼虫を取り除く
- 黄色の粘着トラップを使用して成虫を捕獲する
- 周囲を清潔に保ち、害虫の生息環境を減らす
- 必要に応じて、適切な殺虫剤を使用する
業者にオオデマリの剪定を依頼する場合の費用相場
オオデマリの剪定を業者に依頼する場合、費用の算出方法は主に2つのパターンがあります。
樹木の状態や規模、地域によって大きく異なるため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
樹木のサイズによる料金
樹木の大きさを基準に費用が決定します。
一般的には樹高や枝の広がり、幹の太さなどが考慮されます。
剪定金額の目安は、以下の通りです。
剪定金額の目安料金
高さ | 料金 |
---|---|
3m未満 | 3,000~5,000円 |
3m~5m未満 | 5,000~15,000円 |
5m以上 | 16,000円~ |
作業時間別の目安料金
剪定に要する時間を基準に費用が決定されます。
時間 | 料金 |
---|---|
30分未満 | 5,000円〜8,000円 |
1時間程度 | 8,000円〜15,000円 |
半日(4時間) | 15,000円〜30,000円 |
剪定料金の詳細はこちらの記事を参考にしてください。
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